明日を求めて【単発】

ノア オリバー

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明日を求めて

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『君の余命は…後…だ』
僕と目も合わせず医者は俯いて言った。なんとも悔しげだ。先生は僕のために頑張ってくれた。
望んでもいないのに。
「そうですか」
僕は、肩をがっくしと落とし、顔を俯かせた。
「すみません。1人にして貰えますか?」
「あぁ」
そう言って先生は出ていった。
「やった…」
僕は、ハハッと乾いた笑いを零して布団に顔を埋めた。
「やっと死ねる。やっと…」
希望のない人生に終止符が打たれる。こんなに素晴らしい話はない。意味もない人生だった。ただただ
生きているだけの人生、日々進化する訳でもない。むしろ退化していく人生。そんなの、楽しくも面白くも嬉しくもない。そんな人生が終わる。胸が高鳴るのを感じた。
「もう終わる人生だ。最後に桜の木の下にでも行くか。」
季節は春。桜が散るときには僕の命は無いだろう。
僕は桜が好きだ。僕なんかよりもずっと生きてる。
生きがいを感じる。そんな桜が好きで、羨ましい。
「車椅子っと」
車椅子に乗り、病室を出た。




桜の木の根の上に座る。手を前に出すと桜の花びらが手のひらに乗った。
「強いな、桜は。君はいつも嬉しそうだ。僕も今日はとても嬉しいんだ、なんたってもうすぐで死ねるからな。」
ハハッと笑う。未練、何てものはない。僕は生まれて、この病院から15メートルも離れた場所には行けない。桜、紅葉、雪、病室、これくらいだろうか。
他は見たことがない。がっこう?そんなのも知らない。
「それはどういうこと?」
突然目の前から、声がした。僕は閉じていた目を開け前を見る。そこには、怒りに染まった顔をした女の子がいた。同い年だろうか。
「何ですか?」
そう僕が言うと、彼女は
「今、死にたい的なこと聞こえたから。」
なるほどそれで声をかけたのか。
「そうだよ。僕は死にたいんだ、死は救済だ。」
僕がそう言うと、頬に強烈な痛み。叩かれたんだと瞬時に察した。
「バカじゃないの?死が救済な訳ないじゃない!死にたい?ふざけるな!死が迫っているとしても、最後まで抗って見せなよ!諦めるなよ!」
「僕には、生きがいなんてない。この世界も僕は病院しか知らない。そんな僕に生きろだって?無理だよそんなの、なんのために生きろっていうんだよ!?」
僕に明日はいらない、早く死にたい。そんな僕に生きろだなんて、そんなの無理に決まってる。
「じゃあ見つけようよ。生きがいを私と。私もねもうすぐ死ぬの。でも死にたいなんて思わない。これが運命だとしても抗って見せる。君も一緒に〝 明日を見ようよ〟」
彼女は笑顔でそう言って僕に手を差し出した。
「何だよ。優しくしないでくれよ。死ぬ前に後悔しちゃうだろ。人の温もりを知ってしまうだろ。」
僕の目からは生温かい物が伝っていた。初めて知る人の温もりを感じてしまったんだ。
そうして僕は、彼女の手を取った。






「そう言えば君の名前は?」
彼女がそう聞いてくる。
「人に聞く前に名乗るのが普通じゃない?」
僕がそうぶっきらぼうに言った。
「君って結構ツンデレだよね?男のツンデレは需要ないよ?」

「なんだツンデレって?」
ツンデレとは?
「…知らないの?…あ、そうか君スマホとか使ったりしないのか」
スマホ?あぁ、高い機械か。
「しないな。それより名前は名乗らないのか?」
名前の話から高額機械の話になるのは何故だ?
「わかったよ、名乗ればいいんでしょ?私の名前は
瞬乃 望(しゅんの のぞみ)。この名前そんな好きじゃないんだよね。一瞬しかない望なんて…嫌じゃない?」
まぁ分からなくもない。
「次はあなたよ。私は名乗ったわよ。」
せっかちだな分かってるよ
「僕は、無時 瞬間(むどき しゅんま)だよ。似てるね僕達。僕は一瞬も無いって事なのかな?」
僕達の名前は本当に似ている。まぁ、どちらも希望がないという意味なのかもしれないが。
「これって運命なのかな?」
「…そうかもな。」
「ほんとツンデレだよね。」
僕は彼女の言ってることを無視して、車椅子に乗った。
「ってちょちょ。無視しないでよってどこ行くの!?」
「なぁに病室に戻るだけだよ。」
少し疲れたから、ベットで横になろうと思った。
「じゃあ君の…いや瞬間の病室に行くね。」
話し相手になってくれるのか?そりゃまた嬉しいな。
「…好きにしろ」
「ツンデレ!」





「へぇ!私の部屋と近いね。」
僕は305で望は306らしい。隣じゃん。
「…そうだな。望って余命なんて言われたんだ?」
「直球だなー。もっとこう躊躇ったりとかしないの?」
躊躇う、か確かに誰とも話さないから今のは失礼、とかも分からない。成程気を付けよう。
「…もって1年、早くて1ヶ月だって。」
「…そっか」
「瞬間は?」
そう聞かれて僕は、
「…1ヶ月とちょっと位?」
と答えた。
「何で疑問形なのかは分からないけど、まあいいや。ねね、生きがい見つかった?」
死にたい、なんて気持ちが僕にはもうなかった。
望のおかげで人の温かさを知ってしまった。
このままじゃ未練タラタラで死んじまうかもな。
「…強いて言うなら、望の温かさを感じることかな。」
望の笑顔はとても温かくて、心地が良い。はぁ、ほんとなんか僕ダサいな。死にたい、死にたいなんて言ってたくせに。
「…ド直球だねほんと。まぁ嬉しいよ。」
ちょっと顔が赤くなってるような気がするな。気のせいか。ふと彼女の腕に目がいく。
「望、暴力されてるのか?」
望の腕には、切り傷やアザができていた。
「…まぁ、学校でいじめられてね。」
がっこう、僕が知らない所。
「でもまぁ今は入院してるし大丈夫だよ!学校のやつら来ないし。」
「…そっか」
そう言って僕らは1度解散ということで、望は部屋に戻って行った。間違いない、今のは嘘だ。望はここに1年前からいると言った。それは事実だろう。
だが腕のアザは結構新しい怪我で、1週間前とかだろう。なら…
「はぁ、新しい生きがいができたよ、〝 望を救う〟」
この人生に意味を持たそう。彼女を救った、そのことを残してやる。






翌日、望は来なかった。昨日9:00に来ると言っていた。約束を破るやつには見えなかった。現在の時刻は9:10である。ちょっと待てば?とかせっかちじゃない?とか思われるかもしれないが、あいつは時間には厳しいタイプだと思う。だって余命1年だもん。
大切にするはずだ、時間は。そんなことを考えていると、胸に痛みが走った。咄嗟に胸に手を添える。
痛みは引かない。うっと唸り僕は気付く、
「病気の痛みじゃない?」
そう、心臓とかじゃない、心みたいな感じだ。
冷や汗が流れる、嫌な予感が頭の中に漂う。
「行かなきゃっ」
深呼吸をする。痛みがどんどん引いていき僕は車椅子に乗った。
「行くぞ。望の部屋に。」
そう言って僕は病室を出た。
  






望の病室に行くと襟を掴まれている望がいた。
「おい!何してんだよ!」
僕が叫ぶと、襟を掴んでいる女の人がこっちを見た。 
「何?君に関係ないでしょ?」
だからって…
「だからって、襟を掴むのはおかしいんじゃ無いのか!?」
関係ないとかじゃない。そんな問題じゃない。
「…私はこいつが憎いのよ。早く死んでほしいのよ!」
母親か?親なのに何で、
「望!何か言えよ!」
「…私は生きたいのお母さん…だからやめて…」
そう望が言うとパッと手を離した。望はぐったりとベットに横たわる。
「…おい、少し話をしろ。」
僕はキッと睨む。その女は真っ直ぐ僕を見て話し始める。
「私はこいつの母親よ。でもこいつが病気のせいで、お金は無くなっていく。夫も離れていった。私の幸せを奪って行ったの!こいつは。」
なんて自分勝手な親だろう。
「あんたは望を産んで嬉しくなかったのか?お金が無くても夫がいなくなっても、望さえいれば幸せじゃないのか?望を助けてやってくれよ。頑張ってはたらいて救ってやれよ。」
その女は黙り込んだ。
「頼むよ。望は明日を求めてるんだ。僕なんかよりもずっと良い奴なんだよ。頼むよ助けてやってよ。」
僕は頭を下げた。
「あなたの言う通りね。お金は厳しいけどこの子を産んだ時、とても嬉しくて幸せだった。そうねこの子さえいればきっと幸せなのね。」
その女の人はニコッと笑った。
「ありがとね。それとごめんなさい。望ね、治療費が無いから余命があったのよでももう大丈夫、あなたのおかげで目が覚めたわ。」
良かった。治療さえ出来れば治る病気だったのか。
「こっちこそ、歳上のあなたにこんな口聞いてすみません。」
だいぶ、強く言った…と思う。
「ありがとう。じゃあ私はここで、先生と話して来るわ」
そう言って、女の人は出ていった。
僕は、望に近付き
「望大丈夫か?」
と、声をかけた。
「…ん?あれ、確か私お母さんに…それで瞬間が来て離してもらって…どうなったっけ?」
意識を失ってたのか。
僕は微笑んで、
「望は生きれるよ。これからもずっと、望のお母さんが治療費頑張って払うんだって。」
「…え?本当?私、生きれるの?」
「あぁ。君はこれからもずっと、〝 明日を見れるよ〟」
僕がそう言うと、望は 
「やったぁ。私は明日を見れるのね。…ありがとう、瞬間、きっとあなたのおかげでしょ?」
と、望は涙を目に溜めそう聞いてきた。
「…いや、感謝はお母さんにするんだな。
僕は何もしていない。」
「…そっか。でもありがとう。心配して来てくれたんでしょ?」
「…まぁ、ちょっと遅いなって思って。」
僕は顔を背ける。望の笑顔が眩しすぎたからだ。
そんなふうに会話していると、ドアがノックされ、先生達が入ってきた。
「望さん、今から手術を始めます。望さんは一刻を争います」
看護師の人が望にそう声をかける。すると望は、
「はい、お願いします。」
そう言った、それから僕の方を向いて言った。
「瞬間、行ってくるね。成功すること祈っといてよ?」
「当たり前だ。」
僕がそう返すのと同時に望は手術室に運ばれる。
「救えたかな?望を。僕の人生に意味はあったかな?」
空っぽになった病室で僕はそう零して、病室を後にした。
僕の生き様を見ている人がいたら、どうか聞きたい。僕の人生は無駄じゃ無かったですか?って。







その日、私は手術を受けた。無事成功し、余命宣告は無しになった。麻酔の効果が手術後にも続き、眠っていると、突然声が反響する。
『僕の人生は無駄じゃ無かったですか?』
その声を聞いた直後、私の意識は覚醒した。





瞬間と会って3日目の日、私が瞬間の病室に行くと、瞬間は息をしてなかった。急いでナースコールのボタンを押し、先生が入ってきたが。もう遅かった。
「…何でよ…私が生きてても貴方が生きてなきゃダメじゃない。ねぇ、起きてよ私を救って死ぬの?ねぇ、カッコつけないでよ。起きてよ。」
瞬間の手を触る。冷たかった、それはもう瞬間がこの世に居ないという証明で、私は泣き出してしまった。




私が泣いていると、瞬間の担当医の人が私に、
「亡くなる前日の夜に瞬間くんから預かったものだ、君に渡してほしいと言われた。では」
そう言って先生は私に手紙を私部屋を出ていった。
私は涙を、拭い手紙を開く。
『望へ
読んでる?君がこの手紙を読んでるってことは、
僕はこの世には居ないだろう。
突然でごめんな、 もしかして泣いてくれてる?
ごめん嘘嘘。そんなこと無いって思うけど、泣いてくれてたら嬉しいな。
僕は君に嘘をついてたんだ、僕の余命は持って3日、早くて1日だったんだ。すごくないか?こんなに短い余命聞いたことないや。君のおかげで希望を持てたよ。こんな人生に未練なんてないって思ってたけど、君のおかげで未練ばっかりだよ。
君と一緒に生きたかった。初恋ってやつなのかな?
君と外の世界を見たかった。君と明日を見たかったんだ。でも駄目なんだ。僕に明日は見れない。だから僕の分も君には生きて欲しい。頼むよ。僕は上か下から見てるからさ。
でもやっぱり、僕も君みたいに抗ってみるよ。
明日君に会えるのがとても楽しみだよ。
〝 明日を求めて〟』
私はその手紙を読みきりまた涙が溢れ出した。
「うぅ。死んでるじゃない。運命なんか知らないよ。何で神様はこうも私たちに酷いのよ…」 
溢れ出る涙は止まることを知らず、私は泣き崩れた。
「私も…貴方が…貴方が…貴方がとてもとても大好きだよ。だから、だから」
私は無理やり涙を拭い空に向かって叫んだ
「さようなら瞬間、あなたの分も私は生きる。貴方がくれたこの命、この人生、私はこの先もずっと…ずっと、生きる!」
瞬間は私を見てくれてる、瞬間がガッカリしないような最高の人生を、私は生きる。明日をあゆみ続ける。
1秒も君は忘れない。だから私の生き様をしっかり見ててよね、瞬きしちゃダメだからね。









君と僕は一緒だよ。君はずっと運命に抗うんだ。
だから〝 明日を求めて〟生きて。
それが僕の唯一の〝 望み〟だよ。



~完~


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いかがだったでしょうか?この物語は1話完結という形になります。こういう物語はパッと思いつくと思わず書いちゃう性格でして…。こんな物語がもしかしたらまた出るかもしれません。いいなって思ったら、私の話を待っていただけると幸いです。では、次のお話で会いましょう。
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