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第二章~Re: start~
謹賀新年!SS〜お忍びデート〜
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新年あけましておめでとうございます!!
【ダリア処刑前の二週間ほど前のデート模様】
を書いてみました!(*´ ³ `)ノ
第三章の新キャラもチラ見せです!(*,,ÒㅅÓ,,) ムフー
どうぞお楽しみください(∩´∀`@)⊃
*
───コンコン…!
応接室に勝手に入り、執務室にいるはずのシリウスに報せる為に二回ノックした後自分でドアを開ける。
今日はシリウスの十七歳の誕生日を祝う為にお出かけする約束をしていた。
二月生まれであるシリウスの誕生日は私が王宮に隔離されている間に過ぎてしまっていたのだが…
社交界にデビューする前ということもあり、今は何かしら理由がないとシリウスとなかなか会うことすら出来なくなってしまったので、私の方から遅ればせながらシリウスの誕生日を祝いたいと特別に外出の許可を貰っていた。
「…シリウス様、いらっしゃいますか?」
元より勝手知ったる伯爵邸だ。
元使用人である私の来訪は伯爵邸の使用人達も歓迎してくれるのだが…
来客の確認として一応は出て来てくれるものの、私だと認識するや否や簡単な挨拶と軽く近況報告が終わるとそのまま仕事に戻ってしまう。
そのおかげで来客であるはずの私を、シリウスの執務室まで誰かが案内してくれる…という対応をされたことはなかった。
もちろん私も伯爵邸は気楽でいいなぁと思っていた為、いつの間にか勝手に来て勝手に帰っていくというのが当たり前になっていた。
そんなこんなで…
我が物顔でシリウスの執務室にひょっこり顔を覗かせながら中を窺うと、綿素材の薄地の白シャツに少し汚れの目立つブラウンの安そうなズボンを履いたシリウスが執務机の隣に立っていた。
目線はこちらを向いているが、手には書類を持っているので恐らく報告書か何かを読んでいたのだろう。
「………これからどこかに出かけられるのですか?」
勝手に来ると言っても、シリウスとデートの約束はきちんとしている。
わざわざ公爵邸から会いに来たのに、まさかシリウスは仕事で出かけるつもりなのだろうか?とあからさまにしゅんとしてしまう。
「うん、アイリスと出かける約束だよね?」
「え?あ、はい、そうですよね…?」
「アイリスちゃん!待ってたのよ!」
シリウスの返答に困惑していると、突然後ろから抱きつかれたので何事かと思って振り向いたらリニィがいた。
「え~と…あ、お着替えを手伝うよう言われているんですよ~アイリス様はこちらへどうぞ~♪」
リュークから鋭い視線を向けられたリニィは慌てたように口調を改める。
私自身はそのままでも構わなかったのだが、リュークが嫌がるのであれば仕方ないだろうと飲み込み、リニィに引かれるまま客室まで連れていかれてしまう。
「…リュークを置いてきてしまったけれど良かったのかしら?」
「ええ、御当主様が対応して下さるはずですから放っておいて大丈夫ですよ~」
「今日は街に行くと思って軽装で来たのだけど、私は何に着替えるの?」
「ふふふ…もっと楽しいものですよ♪」
「………楽しいもの?」
リニィに連れてこられた客室には大量の服が並べられており、中から好きな服を選ぶよう言われる。
どれも平民が着るような薄い布地で無地のものばかりだった。
軽く悩んだ末、シリウスの格好を思い出して私も白のブラウスとダークブラウンのスカートを身につけることにする。
ハイウエストのレースアップスカートを後ろで結んでもらい、編み上げていた私の髪の毛を解くとリニィはササッと結い直してくれる。
白髪が目立たないよう仕上げにオレンジのスカーフを緩く巻いて完成だと言われる。
「………」
黒いブーツに履き替えた私は、町娘をイメージした今までにない格好に既にワクワクしていた。
リニィに急かされシリウスの待つ執務室まで戻ると、シリウスは変わらず書類に目を通していた。
しかし、待っていたはずのリュークの姿が見えない。
「…シリウス様、リュークはどちらに行かれたのですか?」
「あぁ、リュークには仕事を頼んだんだ。勝手にごめんね?でも二人っきりで出かけたかったからさ」
「リュークが納得してくれているなら大丈夫だと思います。シリウス様と二人っきりでお出かけ出来るなら私も嬉しいです」
素直に喜ぶとシリウスが微笑みながら手を差し出してくれる。
リュークには少しだけ申し訳ない気持ちもあったが…
それでも、私がこの手を取らないという選択は有り得なかった。
「いつも移動は馬車だけど…こうして手を繋いで歩くのも新鮮でいいね」
「…そうですね」
なんというか…不思議な感じだ。
私の隣を歩いているシリウスは目立つ金髪を黒く染めている。
洗ったら落ちる染髪料らしい。
そう言われてみれば、かつてお忍びで視察していたコンラッド王子も茶髪に染めていた事があったな…と思い出す。
平民の男性でも一般的によく目にする白シャツに、汚れ仕事にも有用なブラウンのズボンというレオを彷彿とさせる出で立ちにも関わらず…
シリウスの場合は全く貴族感が隠せていない。
歩く姿勢がいいからか…
もしくは、単純に顔が整っているからか…?
力がある割にはお義兄様のように大柄なわけでもないし、恋人としての欲目を抜きにしてもシリウスはカッコイイと思う。
別にバレバレなお忍びデートになったところで、私にとっては大した問題ではない。
「………」
むしろ今問題なのは、シリウスのラフな格好のせいで無駄にお姉様方の視線を集めてしまっているところだ。
いつもはニコニコとしている優しいイメージのシリウスが、髪を黒く染めただけで野生味があるというか…
キリッとしてどこか大人びて見えるから不思議だ。
平民といっても、健康的で快活な女性は多い。
回帰前と比べてだいぶマシになったと思っていたが、その分シリウスも伸びているからか身長差は相変わらずでヒールがないとシリウスの肩にも届かない。
子どものようにチビで痩せぎすな私より、チラチラとシリウスの顔を見ているあのお姉様方が隣を歩いたほうがよっぽどお似合いなのは間違いないだろう。
だがシリウスはお姉様方の熱烈な視線に気づいていないのか、ご機嫌な様子で私の手を引っ張ってくれる。
指先が触れるだけのエスコートと違って…
平民の恋人達のように手を繋いで歩いているので、ぐいぐい引っ張られる感覚にシリウスが浮かれているように見えてつい嬉しくなってしまう。
「………ふふふっ♪」
しっかり繋がれた手に安心感を覚えて、離れないようにとついシリウスの腕に抱きついてしまう。
「下街についたらまずは腹ごしらえだね」
「そうですね!シリウス様は何を食べたいですか?」
「今日は屋台飯にしよう。アイリスは食べたことがないだろう?」
「そうですね…まぁ、確かにありませんが…むしろシリウス様は食べたことがあるのですか?」
「まぁね。誰かさんが一年も連絡をくれなかったおかげで、ここら辺の路地はもちろん並んでいる店も完全に覚えたし、歩き回りながら食べれる屋台飯はむしろ僕の主食だったよ?」
「………え?」
知らなかった。
まさかシリウスがそんなに探してくれていたなんて…
あの頃は回帰前の記憶があるとは思っていなかったから、シリウスも使用人に過ぎない私よりも士官学校を優先するものばかりだと思っていたのに…
「……まさか、アイリスのことも探さずに毎日遊び回ってたとでも思ってたわけ?」
「いえ、そういう訳では…ただ、てっきり士官学校が忙しくて私を捜すどころでは無いだろうとは…思っていました…けど……」
「……ごめん、意地悪言ったね…そんな顔をさせたかった訳じゃなかったんだけど…」
「………いいえ、今日は…シリウス様のオススメのお店を教えてくださいね?」
「うん、じゃあ行こうか?」
「はいっ!」
それからは下街を気ままに散策しながら、焼きたての串焼きやスモークサーモンとアボカドを挟んだバケットサンド、デザートにはイチゴクレープ…と私が興味を示した物をシリウスは片っ端から買ってくれた。
味付けもしっかりしていてどれも美味しかったし、何より出来たてを二人で分け合って食べるのはとても楽しかった。
私が食べきれなかった分をシリウスが片付けてくれた後は、シリウスへのプレゼントを買うために雑貨や小物の露店が並ぶエリアへと足を運んでみる。
「わぁっ!これ綺麗ですね!」
「……サファイアだね…アクセサリーならちゃんとしたところで買ってあげるよ?」
「…いいえ、これが欲しいです!自分で買ってきます!」
「待って待って、そんなに気に入ったなら僕が買うから…」
「………そんな…あ、今日はシリウス様の誕生日祝いのデートでした!シリウス様は何か欲しいものはありますか?」
「 ははっ、アイリスがくれるものならなんでも嬉しいよ」
「………そう言われると…やはり迷ってしまいますねぇ…」
何か贈り物にいい物はないかと考えていると、パパッと会計を終わらせたシリウスが私の手首にブレスレットを付けてくれる。
「ありがとうございますっ!」
シリウスの瞳の色にすごく似ているサファイアの欠片が三つ、細いチェーンに雫のようなカットで等間隔に嵌められたブレスレットだ。
「こんな安物じゃなくてもいいのに…」
「ふふっ…私はこの色が気に入ったんです。シリウス様の瞳の色にすごく似てると思いませんか?」
「それを言われたら敵わないな…じゃあ、アイリスの誕生日にはそのブレスレットに合うドレスや靴をプレゼントしないとだね…?」
「え?!いえ、そういうつもりで言ったわけでは…」
「はははっ、分かってるよ」
シリウスは笑いながら店の奥を軽く見回す。
そうして止まったシリウスの視線の先には大きな置時計があった。
「……あ!シリウス様へのプレゼント思いつきました!懐中時計はいかがですか?」
「ふむ…いいね。いつも持ち歩けるし、アイリスとの待ち合わせもしやすくなるね」
そうと決まれば、シリウスの案内で時計店へ向かうことにした。
シリウスが案内してくれた時計店は老舗だそうで、多種多様な時計を置いていた。
ショーケースにずらりと並べられた懐中時計があまりにも多すぎて、私は店内を回りながらどのデザインにするべきか悩んでしまう。
私がぐるぐると見回っている間…
シリウスは店員さんと話していたようだった。
ようやく良さげなデザインを見つけて店主さんに包装をお願いする。
お会計も終わって綺麗に包装された懐中時計を手に、すっかり待たせてしまったシリウスの元へ向かうと…
シリウスの手にはいつの間にか大きな花束があった。
「お待たせしました!……そのお花はどうされたのですか?」
「今さっきお店の人にお願いして買ってきて貰ったんだ…そういえばアイリスに花束を直接手渡したことは無かったなって思い出してね」
「わぁ、ありがとうございますっ!」
そう言いながらシリウスは花束を私に手渡してくれる。
腕いっぱいの白いアイリスの他にもかすみ草などが添えられていた。
生花の優しい香りに気分が良くなってくる。
「一旦外へ行こうか…」
そのままシリウスに手を取られて外に出る。
外はすっかり夕方になっていた。
広間の噴水のところまでシリウスと手を繋いだまま歩く。
「………前は一輪だけ、あのリボンと一緒に頂きましたけど…こんなに立派な花束は初めてなのですごく嬉しいです。私の名前と同じですし、何よりアイリスは香りも良くて大好きな花なんです」
「アイリスはこの白いアイリスの花言葉を知ってる?」
「?…いいえ。シリウス様はご存知なのですか?」
噴水の前に着いたタイミングで足を止めたシリウスが、身長の低い私の目線に合わせて少しだけ屈んでくれる。
「……あなたを大切にします」
「───…嬉しいです!ふふっ、シリウス様が白いアイリスを贈ってくださるのは、てっきり私が白髪だからだと思っていました…」
「まぁ、アイリスのイメージにピッタリな花だとは思っているけどね?」
「くすくすっ…あ!どうしたら……あ、すみません…ふふっ…シリウス様!改めて…十七歳のお誕生日、おめでとうございますっ!」
両手で抱えていた大きな花束をどうするべきかとわたわたしていると、シリウスがサッと花束を回収してくれる。
空いた両手で私は改めてシリウスへ誕生日プレゼントを渡す。
プレゼントを受け取ったシリウスから再び花束を受け取り、シリウスは包装紙を剥がして懐中時計が収められている箱を開ける。
「…シンプルで、僕の好きなデザインだ。すごく気に入ったよ」
私が選んだのはシルバーの懐中時計で、盤面が透けている為奥にある歯車が見えるタイプのものだった。
もちろんデザインだけでなくきちんと、針もしっかり見えるので時間も分かりやすいと思う。
「………ありがとう、アイリス…」
《With you》
店主にお願いして蓋の裏に彫ってもらったメッセージにも気づいてくれたらしい。
宝物に触れるように…
彫られたメッセージにそっと指を滑らせるシリウスを見て私も嬉しくなる。
その時、タイミング良く広間に伯爵家の馬車が到着する。
シリウスに引かれるまま馬車に乗り込むと、持っていた花束を対面の座席に置かれた後、当たり前のようにシリウスの膝の上に座らせられる。
「「………」」
未だ見慣れない黒髪に指を滑らせると、シリウスの頬を両手で包んで私の方から唇を重ねる。
「………やっぱりアイリスと過ごす時間が一番のプレゼントだね…」
「……くすっ」
せっかく頑張ってプレゼントを選んだというのに…
キスの方が嬉しいと言われてしまってつい笑ってしまう。
「「────」」
そうして伯爵邸に着くまでの間…
残り短い二人っきりの時間を、私はシリウスの膝の上で心ゆくまで満喫したのだった。
*
シャワーで染髪剤を洗い流して執務室に戻ると、入室の許可もしていないのにソファに座って堂々と僕を待っていた人物が振り向く。
「…ふふふっ、今日は随分楽しまれたようですね?」
「お陰様でね…ところで報告は?」
「はい、ご指示頂いた分は全て完了しています。ロベルトは思いの外腕の傷が酷くなってしまったので、帰省の道中、盗賊に襲われたことにして適当に片付けちゃいました」
「構わないよ…まぁ、ロベルトのことで騒ぐ者はいないだろうしね」
「それから…セドリック様に付けていた娼婦達は、とりあえず落ち着くまでは領地の別館にて面倒を見るように言っておきました」
「……そうか」
執務机の引き出しから懐中時計を取り出すと、昼間のアイリスを思い出してつい笑みを浮かべてしまう。
アイリスは基本的に考えていることが表情に出るタイプだ。
一度経験があるとはいえ…
腹の探り合いばかりの社交界で果たして上手く立ち回れるのだろうか?とつい心配になってしまう。
「……明日、仕立て屋を呼んでくれ。そろそろ舞踏会のドレスを準備しないと…アイリスの晴れの舞台だからね。最高の物を準備してあげなきゃ…」
「ふふっ…溺愛されるのは結構ですけど、バニッシュ卿に乱暴するのはこれで最後にしてくださいね?目を覚まされた後、大暴れするバニッシュ卿を宥めるのは本当に大変だったんですから」
「…声をかけるまでは通常業務に戻っていいよ。お疲れ様」
「は~い。では、私はこれで失礼致しますね~?」
全く…都合が悪いとすぐ追い出すんだから…
ぶつくさ言っているのは聞こえていたが、今は気分が良かったので好きにさせることにした。
隠し通路がしっかり閉まるのを確認してからイスに腰を降ろす。
「……殿下のところにも、一度御礼に伺わないといけないな」
ダリアの処刑は既に確定事項になっていた。
残り二回の裁判が定例通り開催されたとしても、ダリアの処刑が執行される時期がいつになるのか…という程度の違いだろう。
コンラッドがタイミングを合わせてシュタート侯爵が運営していたオークション会場を強制捜査してくれたおかげで、ダリアの処刑に対する反発も今のところ起きていない。
ダリアの騒ぎのおかげで、ペルージャン公爵…
いや、正確にはエレナの様子から僕らの関係を察したオリヴィエ王妃に牽制される羽目になってしまったが、アイリスの様子を見る限り大した問題ではないだろう。
「早くみんなにアイリスを自慢したいな~」
アイリスからもらった懐中時計を星空へかざしながら、僕は早速デビュタントに向けて準備を始めることにするのだった。
【ダリア処刑前の二週間ほど前のデート模様】
を書いてみました!(*´ ³ `)ノ
第三章の新キャラもチラ見せです!(*,,ÒㅅÓ,,) ムフー
どうぞお楽しみください(∩´∀`@)⊃
*
───コンコン…!
応接室に勝手に入り、執務室にいるはずのシリウスに報せる為に二回ノックした後自分でドアを開ける。
今日はシリウスの十七歳の誕生日を祝う為にお出かけする約束をしていた。
二月生まれであるシリウスの誕生日は私が王宮に隔離されている間に過ぎてしまっていたのだが…
社交界にデビューする前ということもあり、今は何かしら理由がないとシリウスとなかなか会うことすら出来なくなってしまったので、私の方から遅ればせながらシリウスの誕生日を祝いたいと特別に外出の許可を貰っていた。
「…シリウス様、いらっしゃいますか?」
元より勝手知ったる伯爵邸だ。
元使用人である私の来訪は伯爵邸の使用人達も歓迎してくれるのだが…
来客の確認として一応は出て来てくれるものの、私だと認識するや否や簡単な挨拶と軽く近況報告が終わるとそのまま仕事に戻ってしまう。
そのおかげで来客であるはずの私を、シリウスの執務室まで誰かが案内してくれる…という対応をされたことはなかった。
もちろん私も伯爵邸は気楽でいいなぁと思っていた為、いつの間にか勝手に来て勝手に帰っていくというのが当たり前になっていた。
そんなこんなで…
我が物顔でシリウスの執務室にひょっこり顔を覗かせながら中を窺うと、綿素材の薄地の白シャツに少し汚れの目立つブラウンの安そうなズボンを履いたシリウスが執務机の隣に立っていた。
目線はこちらを向いているが、手には書類を持っているので恐らく報告書か何かを読んでいたのだろう。
「………これからどこかに出かけられるのですか?」
勝手に来ると言っても、シリウスとデートの約束はきちんとしている。
わざわざ公爵邸から会いに来たのに、まさかシリウスは仕事で出かけるつもりなのだろうか?とあからさまにしゅんとしてしまう。
「うん、アイリスと出かける約束だよね?」
「え?あ、はい、そうですよね…?」
「アイリスちゃん!待ってたのよ!」
シリウスの返答に困惑していると、突然後ろから抱きつかれたので何事かと思って振り向いたらリニィがいた。
「え~と…あ、お着替えを手伝うよう言われているんですよ~アイリス様はこちらへどうぞ~♪」
リュークから鋭い視線を向けられたリニィは慌てたように口調を改める。
私自身はそのままでも構わなかったのだが、リュークが嫌がるのであれば仕方ないだろうと飲み込み、リニィに引かれるまま客室まで連れていかれてしまう。
「…リュークを置いてきてしまったけれど良かったのかしら?」
「ええ、御当主様が対応して下さるはずですから放っておいて大丈夫ですよ~」
「今日は街に行くと思って軽装で来たのだけど、私は何に着替えるの?」
「ふふふ…もっと楽しいものですよ♪」
「………楽しいもの?」
リニィに連れてこられた客室には大量の服が並べられており、中から好きな服を選ぶよう言われる。
どれも平民が着るような薄い布地で無地のものばかりだった。
軽く悩んだ末、シリウスの格好を思い出して私も白のブラウスとダークブラウンのスカートを身につけることにする。
ハイウエストのレースアップスカートを後ろで結んでもらい、編み上げていた私の髪の毛を解くとリニィはササッと結い直してくれる。
白髪が目立たないよう仕上げにオレンジのスカーフを緩く巻いて完成だと言われる。
「………」
黒いブーツに履き替えた私は、町娘をイメージした今までにない格好に既にワクワクしていた。
リニィに急かされシリウスの待つ執務室まで戻ると、シリウスは変わらず書類に目を通していた。
しかし、待っていたはずのリュークの姿が見えない。
「…シリウス様、リュークはどちらに行かれたのですか?」
「あぁ、リュークには仕事を頼んだんだ。勝手にごめんね?でも二人っきりで出かけたかったからさ」
「リュークが納得してくれているなら大丈夫だと思います。シリウス様と二人っきりでお出かけ出来るなら私も嬉しいです」
素直に喜ぶとシリウスが微笑みながら手を差し出してくれる。
リュークには少しだけ申し訳ない気持ちもあったが…
それでも、私がこの手を取らないという選択は有り得なかった。
「いつも移動は馬車だけど…こうして手を繋いで歩くのも新鮮でいいね」
「…そうですね」
なんというか…不思議な感じだ。
私の隣を歩いているシリウスは目立つ金髪を黒く染めている。
洗ったら落ちる染髪料らしい。
そう言われてみれば、かつてお忍びで視察していたコンラッド王子も茶髪に染めていた事があったな…と思い出す。
平民の男性でも一般的によく目にする白シャツに、汚れ仕事にも有用なブラウンのズボンというレオを彷彿とさせる出で立ちにも関わらず…
シリウスの場合は全く貴族感が隠せていない。
歩く姿勢がいいからか…
もしくは、単純に顔が整っているからか…?
力がある割にはお義兄様のように大柄なわけでもないし、恋人としての欲目を抜きにしてもシリウスはカッコイイと思う。
別にバレバレなお忍びデートになったところで、私にとっては大した問題ではない。
「………」
むしろ今問題なのは、シリウスのラフな格好のせいで無駄にお姉様方の視線を集めてしまっているところだ。
いつもはニコニコとしている優しいイメージのシリウスが、髪を黒く染めただけで野生味があるというか…
キリッとしてどこか大人びて見えるから不思議だ。
平民といっても、健康的で快活な女性は多い。
回帰前と比べてだいぶマシになったと思っていたが、その分シリウスも伸びているからか身長差は相変わらずでヒールがないとシリウスの肩にも届かない。
子どものようにチビで痩せぎすな私より、チラチラとシリウスの顔を見ているあのお姉様方が隣を歩いたほうがよっぽどお似合いなのは間違いないだろう。
だがシリウスはお姉様方の熱烈な視線に気づいていないのか、ご機嫌な様子で私の手を引っ張ってくれる。
指先が触れるだけのエスコートと違って…
平民の恋人達のように手を繋いで歩いているので、ぐいぐい引っ張られる感覚にシリウスが浮かれているように見えてつい嬉しくなってしまう。
「………ふふふっ♪」
しっかり繋がれた手に安心感を覚えて、離れないようにとついシリウスの腕に抱きついてしまう。
「下街についたらまずは腹ごしらえだね」
「そうですね!シリウス様は何を食べたいですか?」
「今日は屋台飯にしよう。アイリスは食べたことがないだろう?」
「そうですね…まぁ、確かにありませんが…むしろシリウス様は食べたことがあるのですか?」
「まぁね。誰かさんが一年も連絡をくれなかったおかげで、ここら辺の路地はもちろん並んでいる店も完全に覚えたし、歩き回りながら食べれる屋台飯はむしろ僕の主食だったよ?」
「………え?」
知らなかった。
まさかシリウスがそんなに探してくれていたなんて…
あの頃は回帰前の記憶があるとは思っていなかったから、シリウスも使用人に過ぎない私よりも士官学校を優先するものばかりだと思っていたのに…
「……まさか、アイリスのことも探さずに毎日遊び回ってたとでも思ってたわけ?」
「いえ、そういう訳では…ただ、てっきり士官学校が忙しくて私を捜すどころでは無いだろうとは…思っていました…けど……」
「……ごめん、意地悪言ったね…そんな顔をさせたかった訳じゃなかったんだけど…」
「………いいえ、今日は…シリウス様のオススメのお店を教えてくださいね?」
「うん、じゃあ行こうか?」
「はいっ!」
それからは下街を気ままに散策しながら、焼きたての串焼きやスモークサーモンとアボカドを挟んだバケットサンド、デザートにはイチゴクレープ…と私が興味を示した物をシリウスは片っ端から買ってくれた。
味付けもしっかりしていてどれも美味しかったし、何より出来たてを二人で分け合って食べるのはとても楽しかった。
私が食べきれなかった分をシリウスが片付けてくれた後は、シリウスへのプレゼントを買うために雑貨や小物の露店が並ぶエリアへと足を運んでみる。
「わぁっ!これ綺麗ですね!」
「……サファイアだね…アクセサリーならちゃんとしたところで買ってあげるよ?」
「…いいえ、これが欲しいです!自分で買ってきます!」
「待って待って、そんなに気に入ったなら僕が買うから…」
「………そんな…あ、今日はシリウス様の誕生日祝いのデートでした!シリウス様は何か欲しいものはありますか?」
「 ははっ、アイリスがくれるものならなんでも嬉しいよ」
「………そう言われると…やはり迷ってしまいますねぇ…」
何か贈り物にいい物はないかと考えていると、パパッと会計を終わらせたシリウスが私の手首にブレスレットを付けてくれる。
「ありがとうございますっ!」
シリウスの瞳の色にすごく似ているサファイアの欠片が三つ、細いチェーンに雫のようなカットで等間隔に嵌められたブレスレットだ。
「こんな安物じゃなくてもいいのに…」
「ふふっ…私はこの色が気に入ったんです。シリウス様の瞳の色にすごく似てると思いませんか?」
「それを言われたら敵わないな…じゃあ、アイリスの誕生日にはそのブレスレットに合うドレスや靴をプレゼントしないとだね…?」
「え?!いえ、そういうつもりで言ったわけでは…」
「はははっ、分かってるよ」
シリウスは笑いながら店の奥を軽く見回す。
そうして止まったシリウスの視線の先には大きな置時計があった。
「……あ!シリウス様へのプレゼント思いつきました!懐中時計はいかがですか?」
「ふむ…いいね。いつも持ち歩けるし、アイリスとの待ち合わせもしやすくなるね」
そうと決まれば、シリウスの案内で時計店へ向かうことにした。
シリウスが案内してくれた時計店は老舗だそうで、多種多様な時計を置いていた。
ショーケースにずらりと並べられた懐中時計があまりにも多すぎて、私は店内を回りながらどのデザインにするべきか悩んでしまう。
私がぐるぐると見回っている間…
シリウスは店員さんと話していたようだった。
ようやく良さげなデザインを見つけて店主さんに包装をお願いする。
お会計も終わって綺麗に包装された懐中時計を手に、すっかり待たせてしまったシリウスの元へ向かうと…
シリウスの手にはいつの間にか大きな花束があった。
「お待たせしました!……そのお花はどうされたのですか?」
「今さっきお店の人にお願いして買ってきて貰ったんだ…そういえばアイリスに花束を直接手渡したことは無かったなって思い出してね」
「わぁ、ありがとうございますっ!」
そう言いながらシリウスは花束を私に手渡してくれる。
腕いっぱいの白いアイリスの他にもかすみ草などが添えられていた。
生花の優しい香りに気分が良くなってくる。
「一旦外へ行こうか…」
そのままシリウスに手を取られて外に出る。
外はすっかり夕方になっていた。
広間の噴水のところまでシリウスと手を繋いだまま歩く。
「………前は一輪だけ、あのリボンと一緒に頂きましたけど…こんなに立派な花束は初めてなのですごく嬉しいです。私の名前と同じですし、何よりアイリスは香りも良くて大好きな花なんです」
「アイリスはこの白いアイリスの花言葉を知ってる?」
「?…いいえ。シリウス様はご存知なのですか?」
噴水の前に着いたタイミングで足を止めたシリウスが、身長の低い私の目線に合わせて少しだけ屈んでくれる。
「……あなたを大切にします」
「───…嬉しいです!ふふっ、シリウス様が白いアイリスを贈ってくださるのは、てっきり私が白髪だからだと思っていました…」
「まぁ、アイリスのイメージにピッタリな花だとは思っているけどね?」
「くすくすっ…あ!どうしたら……あ、すみません…ふふっ…シリウス様!改めて…十七歳のお誕生日、おめでとうございますっ!」
両手で抱えていた大きな花束をどうするべきかとわたわたしていると、シリウスがサッと花束を回収してくれる。
空いた両手で私は改めてシリウスへ誕生日プレゼントを渡す。
プレゼントを受け取ったシリウスから再び花束を受け取り、シリウスは包装紙を剥がして懐中時計が収められている箱を開ける。
「…シンプルで、僕の好きなデザインだ。すごく気に入ったよ」
私が選んだのはシルバーの懐中時計で、盤面が透けている為奥にある歯車が見えるタイプのものだった。
もちろんデザインだけでなくきちんと、針もしっかり見えるので時間も分かりやすいと思う。
「………ありがとう、アイリス…」
《With you》
店主にお願いして蓋の裏に彫ってもらったメッセージにも気づいてくれたらしい。
宝物に触れるように…
彫られたメッセージにそっと指を滑らせるシリウスを見て私も嬉しくなる。
その時、タイミング良く広間に伯爵家の馬車が到着する。
シリウスに引かれるまま馬車に乗り込むと、持っていた花束を対面の座席に置かれた後、当たり前のようにシリウスの膝の上に座らせられる。
「「………」」
未だ見慣れない黒髪に指を滑らせると、シリウスの頬を両手で包んで私の方から唇を重ねる。
「………やっぱりアイリスと過ごす時間が一番のプレゼントだね…」
「……くすっ」
せっかく頑張ってプレゼントを選んだというのに…
キスの方が嬉しいと言われてしまってつい笑ってしまう。
「「────」」
そうして伯爵邸に着くまでの間…
残り短い二人っきりの時間を、私はシリウスの膝の上で心ゆくまで満喫したのだった。
*
シャワーで染髪剤を洗い流して執務室に戻ると、入室の許可もしていないのにソファに座って堂々と僕を待っていた人物が振り向く。
「…ふふふっ、今日は随分楽しまれたようですね?」
「お陰様でね…ところで報告は?」
「はい、ご指示頂いた分は全て完了しています。ロベルトは思いの外腕の傷が酷くなってしまったので、帰省の道中、盗賊に襲われたことにして適当に片付けちゃいました」
「構わないよ…まぁ、ロベルトのことで騒ぐ者はいないだろうしね」
「それから…セドリック様に付けていた娼婦達は、とりあえず落ち着くまでは領地の別館にて面倒を見るように言っておきました」
「……そうか」
執務机の引き出しから懐中時計を取り出すと、昼間のアイリスを思い出してつい笑みを浮かべてしまう。
アイリスは基本的に考えていることが表情に出るタイプだ。
一度経験があるとはいえ…
腹の探り合いばかりの社交界で果たして上手く立ち回れるのだろうか?とつい心配になってしまう。
「……明日、仕立て屋を呼んでくれ。そろそろ舞踏会のドレスを準備しないと…アイリスの晴れの舞台だからね。最高の物を準備してあげなきゃ…」
「ふふっ…溺愛されるのは結構ですけど、バニッシュ卿に乱暴するのはこれで最後にしてくださいね?目を覚まされた後、大暴れするバニッシュ卿を宥めるのは本当に大変だったんですから」
「…声をかけるまでは通常業務に戻っていいよ。お疲れ様」
「は~い。では、私はこれで失礼致しますね~?」
全く…都合が悪いとすぐ追い出すんだから…
ぶつくさ言っているのは聞こえていたが、今は気分が良かったので好きにさせることにした。
隠し通路がしっかり閉まるのを確認してからイスに腰を降ろす。
「……殿下のところにも、一度御礼に伺わないといけないな」
ダリアの処刑は既に確定事項になっていた。
残り二回の裁判が定例通り開催されたとしても、ダリアの処刑が執行される時期がいつになるのか…という程度の違いだろう。
コンラッドがタイミングを合わせてシュタート侯爵が運営していたオークション会場を強制捜査してくれたおかげで、ダリアの処刑に対する反発も今のところ起きていない。
ダリアの騒ぎのおかげで、ペルージャン公爵…
いや、正確にはエレナの様子から僕らの関係を察したオリヴィエ王妃に牽制される羽目になってしまったが、アイリスの様子を見る限り大した問題ではないだろう。
「早くみんなにアイリスを自慢したいな~」
アイリスからもらった懐中時計を星空へかざしながら、僕は早速デビュタントに向けて準備を始めることにするのだった。
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