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第二章~Re: start~
イーリスという女性をご存知ですか? side シリウス
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「……応接室の家具はどれも最高級品で揃えているのだが?」
「それは、失礼致しました…必要経費ということで処理していただけると助かります」
コンラッドに指摘されて手を開くと、ソファーの肘置きが再び微かに悲鳴を上げてしまう。
「はぁ…全く素直じゃないわね。どうしてこの年頃の男の子はみーんな意地っ張りなのかしら…?」
「「………」」
「あなた、アイリスを追い出す為にわざとノワの話をしたのでしょう?」
相変わらずオリヴィエ王妃の洞察力には驚かされてしまう。
先程の話し合いの時でもそうだった。
アイリスの件は、このままオリヴィエ王妃に任せていても何の問題もないだろう。
とはいえ、このままオリヴィエ王妃の独壇場にするわけにはいかない。
すでにアイリスの所有権だけ見れば、マクレーガン家を離れてしまっているのだ。
アイリスの心までオリヴィエ王妃に絡め取られてしまうようなことになれば、アイリスは僕の元を離れてもう戻ってこないかもしれない。
やはり、厄介者は早めに排除しておくべきか…
「……恐れながら、コンラッド王子殿下と少しだけお話をさせていただけないでしょうか?」
「あら憎たらしい子…まぁ私は構わないわ。流血沙汰にならないように気をつけてもらえれば…そうなると私でも庇えなくなってしまうから」
「それは…大丈夫です」
「どっちの大丈夫、なのか悩ましいところね。それから…アイリスを泣かせるようなことをしたら、遠慮なくあの子は私が貰いますからね」
「………」
「先程の約束も忘れないように。今回はアイリスも望んでいることだからあなたの元へ返しますけど…あの子がかすり傷一つも負うことがないようしっかり守りなさい」
「……肝に銘じます」
苦笑しながらの返答に納得いかないような表情を浮かべたものの、オリヴィエ王妃は諦めたように息を吐くと何も言わずに退室してくれる。
必要な話し合いはアイリスが来る前に終えていた。
ここにアイリスやオリヴィエ王妃がいた所で新しく得るものは無いだろう。
「それで…アイリスや母上まで追い出して一体私に何の話があるのだ?」
どうやらヘリオはオリヴィエ王妃と同じ室内には居ないようにしているらしく、ようやくコンラッドと二人きりになる機会を得られた。
オリヴィエ王妃の退室を知れば、ヘリオは急いでここまで来るはずだ。
残された時間はそう多くない。
「お忙しい殿下のお時間をあまり取らせる訳にはいきませんので、単刀直入にお伺い致します」
「………」
促すような視線を寄越したコンラッドをまっすぐ見据える。
「…殿下は、イーリスという女性をご存知ですか?」
「イーリス?…ふむ、イーリス…どこかで聞いた事があるような気もするが…」
「………」
「…いや、記憶にないな。どこかの家門のご令嬢か?」
「───…いえ、お気になさらず…」
「一体なんなのだ?」
「………」
つまり…
コンラッドはアイリスをイーリスと認識していないにも関わらず、今世でも惹かれている、と…?
若干不愉快ではあるが、オリヴィエ王妃の厄介さに比べればまだコンラッドの方は対処のしようがあるだけましと考えるべきか…?
いくらアイリスが貴族の養女となったとしても、そのまま王太子妃に名が上がるようなことがあれば貴族達も黙ってはいないだろう。
今のコンラッドがそれらを抑えてまでアイリスを選ぶとは考えにくい。
…が、今後イーリスとして認識してしまった場合はそれもどう転ぶかは分からない。
仮にコンラッドが記憶を取り戻したとしても…今のアイリスがコンラッドを選ぶことはないだろう。
そう信じてはいるものの…今朝の様子では最早王宮も安全とは言い難くなってしまった。
やはり、余計な薮をつつく前にアイリスはコンラッドから引き剥がしておくべきだな。
はぁ…
アイリスの無駄に人たらしなところがどれほど僕を苦労させているのか、一度じっくりと話し合った方が良さそうだ。
そのためにも…
まずはダリアとセドリックの排除に集中することにしよう。
「……よく分かりました」
「なにがだ?!」
「今日、アイリスを連れて帰ります。全て…オリヴィエ王妃の仰った通りに進めましょう」
「はぁ、てっきりアイリスとの関係を聞かれるのだと思っていたのだが…まさかとは思うが、いつもそのように自己完結しているのか?」
「………恐れながら、殿下から今朝の件の事情を伺ったところで私達の間には信頼関係もありませんし、殿下のお言葉をそのまま信用するのは難しいと思います。先程もお伝えしましたが…殿下との関係について言及されるようなことがあるとしたら、それは殿下ではなくアイリスから直接聞くべきだと思っていますので」
「……分かりづらい男だな。あの言い方では、アイリスが誰とどう過ごそうと自分には関係ないと言っているように聞こえるぞ?まぁ、そなたの言い分も間違ってはいないのだが…アイリスもなかなか面倒な男に惚れられたものだな…」
「心外です。言葉足らずなところがある位だと思いますが?」
「自覚はあるようで安心したよ。そのような性格では生きづらくはないか?」
「……アイリスは私のことをよく理解してくれているので特に生きづらいとは思うことはありませんが?」
「そなたはアイリス以外を人として認識することから始める必要がありそうだな……まさかとは思うが、私に惚気ているのか?」
「特にそういうつもりはなかったのですが…あぁ、ちなみに私は殿下の良い友人になれるのではないかと思っております」
「………友人?」
にっこり微笑んで提案すると、心底嫌そうな表情を浮かべながらコンラッドが確認するように復唱する。
「はい、殿下の素晴らしいお人柄を考えれば当然のことです」
「いや…一体何を企んでいるのだ?まさか本気で私と友人になりたいと思っているわけではないだろう?」
「有り体に言えばそうですね。殿下程のお人柄でしたら、友人の大切な女性に興味本位でちょっかいを出すようなこともないでしょうし」
紅茶を飲みながらコンラッドに本音を伝えると目を丸くして驚いてくれる。
「……はははっ!そういうことか!くくっ…良かろう。アイリスに振られた時は遠慮なく王宮まで来るがいい。そなたの泣く姿を見ながら飲む酒は格別…いや、友人である私が特別な酒で慰めてやろう」
「…私があなたの前でそのような醜態を晒すと思いますか?」
「つまり、アイリスの前でなら泣いたことはあるのか?」
「………ありません」
「ほぅ…?どうやらアイリスには泣き落としが効果的なようだな」
「……むしろ殿下が泣かれるような事があれば、遠慮なくお呼びください。私も友人として殿下のやけ酒にお付き合い致しましょう」
「はははっ、若干気に触る言い方ではあるが…今は気分が良いから見逃してやろう」
「それはありがたいお言葉です」
コンラッドの言葉を反芻しながら、あの光景を思い出してつい笑いが込み上げてくる。
コンラッド王子は、思っていたより《私》のことを認めてくれていたのだと気づく。
「…一体何を考えているんだ?やけ酒にかこつけて私の暗殺を考えているのなら思い直した方が身のためだぞ?そなたの剣術の成績がかなり良いことは聞いているが、ああ見えてヘリオもなかなか腕が立つからな」
タイミング良く現れたヘリオを一瞥してつい鼻で笑ってしまう。
ヘリオはそんな僕に気づいて訝しげな表情を浮かべつつも、余計な口は挟まずコンラッドの背後へと回って待機している。
「まさか…そのような物騒なことは考えていませんよ。最後に…邸宅内に残している侯爵閣下の手の者ですが…」
「「………」」
「全員把握出来ているつもりなので、余計な真似はしないようよく言い聞かせておいてください。ノワは従順なようでなかなか好き勝手してくれていたので、こちらとしてもいい迷惑でしたから」
「だから、何故ヘリオの配下だと知っているんだ」
「……機密事項です。知らぬ存ぜぬで通したがお互いの為でしょう?それでは…しばらくお会いする機会もないと思いますが、御前失礼致します」
退室の挨拶として一礼すると、頭を抱えるコンラッドを横目にアイリスの部屋へと向かう。
一年前、姿を消してしまったあと、アイリスに何があったのか…
先日、登城の許可を知らせに来たノワからようやく教えて貰うことが出来た。
もし、ノワが居なければ…
もし、アイリスが機転を利かせていなければ…
今でもアイリスはセドリックの元に居たかもしれない。
そう考えただけでふつふつと怒りが込み上げてくる。
ロアンもアイリスのことを知っていたならせめて知らせてくれればいいものを…
変なところでアイリスへの忠義が高く、伯爵邸の使用人はどうにも扱いにくい人間ばかりでうんざりする。
しかし、彼らがいたからこそアイリスをあそこから早い段階で助け出すことが出来たのも事実だった。
そう、頭では分かっていても自分が助けてあげられなかったという事実があまりにも重たくて…
久しぶりの再会だというのに、アイリスの顔をまともに見ることが出来なかった。
まぁ…コンラッドと共寝していたことも含めて、とても顔を見れるような心境ではなかったのだが…
それなのに…
執務室に来た後もコンラッドの方を向いたままこちらを一度も見ることも無く、そのまま何の躊躇いもなく応接室から出て行こうとするアイリスを見て、思わず引き止めそうになった自分には飽きれるしかない。
顔を見る勇気はない癖に、傍にいて欲しいだなんて…
トライオスの言う『幼稚な独占欲で縛り付けて優越感に浸るような男の子』と称されても仕方ないように思えてくる。
────…コンコン…。
ノックをするとドアの隙間からノワが顔を覗かせる。
「……どうぞ、お入りください」
ちらりと見下ろすと、何故か若干引き攣ったような表情を見せたものの、躊躇うことなく入室を許可する。
開かれたドアの先にアイリスを見つけて、軽く息を吐き出すと…
彼女の顔を見つめながら足を踏み出すのだった。
「それは、失礼致しました…必要経費ということで処理していただけると助かります」
コンラッドに指摘されて手を開くと、ソファーの肘置きが再び微かに悲鳴を上げてしまう。
「はぁ…全く素直じゃないわね。どうしてこの年頃の男の子はみーんな意地っ張りなのかしら…?」
「「………」」
「あなた、アイリスを追い出す為にわざとノワの話をしたのでしょう?」
相変わらずオリヴィエ王妃の洞察力には驚かされてしまう。
先程の話し合いの時でもそうだった。
アイリスの件は、このままオリヴィエ王妃に任せていても何の問題もないだろう。
とはいえ、このままオリヴィエ王妃の独壇場にするわけにはいかない。
すでにアイリスの所有権だけ見れば、マクレーガン家を離れてしまっているのだ。
アイリスの心までオリヴィエ王妃に絡め取られてしまうようなことになれば、アイリスは僕の元を離れてもう戻ってこないかもしれない。
やはり、厄介者は早めに排除しておくべきか…
「……恐れながら、コンラッド王子殿下と少しだけお話をさせていただけないでしょうか?」
「あら憎たらしい子…まぁ私は構わないわ。流血沙汰にならないように気をつけてもらえれば…そうなると私でも庇えなくなってしまうから」
「それは…大丈夫です」
「どっちの大丈夫、なのか悩ましいところね。それから…アイリスを泣かせるようなことをしたら、遠慮なくあの子は私が貰いますからね」
「………」
「先程の約束も忘れないように。今回はアイリスも望んでいることだからあなたの元へ返しますけど…あの子がかすり傷一つも負うことがないようしっかり守りなさい」
「……肝に銘じます」
苦笑しながらの返答に納得いかないような表情を浮かべたものの、オリヴィエ王妃は諦めたように息を吐くと何も言わずに退室してくれる。
必要な話し合いはアイリスが来る前に終えていた。
ここにアイリスやオリヴィエ王妃がいた所で新しく得るものは無いだろう。
「それで…アイリスや母上まで追い出して一体私に何の話があるのだ?」
どうやらヘリオはオリヴィエ王妃と同じ室内には居ないようにしているらしく、ようやくコンラッドと二人きりになる機会を得られた。
オリヴィエ王妃の退室を知れば、ヘリオは急いでここまで来るはずだ。
残された時間はそう多くない。
「お忙しい殿下のお時間をあまり取らせる訳にはいきませんので、単刀直入にお伺い致します」
「………」
促すような視線を寄越したコンラッドをまっすぐ見据える。
「…殿下は、イーリスという女性をご存知ですか?」
「イーリス?…ふむ、イーリス…どこかで聞いた事があるような気もするが…」
「………」
「…いや、記憶にないな。どこかの家門のご令嬢か?」
「───…いえ、お気になさらず…」
「一体なんなのだ?」
「………」
つまり…
コンラッドはアイリスをイーリスと認識していないにも関わらず、今世でも惹かれている、と…?
若干不愉快ではあるが、オリヴィエ王妃の厄介さに比べればまだコンラッドの方は対処のしようがあるだけましと考えるべきか…?
いくらアイリスが貴族の養女となったとしても、そのまま王太子妃に名が上がるようなことがあれば貴族達も黙ってはいないだろう。
今のコンラッドがそれらを抑えてまでアイリスを選ぶとは考えにくい。
…が、今後イーリスとして認識してしまった場合はそれもどう転ぶかは分からない。
仮にコンラッドが記憶を取り戻したとしても…今のアイリスがコンラッドを選ぶことはないだろう。
そう信じてはいるものの…今朝の様子では最早王宮も安全とは言い難くなってしまった。
やはり、余計な薮をつつく前にアイリスはコンラッドから引き剥がしておくべきだな。
はぁ…
アイリスの無駄に人たらしなところがどれほど僕を苦労させているのか、一度じっくりと話し合った方が良さそうだ。
そのためにも…
まずはダリアとセドリックの排除に集中することにしよう。
「……よく分かりました」
「なにがだ?!」
「今日、アイリスを連れて帰ります。全て…オリヴィエ王妃の仰った通りに進めましょう」
「はぁ、てっきりアイリスとの関係を聞かれるのだと思っていたのだが…まさかとは思うが、いつもそのように自己完結しているのか?」
「………恐れながら、殿下から今朝の件の事情を伺ったところで私達の間には信頼関係もありませんし、殿下のお言葉をそのまま信用するのは難しいと思います。先程もお伝えしましたが…殿下との関係について言及されるようなことがあるとしたら、それは殿下ではなくアイリスから直接聞くべきだと思っていますので」
「……分かりづらい男だな。あの言い方では、アイリスが誰とどう過ごそうと自分には関係ないと言っているように聞こえるぞ?まぁ、そなたの言い分も間違ってはいないのだが…アイリスもなかなか面倒な男に惚れられたものだな…」
「心外です。言葉足らずなところがある位だと思いますが?」
「自覚はあるようで安心したよ。そのような性格では生きづらくはないか?」
「……アイリスは私のことをよく理解してくれているので特に生きづらいとは思うことはありませんが?」
「そなたはアイリス以外を人として認識することから始める必要がありそうだな……まさかとは思うが、私に惚気ているのか?」
「特にそういうつもりはなかったのですが…あぁ、ちなみに私は殿下の良い友人になれるのではないかと思っております」
「………友人?」
にっこり微笑んで提案すると、心底嫌そうな表情を浮かべながらコンラッドが確認するように復唱する。
「はい、殿下の素晴らしいお人柄を考えれば当然のことです」
「いや…一体何を企んでいるのだ?まさか本気で私と友人になりたいと思っているわけではないだろう?」
「有り体に言えばそうですね。殿下程のお人柄でしたら、友人の大切な女性に興味本位でちょっかいを出すようなこともないでしょうし」
紅茶を飲みながらコンラッドに本音を伝えると目を丸くして驚いてくれる。
「……はははっ!そういうことか!くくっ…良かろう。アイリスに振られた時は遠慮なく王宮まで来るがいい。そなたの泣く姿を見ながら飲む酒は格別…いや、友人である私が特別な酒で慰めてやろう」
「…私があなたの前でそのような醜態を晒すと思いますか?」
「つまり、アイリスの前でなら泣いたことはあるのか?」
「………ありません」
「ほぅ…?どうやらアイリスには泣き落としが効果的なようだな」
「……むしろ殿下が泣かれるような事があれば、遠慮なくお呼びください。私も友人として殿下のやけ酒にお付き合い致しましょう」
「はははっ、若干気に触る言い方ではあるが…今は気分が良いから見逃してやろう」
「それはありがたいお言葉です」
コンラッドの言葉を反芻しながら、あの光景を思い出してつい笑いが込み上げてくる。
コンラッド王子は、思っていたより《私》のことを認めてくれていたのだと気づく。
「…一体何を考えているんだ?やけ酒にかこつけて私の暗殺を考えているのなら思い直した方が身のためだぞ?そなたの剣術の成績がかなり良いことは聞いているが、ああ見えてヘリオもなかなか腕が立つからな」
タイミング良く現れたヘリオを一瞥してつい鼻で笑ってしまう。
ヘリオはそんな僕に気づいて訝しげな表情を浮かべつつも、余計な口は挟まずコンラッドの背後へと回って待機している。
「まさか…そのような物騒なことは考えていませんよ。最後に…邸宅内に残している侯爵閣下の手の者ですが…」
「「………」」
「全員把握出来ているつもりなので、余計な真似はしないようよく言い聞かせておいてください。ノワは従順なようでなかなか好き勝手してくれていたので、こちらとしてもいい迷惑でしたから」
「だから、何故ヘリオの配下だと知っているんだ」
「……機密事項です。知らぬ存ぜぬで通したがお互いの為でしょう?それでは…しばらくお会いする機会もないと思いますが、御前失礼致します」
退室の挨拶として一礼すると、頭を抱えるコンラッドを横目にアイリスの部屋へと向かう。
一年前、姿を消してしまったあと、アイリスに何があったのか…
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もし、ノワが居なければ…
もし、アイリスが機転を利かせていなければ…
今でもアイリスはセドリックの元に居たかもしれない。
そう考えただけでふつふつと怒りが込み上げてくる。
ロアンもアイリスのことを知っていたならせめて知らせてくれればいいものを…
変なところでアイリスへの忠義が高く、伯爵邸の使用人はどうにも扱いにくい人間ばかりでうんざりする。
しかし、彼らがいたからこそアイリスをあそこから早い段階で助け出すことが出来たのも事実だった。
そう、頭では分かっていても自分が助けてあげられなかったという事実があまりにも重たくて…
久しぶりの再会だというのに、アイリスの顔をまともに見ることが出来なかった。
まぁ…コンラッドと共寝していたことも含めて、とても顔を見れるような心境ではなかったのだが…
それなのに…
執務室に来た後もコンラッドの方を向いたままこちらを一度も見ることも無く、そのまま何の躊躇いもなく応接室から出て行こうとするアイリスを見て、思わず引き止めそうになった自分には飽きれるしかない。
顔を見る勇気はない癖に、傍にいて欲しいだなんて…
トライオスの言う『幼稚な独占欲で縛り付けて優越感に浸るような男の子』と称されても仕方ないように思えてくる。
────…コンコン…。
ノックをするとドアの隙間からノワが顔を覗かせる。
「……どうぞ、お入りください」
ちらりと見下ろすと、何故か若干引き攣ったような表情を見せたものの、躊躇うことなく入室を許可する。
開かれたドアの先にアイリスを見つけて、軽く息を吐き出すと…
彼女の顔を見つめながら足を踏み出すのだった。
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