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第三章〜Another end〜
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《私はディアーナ修道院にある孤児院でみんなと生活しているネルといいます。ソドゥン先生の[黒騎士の誓い]は私の一番大好きなお話です。もう何度も読みました。セリフも覚えています。[黒騎士の誓い]は孤児院のみんなが大好きなのでよくごっこ遊びもしています。
本当は秘密なのですが…この前、孤児院に紫の瞳のお姫様が来てくれました。金髪のお姫様とは違って真っ白な髪をしていましたが、あまりに綺麗な人だったので、てっきり私は女神ディアーナ様が会いに来てくださったのかと思いました。こっそりお姫様に聞いてみましたが違うと言って笑われてしまいました。隣の騎士様もとても格好良くて、並び立つお二人はとても幸せそうでした。
もしかして、ソドゥン先生が描かれたお姫様と黒騎士は、このお二人をモデルにしているのかな?と思ったのでお手紙を書いてみました。もしそうだったら嬉しいな! ネル
追伸 お姫様が孤児院に来たことは秘密ですよ!》
全てを無くして無気力に生きていく中で…
時間つぶしに書いた話が当時出版社勤務だった友人の目にとまり…
やり手だったのかあっという間に出版され…
年明けには重版となって、シャダーリンを越えて大陸中で人気になっていると言われた時はなんの冗談かと思っていた。
それからさらに数年が経ち…
久しぶりにファンレターが届いたと出版社の人間が持ってきたのは孤児院からの一通の手紙だった。
拙い字はミミズが這ったかのように歪で読みづらかったが…
それでもその内容はあまりにも衝撃的なものだった。
私は手紙とカバンだけを手に取り追われるように家を飛び出していた。
ディアーナ修道院。
そこは、建国当初からあったとされ…シャダーリン最古の修道院としても有名だった。
手紙の消印は半月以上も前だった。
恐らく受け取った出版社がすぐに持ってきてくれなかったのだろう。
首都からディアーナ修道院までは馬車で半日もかからない。
この村から首都までは今日の馬車に間に合えば三日もかからず辿り着けるはずだ。
「………リーシャ…!」
手紙に書かれていた黒騎士の存在は気になったが、あの別れから二十年…初めてリーシャの目撃情報を手に入れたのだ。
この目で二人の姿を確認しなければ夜も眠れなくなるだろう。
イーリスは大きくなっただろうか?
リーシャは…私を許してくれるだろうか?
「………」
許してくれるはずがない…
私が会いに行って、二人が喜ぶはずがない…
「………いや、せめてひと目…遠くから見るだけなら…」
古傷の痛みを感じ、反射的に胸を押えたものの…
私の足が止まることはなかったのだった。
本当は秘密なのですが…この前、孤児院に紫の瞳のお姫様が来てくれました。金髪のお姫様とは違って真っ白な髪をしていましたが、あまりに綺麗な人だったので、てっきり私は女神ディアーナ様が会いに来てくださったのかと思いました。こっそりお姫様に聞いてみましたが違うと言って笑われてしまいました。隣の騎士様もとても格好良くて、並び立つお二人はとても幸せそうでした。
もしかして、ソドゥン先生が描かれたお姫様と黒騎士は、このお二人をモデルにしているのかな?と思ったのでお手紙を書いてみました。もしそうだったら嬉しいな! ネル
追伸 お姫様が孤児院に来たことは秘密ですよ!》
全てを無くして無気力に生きていく中で…
時間つぶしに書いた話が当時出版社勤務だった友人の目にとまり…
やり手だったのかあっという間に出版され…
年明けには重版となって、シャダーリンを越えて大陸中で人気になっていると言われた時はなんの冗談かと思っていた。
それからさらに数年が経ち…
久しぶりにファンレターが届いたと出版社の人間が持ってきたのは孤児院からの一通の手紙だった。
拙い字はミミズが這ったかのように歪で読みづらかったが…
それでもその内容はあまりにも衝撃的なものだった。
私は手紙とカバンだけを手に取り追われるように家を飛び出していた。
ディアーナ修道院。
そこは、建国当初からあったとされ…シャダーリン最古の修道院としても有名だった。
手紙の消印は半月以上も前だった。
恐らく受け取った出版社がすぐに持ってきてくれなかったのだろう。
首都からディアーナ修道院までは馬車で半日もかからない。
この村から首都までは今日の馬車に間に合えば三日もかからず辿り着けるはずだ。
「………リーシャ…!」
手紙に書かれていた黒騎士の存在は気になったが、あの別れから二十年…初めてリーシャの目撃情報を手に入れたのだ。
この目で二人の姿を確認しなければ夜も眠れなくなるだろう。
イーリスは大きくなっただろうか?
リーシャは…私を許してくれるだろうか?
「………」
許してくれるはずがない…
私が会いに行って、二人が喜ぶはずがない…
「………いや、せめてひと目…遠くから見るだけなら…」
古傷の痛みを感じ、反射的に胸を押えたものの…
私の足が止まることはなかったのだった。
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