アイドルはナマモノですか!?

春花菜

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 「んっ、ふ…ぁ」


 ヤバイ。


 何がって、もう何もかもがヤバイ。



 ぬちぬちと卑猥な水音が手で擦られるたびに耳に届く。それどころかすばるくんは、まるでキャンディでも舐めるかのように嬉しそうに微笑みながらペロペロと艶かしく舌を動かして、舌のヌメっとした柔らかい熱が直接的な、体を仰け反ってしまいそうなほどの快感を与えてくる。
あまりの気持ち良さに暴れてしまいそうだ。
頭も馬鹿になってしまったんじゃないかって思うくらい快楽に染まってしまっていて、声も堪えることが出来ず、はしたなく喘いだ。


 「や、やぁ…っ、す、すば…」


 足で蹴り飛ばしてしまわないように力を入れると、つま先がフローリングを滑った。


 ヤバイ、もうどうしようもなく気持ちいい…!


 そんなところ汚いのに。
頭のどこかでは、すばるくんの行為を止めてもらわなければと思うけど、与えられる快楽の波に理性が飲み込まれてしまって、もっともっと、と受け入れている自分がいる。
綺麗で、いつもキラキラしているすばるくんが自分のモノを舐めている様子が生々しく視界に入ると、思わず目をきゅっと閉じた。
でも、興奮するような熱い吐息がすばるくんの存在を忘れさせてくれない。
言葉にならないほどの背徳感のせいか、感じたことのないほどのゾクゾクとしたものがこみ上げてくる。
本当に、俺ってやつは最低だ。


 たまをやわやわと揉まれながら、下から上へとゆっくり舌が這ったかと思うと、カリの裏側、先っぽをグリグリと力を入れられるように執拗に舐められて、思わず閉じていた目を見開いた。


 「あっ、ぁ!や、やだ…!やめ、やめてそれっ、あっあっ、だめ、だめぇ…きもちよすぎてーーー、はっ、ぁ」


 目の前に星が舞うようにチカチカとする。じわじわと生理的な涙が浮かんできて、目尻を濡らす。
ソファにガリッと爪を立てながら、声にならない声をあげると、すばるくんは満足したのかフッ、と微笑むような息を漏らしてからリズムよく手を動かした。


 「やっ、もう…、もう、口はなし、はなして、おねがい…っ」


 こみ上げてくる射精感に耐えながら、なんとか言葉を口にする。このままではすばるくんの口に出してしまう。それだけは絶対嫌だった。
しかし、その望みは叶えられるどころか口にずっぽりと咥えられた。


 「やだやだやだやだっ、すばるくんやめて!離して!やだっ、でちゃう、でちゃうから、おねが…っ、はっ、ん、や、やだぁ…やだよ…っ、きいてっ、あっ、ああっ、やっやっ、がまんできな…っ、はなしてぇ…!やらやらぁ、やっ!あっあっあっ、でちゃ、でちゃうっ、あ、あーーーー、ッ」


 ビューーッ、と恥ずかしいくらいに出ているのがわかる。
すばるくんの肩を咄嗟につかんで背中を丸めてビクビクと体を震わせた。
すばるくんが全てを吸い出すようにチュウチュウと音を立てながら吸われ、整わない息を吐くのと同時に自分の声とはとても思えない声をあげた。


 ごっくん、と喉が鳴る音が聞こえてハッとすばるくんを見る。にっこりと微笑むすばるくんと目があった瞬間、サーッと血の気が引いていった。


 もしかして、飲んだ?


 「ナナ、気持ち良かった?いっぱい出たね」


 「すば、るくん…」


 「なに?」


 「飲んだ…のか」


 「うん」


 「嘘だ、ろ…」


 「本当」


 「なんで…っ」


 なんでなんでなんでなんで…っ、いやだって何回も言ったのに!すばるくんの口に出したくなかったし、しかも、の…っ、のむなんて…!
信じられない。信じたくない。あのすばるくんにそんなことしてしまうなんて、自分が許せない。


 涙がせきを切ったようにあふれ出てくる。みっともないくらいに泣きじゃくる俺をすばるくんはふわっと包み込むように抱きしめた。


 「ごめん、そんなに嫌だった?」


 「んっ、…でちゃった、から…うっ、う……」


 ぐすぐすと鼻をすすりながら泣く俺の背中を擦りながら、すばるくんは何度もごめんねと繰り返した。
それでも涙は止まらなくて、こどもみたいに泣きじゃくる。


 「ごめんね」


 「おれ、やだって…はなしてっていった…っ」


 「うん、そうだね。僕わがままだからナナの全部欲しかった…ごめんね」


 「ほ、ほしい…?」


 「うん。捨てるなんて嫌だった、飲みたかったって言ったら引く?」


 ………ちょっと引いた。ついでに涙も引いた。
え?のみ、飲みたかった?俺のアレを???


 すばるくんの謎の発言に目をパチパチとさせていると、すばるくんは困ったように眉を八の字にさせて微笑んだ。


 「困らせてごめんね」


 「え、えっと…」


 「好きなんだ、ナナが」


 「俺も好き、だけど」


 飲みたくはない、かな。


 そう思いながら、へらっと笑うとすばるくんは、小さく息を吐くと手で俺の涙をぬぐった。


 「いっぱい泣かせちゃったね。目、冷やそっか…顔、洗ってこれる?」


 俺は、コクッと同意するように頷くと洗面所へと向かった。
背中の方から何かすばるくんが言った気がして振り返ったけど、気のせいだったのかすばるくんはただ微笑んでいた。
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