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しおりを挟むソファに寝転んでいた体を起こして服に手をかける。
しかし、ソファで全裸ってどうなんだろう…?なんとなく違和感を覚える。
でも、お風呂に入るわけでもないのにお風呂っていうのもおかしいし…
「すばるくん」
「なに?」
「ベッドいく?」
「ぶっ!!!え?な…っ、え??」
今すばるくん『ぶっ』って言った?
いや、聞き間違いだよな。うん。すばるくんみたいな王子様がそんなマヌケな反応はしない。
カチャカチャとベルトを外すと、スルッと服が脱げて、パンツ一丁になる。やっぱりリビングでパンツ一丁ってちょっと変な気分だ。お風呂あがりに上半身裸とかシャツだけ羽織るとかはするけど、なんとなく気まずい。
「ベッドは…タガが外れそうだから勘弁してください」
「タガ?」
「とにかく無理!もう…っ」
両手で顔を覆ったすばるくんがボフッと勢いよくソファに座る。珍しい。すごく珍しい。拗ねたみたいな口調も、感情的な振る舞いも、珍しい…可愛い。
思わず頬が緩んでしまい、すばるくんにムッとした顔で…でも、全然怖くない目で睨まれた。
「ナナ、随分と余裕だね」
「わっ」
腕をぐっと掴まれて、すばるくんの膝の上に座る形ですっぽりと抱きしめられる。
素肌と素肌がぴったりとくっついて密着すると、さすがに恥ずかしくて熱があがる。
「よ、余裕じゃな…んんっ」
不意打ちのキス。
ずっと待ち望んでいたすばるくんとのキスは、荒々しくて余裕のないキス。
甘く溶け合うキスというよりも、貪るような貪欲なキス。
舌が絡んでは離れない、離さない。
息継ぎも忘れてしまいそうな溺れるようなキス。
大人のキスじゃない。
それはあまりにも獣じみていて、本能のままに喰らいつくされて骨まで捧げてしまった気分。
でも、それは酷く官能的で
興奮した。
「ふ、ぁ…っ」
痺れる
脳の奥の奥まで支配されているようで、気持ちいい。
水音が室内に響いて、どちらとも言えない唾液が顎まで流れ落ちる。
ドキドキが大きい、息ができない、苦しい、でも痛くない、もっともっと欲しい
くらくらする頭の中は、気持ちいいという言葉しか浮かばない。
ふいに、力のない手にすばるくんの手が触れる。
指と指が絡み合うように手を繋ぐ。
恋人繋ぎだとわかるその行為は、くすぐったい甘酸っぱいものじゃなくて、やけに淫らで、いやらしくて…そう感じてしまうのは、キスで興奮してしまっているからだろうか。ひどくぴったりとすき間なく繋げた手が、さらに興奮を煽った。
「ナナ、一緒に気持ちよくなろう」
もう十分過ぎるくらい気持ちいいんだけど…
そう思ったけど、確かな気持ち良さが欲しいのは事実で、さらけ出してしまっている下半身が恥ずかしげもなく頼りない布が染みまでつけて主張してしまっている。
恋人つなぎのままの手が導かれるままにそこに触れると、ビリビリとした刺激に思わず体を反ってしまった。
「ナナのえっちな液いっぱい出ててぬるぬるしてるね…ほら、よく滑る」
簡単にずらされたパンツから反りたったオレの息子が姿を見せた。
ぬちぬちと粘度のある水音が聞こえてくる。
繋いだままの手でオレのと、すばるくんの猛るような男の象徴をぐるぐると混ぜ合うように円を書く。
快楽に弱いソコは、先っぽをぬるぬると撫でられるたびに硬さをまして、もっと欲しいと言わんばかりに鈴口からトロトロとしたものが溢れてくる。
「ぁ…っ、はぁ、すばるくん…っ、気持ち、良すぎ、て…っ」
キスだけでも全身から力が抜けていってたのに、直接的な刺激は目の前がチカチカするくらい快感が押し寄せてきて、力がまるで入らない。
キス、したいけど…無理…っ
すばるくんに体を預けるように体を密着させる。触れる体が熱い。熱いけど、嫌じゃない。
興奮を表しているような体温が、自分だけが興奮しているんじゃないんだと気分が高揚する。
「もうキスしなくていいの?」
耳をかぷりと甘噛みされて、体の底からゾクゾクしてぶるりと震えた。
「ひゃああっ」
「ナナ、耳弱いね。おっきくなった…」
ふふっ、と笑う声とともに耳に息がかかって、たったそれだけなのに、はしたなく感じてしまう。
「ん…っぁ、きもちい…っ」
「可愛い…素直でいいこのナナには、もっとしてあげるね」
「あっ、ぁ…う」
ぴちゃぴちゃと耳を舐める音が響く。
ゾクゾクする刺激と直接的な強すぎる刺激。
両方すごく気持ちいい。
気持ちいいんだけど、これだけじゃイけない。
正直限界だった。
気持ちいいのはやっぱり好きだけど、切羽詰まった昂ぶりは解き放ちたいと訴えていて、快感を貪っているだけじゃなくて、決定的な…射精を促すような刺激が欲しい。
でも、繋いだ手はすばるくんが動かしているから勝手に動くけど、力の入らない手は今役立たずで動けない。
イきたい、擦りたい、出したい…
「すばるく、ん…っ、イ、イき、たい…っ、コレ、気持ち良すぎてぇ…っ、イけな…」
「気持ちいいのにイけない?」
「はぅ…っ、う、擦りたい…けど、ちから、はいらなくてぇ…」
「わかった」
「ひゃっ!?」
突然ソファに押し倒されて驚いていると、更に驚いたことにすばるくんはオレの太ももを舐めた。
「…っ、すばるく、ん?」
「ちょっとだけ待って…」
「ふっ、う…」
太ももの内側を舐めるすばるくんの姿が信じられない。
でも、それ以上に色っぽくて、気持ち良くて、興奮が止まらない。
「ナナ」
「…っ、は…ぅん」
「閉じるね」
すばるくんはそう言うと、手で優しく太ももを合わせるように閉じる…すばるくんの立派なモノを挟むようにして。
「す、すばるく…っ」
「怖いことしないから安心して…気持ちいいだけだから」
「ひゃっ…、あ、あ…っ、ん、あっ」
すばるくんはオレの息子の頭を手で撫でるように慰めながら、太ももに挟んだモノを腰を打ち付けるように動かすと、動くたびに擦れる…もはや説明など不要だと思うけど、カチカチになっちゃっているところに、だ。
何これ…っ、気持ちいい…
すばるくんの手もオレの弱いところをピンポイントで狙ってきて、すばるくんのモノで擦られるたびに射精感がこみあげてくる。
それだけじゃない。
腰を打ち付けるような動きも、少し苦しげに熱を孕んだ瞳も、揺れるハニーゴールドのサラサラの髪が揺れるのも、まるですばるくんとセックスしてるみたいで……
そこまで考えた瞬間全身が熱を帯びて、震えるほどの甘い刺激が走る
「あっ、ぁ、やっ、ぁ、なに、あ、やだ、なんか…っ」
さっきまでとは比べものにならないほどの快感が体を支配して戸惑う。
戸惑うけど、わからないけど、とんでもなく気持ちよくてどうにかなりそう…っ
「…っ、イきそう?はぁ、ナナ…可愛い…トロトロの顔してる…」
「す、ばるく…っあ、ァ…っ、もう…っ、イ……っ、ああぁあっ」
「くっ…」
我慢のしようのない気持ち良さに弾けるように欲望を吐き出すと、お腹にたっぷりと温かいものがかかった。
すばるくんの…お腹の上に……一緒にイったんだ。なんかちょっと嬉しい、かも。
整わない荒い息をしながら、すばるくんがギュッと力強く抱きしめてくれた。
しっとりとした肌が妙に心地いい。
オレもギュッと背中に手をまわして、しばらく会話もなく抱きしめ合う。
でも、嫌な沈黙じゃなくて、なんだかあたたかくて、心地よくて、早くなった心臓の音が伝わってきて、安心にも似たものが胸を占めて、ずっとこうしていれたら幸せなのに…と、心の中で思っていた。
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