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第二章【少年期・旅立ち編】
退屈なる憂鬱
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――それからというものは、少女は本当に退屈だったようで事あるごとに話し掛けて来た。
俺も薄暗い牢屋の中で他にやる事もないので、鉄格子の傍に座り込み少女の話し相手になって暇潰しをしていた。
「――罪人共、夜飯だぞー!」
「…んっ。もうそんな時間か」
「……」
そしてそんな中、野太い男の声が廊下の先から聞こえて来た。
地下に閉じ込められているので外の様子を一切窺い知る事が出来ない為時間の感覚があやふやになっており、此処に閉じ込められてからどのくらい経ったのかの判断が既に及ばなくなっていた。
「すくねぇな」
「もっとよこせよ糞衛兵が!」
「うるせぇ塵共!!飯抜きにすんぞ馬鹿が!」
飯の時間だからか、今まで基本的に静かだった他の牢の住人達も騒がしくなっていた。
――と言うより、主に飯を配っているであろう衛兵に対しての悪態とそれを罵詈雑言で返す衛兵の怒鳴り声が大半なようだが。
「…どうしたの、ルーシィ?」
「……い、いや。何でもないよ」
「?」
鉄格子に顔を付けて廊下の様子を窺っていると、ふと暗い表情をしていたルーシィが目に入った。
一緒に雑談していた先程までとは一変したその様子に何事かと気になって訊ねて見るが、ルーシィは力なく笑うばかりである。
「…あ、あのさ。レイ、やっぱり一つ良いかな?」
「んっ。なに?」
何でもないとは言うが表情を見れば明らかにそれは嘘だと分かるので、それが気になる俺は牢屋の鉄格子を両手でギュッと握り締めていた向かい側の牢屋のルーシィを見ていた。
すると飯を配っているであろう音がだいぶ近くまで来た時、暗い表情で視線を落としていたルーシィは顔を上げて俺の事を見て来た。
そしてお互いの視線が合うと、ルーシィは徐に口を開き始める。
「あんた良い人そうだから頼みがあるんだけど、聞いてくれないかな」
「…まぁ。閉じ込められている俺に出来る範囲なら」
「いや、別に難しい事じゃないんだ。…ただこの後に何が起こってもさ、あたしを軽蔑したり同情したり変な風に見ないで欲しいだけなんだ。…本当にそれだけだよ」
「…えっ。どういう事?」
「……もう直ぐ分かる」
「…?」
意味深な事を言って詳細を述べないルーシィ。俺は意味が分からないので首を傾げていると、飯を配りに来た衛兵が俺達の牢屋の前の廊下に姿を現した。
その衛兵は大きなカートを押しており、押しているカートの上には大きな鍋と小さな器が乱雑に置かれている。
「…へへっ」
「……」
「……?」
飯を運んで来た衛兵は現れてからというもの此方の牢屋を一瞥する事もなく、向かい側のルーシィが居る牢屋の方にずっと顔を向けている。
その衛兵は此方にずっと背中を向けているので表情が窺えないが、ルーシィは現れたその衛兵を静かに睨み付けていた。
俺も薄暗い牢屋の中で他にやる事もないので、鉄格子の傍に座り込み少女の話し相手になって暇潰しをしていた。
「――罪人共、夜飯だぞー!」
「…んっ。もうそんな時間か」
「……」
そしてそんな中、野太い男の声が廊下の先から聞こえて来た。
地下に閉じ込められているので外の様子を一切窺い知る事が出来ない為時間の感覚があやふやになっており、此処に閉じ込められてからどのくらい経ったのかの判断が既に及ばなくなっていた。
「すくねぇな」
「もっとよこせよ糞衛兵が!」
「うるせぇ塵共!!飯抜きにすんぞ馬鹿が!」
飯の時間だからか、今まで基本的に静かだった他の牢の住人達も騒がしくなっていた。
――と言うより、主に飯を配っているであろう衛兵に対しての悪態とそれを罵詈雑言で返す衛兵の怒鳴り声が大半なようだが。
「…どうしたの、ルーシィ?」
「……い、いや。何でもないよ」
「?」
鉄格子に顔を付けて廊下の様子を窺っていると、ふと暗い表情をしていたルーシィが目に入った。
一緒に雑談していた先程までとは一変したその様子に何事かと気になって訊ねて見るが、ルーシィは力なく笑うばかりである。
「…あ、あのさ。レイ、やっぱり一つ良いかな?」
「んっ。なに?」
何でもないとは言うが表情を見れば明らかにそれは嘘だと分かるので、それが気になる俺は牢屋の鉄格子を両手でギュッと握り締めていた向かい側の牢屋のルーシィを見ていた。
すると飯を配っているであろう音がだいぶ近くまで来た時、暗い表情で視線を落としていたルーシィは顔を上げて俺の事を見て来た。
そしてお互いの視線が合うと、ルーシィは徐に口を開き始める。
「あんた良い人そうだから頼みがあるんだけど、聞いてくれないかな」
「…まぁ。閉じ込められている俺に出来る範囲なら」
「いや、別に難しい事じゃないんだ。…ただこの後に何が起こってもさ、あたしを軽蔑したり同情したり変な風に見ないで欲しいだけなんだ。…本当にそれだけだよ」
「…えっ。どういう事?」
「……もう直ぐ分かる」
「…?」
意味深な事を言って詳細を述べないルーシィ。俺は意味が分からないので首を傾げていると、飯を配りに来た衛兵が俺達の牢屋の前の廊下に姿を現した。
その衛兵は大きなカートを押しており、押しているカートの上には大きな鍋と小さな器が乱雑に置かれている。
「…へへっ」
「……」
「……?」
飯を運んで来た衛兵は現れてからというもの此方の牢屋を一瞥する事もなく、向かい側のルーシィが居る牢屋の方にずっと顔を向けている。
その衛兵は此方にずっと背中を向けているので表情が窺えないが、ルーシィは現れたその衛兵を静かに睨み付けていた。
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