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第二章【少年期・旅立ち編】
心慌意乱
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部屋を出て廊下を渡り、階段を下りて一階に行くとそのまま屋敷を出た。そして外に出ると門まで向かい、屋敷の敷地外に出る。
「……?」
敷地外に出るとその場で少しルーカスが現れるのを待った。――しかし何時もならば外出の際には何処からともなくルーカスが現れるのだが、一向に現れる気配がない。
「…まぁ良いや。遠出でもないし」
シヴァの家は住宅街の端にあり少し距離があるが遠いとまでは言わない距離なので一人で良いやと思い、武器も持っているのでシヴァの家にはこのまま一人で行く事にして歩き出した。
「……」
歩幅を大きくして舗装された道をどんどん進んで行くと、やがてたまにお邪魔しているシヴァの家の前に辿り着く。
目の前にあるシヴァの家は質素な木造の一軒家。シヴァはその家に奥さんと二人で暮らしており、奥さんはクレアと言い、少し前に引退するまでは家のメイド長を勤めてくれていたおっとりとした優しい人である。
「――ごめんくださーい!」
俺はその家の玄関まで足を運ぶと来訪を知らせる扉の金具を数回扉に打ち付け、大声で声を掛けた。
「……居ない、のかな?」
暫く待ってみても全く音沙汰がないので、俺はふと玄関の扉のドアノブを握って回して見る。
「あれっ。開いてる」
回したドアノブはそのままガチャッ。と最後まで回り、そして玄関の扉が開かれた。
「…おーい!シヴァ、クレア。居ないの?――…ちょっとお邪魔するよ!」
開けた扉の外から声を掛けるがやはり返事はないので家の中に入る事にした。
そして家の中に足を踏み入れて扉を閉めると、自動的に天井にぶら下がっている灯りが点いて部屋の中を明るく照らし出す。
「うっ…なんだろこの臭い」
家の中に足を踏み入れると何か刺激の強い酷い臭いがして思わず顔を顰めてしまう。その臭いはとても耐えきれる様なものじゃないので、俺は自分の鼻をつまんで口で呼吸をしながら家の中を調べ始めた。
「二人とも居ないのー!…ってあれ、ルーカス?」
「……」
そして玄関を通って直ぐのリビングで、数人が座れる大きなソファーの後ろに誰かがうつ伏せで横たわっているのを見つけたので近付いて見ると、その人物はルーカスであった。
「おーい!起きてルーカス!」
俺は横たわって動いていないルーカスに近寄ると、起こす為に身体を強く揺さぶって声を掛けた。
「…っ。ん、んんっ。んっ…レイ?――っ!?」
「あ、起きた…ってどうしたの?」
かなり激しく身体を揺さぶっていると、やがてルーカスはゆっくりと目を開けて身体を起こした。すると何故か途端に険しい表情を浮かべて周囲を見渡す。
「…くそっ!!どんだけ気絶させられてたんだ俺は!」
「え、ちょ、どう言う事?」
「レイ、悪いが話は後回しだ…それより」
「?」
と、ルーカスは何やら切羽詰まった様子で足早に家の何処かに向かったので、俺も鼻をつまみながらその後を追う。
そして前方のルーカスが足を止めたのはシヴァ達夫婦の寝室の前であった。
「……」
「…?」
ルーカスは扉の前で唾を飲み込み、一瞬扉を開けるのを躊躇ったかに見えたが意を決した顔で扉を開けた。状況が良く分からない俺は戸惑いながらもルーカスが開けた扉から一緒に部屋の中を覗き込む。
「……?」
敷地外に出るとその場で少しルーカスが現れるのを待った。――しかし何時もならば外出の際には何処からともなくルーカスが現れるのだが、一向に現れる気配がない。
「…まぁ良いや。遠出でもないし」
シヴァの家は住宅街の端にあり少し距離があるが遠いとまでは言わない距離なので一人で良いやと思い、武器も持っているのでシヴァの家にはこのまま一人で行く事にして歩き出した。
「……」
歩幅を大きくして舗装された道をどんどん進んで行くと、やがてたまにお邪魔しているシヴァの家の前に辿り着く。
目の前にあるシヴァの家は質素な木造の一軒家。シヴァはその家に奥さんと二人で暮らしており、奥さんはクレアと言い、少し前に引退するまでは家のメイド長を勤めてくれていたおっとりとした優しい人である。
「――ごめんくださーい!」
俺はその家の玄関まで足を運ぶと来訪を知らせる扉の金具を数回扉に打ち付け、大声で声を掛けた。
「……居ない、のかな?」
暫く待ってみても全く音沙汰がないので、俺はふと玄関の扉のドアノブを握って回して見る。
「あれっ。開いてる」
回したドアノブはそのままガチャッ。と最後まで回り、そして玄関の扉が開かれた。
「…おーい!シヴァ、クレア。居ないの?――…ちょっとお邪魔するよ!」
開けた扉の外から声を掛けるがやはり返事はないので家の中に入る事にした。
そして家の中に足を踏み入れて扉を閉めると、自動的に天井にぶら下がっている灯りが点いて部屋の中を明るく照らし出す。
「うっ…なんだろこの臭い」
家の中に足を踏み入れると何か刺激の強い酷い臭いがして思わず顔を顰めてしまう。その臭いはとても耐えきれる様なものじゃないので、俺は自分の鼻をつまんで口で呼吸をしながら家の中を調べ始めた。
「二人とも居ないのー!…ってあれ、ルーカス?」
「……」
そして玄関を通って直ぐのリビングで、数人が座れる大きなソファーの後ろに誰かがうつ伏せで横たわっているのを見つけたので近付いて見ると、その人物はルーカスであった。
「おーい!起きてルーカス!」
俺は横たわって動いていないルーカスに近寄ると、起こす為に身体を強く揺さぶって声を掛けた。
「…っ。ん、んんっ。んっ…レイ?――っ!?」
「あ、起きた…ってどうしたの?」
かなり激しく身体を揺さぶっていると、やがてルーカスはゆっくりと目を開けて身体を起こした。すると何故か途端に険しい表情を浮かべて周囲を見渡す。
「…くそっ!!どんだけ気絶させられてたんだ俺は!」
「え、ちょ、どう言う事?」
「レイ、悪いが話は後回しだ…それより」
「?」
と、ルーカスは何やら切羽詰まった様子で足早に家の何処かに向かったので、俺も鼻をつまみながらその後を追う。
そして前方のルーカスが足を止めたのはシヴァ達夫婦の寝室の前であった。
「……」
「…?」
ルーカスは扉の前で唾を飲み込み、一瞬扉を開けるのを躊躇ったかに見えたが意を決した顔で扉を開けた。状況が良く分からない俺は戸惑いながらもルーカスが開けた扉から一緒に部屋の中を覗き込む。
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