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第二章【少年期・旅立ち編】

一言半句

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自室に戻るとタンスから着替えを引っ張り出して着ているスーツからラフな服装に着替えた。
そしてベッドに向かうと枕に頭を埋めて寝転がり、頭の中を整理する。


「親父は役立たずだし。明日は役立たずな幹部を集めて会議…はぁ、本当に終わってるな。まぁ良いや。それより何としても向こうから婚約解消して貰わないと…そしてこっちには害が及ばない様に慎重に――…ふぁっ。…しかし眠いな。少し寝ようか、な……ぐぅ…」

ベッドの上で寝転がりながら頭の中を整理していると段々と眠気が増してしまい、気疲れも溜まっていた事なので俺は少し休む事にした。



――そして夜。


「…んっ」

物音で目が覚めるとそれなりに時間が経っていたようで、既に日は完全に沈み夜となっていた。


「ふぁーっ。良く寝たや。…さてと、エマも戻ってるみたいだな」

俺はベッドから出て起き上がると部屋を出る、そして物音がした隣のエマの部屋に向かった。
そしてエマの部屋の扉の前に立つと軽くノックをする。


「はーい。どちら様でしょうか?」

「レイだけど」

「あ、今開けますね」


ノックをして返事をすると直ぐに内鍵が開けられた音がして扉が開いた、中から現れたのはメイド服から私服に着替えていたエマであった。


「ちょうど良かったです。ご飯の仕度が出来たので、お呼びする為に今レイ様のお部屋に伺う処でした。どうぞ」

「うん。お邪魔します」


扉を開けてくれたエマの招きで部屋の中に入った。エマの部屋は俺の質素な部屋と違い、女の子らしく飾り付けされた可愛らしい部屋である。
その部屋の真ん中には丸いテーブルが置かれており、テーブルの上には皿に盛り付けされた二人分の料理が用意されていた。
――何時の事からか、エマの部屋には簡素だが小さなキッチンもあるので夜ご飯はエマが作ってくれて一緒に食べるのが何時も通りの光景となっていたのだ。


「よいしょっと」

そして俺は何時も通り夜ご飯を食べる為に床に敷かれた絨毯の上を歩き、部屋の真ん中の丸いテーブルの前に胡坐を掻いて座る。
するとエマも何時も通り俺とは向かい合った対面に座った。


「今日も美味しそうだね。いただきます」

「はい、どうぞ召し上がって下さい。…それでは私もいただきます」


テーブルを挟んで食前に一緒に両手を合わせると、俺達は一緒に食卓を囲んでご飯を食べ始める。


「――あ、レイ様。そう言えば今日出向いたルチアーノ家で、どんな話し合いをされたんですか?」

エマが作ってくれたご飯を食べていると、気になっていたのかエマがその話を切り出して来た。


「…あぁー。うん…えーっと…向こうの当主の娘との結婚の話。…だね」

「ゴホゴホッ!…………!!?」

「おわっ!ちょ、大丈夫!?」

「へ、へ平気です…はい」


俺は何となく言い辛く感じて少し言い淀んでしまったが、誤魔化そうと思ってもどうせ数日後には分かってしまう事だと堪忍してありのままの話をする事にした。するとエマは急に咽て咳き込んだので何事かと心配したが、驚いた表情を浮かべている以外は落ち着きを取り戻した様であった。
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