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第二章【少年期・旅立ち編】
底知れぬ強さ
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「――ぎゃはははっ!老いぼれがなんか言ってるぜ!」
刺客の一人の一際背の高い大男がシヴァの忠告を馬鹿にし、下卑な笑みをぶら下げながら嘲笑った。それに釣られる様に同じく嘲笑う周りの刺客達。
「馬鹿だなあいつ等…」
俺はそんな中で馬車の窓から外に居るシヴァの背中を見ていた。刺客達の言動に怒った様子もなくそれ以上刺客達に掛ける言葉は無いのか、ただ剣を構えて静かに佇んでいる。
「よっしゃあ!さっさと老いぼれとガキを始末するぞ!」
「「おう!」」
じりじりとにじり寄って来ていた刺客達。馬車の傍まで近寄って来ると先程の大男が刺客達の集団の長なのか、大声を上げて周りの刺客達に合図を送り得物を振りかざしながら俺達の方へと一気に駆け寄って来た。
そして刺客達は馬車の扉の前に居るシヴァの方を先に始末するべく、数人がシヴァに一斉に斬りかかる。
「…やれやれ」
「ぁっ!」
「ぐぅっ!!」
「がっ!」
刺客達のその斬撃をシヴァは最短最少の動きで全て躱し、逆に斬りかかって来た刺客達の攻撃を避けた間際にその刺客達を全て葬り去った。
――それは正しく一撃必殺であり、同じ様に向かって来る者達を一切の躊躇を見せずに斬り殺していく。
そして十数人居た刺客達の半数以上がシヴァの手により一瞬で葬られ、地面に骸となって横たわっていた。
「…て、てめぇ。ただの老いぼれじゃねぇのか!?」
刺客達はシヴァの強さをようやく理解したようで残りの者達は距離を取った。その隙にシヴァは剣にこびり付いた刺客達の血を地面に振るい落とし、再び剣を構えて静かに佇む。
「…いいや。あっしは只のしがない老いぼれでありやすよ」
「う、嘘つけ!ただの老いぼれがそんな強い訳ねぇだろうが!」
「ふむ。…本気を出すまでも無いようなので、撫でてやっているだけでありやすがね」
「くっ…」
刺客達――恐らく金で雇われた何処かのチンピラ達なのだろう。所詮金目当てであろうそんな連中なので命は惜しいのか、桁違いの強さを見せつけたシヴァにそれ以上誰も斬り込めずにいた。
「さて。それで刺客の方々…まだ物足りないでありやすかい?」
「……ちっ。退くぞおめぇ等!」
大男は分が悪過ぎる事を理解したのか、他の者達に命令を下す。
「…えぇっ!こんな殺られたのに、みすみす退くんですかい親分!」
「馬鹿野郎、逆に此処で退かないと全員殺られるだろうが。…それにこんな化物みたいな奴が相手だって聞いてねぇしな。はした金よりも命が惜しいだろ」
「っ…そうっすね」
「「「……」」」
他の者達は一名を除いて命令に従う素振りを見せたが、一人だけ不満を言っている者が居た。しかし大男の正論に納得し、その者も遅れて命令に従う素振りを見せる。
「…おい、老いぼれ!本当に手出しはしないんだろうな?」
「えぇ。あっしに二言はありやせんよ」
「そうか。…なら遠慮なく退かせて貰うぜ」
「そうでありやすか。どうぞ遠慮なく退いて下さいやせ」
「…ふん。変な老いぼれだな」
そして刺客達はシヴァに注意を払いながら徐々に後退していき、やがて全員視界から完全に姿を消したのであった。
刺客の一人の一際背の高い大男がシヴァの忠告を馬鹿にし、下卑な笑みをぶら下げながら嘲笑った。それに釣られる様に同じく嘲笑う周りの刺客達。
「馬鹿だなあいつ等…」
俺はそんな中で馬車の窓から外に居るシヴァの背中を見ていた。刺客達の言動に怒った様子もなくそれ以上刺客達に掛ける言葉は無いのか、ただ剣を構えて静かに佇んでいる。
「よっしゃあ!さっさと老いぼれとガキを始末するぞ!」
「「おう!」」
じりじりとにじり寄って来ていた刺客達。馬車の傍まで近寄って来ると先程の大男が刺客達の集団の長なのか、大声を上げて周りの刺客達に合図を送り得物を振りかざしながら俺達の方へと一気に駆け寄って来た。
そして刺客達は馬車の扉の前に居るシヴァの方を先に始末するべく、数人がシヴァに一斉に斬りかかる。
「…やれやれ」
「ぁっ!」
「ぐぅっ!!」
「がっ!」
刺客達のその斬撃をシヴァは最短最少の動きで全て躱し、逆に斬りかかって来た刺客達の攻撃を避けた間際にその刺客達を全て葬り去った。
――それは正しく一撃必殺であり、同じ様に向かって来る者達を一切の躊躇を見せずに斬り殺していく。
そして十数人居た刺客達の半数以上がシヴァの手により一瞬で葬られ、地面に骸となって横たわっていた。
「…て、てめぇ。ただの老いぼれじゃねぇのか!?」
刺客達はシヴァの強さをようやく理解したようで残りの者達は距離を取った。その隙にシヴァは剣にこびり付いた刺客達の血を地面に振るい落とし、再び剣を構えて静かに佇む。
「…いいや。あっしは只のしがない老いぼれでありやすよ」
「う、嘘つけ!ただの老いぼれがそんな強い訳ねぇだろうが!」
「ふむ。…本気を出すまでも無いようなので、撫でてやっているだけでありやすがね」
「くっ…」
刺客達――恐らく金で雇われた何処かのチンピラ達なのだろう。所詮金目当てであろうそんな連中なので命は惜しいのか、桁違いの強さを見せつけたシヴァにそれ以上誰も斬り込めずにいた。
「さて。それで刺客の方々…まだ物足りないでありやすかい?」
「……ちっ。退くぞおめぇ等!」
大男は分が悪過ぎる事を理解したのか、他の者達に命令を下す。
「…えぇっ!こんな殺られたのに、みすみす退くんですかい親分!」
「馬鹿野郎、逆に此処で退かないと全員殺られるだろうが。…それにこんな化物みたいな奴が相手だって聞いてねぇしな。はした金よりも命が惜しいだろ」
「っ…そうっすね」
「「「……」」」
他の者達は一名を除いて命令に従う素振りを見せたが、一人だけ不満を言っている者が居た。しかし大男の正論に納得し、その者も遅れて命令に従う素振りを見せる。
「…おい、老いぼれ!本当に手出しはしないんだろうな?」
「えぇ。あっしに二言はありやせんよ」
「そうか。…なら遠慮なく退かせて貰うぜ」
「そうでありやすか。どうぞ遠慮なく退いて下さいやせ」
「…ふん。変な老いぼれだな」
そして刺客達はシヴァに注意を払いながら徐々に後退していき、やがて全員視界から完全に姿を消したのであった。
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