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第二章【少年期・旅立ち編】
嫌々と
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「そうですか。でも其方の…アリアさんは凄く嫌がっている見たいですが」
「…あったりまえでしょ!なんでルチアーノ家の私がアイザック家のあんたに嫁がなけりゃいけないのよ!」
「……」
――初対面であるアリアの高飛車な上から目線に、内心凄くイラっとしてしまう。
彼女は十人とすれ違えば十人が振り返ってしまう様な綺麗な顔立ちの女の子であるが、どうにも性格の方は難がありそうである。
「安心しろ。どうせ数日後に娘はアイザック家の屋敷に住まわせる事になるんだ。それで結婚までにゆっくり仲を深めれば良い」
「……は、はぁ!?お父様。そんな事聞いてませんよ!」
「そりゃあ、言ってないのだから当然だろ」
「「……」」
急展開過ぎる話に付いて行けず、ちらりと横目でシヴァの事を見る。するとシヴァも急すぎる話に付いていけてない様子で眉を顰めていた。
「……」
シヴァが助け船を出してくれる様子でもないので、俺はどうしようかと考える。――正直な処、幾ら美人とは言えこんなムカつく奴と婚約すら御免だし、ましてや屋敷に一緒に住むなんて嫌過ぎる。それにアリアが屋敷に来たら、必然的にエマにもこの件が知られる事になってしまう。
…だからと言って傘下としての立場上、ルチアーノ家の当主に命令と断言されているので簡単に断れる事ではない。
「あの。サルヴァトーレさん、一つ聞いても宜しいですか」
「んっ。なんだ?」
「…弱小組織の当主代理に過ぎない自分としては大変光栄な話ではありますが、アリアさんも仰っていた通り何故ルチアーノ家の傘下であるアイザック家の自分如きに、大事な子供を嫁がせるのでしょうか?」
「それを言う必要はないな。お前は黙って従えば良いだけだ」
「…そうですか。分かりました」
聞く耳持たず、である。――こうなればもう仕方がない。当主を切り崩すのは諦めて、アリアの方から婚約を解消させるしかない…が、本人は嫌がっているから簡単そうであるが、当主も居るこの場で此方があれこれと言う事は出来ないので、やはりアリアが屋敷に来た時にどうにかして婚約を解消させるしかなさそうである。
「…それではその話。謹んでお受けします」
「そうか、受け入れてくれて良かった。万が一に断られていたら…立場を分からせる必要があって面倒だしな」
「はぁ!?手下のあんたが勝手に話を進めないでよね!私は嫌よお父様!」
「…アリア、顔見せは済んだ。だからお前はもう部屋から出て行け」
「で、でも!」
「……」
「…はいはい。分かりましたよ!お父様の馬鹿!!」
我が儘そうなアリアもこの当主には其処まで強く出れない様で、不貞腐れた表情を浮かべたまま立ち上がり床を強く踏み締めながら、あてつけの様に強く扉を開け閉めして部屋を出て行った。
「…あったりまえでしょ!なんでルチアーノ家の私がアイザック家のあんたに嫁がなけりゃいけないのよ!」
「……」
――初対面であるアリアの高飛車な上から目線に、内心凄くイラっとしてしまう。
彼女は十人とすれ違えば十人が振り返ってしまう様な綺麗な顔立ちの女の子であるが、どうにも性格の方は難がありそうである。
「安心しろ。どうせ数日後に娘はアイザック家の屋敷に住まわせる事になるんだ。それで結婚までにゆっくり仲を深めれば良い」
「……は、はぁ!?お父様。そんな事聞いてませんよ!」
「そりゃあ、言ってないのだから当然だろ」
「「……」」
急展開過ぎる話に付いて行けず、ちらりと横目でシヴァの事を見る。するとシヴァも急すぎる話に付いていけてない様子で眉を顰めていた。
「……」
シヴァが助け船を出してくれる様子でもないので、俺はどうしようかと考える。――正直な処、幾ら美人とは言えこんなムカつく奴と婚約すら御免だし、ましてや屋敷に一緒に住むなんて嫌過ぎる。それにアリアが屋敷に来たら、必然的にエマにもこの件が知られる事になってしまう。
…だからと言って傘下としての立場上、ルチアーノ家の当主に命令と断言されているので簡単に断れる事ではない。
「あの。サルヴァトーレさん、一つ聞いても宜しいですか」
「んっ。なんだ?」
「…弱小組織の当主代理に過ぎない自分としては大変光栄な話ではありますが、アリアさんも仰っていた通り何故ルチアーノ家の傘下であるアイザック家の自分如きに、大事な子供を嫁がせるのでしょうか?」
「それを言う必要はないな。お前は黙って従えば良いだけだ」
「…そうですか。分かりました」
聞く耳持たず、である。――こうなればもう仕方がない。当主を切り崩すのは諦めて、アリアの方から婚約を解消させるしかない…が、本人は嫌がっているから簡単そうであるが、当主も居るこの場で此方があれこれと言う事は出来ないので、やはりアリアが屋敷に来た時にどうにかして婚約を解消させるしかなさそうである。
「…それではその話。謹んでお受けします」
「そうか、受け入れてくれて良かった。万が一に断られていたら…立場を分からせる必要があって面倒だしな」
「はぁ!?手下のあんたが勝手に話を進めないでよね!私は嫌よお父様!」
「…アリア、顔見せは済んだ。だからお前はもう部屋から出て行け」
「で、でも!」
「……」
「…はいはい。分かりましたよ!お父様の馬鹿!!」
我が儘そうなアリアもこの当主には其処まで強く出れない様で、不貞腐れた表情を浮かべたまま立ち上がり床を強く踏み締めながら、あてつけの様に強く扉を開け閉めして部屋を出て行った。
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