死刑囚だった俺は異世界転生しても主人公ではなかったので裏社会で成り上がる

信長くん

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第二章【少年期・旅立ち編】

ルチアーノ家

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「――レイ様。今日出掛ける際の新しいお召し物を持って来てタンスの中に掛けましたので、朝食後にご確認下さい」

「うん。ありがとう」

「そう言えば、今日は当主様の代理として出掛けられるんでしょうか…新しいお召し物も用意してるので、大事な所へ行かれるのですか?」

「あぁうん。ちょっとね…昨日ルチアーノ家の使いの人が来て理由は教えてくれなかったんだけど、当主代理として俺自身が今日屋敷に来る様に言われたんだ」

「…えぇっ!?は、初耳です…な、何で教えてくれなかったんですか…」

「…まぁ。ほらっ、今見たいに心配するだろうって思ってさ」

「あ、当たり前ですよ!……だってルチアーノ家って言ったら…」


朝食を食べながらエマと話しをしていると、その言葉を聞いてエマはとても吃驚した後、心配そうな表情を浮かべる。それも当然であろう…ルチアーノ家とは、この巨大な街に住む者なら子供でも知っている裏社会を統べている五大組織の一角であり、アイザック家を傘下に置いている組織マフィアである。

五大組織の中でもルチアーノ家は武闘派として良くも悪くも有名であり、現当主は気に食わない者は部下であろうとも容赦なく殺す事で恐れられている。
そんなルチアーノ家の本拠である屋敷に理由も分からずに呼ばれているのだからエマが心配するのも当然だろうし、だから彼女には今日の予定は伝えていなかった。


「…まぁ。断る訳にも行かないしさ、そんなに心配しないで」

「そ、それは分かってますが…はい」


――俺だって正直何の用かも分からない得体の知れない状態で行きたくないが昨日の今日なので探りを入れる暇もなく、だからと言って行かなかった方がやばい事になってしまう事ぐらいは分かる。
そんな俺の複雑な胸中を察してくれたのか、エマは心配そうな表情を押し殺して頷いた。


「――ご馳走様でした」

「……」


そうして少し微妙な空気が流れる中で朝食を食べ終えると、エマは黙々と空になった器を机の上から持って来た手押しのカートの上に運んで片付け、そのカートを押しながら部屋を出て行こうとする。


「あの、レイ様。…無事に戻って来て下さいね」

「…うん。ありがとう」

「…それでは失礼致します」


そして部屋を出て行く間際、エマは振り返らずにぎりぎり聞こえるぐらいでポツリと呟き、それを聞き取れた俺はその背中にお礼を述べ、彼女はそのまま部屋を出て行った。


「…さてと。遅刻は洒落にならないから、さっさと身支度整えるか」

エマが部屋を出て行って一人になると、早速出掛ける仕度を始める事にしたのであった。
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