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第一章【幼少編】
この世界の魔法
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酒場へと入ると出入り口付近で起こっていたルーカスと男のイザコザなんて誰も気にしていない様子でそれぞれが楽しんでいた。
水着のような下着のような際どい格好をしている綺麗な女性の従業員達がテーブル席に酒がたっぷりと入った木樽ジョッキや料理が盛られた皿などを運び回っており、それを口説こうとしている一人で飲んでいるおっさんや、あるテーブル席では気分が乗っているのか全員で呑気に何かの歌を歌っている。
「いらっしゃーい。…あら、随分若いお客さん達ね」
「だからどうした、関係ないだろ。それより席は空いているか?なるべく奥の方が良いんだが」
店に入って来た俺達に気付いて際どい格好の従業員の一人が笑顔で接客して来たのだが、ルーカスはとりつかせる隙もなくその女性を冷たくあしらう。
「ふふっ。えぇ空いてますよ、どうぞご案内しまーす」
だがその女性も慣れた様子で微塵も嫌な顔を表に出す事なく笑顔のまま俺達を店の奥の隅のテーブル席へと案内してくれた。
「ではご注文決まりましたらお呼び下さいね」
女性が案内してくれた席へと座ると案内を終えた女性は立ち去った。そしてルーカスと木製のテーブルを挟んで対面して座る俺は先程の話を持ち出す。
「あの、それで先程の話なんですが」
「んっ。どうやって後を追って来たかって話だっけか?」
「はい」
「簡単な事だよ。今日爺ちゃんからレイの警護をやれって言われた時に聞いてたんだ、あの屋敷を囲う柵に施された魔法を一部解除してたって欠点を。けどあんた狙われているみたいだから本当は元に戻せば良いんだけど、爺ちゃんはあんたの願いを出来る限り汲み取ってやりたかったみたいでさ。あんたが家を抜け出すちょっと前に俺が誰かがそこから抜け出せば分かる別の魔法を掛けてたんだよ。勿論レイの家の連中には知られる事はないから安心してな」
「…ありがとうございます。と言うかルーカスさんも魔法を扱えるんですね」
「まぁ、爺ちゃんの血を引いてるしな。それに剣の腕は爺ちゃんにはまだまだ敵わないけど、魔法の腕は俺の方が上だぜ。…それとさん付けとか敬語は止してくれ。一応分はわきまえてるし、レイにさん付けで呼ばれてるのを爺ちゃんが聞いたら俺がぶっ飛ばされちまう」
「…うん、分かった」
俺は頷き、そしてルーカスがどうやって後を追って来ていたのかが理解出来て安心した。彼がシヴァの血を引いている以上魔法で行った事と説明されれば納得である。
――この世界には様々な事象や現象を起こせる魔法と呼ばれる力が存在している。
だがそれを純粋に自力で扱えるのは生まれ持った才能ある者のみであり才能ない者がどれだけ努力して勉学に励もうが自力では扱う事が出来なく、稀に例外はあるものの殆どが血筋などによって決まっている。
この世界に存在しているそんな魔法使い達はシヴァのような一部の例外は居るが、大体が各国にお抱えの魔法使いとして優遇されており、大国に置いては天変地異級の力を持つ魔法使いなんかも居るとか。
そして俺達のような魔法を自力では扱えない者達は魔法使い達が作り出した品々の恩恵を日常生活で受けている。それは俺の住んでいる屋敷を囲う特殊な柵や屋敷の扉であったり、また先程見た表通りに均等に設置されている街灯など用途は様々であり、それらを創り出す技術は総称して魔法技術――通称、魔術と呼ばれている。
勿論それらは無料などではなく対価を払い商品として、創り出された品々は売買されている。
云わばこの世界では科学技術よりも魔法が文明として発展しているのだ。
水着のような下着のような際どい格好をしている綺麗な女性の従業員達がテーブル席に酒がたっぷりと入った木樽ジョッキや料理が盛られた皿などを運び回っており、それを口説こうとしている一人で飲んでいるおっさんや、あるテーブル席では気分が乗っているのか全員で呑気に何かの歌を歌っている。
「いらっしゃーい。…あら、随分若いお客さん達ね」
「だからどうした、関係ないだろ。それより席は空いているか?なるべく奥の方が良いんだが」
店に入って来た俺達に気付いて際どい格好の従業員の一人が笑顔で接客して来たのだが、ルーカスはとりつかせる隙もなくその女性を冷たくあしらう。
「ふふっ。えぇ空いてますよ、どうぞご案内しまーす」
だがその女性も慣れた様子で微塵も嫌な顔を表に出す事なく笑顔のまま俺達を店の奥の隅のテーブル席へと案内してくれた。
「ではご注文決まりましたらお呼び下さいね」
女性が案内してくれた席へと座ると案内を終えた女性は立ち去った。そしてルーカスと木製のテーブルを挟んで対面して座る俺は先程の話を持ち出す。
「あの、それで先程の話なんですが」
「んっ。どうやって後を追って来たかって話だっけか?」
「はい」
「簡単な事だよ。今日爺ちゃんからレイの警護をやれって言われた時に聞いてたんだ、あの屋敷を囲う柵に施された魔法を一部解除してたって欠点を。けどあんた狙われているみたいだから本当は元に戻せば良いんだけど、爺ちゃんはあんたの願いを出来る限り汲み取ってやりたかったみたいでさ。あんたが家を抜け出すちょっと前に俺が誰かがそこから抜け出せば分かる別の魔法を掛けてたんだよ。勿論レイの家の連中には知られる事はないから安心してな」
「…ありがとうございます。と言うかルーカスさんも魔法を扱えるんですね」
「まぁ、爺ちゃんの血を引いてるしな。それに剣の腕は爺ちゃんにはまだまだ敵わないけど、魔法の腕は俺の方が上だぜ。…それとさん付けとか敬語は止してくれ。一応分はわきまえてるし、レイにさん付けで呼ばれてるのを爺ちゃんが聞いたら俺がぶっ飛ばされちまう」
「…うん、分かった」
俺は頷き、そしてルーカスがどうやって後を追って来ていたのかが理解出来て安心した。彼がシヴァの血を引いている以上魔法で行った事と説明されれば納得である。
――この世界には様々な事象や現象を起こせる魔法と呼ばれる力が存在している。
だがそれを純粋に自力で扱えるのは生まれ持った才能ある者のみであり才能ない者がどれだけ努力して勉学に励もうが自力では扱う事が出来なく、稀に例外はあるものの殆どが血筋などによって決まっている。
この世界に存在しているそんな魔法使い達はシヴァのような一部の例外は居るが、大体が各国にお抱えの魔法使いとして優遇されており、大国に置いては天変地異級の力を持つ魔法使いなんかも居るとか。
そして俺達のような魔法を自力では扱えない者達は魔法使い達が作り出した品々の恩恵を日常生活で受けている。それは俺の住んでいる屋敷を囲う特殊な柵や屋敷の扉であったり、また先程見た表通りに均等に設置されている街灯など用途は様々であり、それらを創り出す技術は総称して魔法技術――通称、魔術と呼ばれている。
勿論それらは無料などではなく対価を払い商品として、創り出された品々は売買されている。
云わばこの世界では科学技術よりも魔法が文明として発展しているのだ。
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