異世界転移した先で女の子と入れ替わった!?

灰色のネズミ

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Bクラス争奪戦 第一章 開幕

友人の部屋へ

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「入って」

「お、お邪魔しま~す……」


 誘われるままにニーナの部屋にやってきた。王族や貴族は専用の個室が用意されていて、ニーナも1人部屋だ。


「なんで俺ニーナの部屋に来てんだろ」

「だから言ったでしょ。私の部屋は一人部屋だから気兼ねなくお風呂入れるって」

「うん……いや、その、ありがとう?」

「なによ。別に汚くないでしょ」


 確かにニーナの部屋は綺麗だった。ベッド周りが若干本やフランの充電用コードが散らばってるくらいなのと、キッチン周りが多少汚れてる程度。


「ないでしょって聞いたのは私だけど、ジロジロ観察していいとは言ってないわよ」

「す、すまん」

「まあ見ても特に面白味ないでしょ。メル様の部屋なら価値あるだろうけど」

「いやでもほら、そう! 綺麗って言うのが」

「別に褒めるところ無理やり探してフォローしろとも言ってないからね。風邪引く前に、ほら、お風呂に」

「う、うん」


 部屋から持って来た着替えを更衣室に置かせてもらって、出て行く。すると運動着の裾を掴まれた。


「なんで出ていくの」

「え? だって先に入るだろ」

「先に入りなさい」

「え? なんで? だってお前って熱とかに弱い体質で、急な温度変化とかにも弱いんじゃないかって。だから風邪ひきそうなお前から先に入った方が」

「ああ、何気に気を遣ってたのね。そうじゃなくてアンタ、まともに洗ってないでしょ。体も髪も」

「ソ、ソンナコトナイヨー」

「ほら目隠し」

「ちょちょちょ」


 有無を言わさず、目に白い目隠しをされる。
 そして服をバッサバッサ脱がされて、一気に裸に剥かれた。外気が女体に触れて自身の体の形が鮮明にわかる。


「うう、なんども思うが、ほんとに俺女なんだな」

「それじゃ、洗ってあげるから。国王の姪っ子に洗ってもらえるなんて、こんなこと滅多にないわよ」

「滅多どころか微塵もないと思ってたんだがな。てか、あれ? もしかしてお前……裸?」

「触って確かめてみる?」

「何言ってんの?」


 目隠しの向こうには裸のニーナがいるのか。
 へ、変な想像したら顔が熱くなる。落ち着け、汗をかいたら目隠しの布が濡れてズレる確率が高くなる。と言うか実際目隠しして風呂に入るのはズレやすいから得策ではなかったりする……と、専門家的な事言ってるけど望んでこんな事知ったわけじゃないからな。


「…………………………」


 風呂椅子に座らされて、後ろでペタペタと裸足で歩く音がする。まじで裸なのか。ヤバい、想像するな想像するな。


「それじゃ、頭と体、どっちが先?」

「シャワー流すだけで……」

「頭ね」


 シャワーで一回髪を洗い流されて、そしてシャンプーでゆっくりと撫でるように洗われていく。人に洗われるなんて子供の頃にしか経験しなかった。親と、あと巫女さんにされたっけ。
 ニーナの洗い方はとにかく優しくて丁寧だった。


「いつもこんな洗い方してるのか?」

「…………」

「ニーナ?」

「人を洗った事なんて初めてだから、これでいいのかなーと思いながらやってる」

「初めてなのにこんな押しが強かったのかよ。まあでも、やった事ないのに慮って行動しようとしてくれるのは嬉しいけどな」

「ならどんな下手でも文句はなし?」

「怒りはしねーよ」

「ん」


 ザシュ、ザシュと髪の間に指を出し入れされ、洗われていく。


「変な感じね。洗っているのは女の子なのに、喋ってるのは男なんて」

「……お前相手なら別に男でいいと思ったんだが、バレてるし。直した方がいいか?」

「まあどっちでも。でも時々気が緩んだり、パニックになったらあなたいっつも口調が男に戻ってるし、そう言う時にも女でいられるように私の前でも女口調を気をつけてれば、次第に男口調も忘れるんじゃないかしら」

「男を忘れる気はないがな。てか、そう言う考えもあるか。ニーナ、もうちょっと強く擦ってもいいわよ。これでいいかしら」

「ダメ。あ、ダブルミーニングっていうのかなこれ。強くしたら髪が痛むし、女口調も若干わざとらしい」

「わざとらしい……やっぱり自然にできるようになるには、どんな時でも普段使いしてなきゃダメなのかしらね」

「そうね。でも、あのBクラスの銀髪が言ってるコアの心説だとストレスかけすぎるのもダメなんでしょ?」

「ええ、そう言ってたわね」

「なら気を休められるトコロも必要なんじゃない?」

「ニーナの前なら男口調に戻ってもいいって事かしら」

「そう」

「……まあ、そうするか」


 と、そこで頭が洗い終わったようだ。ザパーと泡が洗い流される。俺は目隠しが外れないように手で押さえた。


「さあ次は体だけど」

「ほ、本当に洗うのか? お前だって他人の変なとこ洗いたくないんじゃねーのか?」

「……まあ、そうだけど」

「だ、だったら!」

「でもあなたの反応が面白いからやるわ」

「お前ちょっと、と言うか結構Sっ気あるよな———ひゃん!」


 首元に濡れた手が差し込まれて、冷たい指先が肌に触れた途端、情けない声が風呂場に響く。


「ちょ、い、いきなり……」

「せりゃ」

「ひゃあああ!!」


 今度は胸を鷲掴みにされた。そのまま揉みしだかれる。


「やぁ! ちょ、ヤメッ、うっくッ……ううああ~!」

「やっぱ大きい……中学三年間ずっと揉める機会なかったけど、ついにこの果実を揉むことに成功したわ。ずっと見るたびにモンモンしてたのよね」

「ろ、ロザリアといい……うっ……なんなんだよ……くぅ、あっ!」

「デカい……デカすぎる」

「ヒウッ! はあっ! や、だっ、んぅっ!」


 揉みしだかれるたびに得体の知れない感覚が俺を襲う。胸から来る刺激が脳を貫き、全身にその感覚が伝わって体が震える。震えるたびにまた全身が感じ始める。熱が、すごい。
 と、その時、後ろから俺の胸を揉みしだくニーナの胸部が背中に密着したのを感じる。柔らかいその感触に、敏感になっていた体が明確に感じ取って、脳に伝えてくる。


「に、にーな……ムネ、当たってる……からぁ」

「え? あっ!」


 指摘するとニーナは飛び退いて言った。


「はあはあ、はあ、はあ……けほっ、けほ」

「ご、ごめん。ちゃんと洗うね」

「そ、そうしてもらえると」


 そこからはニーナも慎重になって、ゆっくりと俺が感じないようにして体の方を洗ってくれた。けれどそんな優しい洗い方も、くすぐったく感じて、敏感に感じ取ってしまい、ニーナの気遣い虚しくまた俺は変な気分になっていった。
 風呂から出された時には火照っているのがお湯のせいなのか、それとも自身の熱のせいなのかわからなかった。


「フロから出れば、もう、戻っていいって言われたし……」


 礼なら明日でも言えるし、帰るか。
 部屋から持って来ていた服が本当に自分のかどうか確かめてから、自分のだとわかり安心して着て行く。ピンク色の可愛らしいパジャマだ。


「そ、それじゃあ帰るから」


 風呂の扉の向こうから、ニーナの返事が聞こえて来た。風呂の扉はモザイクのガラス窓で、窓の向こうで肌色が動いているのが見えてしまって、慌てて飛び出すようにニーナの部屋から出た。


「じ、自分の部屋で入るよりも気ぃ使った気がするんだが……」


 ふぅ、と一息ついたところでフランを見ると、いつの間にか学園長から着信があったことを知る。
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