21 / 95
五話
暴走、反撃
しおりを挟む
———朝倉颯太視点
「えギャアアアアアアっっッ!!!??」
元私の指が口の中に入ってきたかと思えば、歯は傾いて奥に刺しこまれ、歯茎を抉って血を吐き出させた。
な、なんなのよおおおおお!!??
痛みで叫び転びながら壁際まで逃げた。
「が、ガフッ! ぐ、ぐぶぅ……ふッ! は、歯ぎゃ……歯ぎゃぁ……!」
さ、さっきまでアイツ、させるがままだったのに!コアを吸い取って動けないはずなのに!どこにあんな力が!
あ、コア!歯を、歯を治さないと!
急いでコアを使い歯の治療を行う。歯の形は元に戻り、吹き出した血も、傷が塞がって止まる。
なんとか治りそう、と言ったところでゆらりと立ち上がる影があった。
「ヒッ!」
前を見れば、なんとコアを吸い取ったはずのアイツが立ち上がるところだった。ベッドから降りてこちらを、青く光る目で見下ろしてくる。
「な、なによ………………」
そしてアイツは、私が床に放り投げていた剣を拾い上げて、こちらに歩いてくる。
「なんなのよぉ!」
直近まで突進してきた瞬間に、歯の治療をやめて、コアによる衝撃波を手先から出して、吹き飛ばす。治療よりも先にアイツを私から突き放すのが先決!
ヤツはベッドを越えた向こう側の壁に激突した。
「はあっ、はあっ、ど、どこにそんな……え?」
吹き飛ばして助かったと思ったが、足の方に違和感を覚えた。そして確認してみれば、なんと右足の太ももに私の剣が突き刺さっていた。
「ギャアアア!!??」
い、いつの間に!
い、いや……さっき接近した時!
吹き飛ばされる前に私の足に突き刺したんだ!
まず、剣を消すほうが先だった!
い、いいやそれをしても、剣を失ってもアイツは私に殴りかかってきたはず。吹き飛ばしたのは正しいっ!
そ、それよりも剣を……早く、抜かなきゃ!
「早く……」
ガタン!と大きな物音が聞こえた。
「なに? え……?」
剣を抜くのも忘れて確認すれば、なんと、なんと……なんと、奴はベッドを持ち上げていたのだ。両手で担ぎ上げて、こちらにゆっくり向かって来ている。
「ど、どこに……」
そしてベッドが振り落とされる。
「どこにそんな力があるのよおおおおおお!!!!」
私にそんな力なかったはず!
いやそうじゃない!
か、かわせない!剣が足に、床にも突き刺さってるから!
た、助けて———
ガンッッ!
「え?」
振り上げたベッドは、天井に当たった。
そしてバランスを崩した元私は、真後ろに倒れて、そのままベッドの下敷きになった。
ドスン!と大きな音が鳴り響く。
「あ、え? あ、あはは……ば、馬鹿じゃないのおおお! あっはは! あーはー!」
ベッドがこの部屋の高さを超えて、天井に当たって、ヤツは自滅した!ベッドに押し潰されたヤツは下敷きになっている。苦しそうなうめき声も聞こえるし、死んだなら良し!死んでないにしても動けない!
(今のうちに剣を足から抜いて逃げないと……!)
そう思っていたのだが、瞬間———ベッドが倒れる。
天井に当たって持ち上げていた元私の方にベッドが押し込まれ、ヤツは自滅した。だがそのベッドは縦に立っていた。つまり……倒れる、天井に当たったベッドの先の方が……私の方に。
———私の足の上に。
———私に刺さった剣の上に、ベッドが倒れ込んできた。
結果、私の足は切断された。
「アアアアアアアアアッッッ! アアーーーッ!!」
声にならない、言葉にならない悲鳴。
なんで……なんで私がこんな目にィ!会わなきゃいけないのヨォ!
(チグショオオオオオオ!!!)
「えギャアアアアアアっっッ!!!??」
元私の指が口の中に入ってきたかと思えば、歯は傾いて奥に刺しこまれ、歯茎を抉って血を吐き出させた。
な、なんなのよおおおおお!!??
痛みで叫び転びながら壁際まで逃げた。
「が、ガフッ! ぐ、ぐぶぅ……ふッ! は、歯ぎゃ……歯ぎゃぁ……!」
さ、さっきまでアイツ、させるがままだったのに!コアを吸い取って動けないはずなのに!どこにあんな力が!
あ、コア!歯を、歯を治さないと!
急いでコアを使い歯の治療を行う。歯の形は元に戻り、吹き出した血も、傷が塞がって止まる。
なんとか治りそう、と言ったところでゆらりと立ち上がる影があった。
「ヒッ!」
前を見れば、なんとコアを吸い取ったはずのアイツが立ち上がるところだった。ベッドから降りてこちらを、青く光る目で見下ろしてくる。
「な、なによ………………」
そしてアイツは、私が床に放り投げていた剣を拾い上げて、こちらに歩いてくる。
「なんなのよぉ!」
直近まで突進してきた瞬間に、歯の治療をやめて、コアによる衝撃波を手先から出して、吹き飛ばす。治療よりも先にアイツを私から突き放すのが先決!
ヤツはベッドを越えた向こう側の壁に激突した。
「はあっ、はあっ、ど、どこにそんな……え?」
吹き飛ばして助かったと思ったが、足の方に違和感を覚えた。そして確認してみれば、なんと右足の太ももに私の剣が突き刺さっていた。
「ギャアアア!!??」
い、いつの間に!
い、いや……さっき接近した時!
吹き飛ばされる前に私の足に突き刺したんだ!
まず、剣を消すほうが先だった!
い、いいやそれをしても、剣を失ってもアイツは私に殴りかかってきたはず。吹き飛ばしたのは正しいっ!
そ、それよりも剣を……早く、抜かなきゃ!
「早く……」
ガタン!と大きな物音が聞こえた。
「なに? え……?」
剣を抜くのも忘れて確認すれば、なんと、なんと……なんと、奴はベッドを持ち上げていたのだ。両手で担ぎ上げて、こちらにゆっくり向かって来ている。
「ど、どこに……」
そしてベッドが振り落とされる。
「どこにそんな力があるのよおおおおおお!!!!」
私にそんな力なかったはず!
いやそうじゃない!
か、かわせない!剣が足に、床にも突き刺さってるから!
た、助けて———
ガンッッ!
「え?」
振り上げたベッドは、天井に当たった。
そしてバランスを崩した元私は、真後ろに倒れて、そのままベッドの下敷きになった。
ドスン!と大きな音が鳴り響く。
「あ、え? あ、あはは……ば、馬鹿じゃないのおおお! あっはは! あーはー!」
ベッドがこの部屋の高さを超えて、天井に当たって、ヤツは自滅した!ベッドに押し潰されたヤツは下敷きになっている。苦しそうなうめき声も聞こえるし、死んだなら良し!死んでないにしても動けない!
(今のうちに剣を足から抜いて逃げないと……!)
そう思っていたのだが、瞬間———ベッドが倒れる。
天井に当たって持ち上げていた元私の方にベッドが押し込まれ、ヤツは自滅した。だがそのベッドは縦に立っていた。つまり……倒れる、天井に当たったベッドの先の方が……私の方に。
———私の足の上に。
———私に刺さった剣の上に、ベッドが倒れ込んできた。
結果、私の足は切断された。
「アアアアアアアアアッッッ! アアーーーッ!!」
声にならない、言葉にならない悲鳴。
なんで……なんで私がこんな目にィ!会わなきゃいけないのヨォ!
(チグショオオオオオオ!!!)
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
強奪系触手おじさん
兎屋亀吉
ファンタジー
【肉棒術】という卑猥なスキルを授かってしまったゆえに皆の笑い者として40年間生きてきたおじさんは、ある日ダンジョンで気持ち悪い触手を拾う。後に【神の触腕】という寄生型の神器だと判明するそれは、その気持ち悪い見た目に反してとんでもない力を秘めていた。
私が美女??美醜逆転世界に転移した私
鍋
恋愛
私の名前は如月美夕。
27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。
私は都内で独り暮らし。
風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。
転移した世界は美醜逆転??
こんな地味な丸顔が絶世の美女。
私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。
このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。
※ゆるゆるな設定です
※ご都合主義
※感想欄はほとんど公開してます。
日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる