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第4話 野ば……元気な少女、素手で頑張れと言われる
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私は魔法が存在する星と聞いて、これから出会う人たちがどんな人たちだろうかと思い馳せる。
そんな中で、エイとリアンの二人は何やら内緒話をしていた。
「エイ、地球人と魔法型惑星の相性についてはわかっているだろう?」
「当然だよ。でも、ユニを置いていくと、暇を持て余した彼女が君の作業の邪魔をする可能性が高いからね」
「しかしだな……」
「しっかり、汚染対策はしておく。同時に、この対策はユニの身を守るためにもなるし」
「汚染が過ぎると地球へ戻れなくなることは伝えておかないのか?」
「伝えれば、汚染よりも目先のことに飛びつく可能性が高いから、今はまだ様子見しておこう」
「ふぅ……わかった。エイ、貴様の意見を採用しよう」
二人は何やらずっとこそこそ話している。
そんな二人に怪訝な顔を向けながら私は尋ねた。
「あのさ、何を話してるの? まさか、私をこの惑星に置いてけぼりにする相談とか?」
「そんなことするわけないだろ。別に俺たちは地球人に害を為したいわけじゃないし、意味もなく嫌がらせをしたいわけでもないしね」
「貴様の身体機能では心許ないため、連れて行くにしても対策が必要だという話をしていただけだ」
「対策? それじゃあ、リアンは私に光線銃的なモノをくれるの?」
「単純調査で分かったことだが、この惑星の文明レベルは低い。そのような惑星で進んだ兵器など使用もできないし、渡すこともできない」
「そういった決まり事でもあんの?」
「ああ、当然だ」
「それじゃあ、私はどうすれば? まさか、剣でも持ってけと? 武器なんか使ったことないから意味ないと思うけど?」
「武器など必要ないだろう。武器や兵器がなくとも、貴様は素手で十分だ」
「はあ!? 普通の中学二年生の女の子が剣と魔法の世界の訪れて、素手で乗り越えてけっての? 無茶ぶり過ぎじゃん!」
「ワレワレのサイキックパワーに抗うことのできる存在は普通ではないぞ。それに貴様は、母体から護身術を学んでいるのだろう」
「ぼたい? ああ、お母さんのことか。わかりにくいなぁ。うん、まぁ、お母さんは若い頃に武道を嗜んでたから、護身用に基礎だけなら習ってるけど」
「ならば十分だろう」
「ど・こ・が! あのさ、今さっき私の身体機能は心許ないと言ってたよね? それと矛盾してない?」
「故に、貴様の身体機能を飛躍的に向上させる道具を貸与しよう」
リアンは三本指をサササッと振るう。
すると、私の両手首に光の輪が現れる。その光は飾り気のない白い腕輪となって、両手首に収まった。
「なにこれ?」
「身体機能を向上させる道具・シャムシャム。同時に、翻訳機にもなっており、どのような言語であろうと理解することができる。さらに、網膜に移る文字情報を即座に解析できるので、文字を理解することも可能だ」
「おおお~、すっごい便利…………これ、地球に帰った後も貸したままにしてくれない? 英語の授業で使いたいんだけど」
「駄目だ」
「けちっ。それで、どのくらい向上してるの?」
「エイ、試してやれ」
「ああ、わかったよ」
リアンの声に応えて、金髪キャラの皮を被ったエイが私の前に立つと突然殴りつけてきた。
それは風切り音がはっきりと聞こえるほどの速さ。
だけど――
(ちょ、いきなりって――――あれ、遅い?)
すっごく速い拳のはずなのに、私の瞳にはスローモーションのように見える。
私はエイの拳を軽く躱して、一気に懐へと潜り込み、代わりに私の拳を彼の腹部の前に置いた。
その状態で体を固めて、小さく言葉を溢す。
「なるほど、たしかに強くなってるっぽい。どのくらい強くなったんだろ?」
「俺のボディースーツの能力値は、地球人基準で言うと超一流の格闘家以上の能力を誇っている。その動きについて来れるのなら、地球人最強クラスじゃないかな?」
「ほんとに!? え、マジっすか? 私、最強になっちゃいましたか? ククク、この力をもってすれば、隣のクラスのゴミポイ捨て野郎のクソヤンキーを凹せますなぁ」
毎日毎日、学校の靴箱近くで駄菓子を食べてはそこらにゴミをポイ捨てする、クソヤンキー田辺。
そのたびに箒でぼこぼこにしてやってるのに、次の日には相変わらずポイ捨て。
しかも、わざわざ掃除当番の私の目の前で!
そんなおバカを再起不能にできる力を手にした私は笑いが止まらない。
「ククク、いっつも私に絡んできて、なんでか顔を真っ赤にしてキレてるけど、その顔を青く染めてやることができますなぁ、ふふふ、はははは、あ~はっはっはっは!!」
私は帰還した先にある愉悦に浸る。
そんな私を横目に、エイとリアンはまたもや何やら小声で話している。
「どうして、道具シャムシャムを地球に持ち込めると思ってるんだろうね?」
「楽天的な存在だ。しかしだ、装着したばかりであれだけの力を出せるということは、やはり潜在能力値が高いと思われる。おそらく、あちらの素養も……」
「それはこちらでも気に掛けておくよ。汚染されないようにね」
「ああ、気をつけ――おい、スーツの腹部部分に不具合が生じているようだぞ」
「え? ああ、ここはユニに拳を当てられたところかな? 寸止めだったけど、衝撃波がスーツを貫いたみたいだね。いや、恐ろしいね。シャムシャムの力を借りたとはいえ、このスーツにダメージを与えるなんて」
「くだらない評価などしている場合ではないぞ。現状では替えのスーツは用意できない。探索は危険では?」
「そこはうまくやるさ。それに、クニュクニュを手に入れないとどうしようもないしね」
「たしかに……気をつけろ、エイ」
「ああ、わかってるさ、リアン」
そんな中で、エイとリアンの二人は何やら内緒話をしていた。
「エイ、地球人と魔法型惑星の相性についてはわかっているだろう?」
「当然だよ。でも、ユニを置いていくと、暇を持て余した彼女が君の作業の邪魔をする可能性が高いからね」
「しかしだな……」
「しっかり、汚染対策はしておく。同時に、この対策はユニの身を守るためにもなるし」
「汚染が過ぎると地球へ戻れなくなることは伝えておかないのか?」
「伝えれば、汚染よりも目先のことに飛びつく可能性が高いから、今はまだ様子見しておこう」
「ふぅ……わかった。エイ、貴様の意見を採用しよう」
二人は何やらずっとこそこそ話している。
そんな二人に怪訝な顔を向けながら私は尋ねた。
「あのさ、何を話してるの? まさか、私をこの惑星に置いてけぼりにする相談とか?」
「そんなことするわけないだろ。別に俺たちは地球人に害を為したいわけじゃないし、意味もなく嫌がらせをしたいわけでもないしね」
「貴様の身体機能では心許ないため、連れて行くにしても対策が必要だという話をしていただけだ」
「対策? それじゃあ、リアンは私に光線銃的なモノをくれるの?」
「単純調査で分かったことだが、この惑星の文明レベルは低い。そのような惑星で進んだ兵器など使用もできないし、渡すこともできない」
「そういった決まり事でもあんの?」
「ああ、当然だ」
「それじゃあ、私はどうすれば? まさか、剣でも持ってけと? 武器なんか使ったことないから意味ないと思うけど?」
「武器など必要ないだろう。武器や兵器がなくとも、貴様は素手で十分だ」
「はあ!? 普通の中学二年生の女の子が剣と魔法の世界の訪れて、素手で乗り越えてけっての? 無茶ぶり過ぎじゃん!」
「ワレワレのサイキックパワーに抗うことのできる存在は普通ではないぞ。それに貴様は、母体から護身術を学んでいるのだろう」
「ぼたい? ああ、お母さんのことか。わかりにくいなぁ。うん、まぁ、お母さんは若い頃に武道を嗜んでたから、護身用に基礎だけなら習ってるけど」
「ならば十分だろう」
「ど・こ・が! あのさ、今さっき私の身体機能は心許ないと言ってたよね? それと矛盾してない?」
「故に、貴様の身体機能を飛躍的に向上させる道具を貸与しよう」
リアンは三本指をサササッと振るう。
すると、私の両手首に光の輪が現れる。その光は飾り気のない白い腕輪となって、両手首に収まった。
「なにこれ?」
「身体機能を向上させる道具・シャムシャム。同時に、翻訳機にもなっており、どのような言語であろうと理解することができる。さらに、網膜に移る文字情報を即座に解析できるので、文字を理解することも可能だ」
「おおお~、すっごい便利…………これ、地球に帰った後も貸したままにしてくれない? 英語の授業で使いたいんだけど」
「駄目だ」
「けちっ。それで、どのくらい向上してるの?」
「エイ、試してやれ」
「ああ、わかったよ」
リアンの声に応えて、金髪キャラの皮を被ったエイが私の前に立つと突然殴りつけてきた。
それは風切り音がはっきりと聞こえるほどの速さ。
だけど――
(ちょ、いきなりって――――あれ、遅い?)
すっごく速い拳のはずなのに、私の瞳にはスローモーションのように見える。
私はエイの拳を軽く躱して、一気に懐へと潜り込み、代わりに私の拳を彼の腹部の前に置いた。
その状態で体を固めて、小さく言葉を溢す。
「なるほど、たしかに強くなってるっぽい。どのくらい強くなったんだろ?」
「俺のボディースーツの能力値は、地球人基準で言うと超一流の格闘家以上の能力を誇っている。その動きについて来れるのなら、地球人最強クラスじゃないかな?」
「ほんとに!? え、マジっすか? 私、最強になっちゃいましたか? ククク、この力をもってすれば、隣のクラスのゴミポイ捨て野郎のクソヤンキーを凹せますなぁ」
毎日毎日、学校の靴箱近くで駄菓子を食べてはそこらにゴミをポイ捨てする、クソヤンキー田辺。
そのたびに箒でぼこぼこにしてやってるのに、次の日には相変わらずポイ捨て。
しかも、わざわざ掃除当番の私の目の前で!
そんなおバカを再起不能にできる力を手にした私は笑いが止まらない。
「ククク、いっつも私に絡んできて、なんでか顔を真っ赤にしてキレてるけど、その顔を青く染めてやることができますなぁ、ふふふ、はははは、あ~はっはっはっは!!」
私は帰還した先にある愉悦に浸る。
そんな私を横目に、エイとリアンはまたもや何やら小声で話している。
「どうして、道具シャムシャムを地球に持ち込めると思ってるんだろうね?」
「楽天的な存在だ。しかしだ、装着したばかりであれだけの力を出せるということは、やはり潜在能力値が高いと思われる。おそらく、あちらの素養も……」
「それはこちらでも気に掛けておくよ。汚染されないようにね」
「ああ、気をつけ――おい、スーツの腹部部分に不具合が生じているようだぞ」
「え? ああ、ここはユニに拳を当てられたところかな? 寸止めだったけど、衝撃波がスーツを貫いたみたいだね。いや、恐ろしいね。シャムシャムの力を借りたとはいえ、このスーツにダメージを与えるなんて」
「くだらない評価などしている場合ではないぞ。現状では替えのスーツは用意できない。探索は危険では?」
「そこはうまくやるさ。それに、クニュクニュを手に入れないとどうしようもないしね」
「たしかに……気をつけろ、エイ」
「ああ、わかってるさ、リアン」
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