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第3話 魔法のある惑星
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私を攫った二人の宇宙人。
種族名も名前も地球人の聴覚だと聞き取れないので、とりあえずテキトーな名前で呼ぶことにした。
おっきな黒目に睫毛がない方がエイ。ある方がリアン。
二人は進化の研究にために私(地球人)の肉体構造を調べていたんだって。
一応、法律があるらしく、無用な危害を私に加えるつもりはないようで、地球に帰す意思もあるみたい
私もまた、無駄に敵対しても仕方がないと思って、ここは故郷帰還のために協力することにした。
技師のリアンが船の修理。
民俗学者のエイが船の動力源を手に入れるために周辺の探査。
私は船の動力源について、睫毛ありの技師リアンに尋ねる。
「船の動力源って何なの? 原子力? 反物質? 精神エネルギーとか?」
「クニュクニュだ」
「くにゅくにゅ?」
「生命体の意思が結晶化したものであり、貴重な物質のため滅多に手に入らない。だが幸い、反応は小さいながらも近くの集落からクニュクニュの反応が見られる」
「意思の結晶化ねぇ。なんかピンと来ないけど、貴重物質が動力源ってどうなんだろう? 使い勝手悪そう」
「一定量を満たせば、それを封じ、増幅することで半永久的に動力として使用できる」
「お~、すごいすごーい」
「だが、現状ではクニュクニュを封じるための密閉壁が壊れているため、使い切りとなってしまうな」
「え、駄目じゃん。その密閉壁とやらの修理は?」
「不可能だ。材料が足りない。それをどこかで調達する必要があるが、これもまた貴重物質であるため入手は困難。そして、この惑星にはその物質が存在しない」
「はぁ~、こりゃ面倒そうだね。ということは、とりあえずクニュクニュを手に入れて、それを使い切る前にどこか別の惑星に行って、新たにクニュクニュを手に入れるか、密閉壁の修理用素材を手に入れる。そうしながら、帰り道を探すって感じかな?」
「そうなるな」
「で、その動力源を手に入れるために、エイが近くの集落に行くんだよね?」
私は睫毛のない民族学者エイに顔を向けて尋ねる。
すると彼は、銀色の素肌に大きな黒目をした姿には、まったく似合わない、砕けた言葉遣いで返してきた。
「ああ、そうだね」
「集落ってことは誰かが住んでるんだよね? どんな人たちかわかってるの?」
「俺たちと同じ二足歩行の生命体だ。容姿は地球人に似ているぞ」
「え? じゃあ、エイが行くのって駄目じゃない? 明らかに地球人からかけ離れた姿だし」
「問題ないさ。ボディスーツがある」
そう言って、エイが三本のみの指を全部広げてサッと横に振るう。
すると、七色の光の繭が彼を包んで、ゆっくりと人型を模していく。
その光が落ち着くと、そこには長身で細マッチョな体形に、くすんだ白いローブを纏った成人男性が姿を現した。
長い金髪の碧眼で、柔らかな表情と優し気な雰囲気を持つ、そこそこイケメンの優男。
声も機械的な口調から、表情と同じ柔らかいものへと変化。
宇宙人姿のエイと比べて、全くの別人。
その姿に、私はこれでもかと眉をひそめた。
「え、何、その姿?」
「どうした、俺の姿は変か?」
「別に変じゃないけどさ。地味にカッコいい系で、なんかムカつく」
「容姿は地球人の美的感覚から見て、それなりに良いものにしているからな。交渉相手から好感を得られるように。だからといって、あまり容姿を整えすぎちゃうと、無用な注目を浴びるから、ほどほどの容姿をね」
「言葉遣いは今の姿で合ってるんだけど……元を知ってるからなんかなぁ」
中身は淡白で機械的な口調で気位が高く、地球人を見下しまくっている宇宙人。
それが、そこそこのイケメンに変身。
じっとそのイケメン姿を見てると、騙されそうになるので視線を森へ向ける。
「えっと、私はどうしよっかなぁ? リアンと一緒に居ても役に立たないし、エイについて行ってもいい? 他の惑星の人とかに会ってみたいし」
こう尋ねると、エイは良いと言ってくれたけど、リアンが反対の声を上げた。
「ああ、別に構わないよ」
「エイ、それは得策ではない。ここは『魔法型惑星』だ」
「だけど、ここにユニを残しておくと、君の作業の邪魔になるんじゃないか? 彼女の性格からして、退屈を紛らわす術は未熟だと思うし」
何やらひどい言われような気がするけど、二人の会話の中にすっごく気になる一文が混ざっていた。それに対して私はかぶりつくように声を飛ばす。
「待って! いま、『魔法型惑星』って言ったよね? 何それ?」
「そのままの意味だよ。ここは俺たちとは違い、科学じゃなくて魔法を基軸とした文明圏なんだ」
「え、本当!? 魔法!? それって、ファンタジーな感じ? 剣と魔法の世界みたいな!」
「うん、そう」
「え、え、うっそ! 絶対、私エイについていく! 嫌だって言ってもついていくからね!」
魔法と聞いて、ついて行かないなんてあり得ない!
漫画やアニメの世界が現実に見られるかもしれないのに、こんな辛気臭い森の中で、嫌味な宇宙人と一緒にいられますかっての!!
種族名も名前も地球人の聴覚だと聞き取れないので、とりあえずテキトーな名前で呼ぶことにした。
おっきな黒目に睫毛がない方がエイ。ある方がリアン。
二人は進化の研究にために私(地球人)の肉体構造を調べていたんだって。
一応、法律があるらしく、無用な危害を私に加えるつもりはないようで、地球に帰す意思もあるみたい
私もまた、無駄に敵対しても仕方がないと思って、ここは故郷帰還のために協力することにした。
技師のリアンが船の修理。
民俗学者のエイが船の動力源を手に入れるために周辺の探査。
私は船の動力源について、睫毛ありの技師リアンに尋ねる。
「船の動力源って何なの? 原子力? 反物質? 精神エネルギーとか?」
「クニュクニュだ」
「くにゅくにゅ?」
「生命体の意思が結晶化したものであり、貴重な物質のため滅多に手に入らない。だが幸い、反応は小さいながらも近くの集落からクニュクニュの反応が見られる」
「意思の結晶化ねぇ。なんかピンと来ないけど、貴重物質が動力源ってどうなんだろう? 使い勝手悪そう」
「一定量を満たせば、それを封じ、増幅することで半永久的に動力として使用できる」
「お~、すごいすごーい」
「だが、現状ではクニュクニュを封じるための密閉壁が壊れているため、使い切りとなってしまうな」
「え、駄目じゃん。その密閉壁とやらの修理は?」
「不可能だ。材料が足りない。それをどこかで調達する必要があるが、これもまた貴重物質であるため入手は困難。そして、この惑星にはその物質が存在しない」
「はぁ~、こりゃ面倒そうだね。ということは、とりあえずクニュクニュを手に入れて、それを使い切る前にどこか別の惑星に行って、新たにクニュクニュを手に入れるか、密閉壁の修理用素材を手に入れる。そうしながら、帰り道を探すって感じかな?」
「そうなるな」
「で、その動力源を手に入れるために、エイが近くの集落に行くんだよね?」
私は睫毛のない民族学者エイに顔を向けて尋ねる。
すると彼は、銀色の素肌に大きな黒目をした姿には、まったく似合わない、砕けた言葉遣いで返してきた。
「ああ、そうだね」
「集落ってことは誰かが住んでるんだよね? どんな人たちかわかってるの?」
「俺たちと同じ二足歩行の生命体だ。容姿は地球人に似ているぞ」
「え? じゃあ、エイが行くのって駄目じゃない? 明らかに地球人からかけ離れた姿だし」
「問題ないさ。ボディスーツがある」
そう言って、エイが三本のみの指を全部広げてサッと横に振るう。
すると、七色の光の繭が彼を包んで、ゆっくりと人型を模していく。
その光が落ち着くと、そこには長身で細マッチョな体形に、くすんだ白いローブを纏った成人男性が姿を現した。
長い金髪の碧眼で、柔らかな表情と優し気な雰囲気を持つ、そこそこイケメンの優男。
声も機械的な口調から、表情と同じ柔らかいものへと変化。
宇宙人姿のエイと比べて、全くの別人。
その姿に、私はこれでもかと眉をひそめた。
「え、何、その姿?」
「どうした、俺の姿は変か?」
「別に変じゃないけどさ。地味にカッコいい系で、なんかムカつく」
「容姿は地球人の美的感覚から見て、それなりに良いものにしているからな。交渉相手から好感を得られるように。だからといって、あまり容姿を整えすぎちゃうと、無用な注目を浴びるから、ほどほどの容姿をね」
「言葉遣いは今の姿で合ってるんだけど……元を知ってるからなんかなぁ」
中身は淡白で機械的な口調で気位が高く、地球人を見下しまくっている宇宙人。
それが、そこそこのイケメンに変身。
じっとそのイケメン姿を見てると、騙されそうになるので視線を森へ向ける。
「えっと、私はどうしよっかなぁ? リアンと一緒に居ても役に立たないし、エイについて行ってもいい? 他の惑星の人とかに会ってみたいし」
こう尋ねると、エイは良いと言ってくれたけど、リアンが反対の声を上げた。
「ああ、別に構わないよ」
「エイ、それは得策ではない。ここは『魔法型惑星』だ」
「だけど、ここにユニを残しておくと、君の作業の邪魔になるんじゃないか? 彼女の性格からして、退屈を紛らわす術は未熟だと思うし」
何やらひどい言われような気がするけど、二人の会話の中にすっごく気になる一文が混ざっていた。それに対して私はかぶりつくように声を飛ばす。
「待って! いま、『魔法型惑星』って言ったよね? 何それ?」
「そのままの意味だよ。ここは俺たちとは違い、科学じゃなくて魔法を基軸とした文明圏なんだ」
「え、本当!? 魔法!? それって、ファンタジーな感じ? 剣と魔法の世界みたいな!」
「うん、そう」
「え、え、うっそ! 絶対、私エイについていく! 嫌だって言ってもついていくからね!」
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