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第十四章 ボディボディボディ……体と心
続・色気のある風呂回
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目を開くと、ちょうど彼女たちは体を洗い終えたところのようで、暖かな温泉が満たされた岩風呂へやってきた。
みんなはタオル一枚もなく、無防備な姿を見せている。
当然といえば当然だけど、いよいよ目のやり場に困る。
でも、ちょっと興味があるので、視線をちょろり。
アプフェルが足を少し上げて、お風呂に入ろうとしていた。
このままでは色々見えてしまうので慌てて首を捻る。
その勢いで筋を痛めた。
「いったっ。もう~」
「何やってんの、ヤツハ?」
「何やってるって、お前が~。何でもないよっ」
「なんなの?」
眉を顰めるアプフェルの傍を通り抜けて、パティが風呂に浸かり話しかけてきた。
「ヤツハさん、体はしっかり洗ったんですの? 少々、洗うのが早すぎではありませんか?」
「ちゃんと洗ってるよ。お前らみたいにあんまり丁寧にゴシゴシしてたら、逆に肌痛めるって」
「そのようなことは……でも」
パティは俺の肩筋をツーっと指で撫でる。
「ひゃっ、何?」
「ヤツハさんの艶やかな肌を見ると、あまり磨かない方が良いのかしら?」
「もう、いきなり触んなよ。びっくりするじゃん」
俺はササッと距離を取り、両手で肩を抱く。
「あら、ごめんなさい。でも、同じ女性同士。そこまで警戒しなくても」
「別に警戒してるとかじゃなくて、ひゃっ!?」
誰かが背中をツーっとなぞる。
「誰っ? って、アプフェルかっ」
「う~ん、ほんと、肌綺麗。素直に嫉妬かも」
俺はアプフェルからも距離を取る。
そこへどんぶらこ~っと、大きな桶に入ったアマンが流れてきた。
「お二人とも、お肌が気になるようでしたら、この温泉は最適ですよ」
「ん、どういうこと?」
「アマンさんは温泉の効能にお詳しいんですの?」
「はい。この炭酸水素塩泉は肌触りの良さを楽しめて、血行を良くします。体の汚れを浮かせて落としやすい。そして、なんといってもお肌にいい。つるつるのお肌を手に入れるにはもってこいなんですよ。美肌の湯なんて言われますからね」
「ほんとに。じゃ、たっぷりとつからないと!」
「ええ、そうですわね!」
二人は肩までしっかりと体を沈め、綺麗になれ綺麗になれと唱えながらお湯で手足を擦っている。
俺はお湯の入った桶に浸かるアマンに顔を向けて、今のアマンの状態を尋ねた。
「なんで、桶なんかに入ってるの?」
「人間さん専用のお風呂は、私では足が届きませんから」
「ああ、それで」
「温泉の雰囲気を味わえないのは残念ですけど、これでも体は暖まりますからねぇ。ふぁ~あ」
アマンは顎を桶の縁に置いて、大きな舌を伸ばして欠伸を上げた。
伸びた舌をキュッと摘まんでいたずらしたくなるけど、我慢我慢。
視線をみんなから外して、男湯との敷居壁へ目を向ける。
壁の向こうにはフォレがいる……ちょっとした悪だくみが浮かぶ。
「フォレは一人で寂しいだろうね。ククッ、ここで向こうに聞こえるくらいの大きな声で胸の話とかしたら、フォレさんはもう、大変なことになるんじゃっ」
ニヤリと笑みを浮かべる俺に、アプフェルが呆れ声混じりにたしなめてきた。
「ヤツハ~、やめなさいよ。フォレ様もお疲れなんだから、変なことしない」
「いや、むしろ元気になるんじゃ。主に……」
「ヤツハ!」
アプフェルはザバリと上半身を湯船から出して、お湯を含んだ耳と尻尾を尖らせてくる。
露出されたこじんまりとした胸を前に、完全に目のやり場を失った俺は反省する振りをして視線を湯に向ける。
するとそこに、パティが悪乗りしてアプフェルを煽り始めた。
「ふふ、胸の話はアプフェルさんにとって鬼門ですからねぇ。だから、お嫌なんでしょう」
「パティ~、表に出ろ!」
「お断りしますわ。湯冷めしてしまいますし」
「ふ~ん、無駄にデカい胸のせいで体が重いから立てないのかな~?」
「む、胸はともかく、体が重いとは聞き捨てになりませんわね」
「だって、私より重いじゃん」
「それはあなたより身長もありますし、何よりもアプフェルさんのご指摘通り、胸の分もありますからね!」
「この~、表に出ろ!」
二人は互いに体重と胸の大きさを罵り合う。
俺とアマンはそれを呆れ顔で見守る。
「結局、フォレに胸の話聞こえてるんじゃ……」
「どうでしょうかねぇ。敷居の壁は高く、分厚そうなのであの程度なら大丈夫なのでは?」
「そっか。じゃあ、フォレにいたずらしようと思ったら、バカみたいな大声で胸の話しなきゃならないんだ。それだと、やってる方がバカっぽくてやる気も起きないな」
「まだ、いたずらする気だったんですか?」
「面白そうなんでね」
「まったく、わんぱくな男の子みたいですよ」
「そう?」
「ええ。ですが、胸の方は全然違いますけど」
そう言いながら、アマンは俺の胸にもみゅっと肉球を置く。
「ふむ、パティさんほどではありませんが、ヤツハさんも結構大きいですね」
「うん……最近もちょっと大きくなってるみたいでさ、走るとき邪魔なんだよね」
「それ、アプフェルの耳に届いたら、牙むき出しで噛みつかれますよ」
「聞こえてるよ……」
「え、ア、アプフェル?」
アプフェルは力なくうな垂れて、湯船に沈みつつ、涙なしでは語れない独白を行う。
「なんで、私だけ……お姉ちゃんやお母さんは大きいのに。おくわぁしくない、こんな、ゴボ、あばぶぼばべがぼぼ」
「おい、沈むなっ。溺れるぞ!」
「だったらっ、大きくなる方法教えろ!!」
海面から飛び出すサメの勢いで俺に噛みついてくる。
牙に恐れた俺がとっさに口にした答えは?
「も、揉むと大きくなるらしいよ」
「もう、揉んでるっ。マッサージしてるの、毎日っ!」
この告白に俺たち三人は心の中で、「うわ~」と同情する以外ない……。
アプフェルはギラリとした眼光とともに、こちらへ振り向く。
「ヤツハ~」
「な、何でしょうか?」
「揉ませて」
「はっ?」
「どうやったら、そんなに大きくなるか、その秘密がそこに、ふへへへ」
「お前、目がヤバい。湯あたりしてんじゃねぇのか? てか、揉むならパティの方が大きいって、パティっ?」
パティはすでに距離を置いて、安全圏で俺たちを見守っている。
その隣にはアマンも。
「アプフェルさん。そこまでお悩みだったとは」
「憐れを通り越して、なんと言えばいいんでしょうね」
「お前らぁ~」
「ヤツハ~、ゲットっ!」
「ひっ、やめろやっ」
「ふへへ、よいではないか、よいではないか」
「ひゃふっ。やめろってのっ。や、ひくっ」
アプフェルの指使いは巧みで、胸にこそばゆくも悦を感じさせてくる。
「あう、はん」
「ふへへ、やわらか~い」
「やっ……だめって、も、もう!」
「それそれそれ」
「あん、くふっ」
このまま揉み続けられたら、女としてか男としてかわからんが色々駄目な場所に行ってしまいそう。
そんな場所に行きたくないので、俺は大声で突き放すように言葉をぶつけた。
「もうやめろって! 俺の揉んでもお前のは大きくならねぇよっ!」
「えっ……」
アプフェルの瞳から光が消えていく。
パティとアマンはやらかしたなぁって感じで、こちらから目を逸らす。
俺は急ぎ、フォローに入る。
「アプフェル。落ち着いて聞いてくれ。別にお前の胸をバカにしたわけじゃ」
「うわ~ん、また私の胸のこと言ったぁ! もう、許さない!」
彼女は指先にさらなる力を籠めて、俺の胸を揉みしだこうとした。
そこへ天の声が助けに入る。
みんなはタオル一枚もなく、無防備な姿を見せている。
当然といえば当然だけど、いよいよ目のやり場に困る。
でも、ちょっと興味があるので、視線をちょろり。
アプフェルが足を少し上げて、お風呂に入ろうとしていた。
このままでは色々見えてしまうので慌てて首を捻る。
その勢いで筋を痛めた。
「いったっ。もう~」
「何やってんの、ヤツハ?」
「何やってるって、お前が~。何でもないよっ」
「なんなの?」
眉を顰めるアプフェルの傍を通り抜けて、パティが風呂に浸かり話しかけてきた。
「ヤツハさん、体はしっかり洗ったんですの? 少々、洗うのが早すぎではありませんか?」
「ちゃんと洗ってるよ。お前らみたいにあんまり丁寧にゴシゴシしてたら、逆に肌痛めるって」
「そのようなことは……でも」
パティは俺の肩筋をツーっと指で撫でる。
「ひゃっ、何?」
「ヤツハさんの艶やかな肌を見ると、あまり磨かない方が良いのかしら?」
「もう、いきなり触んなよ。びっくりするじゃん」
俺はササッと距離を取り、両手で肩を抱く。
「あら、ごめんなさい。でも、同じ女性同士。そこまで警戒しなくても」
「別に警戒してるとかじゃなくて、ひゃっ!?」
誰かが背中をツーっとなぞる。
「誰っ? って、アプフェルかっ」
「う~ん、ほんと、肌綺麗。素直に嫉妬かも」
俺はアプフェルからも距離を取る。
そこへどんぶらこ~っと、大きな桶に入ったアマンが流れてきた。
「お二人とも、お肌が気になるようでしたら、この温泉は最適ですよ」
「ん、どういうこと?」
「アマンさんは温泉の効能にお詳しいんですの?」
「はい。この炭酸水素塩泉は肌触りの良さを楽しめて、血行を良くします。体の汚れを浮かせて落としやすい。そして、なんといってもお肌にいい。つるつるのお肌を手に入れるにはもってこいなんですよ。美肌の湯なんて言われますからね」
「ほんとに。じゃ、たっぷりとつからないと!」
「ええ、そうですわね!」
二人は肩までしっかりと体を沈め、綺麗になれ綺麗になれと唱えながらお湯で手足を擦っている。
俺はお湯の入った桶に浸かるアマンに顔を向けて、今のアマンの状態を尋ねた。
「なんで、桶なんかに入ってるの?」
「人間さん専用のお風呂は、私では足が届きませんから」
「ああ、それで」
「温泉の雰囲気を味わえないのは残念ですけど、これでも体は暖まりますからねぇ。ふぁ~あ」
アマンは顎を桶の縁に置いて、大きな舌を伸ばして欠伸を上げた。
伸びた舌をキュッと摘まんでいたずらしたくなるけど、我慢我慢。
視線をみんなから外して、男湯との敷居壁へ目を向ける。
壁の向こうにはフォレがいる……ちょっとした悪だくみが浮かぶ。
「フォレは一人で寂しいだろうね。ククッ、ここで向こうに聞こえるくらいの大きな声で胸の話とかしたら、フォレさんはもう、大変なことになるんじゃっ」
ニヤリと笑みを浮かべる俺に、アプフェルが呆れ声混じりにたしなめてきた。
「ヤツハ~、やめなさいよ。フォレ様もお疲れなんだから、変なことしない」
「いや、むしろ元気になるんじゃ。主に……」
「ヤツハ!」
アプフェルはザバリと上半身を湯船から出して、お湯を含んだ耳と尻尾を尖らせてくる。
露出されたこじんまりとした胸を前に、完全に目のやり場を失った俺は反省する振りをして視線を湯に向ける。
するとそこに、パティが悪乗りしてアプフェルを煽り始めた。
「ふふ、胸の話はアプフェルさんにとって鬼門ですからねぇ。だから、お嫌なんでしょう」
「パティ~、表に出ろ!」
「お断りしますわ。湯冷めしてしまいますし」
「ふ~ん、無駄にデカい胸のせいで体が重いから立てないのかな~?」
「む、胸はともかく、体が重いとは聞き捨てになりませんわね」
「だって、私より重いじゃん」
「それはあなたより身長もありますし、何よりもアプフェルさんのご指摘通り、胸の分もありますからね!」
「この~、表に出ろ!」
二人は互いに体重と胸の大きさを罵り合う。
俺とアマンはそれを呆れ顔で見守る。
「結局、フォレに胸の話聞こえてるんじゃ……」
「どうでしょうかねぇ。敷居の壁は高く、分厚そうなのであの程度なら大丈夫なのでは?」
「そっか。じゃあ、フォレにいたずらしようと思ったら、バカみたいな大声で胸の話しなきゃならないんだ。それだと、やってる方がバカっぽくてやる気も起きないな」
「まだ、いたずらする気だったんですか?」
「面白そうなんでね」
「まったく、わんぱくな男の子みたいですよ」
「そう?」
「ええ。ですが、胸の方は全然違いますけど」
そう言いながら、アマンは俺の胸にもみゅっと肉球を置く。
「ふむ、パティさんほどではありませんが、ヤツハさんも結構大きいですね」
「うん……最近もちょっと大きくなってるみたいでさ、走るとき邪魔なんだよね」
「それ、アプフェルの耳に届いたら、牙むき出しで噛みつかれますよ」
「聞こえてるよ……」
「え、ア、アプフェル?」
アプフェルは力なくうな垂れて、湯船に沈みつつ、涙なしでは語れない独白を行う。
「なんで、私だけ……お姉ちゃんやお母さんは大きいのに。おくわぁしくない、こんな、ゴボ、あばぶぼばべがぼぼ」
「おい、沈むなっ。溺れるぞ!」
「だったらっ、大きくなる方法教えろ!!」
海面から飛び出すサメの勢いで俺に噛みついてくる。
牙に恐れた俺がとっさに口にした答えは?
「も、揉むと大きくなるらしいよ」
「もう、揉んでるっ。マッサージしてるの、毎日っ!」
この告白に俺たち三人は心の中で、「うわ~」と同情する以外ない……。
アプフェルはギラリとした眼光とともに、こちらへ振り向く。
「ヤツハ~」
「な、何でしょうか?」
「揉ませて」
「はっ?」
「どうやったら、そんなに大きくなるか、その秘密がそこに、ふへへへ」
「お前、目がヤバい。湯あたりしてんじゃねぇのか? てか、揉むならパティの方が大きいって、パティっ?」
パティはすでに距離を置いて、安全圏で俺たちを見守っている。
その隣にはアマンも。
「アプフェルさん。そこまでお悩みだったとは」
「憐れを通り越して、なんと言えばいいんでしょうね」
「お前らぁ~」
「ヤツハ~、ゲットっ!」
「ひっ、やめろやっ」
「ふへへ、よいではないか、よいではないか」
「ひゃふっ。やめろってのっ。や、ひくっ」
アプフェルの指使いは巧みで、胸にこそばゆくも悦を感じさせてくる。
「あう、はん」
「ふへへ、やわらか~い」
「やっ……だめって、も、もう!」
「それそれそれ」
「あん、くふっ」
このまま揉み続けられたら、女としてか男としてかわからんが色々駄目な場所に行ってしまいそう。
そんな場所に行きたくないので、俺は大声で突き放すように言葉をぶつけた。
「もうやめろって! 俺の揉んでもお前のは大きくならねぇよっ!」
「えっ……」
アプフェルの瞳から光が消えていく。
パティとアマンはやらかしたなぁって感じで、こちらから目を逸らす。
俺は急ぎ、フォローに入る。
「アプフェル。落ち着いて聞いてくれ。別にお前の胸をバカにしたわけじゃ」
「うわ~ん、また私の胸のこと言ったぁ! もう、許さない!」
彼女は指先にさらなる力を籠めて、俺の胸を揉みしだこうとした。
そこへ天の声が助けに入る。
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