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第八章 聖槍を手にした女性騎士
第73話 今は分かり合えなくても、きっと
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ガラガラと、ガラガラと、車輪が回る音が響く……。
整地されていない細道を歩む荷馬車。
回る車輪に合わせてガタガタと荷台は揺れて、雲一つない空は春の終わり告げる突き刺すような日差しを肌へ届ける。
チリチリと肌を焼く感覚。そして、不快な匂い。
水が腐り落ちた悪臭に鼻腔の奥を刺激されて、彼女は閉じていた瞳をゆっくりと開けた。
瞼の羽織を失った瞳を容赦なく太陽が灼く。
それに、彼女は呻き声を一つ上げた。
「う……ここは?」
「荷台の上だ、シュルマ」
「――っ!? その声は、魔王アルラ!?」
声に驚き、右手をついて上半身を起こそうとする。しかし、すぐに痛みが全身を駆け抜け、彼女は苦痛に顔を歪めた。
「ぐぅぅ」
「無理をするな。脊椎の一部を損傷したのだからな」
「脊椎? ……そうか、私は、あなたに敗れたのですね」
シュルマは仰向けになり、虚空を見つめる。
そして、槍を突き出した瞬間のことを思い出そうとしてるようだが、すぐに眉をひそめた。
あの時の情景を思い浮かべようとしても、それがままならないようだ。
「くっ、何が起こったかさえわからない、いつっ」
「あまり動くな。治療は済み、後遺症もないが、まだ完全ではない。もっとも、抵抗できぬようにわざと完全ではないのだが。槍もツキフネが預かっているしな」
「治療!? 敵である私を!? 情けでもかけた――えっ!?」
彼女は痛みに塗れる体を無理やり起こして、荷台の傍を歩く私へ顔を向けた。
だが、私の顔を見て驚いた表情を見せる。
「な、なんですか、その顔は? 青痣? まるで、殴られた痕のようですか?」
「ああ、まさにその通りだ。カリンとツキフネとヤエイにな。肉の壁にされたことを怒っているようで、こちらが身動きできないうちに一発ずつ殴られた……酷い話だ」
「それはこっちのセリフ! 一発で済ませてあげたんだからね!」
「人の命を道具のように使っておいて何を言っているんだ?」
「本来ならおぬしに再生魔法を掛けて、ぐっさぐっさに刺して生き地獄味わわせてやりたかったぞ!」
「ぐっさぐっさはさておき、とりあえず治癒魔法を掛けてこの怪我――」
「ならん! しばし、痛みに苛まれるがよいわ!」
私は三人娘から顔をシュルマへ戻す。
「というわけで、この顔だ」
「…………何なんですか、あなたたちは? いや、そんなことはどうでもいい! 何故、私を助けたのです?」
「助けたのはカリンだ」
そう言って、私はシュルマの視線をカリンへと促す。
シュルマはカリンへ問う。
「あなたが私を? 何故? 私は教会騎士。影の民を狩る者ですよ。あなたたち影の民からすれば怨みこそあれど、助ける理由などないはず? それを何故?」
「まぁ、そうだけどさ。でも、あのまま放置してお魚さんのご飯にするのもちょっとと思って」
「放置すればよいでしょう? 何故?」
「何故、何故と言われても……そうだねぇ、リディを助けてくれたお礼、かな?」
「リディ? ああ、半魔の少女のことですか」
「そっ。で、誰かを助けられる人だから、もしかしたら話せば分かり合える人かもって思ったの」
「馬鹿馬鹿しい、教会騎士である私と影の民がわかり合えるなんて!」
「シュルマさんは教会騎士でも偉い人なんでしょ? だったら、影の民のことに詳しいよね? 本当はあなたたちの敵じゃないって」
「……たしかに、あなたたちはこの世界のために戦った存在。ですが、そうであっても、あなたたちの存在は危険です!」
「私たちの知識や技術が怖い?」
「ええ、星々を渡るほどの知識。世界を滅ぼすことのできる技術。そのような存在、放置して置けるはずもない。再び力を取り戻す前に、狩りつくさないと」
「その心配はないんだけどね。もう、私たちにそんな技術は残ってない。知識の継承もまともにできてないし」
「そのような話、信じられますか!?」
「はぁ、そう簡単には信じてくれないか……」
いきり立つシュルマとは対照的に、カリンは終始冷静に言葉を発する。
その対比に気づいたシュルマは荒ぶる感情を落ち着けようと呼吸を深く行う。
しかし、そこで喉を詰まらせた。
「す~、ぐっ!? ゴホンゴホン」
「ああ、気をつけて。この辺り臭いから」
「そう言えば、先程から妙な匂いが? 一体どこを進んで――なっ!?」
ここで初めてシュルマは、周囲の風景に意識を飛ばした。
周りは黒緑色の沼地。沼地からは絶えずガスが発生しており、ぽこりぽこりと粘性を帯びた泡が膨らんでは弾けている。
私たちはその沼地を縫うように存在する、か細い道を歩いていた。
シュルマは疑問を漏らし、それに私が答える。
「ここは、一体?」
「乾いた大地の先にある穢れた沼だ」
「穢れた沼? あの、勇者ティンダルたちが眠る、まほろば峡谷の前に広がる沼ですか?」
「その通りだ」
「あなたたちはなぜ、そこへ向かうのです?」
「さてな……」
私はちらりとカリンを見た。
するとカリンは肩を竦めて、別に構わないやというような態度を取り、自分の夢を語る。
居場所のない人々に居場所を作り、国を産み出すという夢を。
それを聞いたシュルマは全力でカリンの夢を否定した。
「なんとふざけたことを!! 新たに国を作るとは!? しかも、影の民の国を!?」
「いや、別に影の民だけの国じゃないんだけど。人間や魔族が支配する世界で居場所を失った人々が集まれる場所を作りたいだけで」
「同じことです! そのような場所が誕生すれば、影の民が集まるでしょう!!」
「それはそうだけど、さっきも言ったけど、もう私たちにあなたたちを脅かすほどの力は残されてないよ」
「信じられません!」
「まぁ、それは平行線だよね。ともかく、いま話したことが私の夢。そのためにはどんなことだってやる覚悟を決めた。誰にも邪魔もさせないってね」
「誰にも……私を殺すのですか?」
「まさか、そのつもりなら乾いた大地に置いてきてる。あなたを連れてきたのは、私たちのことを良く知ってほしかっただけ。でも、その調子だと無理そうだね。だから……ここでお別れかな」
貫太郎が足を止めて、荷台の揺れも止まる。
ツキフネが荷台の後部に立ち、シュルマへ槍を差し出す。
「シュルマ、荷台から降りろ。そして、槍を受け取れ」
これにシュルマは訝しがりながらも荷台から降り、ツキフネから槍を奪い取るかのように取り上げた。
「ツキフネ、何を企んでいるのですか?」
「別に。ただ、立ち去って欲しいだけだ。本調子ではないとはいえ、お前ならその身体でも十分ひやおろしまで戻ることができるだろう」
「私を、見逃すというのですか?」
「カリンの判断だ。私はそれに従うまでだ」
「影の民の?」
シュルマはカリンを睨みつける
「何のつもりなんです? 憐憫ですか!?」
「そうじゃない。あなたが私の敵じゃないからだよ」
「敵ではないと? 何を言っているのです? 私は敵です。あなたたちを狩り続けてきた敵ですよ? あなたの同胞である影の民の命を幾重にも奪ってきた! そうであるのに、敵ではないというのですか!?」
「たしかに、それはとても悲しいこと。それだけを見つめれば、心は憎しみに焦がされる。でも、見つめるべき敵はそこじゃない。本当の敵は……誤った認識。影の民が恐ろしい敵であるという認識が敵なの」
「あ、あなたは! 教会の教えを否定するというのですか!?」
「全てを否定する気はないよ。良い教えもいっぱいあるもの。でも、誰かに憎しみを抱けという教えは間違っている。それについては、断固否定する」
「こ、この……」
「まぁ、今すぐ分かり合えないというのはわかったし、今日はそれでいいかな。それじゃ、シュルマさん。次、会うときは、ゆっくりと話せる場所で会えるといいね」
カリンが貫太郎の首元を撫でると、荷台は動き始めた。
それに合わせて、私たちも歩く。
私はカリンへ一言漏らす。
「止めを刺しておくべきだと思うがね」
「それについてはシュルマさんが寝ている間に結論を出したじゃん。たぶんだけど、あの人なら分かり合える日が来そうな気がするんだよね」
「たぶん、か……何とも頼りがいのある言葉だ」
「はいはい、皮肉を言ってないで歩く。さっさとここから離れないと臭くて鼻が馬鹿になっちゃうからね」
――――シュルマ
離れ行く荷台とカリンたち。
シュルマはそれを立ち尽くしたまま、星の輝きを封じた黒の瞳でじっと見つめる。
(何なんですか、この人たちは? いや、カリンという少女は? 私が敵ではない? ふざけたことを!! 何が、本当の敵は誤った認識ですか!! 教会の教えの否定など絶対に赦されない!! ですが……)
星天の教会騎士シュルマは知っている。
影の民がこの世界に尽力してくれたことを……。
教会の教えは影の民を恐れるがあまりに生まれた誤った認識であることを……。
「影の民に対する恐れによって記された教え……そうであっても、この世界を守るために必要な教えです。影の民はあまりにも巨大すぎる。ですが、罪はない……」
シュルマの足先がひやおろしへ、その遥か東にある王都へ向くが……。
(このまま立ち去り、報告すべきでしょうか? 魔王アルラに与する影の民が国を生もうとしていると。それとも……)
足先は西へ向く。
「いえ、あれらは虚言かもしれません。影の民の真の目的がわからぬ以上、監視すべきでしょう。私を敵ではないというのでしたら、傍での監視も可能のはず……カリン――あなたの夢とやらを監視させてもらうとしましょう」
整地されていない細道を歩む荷馬車。
回る車輪に合わせてガタガタと荷台は揺れて、雲一つない空は春の終わり告げる突き刺すような日差しを肌へ届ける。
チリチリと肌を焼く感覚。そして、不快な匂い。
水が腐り落ちた悪臭に鼻腔の奥を刺激されて、彼女は閉じていた瞳をゆっくりと開けた。
瞼の羽織を失った瞳を容赦なく太陽が灼く。
それに、彼女は呻き声を一つ上げた。
「う……ここは?」
「荷台の上だ、シュルマ」
「――っ!? その声は、魔王アルラ!?」
声に驚き、右手をついて上半身を起こそうとする。しかし、すぐに痛みが全身を駆け抜け、彼女は苦痛に顔を歪めた。
「ぐぅぅ」
「無理をするな。脊椎の一部を損傷したのだからな」
「脊椎? ……そうか、私は、あなたに敗れたのですね」
シュルマは仰向けになり、虚空を見つめる。
そして、槍を突き出した瞬間のことを思い出そうとしてるようだが、すぐに眉をひそめた。
あの時の情景を思い浮かべようとしても、それがままならないようだ。
「くっ、何が起こったかさえわからない、いつっ」
「あまり動くな。治療は済み、後遺症もないが、まだ完全ではない。もっとも、抵抗できぬようにわざと完全ではないのだが。槍もツキフネが預かっているしな」
「治療!? 敵である私を!? 情けでもかけた――えっ!?」
彼女は痛みに塗れる体を無理やり起こして、荷台の傍を歩く私へ顔を向けた。
だが、私の顔を見て驚いた表情を見せる。
「な、なんですか、その顔は? 青痣? まるで、殴られた痕のようですか?」
「ああ、まさにその通りだ。カリンとツキフネとヤエイにな。肉の壁にされたことを怒っているようで、こちらが身動きできないうちに一発ずつ殴られた……酷い話だ」
「それはこっちのセリフ! 一発で済ませてあげたんだからね!」
「人の命を道具のように使っておいて何を言っているんだ?」
「本来ならおぬしに再生魔法を掛けて、ぐっさぐっさに刺して生き地獄味わわせてやりたかったぞ!」
「ぐっさぐっさはさておき、とりあえず治癒魔法を掛けてこの怪我――」
「ならん! しばし、痛みに苛まれるがよいわ!」
私は三人娘から顔をシュルマへ戻す。
「というわけで、この顔だ」
「…………何なんですか、あなたたちは? いや、そんなことはどうでもいい! 何故、私を助けたのです?」
「助けたのはカリンだ」
そう言って、私はシュルマの視線をカリンへと促す。
シュルマはカリンへ問う。
「あなたが私を? 何故? 私は教会騎士。影の民を狩る者ですよ。あなたたち影の民からすれば怨みこそあれど、助ける理由などないはず? それを何故?」
「まぁ、そうだけどさ。でも、あのまま放置してお魚さんのご飯にするのもちょっとと思って」
「放置すればよいでしょう? 何故?」
「何故、何故と言われても……そうだねぇ、リディを助けてくれたお礼、かな?」
「リディ? ああ、半魔の少女のことですか」
「そっ。で、誰かを助けられる人だから、もしかしたら話せば分かり合える人かもって思ったの」
「馬鹿馬鹿しい、教会騎士である私と影の民がわかり合えるなんて!」
「シュルマさんは教会騎士でも偉い人なんでしょ? だったら、影の民のことに詳しいよね? 本当はあなたたちの敵じゃないって」
「……たしかに、あなたたちはこの世界のために戦った存在。ですが、そうであっても、あなたたちの存在は危険です!」
「私たちの知識や技術が怖い?」
「ええ、星々を渡るほどの知識。世界を滅ぼすことのできる技術。そのような存在、放置して置けるはずもない。再び力を取り戻す前に、狩りつくさないと」
「その心配はないんだけどね。もう、私たちにそんな技術は残ってない。知識の継承もまともにできてないし」
「そのような話、信じられますか!?」
「はぁ、そう簡単には信じてくれないか……」
いきり立つシュルマとは対照的に、カリンは終始冷静に言葉を発する。
その対比に気づいたシュルマは荒ぶる感情を落ち着けようと呼吸を深く行う。
しかし、そこで喉を詰まらせた。
「す~、ぐっ!? ゴホンゴホン」
「ああ、気をつけて。この辺り臭いから」
「そう言えば、先程から妙な匂いが? 一体どこを進んで――なっ!?」
ここで初めてシュルマは、周囲の風景に意識を飛ばした。
周りは黒緑色の沼地。沼地からは絶えずガスが発生しており、ぽこりぽこりと粘性を帯びた泡が膨らんでは弾けている。
私たちはその沼地を縫うように存在する、か細い道を歩いていた。
シュルマは疑問を漏らし、それに私が答える。
「ここは、一体?」
「乾いた大地の先にある穢れた沼だ」
「穢れた沼? あの、勇者ティンダルたちが眠る、まほろば峡谷の前に広がる沼ですか?」
「その通りだ」
「あなたたちはなぜ、そこへ向かうのです?」
「さてな……」
私はちらりとカリンを見た。
するとカリンは肩を竦めて、別に構わないやというような態度を取り、自分の夢を語る。
居場所のない人々に居場所を作り、国を産み出すという夢を。
それを聞いたシュルマは全力でカリンの夢を否定した。
「なんとふざけたことを!! 新たに国を作るとは!? しかも、影の民の国を!?」
「いや、別に影の民だけの国じゃないんだけど。人間や魔族が支配する世界で居場所を失った人々が集まれる場所を作りたいだけで」
「同じことです! そのような場所が誕生すれば、影の民が集まるでしょう!!」
「それはそうだけど、さっきも言ったけど、もう私たちにあなたたちを脅かすほどの力は残されてないよ」
「信じられません!」
「まぁ、それは平行線だよね。ともかく、いま話したことが私の夢。そのためにはどんなことだってやる覚悟を決めた。誰にも邪魔もさせないってね」
「誰にも……私を殺すのですか?」
「まさか、そのつもりなら乾いた大地に置いてきてる。あなたを連れてきたのは、私たちのことを良く知ってほしかっただけ。でも、その調子だと無理そうだね。だから……ここでお別れかな」
貫太郎が足を止めて、荷台の揺れも止まる。
ツキフネが荷台の後部に立ち、シュルマへ槍を差し出す。
「シュルマ、荷台から降りろ。そして、槍を受け取れ」
これにシュルマは訝しがりながらも荷台から降り、ツキフネから槍を奪い取るかのように取り上げた。
「ツキフネ、何を企んでいるのですか?」
「別に。ただ、立ち去って欲しいだけだ。本調子ではないとはいえ、お前ならその身体でも十分ひやおろしまで戻ることができるだろう」
「私を、見逃すというのですか?」
「カリンの判断だ。私はそれに従うまでだ」
「影の民の?」
シュルマはカリンを睨みつける
「何のつもりなんです? 憐憫ですか!?」
「そうじゃない。あなたが私の敵じゃないからだよ」
「敵ではないと? 何を言っているのです? 私は敵です。あなたたちを狩り続けてきた敵ですよ? あなたの同胞である影の民の命を幾重にも奪ってきた! そうであるのに、敵ではないというのですか!?」
「たしかに、それはとても悲しいこと。それだけを見つめれば、心は憎しみに焦がされる。でも、見つめるべき敵はそこじゃない。本当の敵は……誤った認識。影の民が恐ろしい敵であるという認識が敵なの」
「あ、あなたは! 教会の教えを否定するというのですか!?」
「全てを否定する気はないよ。良い教えもいっぱいあるもの。でも、誰かに憎しみを抱けという教えは間違っている。それについては、断固否定する」
「こ、この……」
「まぁ、今すぐ分かり合えないというのはわかったし、今日はそれでいいかな。それじゃ、シュルマさん。次、会うときは、ゆっくりと話せる場所で会えるといいね」
カリンが貫太郎の首元を撫でると、荷台は動き始めた。
それに合わせて、私たちも歩く。
私はカリンへ一言漏らす。
「止めを刺しておくべきだと思うがね」
「それについてはシュルマさんが寝ている間に結論を出したじゃん。たぶんだけど、あの人なら分かり合える日が来そうな気がするんだよね」
「たぶん、か……何とも頼りがいのある言葉だ」
「はいはい、皮肉を言ってないで歩く。さっさとここから離れないと臭くて鼻が馬鹿になっちゃうからね」
――――シュルマ
離れ行く荷台とカリンたち。
シュルマはそれを立ち尽くしたまま、星の輝きを封じた黒の瞳でじっと見つめる。
(何なんですか、この人たちは? いや、カリンという少女は? 私が敵ではない? ふざけたことを!! 何が、本当の敵は誤った認識ですか!! 教会の教えの否定など絶対に赦されない!! ですが……)
星天の教会騎士シュルマは知っている。
影の民がこの世界に尽力してくれたことを……。
教会の教えは影の民を恐れるがあまりに生まれた誤った認識であることを……。
「影の民に対する恐れによって記された教え……そうであっても、この世界を守るために必要な教えです。影の民はあまりにも巨大すぎる。ですが、罪はない……」
シュルマの足先がひやおろしへ、その遥か東にある王都へ向くが……。
(このまま立ち去り、報告すべきでしょうか? 魔王アルラに与する影の民が国を生もうとしていると。それとも……)
足先は西へ向く。
「いえ、あれらは虚言かもしれません。影の民の真の目的がわからぬ以上、監視すべきでしょう。私を敵ではないというのでしたら、傍での監視も可能のはず……カリン――あなたの夢とやらを監視させてもらうとしましょう」
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