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第7章 絶対強者
感染する呪い
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ドクン ドクン ドクン
カンナの体を流れる負の力を乗せた「気」が全身を脈動させる。
その眼は紅に染まり、頭部からは鬼を彷彿とさせる角が一本伸び始めている。
間違いなく千石と同じ鬼化の症状だ。
アンリに記憶を消されているので本人は知る由はないのだが、千石の負の感情を刃に固めた『怨嗟の刃』に貫かれたカンナの腹部は、傷こそ完治されていたものの強力な負の感情は染みついたまま、じわじわと体を侵食していたのだ。
本来であれば刃に込められた負の感情に蝕まれるはずが、カンナの内に潜む『復讐心』という大きな負の力と共鳴してしまった怨嗟の刃は今、肥大した復讐心を起爆剤に発動した。
憎悪がカンナの刀を覆い、千石の時と同じく赤黒い色へと変色する。その様をみていたユウマは本来ありえぬ事態に困惑していた。
(訳が分からん。あれは鬼導禁忌術式・怨嗟の刃…だが姿形が変わるのは聞いたことがないぞ。そもそもなぜ魔術師であるカンナが禁忌術式を使える?魔術回路を持っていながら古術は使えないはずだが)
混乱しているユウマをよそに、カンナはゆっくりとした動きで自分の腕、足、そして手に持つ刀を見ながら体を動かして感覚を確かめている。まるで何者かがカンナの体を乗っ取り、動かそうとしているかのようだ。
すっと刀を鞘にしまうカンナ。
その様子を警戒してみていたユウマ。この異常な状況に一瞬たりとも目を離してはいけない、そう思っていた。本能がそう警告していた。
「設楽流」
にもかかわらず、刹那の内にカンナは眼前に立ちはだかる。
「逆巻抜刀」
ドッという衝撃と共に気が付けば遠く吹き飛ばされるユウマ。
逆手による超高速抜刀の前に刀を立てて防ぐので精いっぱいであった。
(嘘だろ、ただ納刀して突っ立っている状態から、抜刀の構えでいきなり眼前に現れるなんて冗談みたいな動き、まさか武刃漆門はまだ生きているのか)
「設楽流」
「!?」
まだ地に足つかぬ間に背後から聞こえる声。なんとカンナはユウマの落下地点ですでに刀を構えている。
(これはもう、人間じゃない!!)
「縷々天星」
「死屍連斬!」
目にもとまらぬ無数の突きを屍操葬と剣技で対応するユウマ。
武刃漆門を使った身体強化を武器に高速の突きを放つ設楽流・百花繚乱に四重一刀を使ったカンナオリジナルの縷々天星。
まさに夜空に輝く星がごとく無数の突きを、鬼化の影響でさらに恐ろしい技へと昇華させている。人の身であるユウマにこれを防ぎきるすべはない。
「ぐ、ぉぉおおおおおおおおお!!」
さらに骨を増やし対抗するも、ことごとく破壊されていく。
きぃいいいいいいいん
すべての屍を破壊され、その刃はユウマの首筋にあてられる。小さく震える刃が耳障りな嫌な音を立てユウマを威嚇している。
「なぜ、とどめを刺さない…いや?カンナではないな。おまえは誰だ?」
顔を上げカンナを見る。その眼を見た瞬間、ユウマの背筋にはぞっとするような嫌な鳥肌が全身を走る。
多少鬼化が進み変化はしているが見た目はカンナだ。だがはっきりとわかる。目の前のコレはカンナではない。
「あは、さすがお兄さん。確かにさっきまで戦っていたカンナではないけど、私もカンナよ。なんて言えばいいかしら、修羅の面を抱えたもう一つの私とでも言いましょうか」
「…」
ユウマは目の前のカンナ、修羅を睨みつける。修羅は薄気味の悪い笑みを張り付かせ首元の刃をそのままに口を開く。
「もとはといえば『怨嗟の刃』という術でしかなかったんだけど、この子の中に息づく負の感情がすごく居心地がよかったのよ。最初は潜伏していることしかできなかったんだけど、ここ3週間くらいであなたに対する恨みや憎しみの感情が次第に大きくなっていってね」
「私が侵食しやすいように毎晩のように悪夢を見せてあげたら、そのあとは速かったわ。ついには自意識が芽生え乗っ取る準備ができた。最後にあなたが心を折ってくれたおかげでついにこの体は私のものになったってこと」
ケラケラと笑う修羅。
「カンナは魔術回路を持っている。なぜ魔術師の体で気の力を扱える?魔力が底をつきかけていたにもかかわらず武刃漆門と四重一刀を使ったのはお前の仕業だろう」
お兄さん結構おしゃべりね、と余裕の表情で調子よく説明を始める修羅。
「私が魔術回路を侵食したからよ。魔力しか受け付けない魔術回路に私が細工をして、気の力を流せるように侵食したの。本当なら相性が良くないと廃人になるけど、この子はとても適性がある。あなただって魔術師だったのに今は魔術回路を捨てて古術を使えるんでしょう。あなたたち一族はそういう素質があるんじゃないかしら?」
そういいながら修羅は首筋にあてた刀を下ろし鞘に納めた。
「・・・俺を殺さないのか」
「えぇ。だってあなたを殺したらこの子の復讐が終わってしまうもの。まだ体の主導権を取ったばっかりだから安定しないの。あなたに生きていてもらわないとこの子が負の感情を生み出すネタが無くなってしまうわ」
そういいながら修羅はユウマに背を向け歩き出した。
「どこへ行く?」
「それを聞いたら追ってくるでしょう?内緒よ」
修羅はそのまま姿を消した。
翌日、魔導省警護にあたっていたASOの大量殺害という惨劇はテレビで、紙面で、ネットニュースで大々的に騒がれることとなる。
第一発見者はカンナの後を追ってきたハルト。集めた情報を頼りに地下通路に辿り着いた時には生存者は誰一人としておらず、ひたすら死体が転がっているだけだった。
辺りの様子を見るに激しい戦闘が行われた後が深々と残っているが、カンナの姿は無い。一歩遅かったのだ。
「クソッ!!」
追っていたカンナは確かに、直ぐさっきまでここにいたのだ。
自分の不甲斐なさを拳に込め、硬いコンクリートの壁を殴るハルト。
自身に対する苛立ちに歯を食い縛るハルトは、視界の端で動く何かに気づくことはなかった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
訓練施設のエレベーターが動作する音が聞こえる。平日の午前だというのに、エレベーターから出てきたのはハルトだった。
未だこの訓練施設に待機するアンリは、ハルトの姿を見るとおずおずと話しかけた。
「ハルトさん…今日は学校なかったんですね」
「あぁ。流石にあれだけの事件が近くで起きたんだ、臨時休校だよ。どっちにしろ俺は事情聴取で行けなかったけどな」
これまで隠していたASO殺しも流石にあれだけ派手にやれば被害者はみなASOであると公表せざるを得なかったらしい。
おかげで世間は大騒ぎ。特にマーテル魔学区はどこもASOや警官がそこら中をうろつき住民、学生たちは不安を募らせている。
事態の鎮静化の兆しが見えるまではどこの学校も休校、しかも外出も食料の買い出しなど必要最低限にとどめ、基本的に禁止されることとなった。
己の非力さにもやもやしたまま家に待機など我慢ができないハルトは、事情聴取の後真っすぐこの訓練施設へやってきた。
「確か実戦訓練場意外にもトレーニングルームがあったよな。しばらく体を動かしてくる」
そういいながらアンリの横を抜けたその時だった。
「ハルトさん、ちょっと止まってください」
アンリがハルトを制止する。
「その背中にくっ付いているのはなですか?」
「は?背中?」
アンリがそう言った瞬間、ハルトの背中についていたそれはまるでバッタの様にぴょんと跳躍し跳ねる。
しかし虫ではない。何やらごつごつとしていて小さい哺乳類の骨のようだ。アンリは警戒しすぐさま距離を置いて攻撃態勢に入る。ハルトもその何かに向かって構え始めるが…
「まってくれ、魔眼は使うな。この式神が一瞬で消し飛んでしまう」
なんとその動く骨の塊はしゃべりだしたではないか。おそらく目の前の骨ではなくその向こうで式神を通して話しているのだろう。若い男の声がする。
「突然入ってきて信用しろと?」
アンリはいまだ攻撃態勢を解かない。聖典を持ったまま真っすぐと骨を捕らえ、今にも焼き尽くさんとしている。ハルトはこの声にどこか聞き覚えがあった。遠い昔、この声に近い声をどこかで聞いたような…
「久しぶりだなハルト君。君の名前は古術師の間でかなり有名になってしまっているぞ」
「…あっ!もしかして、ユウマ?設楽ユウマか?」
「え!」
予想外の来客に思わずアンリも素っ頓狂な声を上げた。
自分のことを知っている古術師、しかもどこか聞き覚えのあるこの声は間違いない。
「件の連続殺人鬼、そして設楽家殺害事件の犯人であるあなたがのこのこ出てきて一体何の用事ですか?」
アンリは先ほどよりいっそう警戒の色を強める。ハルトの話ではかなりの力を持った古術師だ。目の前の式神など非力なものだが、何を企んでいるかわかったものではない。
だが、一方のハルトは警戒する様子がない。それどころかアンリをなだめ式神に対し話し始めたのだ。
「待てアンリ。わざわざ魔眼一発で消えるような式神をよこしてきたんだ。話があるんだろう」
ハルトの言うとおり、目の前の式神を介して感じるユウマからは敵意というものをまるで感じられなかった。それどころかどこか焦りのようなものを感じる。
アンリは警戒をとく。
「君は昔から聡明だな。話が早くて助かる。立ち話ではあれだ。どこか場所を変えて話そう」
「すべて話す。信楽家殺害のことも、今起こっていることも」
カンナの体を流れる負の力を乗せた「気」が全身を脈動させる。
その眼は紅に染まり、頭部からは鬼を彷彿とさせる角が一本伸び始めている。
間違いなく千石と同じ鬼化の症状だ。
アンリに記憶を消されているので本人は知る由はないのだが、千石の負の感情を刃に固めた『怨嗟の刃』に貫かれたカンナの腹部は、傷こそ完治されていたものの強力な負の感情は染みついたまま、じわじわと体を侵食していたのだ。
本来であれば刃に込められた負の感情に蝕まれるはずが、カンナの内に潜む『復讐心』という大きな負の力と共鳴してしまった怨嗟の刃は今、肥大した復讐心を起爆剤に発動した。
憎悪がカンナの刀を覆い、千石の時と同じく赤黒い色へと変色する。その様をみていたユウマは本来ありえぬ事態に困惑していた。
(訳が分からん。あれは鬼導禁忌術式・怨嗟の刃…だが姿形が変わるのは聞いたことがないぞ。そもそもなぜ魔術師であるカンナが禁忌術式を使える?魔術回路を持っていながら古術は使えないはずだが)
混乱しているユウマをよそに、カンナはゆっくりとした動きで自分の腕、足、そして手に持つ刀を見ながら体を動かして感覚を確かめている。まるで何者かがカンナの体を乗っ取り、動かそうとしているかのようだ。
すっと刀を鞘にしまうカンナ。
その様子を警戒してみていたユウマ。この異常な状況に一瞬たりとも目を離してはいけない、そう思っていた。本能がそう警告していた。
「設楽流」
にもかかわらず、刹那の内にカンナは眼前に立ちはだかる。
「逆巻抜刀」
ドッという衝撃と共に気が付けば遠く吹き飛ばされるユウマ。
逆手による超高速抜刀の前に刀を立てて防ぐので精いっぱいであった。
(嘘だろ、ただ納刀して突っ立っている状態から、抜刀の構えでいきなり眼前に現れるなんて冗談みたいな動き、まさか武刃漆門はまだ生きているのか)
「設楽流」
「!?」
まだ地に足つかぬ間に背後から聞こえる声。なんとカンナはユウマの落下地点ですでに刀を構えている。
(これはもう、人間じゃない!!)
「縷々天星」
「死屍連斬!」
目にもとまらぬ無数の突きを屍操葬と剣技で対応するユウマ。
武刃漆門を使った身体強化を武器に高速の突きを放つ設楽流・百花繚乱に四重一刀を使ったカンナオリジナルの縷々天星。
まさに夜空に輝く星がごとく無数の突きを、鬼化の影響でさらに恐ろしい技へと昇華させている。人の身であるユウマにこれを防ぎきるすべはない。
「ぐ、ぉぉおおおおおおおおお!!」
さらに骨を増やし対抗するも、ことごとく破壊されていく。
きぃいいいいいいいん
すべての屍を破壊され、その刃はユウマの首筋にあてられる。小さく震える刃が耳障りな嫌な音を立てユウマを威嚇している。
「なぜ、とどめを刺さない…いや?カンナではないな。おまえは誰だ?」
顔を上げカンナを見る。その眼を見た瞬間、ユウマの背筋にはぞっとするような嫌な鳥肌が全身を走る。
多少鬼化が進み変化はしているが見た目はカンナだ。だがはっきりとわかる。目の前のコレはカンナではない。
「あは、さすがお兄さん。確かにさっきまで戦っていたカンナではないけど、私もカンナよ。なんて言えばいいかしら、修羅の面を抱えたもう一つの私とでも言いましょうか」
「…」
ユウマは目の前のカンナ、修羅を睨みつける。修羅は薄気味の悪い笑みを張り付かせ首元の刃をそのままに口を開く。
「もとはといえば『怨嗟の刃』という術でしかなかったんだけど、この子の中に息づく負の感情がすごく居心地がよかったのよ。最初は潜伏していることしかできなかったんだけど、ここ3週間くらいであなたに対する恨みや憎しみの感情が次第に大きくなっていってね」
「私が侵食しやすいように毎晩のように悪夢を見せてあげたら、そのあとは速かったわ。ついには自意識が芽生え乗っ取る準備ができた。最後にあなたが心を折ってくれたおかげでついにこの体は私のものになったってこと」
ケラケラと笑う修羅。
「カンナは魔術回路を持っている。なぜ魔術師の体で気の力を扱える?魔力が底をつきかけていたにもかかわらず武刃漆門と四重一刀を使ったのはお前の仕業だろう」
お兄さん結構おしゃべりね、と余裕の表情で調子よく説明を始める修羅。
「私が魔術回路を侵食したからよ。魔力しか受け付けない魔術回路に私が細工をして、気の力を流せるように侵食したの。本当なら相性が良くないと廃人になるけど、この子はとても適性がある。あなただって魔術師だったのに今は魔術回路を捨てて古術を使えるんでしょう。あなたたち一族はそういう素質があるんじゃないかしら?」
そういいながら修羅は首筋にあてた刀を下ろし鞘に納めた。
「・・・俺を殺さないのか」
「えぇ。だってあなたを殺したらこの子の復讐が終わってしまうもの。まだ体の主導権を取ったばっかりだから安定しないの。あなたに生きていてもらわないとこの子が負の感情を生み出すネタが無くなってしまうわ」
そういいながら修羅はユウマに背を向け歩き出した。
「どこへ行く?」
「それを聞いたら追ってくるでしょう?内緒よ」
修羅はそのまま姿を消した。
翌日、魔導省警護にあたっていたASOの大量殺害という惨劇はテレビで、紙面で、ネットニュースで大々的に騒がれることとなる。
第一発見者はカンナの後を追ってきたハルト。集めた情報を頼りに地下通路に辿り着いた時には生存者は誰一人としておらず、ひたすら死体が転がっているだけだった。
辺りの様子を見るに激しい戦闘が行われた後が深々と残っているが、カンナの姿は無い。一歩遅かったのだ。
「クソッ!!」
追っていたカンナは確かに、直ぐさっきまでここにいたのだ。
自分の不甲斐なさを拳に込め、硬いコンクリートの壁を殴るハルト。
自身に対する苛立ちに歯を食い縛るハルトは、視界の端で動く何かに気づくことはなかった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
訓練施設のエレベーターが動作する音が聞こえる。平日の午前だというのに、エレベーターから出てきたのはハルトだった。
未だこの訓練施設に待機するアンリは、ハルトの姿を見るとおずおずと話しかけた。
「ハルトさん…今日は学校なかったんですね」
「あぁ。流石にあれだけの事件が近くで起きたんだ、臨時休校だよ。どっちにしろ俺は事情聴取で行けなかったけどな」
これまで隠していたASO殺しも流石にあれだけ派手にやれば被害者はみなASOであると公表せざるを得なかったらしい。
おかげで世間は大騒ぎ。特にマーテル魔学区はどこもASOや警官がそこら中をうろつき住民、学生たちは不安を募らせている。
事態の鎮静化の兆しが見えるまではどこの学校も休校、しかも外出も食料の買い出しなど必要最低限にとどめ、基本的に禁止されることとなった。
己の非力さにもやもやしたまま家に待機など我慢ができないハルトは、事情聴取の後真っすぐこの訓練施設へやってきた。
「確か実戦訓練場意外にもトレーニングルームがあったよな。しばらく体を動かしてくる」
そういいながらアンリの横を抜けたその時だった。
「ハルトさん、ちょっと止まってください」
アンリがハルトを制止する。
「その背中にくっ付いているのはなですか?」
「は?背中?」
アンリがそう言った瞬間、ハルトの背中についていたそれはまるでバッタの様にぴょんと跳躍し跳ねる。
しかし虫ではない。何やらごつごつとしていて小さい哺乳類の骨のようだ。アンリは警戒しすぐさま距離を置いて攻撃態勢に入る。ハルトもその何かに向かって構え始めるが…
「まってくれ、魔眼は使うな。この式神が一瞬で消し飛んでしまう」
なんとその動く骨の塊はしゃべりだしたではないか。おそらく目の前の骨ではなくその向こうで式神を通して話しているのだろう。若い男の声がする。
「突然入ってきて信用しろと?」
アンリはいまだ攻撃態勢を解かない。聖典を持ったまま真っすぐと骨を捕らえ、今にも焼き尽くさんとしている。ハルトはこの声にどこか聞き覚えがあった。遠い昔、この声に近い声をどこかで聞いたような…
「久しぶりだなハルト君。君の名前は古術師の間でかなり有名になってしまっているぞ」
「…あっ!もしかして、ユウマ?設楽ユウマか?」
「え!」
予想外の来客に思わずアンリも素っ頓狂な声を上げた。
自分のことを知っている古術師、しかもどこか聞き覚えのあるこの声は間違いない。
「件の連続殺人鬼、そして設楽家殺害事件の犯人であるあなたがのこのこ出てきて一体何の用事ですか?」
アンリは先ほどよりいっそう警戒の色を強める。ハルトの話ではかなりの力を持った古術師だ。目の前の式神など非力なものだが、何を企んでいるかわかったものではない。
だが、一方のハルトは警戒する様子がない。それどころかアンリをなだめ式神に対し話し始めたのだ。
「待てアンリ。わざわざ魔眼一発で消えるような式神をよこしてきたんだ。話があるんだろう」
ハルトの言うとおり、目の前の式神を介して感じるユウマからは敵意というものをまるで感じられなかった。それどころかどこか焦りのようなものを感じる。
アンリは警戒をとく。
「君は昔から聡明だな。話が早くて助かる。立ち話ではあれだ。どこか場所を変えて話そう」
「すべて話す。信楽家殺害のことも、今起こっていることも」
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