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あなたのためのご褒美を
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ガラガラッ
心地の良い日差しの差す朝の教室に、扉を開く音が響く。
「おはよー、それじゃホームルーム始めるぞ…どうした?なんか今日はみんな様子が変だぞ」
担任がそう突っ込むのも無理はない。2-Cのクラスメイトは初めてのことに戸惑いを隠せず変な緊張感が教室には漂っていた。その元凶はほかでもない。
ずーーーーーん
と音が聞こえてきそうなほど目に見えて沈んでいるヒイラギさんである。
理由は単純明快、昨日の球技大会にある。結果から言うと決勝戦、2-Cクラスは敗北したのだ。最後の逆転がかかった局面でバッターボックスに立ったヒイラギさんは確かにヒットを出した。しかし相手の球速に押され球は伸びず、1点獲得したものの逆転には至らず2位という結果で終わった。
その日のために一生懸命頑張ってきたクラスメイトは悔しい思いをしたが、監督を名乗り出て勝利のために尽くしたヒイラギさんは人一倍ダメージが出かかったようだ。普段はクールな表情で感情を表に出さないあのヒイラギさんが目に見えて沈んでいる上、一日たった今日も復活する様子はない。おそらく彼女が入学してこんなことは一度もなかったのだろう、クラスは初めての事態にあたふたするほかなかった。
そしてこの男、エイトも今日のヒイラギさんには驚きを隠せない。
(みんなの前であんなに落ち込んだ姿を見せるなんて。いったいどうしちゃったんだ…)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「え、今日はお弁当わすれちゃったの!?」
「ええ、ごめんなさい…ボーとしちゃって」
「いいよ、作ってもらってるのに。じゃあ購買にいく?」
「…」
「…ヒイラギさん?大丈夫?」
反応がない。久しぶりに二人の間に沈黙が流れる。どうやら半日たった今もまだ復活の兆しはないようだ。
これまでヒイラギさんと接してきたエイトは、ほかのみんなには見せない感情を含んだ彼女のことを見ていたので、クラスメイトの前で目に見えて沈んでいたことこそ驚いたもののそのうち復活するだろうなどと考えていたが、どうやら甘い考えだったようだ。
沈黙したまま、ヒイラギさんはふらふらと雑踏に消えていった。
そして結局その日は復活することなく授業を終えたヒイラギさん。放課後もそのままふらふら~っと帰って行ってしまった。
(大丈夫かな、ヒイラギさん…)
予想外の引きずりぶりに少々心配になってきたエイト。明日もこの調子ならちょっと考えようと、その日は買い物のためスーパーへと向かう。
あたりは日が落ち始め、少しずつ景色はオレンジに染まっていく。暗くなる前に買い物を済まそうと歩くエイトの背後から、聞き覚えのある明るい声が飛んできた。
「あっ!おにーちゃん!大槻おにーちゃーん!」
「なっ、流花ちゃん!?」
あんまり大声を出すものだから、急いで振り返るエイト。背後にはヒイラギさんの妹の流花がぶんぶん手を振っていた。
「おにーちゃん奇遇だね!買い物しに行くの?」
「あぁ、そういう流花ちゃんは買い物終わって帰る途中って感じだね」
(てかおにーちゃん呼び決定なのね)
流花の手にはスーパーのレジ袋がぶら下がっている。ちょうど帰路についた流花と出くわしたようだ。
「そうなんです。今日はおねーちゃん急に買い物行ってほしいっていうもんだから…あ、大槻おにーちゃんは何か知ってる?おねーちゃん何だか様子が変で…」
当然といえば当然だが、家でのヒイラギさんの様子に妹も心配していたようだ。エイトは昨日の球技大会のことを流花に話す。するとどうだろう、なぜかだんだんうれしそうな顔をする流花。
「へぇ~、おねーちゃんが…ふふっ、そうなんだ」
「流花ちゃん?なんだかうれしそうに見えるけど」
「あ、わかっちゃった?」
にこっと笑うと、流花は言葉を続ける。
「まずおねーちゃんが監督を名乗り出てみんなと練習に励んだってのもだいぶ驚きなんですけど、学校行事の勝負にこだわってあれだけへこむなんて、今までなかったの。所詮行事だから、おねーちゃん的には問題なく進行すればそれでいいってね」
(確かに、ヒイラギさんってどっちかっていうと生徒じゃなくて先生の立場に近いところにいるしな…)
「そのおねーちゃんが球技大会で優勝できなくてへこむってことは、きっとそれだけ一生懸命になって臨んだんだよ、ほかの生徒さんみたいに」
なんだかおにーちゃんに会って人が変わったみたいっ!と、喜ぶ流花。
「ようやくおねーちゃんもほかの生徒さんみたいに高校生活を楽しめるようになってきたのかな?そうだとしたらうれしいな」
そして流花はエイトにお願いをする。
「おねーちゃんはきっとこんなにへこんだことがなくって自分でもどうしたらいいかわかんないんだと思うの。だから、おにーちゃんが励ましてあげてくれないかな?」
「えっ、は…励ます?俺が、ヒイラギさんを…?」
「ほかに適役なんていないよ、ね?かわいい妹からのお願い!」
(かわいいって・・・自分で言うのかよ)
頼んだからねー!と手を振りながら家に帰っていく流花。
(励ます…?俺があのヒイラギさんを)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
翌日、やはりヒイラギさんは沈んだままだった。流花の言った通り、復活してもらうにはどうやらエイトが一肌脱ぐほかないようだ。
ボーっと空を見つめるヒイラギさんを見ながら、エイトは考える。
(励ます…かぁ。どうすりゃいいかって、そりゃアレしかないよなぁ)
気は進まないがこのままでは教室に負の気が蔓延してしまう。それに委員長がこれでは副委員長の仕事も増えるというものだ。仕方なく覚悟を決めるエイト。
「…ヒイラギさん、放課後ちょっといいかな」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「…大槻君、これはどこに向かっているのかしら」
「まぁまぁ、何も言わずついてきてよ」
放課後、二人は学校を出て人通りのない長い坂道を歩いていた。道中二人の間にはほとんど会話がなく、そよ風が木々を撫でる音と虫たちの声がやけに冴えて聞こえる。
(学校じゃ生徒がいるし、ここなら人通りもない。何よりヒイラギさんと違って俺はシチュエーションはちゃんと気にしたい)
さすがにここまで坂を上ると息も切れてきた。しかし目的の場所ももうすぐだ。
「はぁ、はぁ、着いた。ここだよヒイラギさん。こっちに来て見てほしいんだ」
エイトの後ろから歩いてきたヒイラギさんも目的地に着く。そしてエイトの指さす方を見て息をのんだ。
「大槻君…これ…」
眼前に広がったのは夕焼けで紅に染まる小さくなった町だった。はるか向こうにはわずかに海が煌めいているのがわかる。まるで空気さえも赤く染まっているようだった。いつもは見上げる町が、空が、今ははるか下に見える。何気なく暮らしていたあの町には、気づかないだけでこれだけ素晴らしい景色が広がっていた。
「きれいだよね。俺、ここからの景色が好きでさ。たまに気分が沈むと自転車走らしてここまで来たんだ」
そういいながら柵の手すりまで歩くエイト。
「ヒイラギさん。俺さ、約束を果たそうと思うんだ」
「えっ…」
ずっと沈んでいたヒイラギさんが、やっと違う顔を見せてくれた。
「で、でも!あれは優勝したらって約束したし」
ばつの悪そうな顔をするヒイラギさんに、はははっとエイトは笑う。
「やだなヒイラギさん。そんな約束はしてないじゃないか」
首をかしげるヒイラギさん。
「俺は褒めるときに頭を撫でてあげるといった。ヒイラギさんは優勝したら褒めてくれるかと聞いた。もちろん優勝できれば褒めるけど、優勝できなかったら褒めないとは言ってないよ」
はっ、と目を丸くするヒイラギさん。どうやら優勝に固執しすぎてそもそも話の根っこを忘れていたようだ。
「俺ら素人含むクラスメイト全員を一生懸命引っ張って、準優勝までできたんだ。これは褒められることだよ」
「ほんとに?私、ちゃんとできてたかな…。褒められること、できたかな」
「あぁ、少なくとも俺はそう思う」
「大槻君…」
エイトはヒイラギさんの前まで歩いていくと…
ヒイラギさんの頭に手のひらを当てゆっくりと撫でる。カッコつけてはいるものの、恋愛経験がないエイト。内心は心臓バクバクで手は震えている。
(こ…これでいいのか?やべぇ髪の毛サラサラだ、手ぇ震えるし…辞め時がわかんねぇ…!!)
初めて撫でる女子の頭はとても手入れの行き届いたサラサラの髪で、良いシャンプーの香りがする。どうしたらよいかわからなくなってきたエイトはとりあえず手を挙げるが…
「あっ…」
残念そうな顔でこちらを覗くヒイラギさん。いつもならここで終わるのだが…。
「………もっと。…もうちょっとだけ…」
小さなヒイラギさんのおねだりに、ドキッとする。
だんだんと体が熱くなるのを感じ、先ほどの倍は心臓が高鳴っている。いわれるがまま、再びヒイラギさんの頭に震える手のひらを添えるエイト。
「ふふっ」
まるで猫のようだ。とても満足そうにするヒイラギさん。その頬が赤く染まっているのは恥ずかしいからか照れいるからか、はたまたこの夕焼けのせいなのか。
おそらく真っ赤になっているだろう自分の顔をうまく隠してくれよと、夕焼けに祈るエイト。そんな二人を冷ますかのようにそよ風は流れ、虫たちは青春を奏でるのだった。
心地の良い日差しの差す朝の教室に、扉を開く音が響く。
「おはよー、それじゃホームルーム始めるぞ…どうした?なんか今日はみんな様子が変だぞ」
担任がそう突っ込むのも無理はない。2-Cのクラスメイトは初めてのことに戸惑いを隠せず変な緊張感が教室には漂っていた。その元凶はほかでもない。
ずーーーーーん
と音が聞こえてきそうなほど目に見えて沈んでいるヒイラギさんである。
理由は単純明快、昨日の球技大会にある。結果から言うと決勝戦、2-Cクラスは敗北したのだ。最後の逆転がかかった局面でバッターボックスに立ったヒイラギさんは確かにヒットを出した。しかし相手の球速に押され球は伸びず、1点獲得したものの逆転には至らず2位という結果で終わった。
その日のために一生懸命頑張ってきたクラスメイトは悔しい思いをしたが、監督を名乗り出て勝利のために尽くしたヒイラギさんは人一倍ダメージが出かかったようだ。普段はクールな表情で感情を表に出さないあのヒイラギさんが目に見えて沈んでいる上、一日たった今日も復活する様子はない。おそらく彼女が入学してこんなことは一度もなかったのだろう、クラスは初めての事態にあたふたするほかなかった。
そしてこの男、エイトも今日のヒイラギさんには驚きを隠せない。
(みんなの前であんなに落ち込んだ姿を見せるなんて。いったいどうしちゃったんだ…)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「え、今日はお弁当わすれちゃったの!?」
「ええ、ごめんなさい…ボーとしちゃって」
「いいよ、作ってもらってるのに。じゃあ購買にいく?」
「…」
「…ヒイラギさん?大丈夫?」
反応がない。久しぶりに二人の間に沈黙が流れる。どうやら半日たった今もまだ復活の兆しはないようだ。
これまでヒイラギさんと接してきたエイトは、ほかのみんなには見せない感情を含んだ彼女のことを見ていたので、クラスメイトの前で目に見えて沈んでいたことこそ驚いたもののそのうち復活するだろうなどと考えていたが、どうやら甘い考えだったようだ。
沈黙したまま、ヒイラギさんはふらふらと雑踏に消えていった。
そして結局その日は復活することなく授業を終えたヒイラギさん。放課後もそのままふらふら~っと帰って行ってしまった。
(大丈夫かな、ヒイラギさん…)
予想外の引きずりぶりに少々心配になってきたエイト。明日もこの調子ならちょっと考えようと、その日は買い物のためスーパーへと向かう。
あたりは日が落ち始め、少しずつ景色はオレンジに染まっていく。暗くなる前に買い物を済まそうと歩くエイトの背後から、聞き覚えのある明るい声が飛んできた。
「あっ!おにーちゃん!大槻おにーちゃーん!」
「なっ、流花ちゃん!?」
あんまり大声を出すものだから、急いで振り返るエイト。背後にはヒイラギさんの妹の流花がぶんぶん手を振っていた。
「おにーちゃん奇遇だね!買い物しに行くの?」
「あぁ、そういう流花ちゃんは買い物終わって帰る途中って感じだね」
(てかおにーちゃん呼び決定なのね)
流花の手にはスーパーのレジ袋がぶら下がっている。ちょうど帰路についた流花と出くわしたようだ。
「そうなんです。今日はおねーちゃん急に買い物行ってほしいっていうもんだから…あ、大槻おにーちゃんは何か知ってる?おねーちゃん何だか様子が変で…」
当然といえば当然だが、家でのヒイラギさんの様子に妹も心配していたようだ。エイトは昨日の球技大会のことを流花に話す。するとどうだろう、なぜかだんだんうれしそうな顔をする流花。
「へぇ~、おねーちゃんが…ふふっ、そうなんだ」
「流花ちゃん?なんだかうれしそうに見えるけど」
「あ、わかっちゃった?」
にこっと笑うと、流花は言葉を続ける。
「まずおねーちゃんが監督を名乗り出てみんなと練習に励んだってのもだいぶ驚きなんですけど、学校行事の勝負にこだわってあれだけへこむなんて、今までなかったの。所詮行事だから、おねーちゃん的には問題なく進行すればそれでいいってね」
(確かに、ヒイラギさんってどっちかっていうと生徒じゃなくて先生の立場に近いところにいるしな…)
「そのおねーちゃんが球技大会で優勝できなくてへこむってことは、きっとそれだけ一生懸命になって臨んだんだよ、ほかの生徒さんみたいに」
なんだかおにーちゃんに会って人が変わったみたいっ!と、喜ぶ流花。
「ようやくおねーちゃんもほかの生徒さんみたいに高校生活を楽しめるようになってきたのかな?そうだとしたらうれしいな」
そして流花はエイトにお願いをする。
「おねーちゃんはきっとこんなにへこんだことがなくって自分でもどうしたらいいかわかんないんだと思うの。だから、おにーちゃんが励ましてあげてくれないかな?」
「えっ、は…励ます?俺が、ヒイラギさんを…?」
「ほかに適役なんていないよ、ね?かわいい妹からのお願い!」
(かわいいって・・・自分で言うのかよ)
頼んだからねー!と手を振りながら家に帰っていく流花。
(励ます…?俺があのヒイラギさんを)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
翌日、やはりヒイラギさんは沈んだままだった。流花の言った通り、復活してもらうにはどうやらエイトが一肌脱ぐほかないようだ。
ボーっと空を見つめるヒイラギさんを見ながら、エイトは考える。
(励ます…かぁ。どうすりゃいいかって、そりゃアレしかないよなぁ)
気は進まないがこのままでは教室に負の気が蔓延してしまう。それに委員長がこれでは副委員長の仕事も増えるというものだ。仕方なく覚悟を決めるエイト。
「…ヒイラギさん、放課後ちょっといいかな」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「…大槻君、これはどこに向かっているのかしら」
「まぁまぁ、何も言わずついてきてよ」
放課後、二人は学校を出て人通りのない長い坂道を歩いていた。道中二人の間にはほとんど会話がなく、そよ風が木々を撫でる音と虫たちの声がやけに冴えて聞こえる。
(学校じゃ生徒がいるし、ここなら人通りもない。何よりヒイラギさんと違って俺はシチュエーションはちゃんと気にしたい)
さすがにここまで坂を上ると息も切れてきた。しかし目的の場所ももうすぐだ。
「はぁ、はぁ、着いた。ここだよヒイラギさん。こっちに来て見てほしいんだ」
エイトの後ろから歩いてきたヒイラギさんも目的地に着く。そしてエイトの指さす方を見て息をのんだ。
「大槻君…これ…」
眼前に広がったのは夕焼けで紅に染まる小さくなった町だった。はるか向こうにはわずかに海が煌めいているのがわかる。まるで空気さえも赤く染まっているようだった。いつもは見上げる町が、空が、今ははるか下に見える。何気なく暮らしていたあの町には、気づかないだけでこれだけ素晴らしい景色が広がっていた。
「きれいだよね。俺、ここからの景色が好きでさ。たまに気分が沈むと自転車走らしてここまで来たんだ」
そういいながら柵の手すりまで歩くエイト。
「ヒイラギさん。俺さ、約束を果たそうと思うんだ」
「えっ…」
ずっと沈んでいたヒイラギさんが、やっと違う顔を見せてくれた。
「で、でも!あれは優勝したらって約束したし」
ばつの悪そうな顔をするヒイラギさんに、はははっとエイトは笑う。
「やだなヒイラギさん。そんな約束はしてないじゃないか」
首をかしげるヒイラギさん。
「俺は褒めるときに頭を撫でてあげるといった。ヒイラギさんは優勝したら褒めてくれるかと聞いた。もちろん優勝できれば褒めるけど、優勝できなかったら褒めないとは言ってないよ」
はっ、と目を丸くするヒイラギさん。どうやら優勝に固執しすぎてそもそも話の根っこを忘れていたようだ。
「俺ら素人含むクラスメイト全員を一生懸命引っ張って、準優勝までできたんだ。これは褒められることだよ」
「ほんとに?私、ちゃんとできてたかな…。褒められること、できたかな」
「あぁ、少なくとも俺はそう思う」
「大槻君…」
エイトはヒイラギさんの前まで歩いていくと…
ヒイラギさんの頭に手のひらを当てゆっくりと撫でる。カッコつけてはいるものの、恋愛経験がないエイト。内心は心臓バクバクで手は震えている。
(こ…これでいいのか?やべぇ髪の毛サラサラだ、手ぇ震えるし…辞め時がわかんねぇ…!!)
初めて撫でる女子の頭はとても手入れの行き届いたサラサラの髪で、良いシャンプーの香りがする。どうしたらよいかわからなくなってきたエイトはとりあえず手を挙げるが…
「あっ…」
残念そうな顔でこちらを覗くヒイラギさん。いつもならここで終わるのだが…。
「………もっと。…もうちょっとだけ…」
小さなヒイラギさんのおねだりに、ドキッとする。
だんだんと体が熱くなるのを感じ、先ほどの倍は心臓が高鳴っている。いわれるがまま、再びヒイラギさんの頭に震える手のひらを添えるエイト。
「ふふっ」
まるで猫のようだ。とても満足そうにするヒイラギさん。その頬が赤く染まっているのは恥ずかしいからか照れいるからか、はたまたこの夕焼けのせいなのか。
おそらく真っ赤になっているだろう自分の顔をうまく隠してくれよと、夕焼けに祈るエイト。そんな二人を冷ますかのようにそよ風は流れ、虫たちは青春を奏でるのだった。
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