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闇に染まる森
リューネの森へ
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「ぬぅぅああ!」
ブオンとドイルの大剣が風を切る。
もはや剣を剣として使っていない。スパルトイ相手なら打撃が有効なことを考えれば、この場は正解なのだろうが…
なんて豪快な戦い方なんだ…。
クラインは呆気にとられる。だがよそ見をしている暇はない。スパルトイはこちらに向かって剣を振り下ろす。
キィン!キィン!
スパルトイ二体の剣を、クラインはハンマーを回しながら的確に当てて弾いていく。
「いよっと!」
ハンマーのアッパーでスパルトイの剣を上に弾く。攻撃の重さで言えば当然こちらが上だ。スパルトイは剣を持ったままバンザイの格好になる。
そこへ遠心力を合わせて胴体めがけハンマーを振るクライン。
ぱあぁん!と骨の乾いた音が響く。
すでにクラインの背後に迫ったもう一体の方が攻撃を仕掛けてくる。
ふっと背後にダガーを投げるクライン。
スパルトイの頭らしき部分に突き刺さり、後ろに仰け反るスパルトイ。バランスを崩しクラインを捉えることができず空振りしてしまう。
もう一本、ダガーを空中に投げるとそのまま能力を発動させ上空に移動。重力に任せハンマーを振り上げながら落下する。
「これで潰れろ!」
がしゃん!という音とともにバラバラと形を失っていく。そのまま塵になった。
「クライン殿!」
ドイルの声が聞こえたので振り向くクライン。みるとスパルトイがこちらに向かって飛んでくる!
「危な!」
慌ててハンマーと構えてボールを打つようにかっ飛ばす!
骨がバラバラになるよりも早く塵になった。ほとんど瀕死状態だったようだ。
「ドイル!こちらに飛ばさないでください!」
「ハッハッハッ!すまぬクライン殿。力の加減が効かなくてな!」
・・・・・・・・
・・・・・
・・・
・
「はぁあ!」
「グルルルルルル!」
飛びかかるオルトロスを避け、カウンターを狙うアリス。
しかし双頭だけあって視界が広い。カウンターを避けられ一旦距離を置かれる。
オルトロスの歯の間から火が漏れている。
まずい!
アリスは後方へ飛んだ。それとほぼ同時にオルトロスが火炎を吐く!
ゴオォォォォオオォォ!
あたりに草の焦げる匂いが漂う。アリスはギリギリかわすことができたようだ。
ナタリアはと言うと…
ズン!
オルトロスの片方の口を矢が閉じる。
すでにオルトロスの真上の木に移動していたナタリアはオルトロスの口を矢で縫い付けたのだ。
「もう一発!」
残った口を矢で縫い付け火炎を封じる。
「ありがとうございます、ナタリアさん!」
視界が晴れたところでアリスが再度接近戦を持ちかける。
「グゥゥウウゥウウウ」
口が塞がっているため吠えられないオルトロス。
アリスを認識すると背を向け逃げの姿勢に入る。状況は不利だと認識したようだ。だが、この2人が目の前の魔物を逃すはずもない。
ズン!ズン!
「グゥウウウウウ!」
ナタリアの矢が正確にオルトロスの前両足を射抜く。つんのめったオルトロスはそのまま地面を滑っていく。
「これでとどめです」
追いついたアリスがすかさずとどめを刺す。
向こうも片付いたようだ。ドイルとクラインが合流してきた。
「お疲れ様です。ゴブリンの方も冒険者の皆さんが片付けました。もう危険はないようですし、一旦妖精の森に戻りましょう」
クラインの提案の乗っかり、一同引き返していく。
・・・・・・・・
・・・・・
・・・
・
「今回の件はアルフェウスが絡んでいると見て間違いないでしょう」
再びギルドへ戻ると、アリスは先程の戦闘の報告を始めた。
「でしょうね。スパルトイが混ざっていたんですもの。間違いなわ」
「そうだ、そのスパルトイについて教えてください、アリス」
クラインは戦闘前にアリスが言っていた言葉がずっと引っかかっていたようだ。
「はい。スパルトイとは竜の牙を用いて召喚する魔物です。呪術により自身の下僕として操ることができる魔物なんです。つまり自然発生しない魔物なんですよ」
「なるほど、それでアルフェウスが関与していると断言したんですね」
その通りです、と頷くアリス。
「おそらく森の魔物たちをけしかけているんでしょう。この街の人たちを襲わせるために」
「そうなると森の方を調査するのが先決だな。姿を見せないアルフェウスの連中はそこにおると思っていいだろう」
話を聞いていたアドルフは割って入る。
「リューネの森に向かうのですね。あそこは多くの魔物巣窟になっています。どうかお気をつけて」
アドルフはそう言いながらポーションとマナ回復薬を人数分一つづつ取り出した。
「微力ではありますが、せめてものお力添えができればと思い準備しました。よかったら持って行ってください。」
「助かるわ!準備はしすぎて困るものじゃないもの。ありがとうマスターさん!」
さて、とドイルは立ち上がった。
「いつまた襲撃があるかわからん、すぐに行動を起こした方が良かろう。いざ向かおうか、リューネの森に!」
ブオンとドイルの大剣が風を切る。
もはや剣を剣として使っていない。スパルトイ相手なら打撃が有効なことを考えれば、この場は正解なのだろうが…
なんて豪快な戦い方なんだ…。
クラインは呆気にとられる。だがよそ見をしている暇はない。スパルトイはこちらに向かって剣を振り下ろす。
キィン!キィン!
スパルトイ二体の剣を、クラインはハンマーを回しながら的確に当てて弾いていく。
「いよっと!」
ハンマーのアッパーでスパルトイの剣を上に弾く。攻撃の重さで言えば当然こちらが上だ。スパルトイは剣を持ったままバンザイの格好になる。
そこへ遠心力を合わせて胴体めがけハンマーを振るクライン。
ぱあぁん!と骨の乾いた音が響く。
すでにクラインの背後に迫ったもう一体の方が攻撃を仕掛けてくる。
ふっと背後にダガーを投げるクライン。
スパルトイの頭らしき部分に突き刺さり、後ろに仰け反るスパルトイ。バランスを崩しクラインを捉えることができず空振りしてしまう。
もう一本、ダガーを空中に投げるとそのまま能力を発動させ上空に移動。重力に任せハンマーを振り上げながら落下する。
「これで潰れろ!」
がしゃん!という音とともにバラバラと形を失っていく。そのまま塵になった。
「クライン殿!」
ドイルの声が聞こえたので振り向くクライン。みるとスパルトイがこちらに向かって飛んでくる!
「危な!」
慌ててハンマーと構えてボールを打つようにかっ飛ばす!
骨がバラバラになるよりも早く塵になった。ほとんど瀕死状態だったようだ。
「ドイル!こちらに飛ばさないでください!」
「ハッハッハッ!すまぬクライン殿。力の加減が効かなくてな!」
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「はぁあ!」
「グルルルルルル!」
飛びかかるオルトロスを避け、カウンターを狙うアリス。
しかし双頭だけあって視界が広い。カウンターを避けられ一旦距離を置かれる。
オルトロスの歯の間から火が漏れている。
まずい!
アリスは後方へ飛んだ。それとほぼ同時にオルトロスが火炎を吐く!
ゴオォォォォオオォォ!
あたりに草の焦げる匂いが漂う。アリスはギリギリかわすことができたようだ。
ナタリアはと言うと…
ズン!
オルトロスの片方の口を矢が閉じる。
すでにオルトロスの真上の木に移動していたナタリアはオルトロスの口を矢で縫い付けたのだ。
「もう一発!」
残った口を矢で縫い付け火炎を封じる。
「ありがとうございます、ナタリアさん!」
視界が晴れたところでアリスが再度接近戦を持ちかける。
「グゥゥウウゥウウウ」
口が塞がっているため吠えられないオルトロス。
アリスを認識すると背を向け逃げの姿勢に入る。状況は不利だと認識したようだ。だが、この2人が目の前の魔物を逃すはずもない。
ズン!ズン!
「グゥウウウウウ!」
ナタリアの矢が正確にオルトロスの前両足を射抜く。つんのめったオルトロスはそのまま地面を滑っていく。
「これでとどめです」
追いついたアリスがすかさずとどめを刺す。
向こうも片付いたようだ。ドイルとクラインが合流してきた。
「お疲れ様です。ゴブリンの方も冒険者の皆さんが片付けました。もう危険はないようですし、一旦妖精の森に戻りましょう」
クラインの提案の乗っかり、一同引き返していく。
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「今回の件はアルフェウスが絡んでいると見て間違いないでしょう」
再びギルドへ戻ると、アリスは先程の戦闘の報告を始めた。
「でしょうね。スパルトイが混ざっていたんですもの。間違いなわ」
「そうだ、そのスパルトイについて教えてください、アリス」
クラインは戦闘前にアリスが言っていた言葉がずっと引っかかっていたようだ。
「はい。スパルトイとは竜の牙を用いて召喚する魔物です。呪術により自身の下僕として操ることができる魔物なんです。つまり自然発生しない魔物なんですよ」
「なるほど、それでアルフェウスが関与していると断言したんですね」
その通りです、と頷くアリス。
「おそらく森の魔物たちをけしかけているんでしょう。この街の人たちを襲わせるために」
「そうなると森の方を調査するのが先決だな。姿を見せないアルフェウスの連中はそこにおると思っていいだろう」
話を聞いていたアドルフは割って入る。
「リューネの森に向かうのですね。あそこは多くの魔物巣窟になっています。どうかお気をつけて」
アドルフはそう言いながらポーションとマナ回復薬を人数分一つづつ取り出した。
「微力ではありますが、せめてものお力添えができればと思い準備しました。よかったら持って行ってください。」
「助かるわ!準備はしすぎて困るものじゃないもの。ありがとうマスターさん!」
さて、とドイルは立ち上がった。
「いつまた襲撃があるかわからん、すぐに行動を起こした方が良かろう。いざ向かおうか、リューネの森に!」
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