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動き出した影
人狼討伐作戦
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『そう…人狼だったのね』
ダン、リーファ、雲仙は調査を終え、宿に引き返してきた。
これまでの調査結果を使い魔を通じて報告している最中である。
「あぁ。俺たちの見立てだとその人狼は呪術師によって狼憑きの呪いをかけられている」
「それにその人狼は自分のことを嗅ぎ回る冒険者を口封じに殺してしまっているようですわ。人格が崩壊した人狼になせる技ではありませんし、おそらく呪術師の支配下にあるでしょう」
『人狼を支配下に置くということはかなり強力な呪術がかかっているわね。背後にいる呪術師もそれなりの術者ってことかしら』
「そうじゃの。人狼だけだったらBBといったところじゃが、呪術師もいることを考えると一筋縄じゃいかんだろう」
『そうねぇ…銀の弾丸ももっていないんでしょ?手持ちの有効なカードは奇蹟だけ、厳しいわね』
「ついでに言うと時間もないと思うぜ。呪術師はひょっとするとこっちに感づいているかもしれねぇ。できることなら今日にでも決着をつけたいところだ」
『三人の言うことも十分理解しているけれど…武器の許可もできないのよね…』
ふーっと肩を落とすリーファ。
「まぁ…そう言うと思ってましたわ。人里が近すぎるのが理由なのでしょう?」
『その通りよリーファ。ダンとリーファの専属武器は威力がありすぎるし、雲仙の武器は魔物が集まりすぎてしまう』
一同、うーんと頭を悩ましながら固まってしまった。
「とりあえず武器の使用が許可できないことについてはオーケーだ。そうしたら今の状況でどうにかするしかねぇ。作戦はこっちで考えるから任せてくれ」
『悪いわね、三人とも。何かあったらまた連絡を頂戴。頼りにしているわ』
一旦通信を切る。
あぁはいったものの今のところ何の考えも無いダン。腕を組み思考を巡らせてみる。
まず人狼の相手だ。驚異的な回復力を前に、俺たちの勝つための手段は…
「ダン、一人で考えたって解決するもんも解決しないぞ」
「そうですわ。何のために無理やり連れてかれたのかこれではわかりませんわ」
おっといけねぇな、悪い癖だ。ついつい一人で片付けちまおうって思っちまう。
「悪りぃ、すまんが一緒に考えてくれるか」
「おぉ、それでええ」
さて、仕切り直しとしようか。
「まず状況を整理するところから始めましょう。今回の依頼はアルパクイルの村の調査と謎の死の根本的解決ですわ」
「そうじゃな。そして調査の結果わかったのは、その犯人が人狼じゃったと言うことと、背後に潜む呪術師の存在じゃな」
「人狼を倒しにかかれば、間違いなく呪術師は妨害してくるだろう。俺たちはその二つに対処する必要がある」
「人狼は驚異的な回復力を持っておる。回復力を上回る攻撃を繰り出すか、弱点の銀の弾丸、奇蹟を持って対応するしか無いの」
「ただ奇蹟もふつうの攻撃より効くくらいの効果ですわ。人狼を倒せるほど奇蹟を速射するのは難しいですね」
今最も効果的なのは奇蹟だが、連発できねぇから人狼に回復されちまう。
この状況を打破するには“奇蹟の連発”が必須なんだがなぁ
その時、何か閃いたのか。雲仙がばっと顔を上げる。
「のぅ、ダン。お主、銃は何を持ってきておる?」
雲仙が沈黙を破る。なんだ急に。
「銃?今持ってんのはオートマチックが二丁、装填数15+1ってとこだぜ」
「ほぉ、手数としては十分じゃの」
いまいちダンは話が見えてこない。
「雲仙、弾はあるがふつうの弾だぜ?刀傷よりよっぽど早く回復されちまうぞ」
「ふつうの弾ならそうじゃろうよ。だがここにはリーファ嬢がおる」
「そう言うことですか!さすがは雲仙、長く生きているだけはありますわ」
こいつら…完全に俺を置いてけぼりにしてやがる。
「ダン、提案なんじゃが…
お主の弾丸に、リーファ嬢の奇蹟を付与すると言うのはどうじゃ?」
ダン、リーファ、雲仙は調査を終え、宿に引き返してきた。
これまでの調査結果を使い魔を通じて報告している最中である。
「あぁ。俺たちの見立てだとその人狼は呪術師によって狼憑きの呪いをかけられている」
「それにその人狼は自分のことを嗅ぎ回る冒険者を口封じに殺してしまっているようですわ。人格が崩壊した人狼になせる技ではありませんし、おそらく呪術師の支配下にあるでしょう」
『人狼を支配下に置くということはかなり強力な呪術がかかっているわね。背後にいる呪術師もそれなりの術者ってことかしら』
「そうじゃの。人狼だけだったらBBといったところじゃが、呪術師もいることを考えると一筋縄じゃいかんだろう」
『そうねぇ…銀の弾丸ももっていないんでしょ?手持ちの有効なカードは奇蹟だけ、厳しいわね』
「ついでに言うと時間もないと思うぜ。呪術師はひょっとするとこっちに感づいているかもしれねぇ。できることなら今日にでも決着をつけたいところだ」
『三人の言うことも十分理解しているけれど…武器の許可もできないのよね…』
ふーっと肩を落とすリーファ。
「まぁ…そう言うと思ってましたわ。人里が近すぎるのが理由なのでしょう?」
『その通りよリーファ。ダンとリーファの専属武器は威力がありすぎるし、雲仙の武器は魔物が集まりすぎてしまう』
一同、うーんと頭を悩ましながら固まってしまった。
「とりあえず武器の使用が許可できないことについてはオーケーだ。そうしたら今の状況でどうにかするしかねぇ。作戦はこっちで考えるから任せてくれ」
『悪いわね、三人とも。何かあったらまた連絡を頂戴。頼りにしているわ』
一旦通信を切る。
あぁはいったものの今のところ何の考えも無いダン。腕を組み思考を巡らせてみる。
まず人狼の相手だ。驚異的な回復力を前に、俺たちの勝つための手段は…
「ダン、一人で考えたって解決するもんも解決しないぞ」
「そうですわ。何のために無理やり連れてかれたのかこれではわかりませんわ」
おっといけねぇな、悪い癖だ。ついつい一人で片付けちまおうって思っちまう。
「悪りぃ、すまんが一緒に考えてくれるか」
「おぉ、それでええ」
さて、仕切り直しとしようか。
「まず状況を整理するところから始めましょう。今回の依頼はアルパクイルの村の調査と謎の死の根本的解決ですわ」
「そうじゃな。そして調査の結果わかったのは、その犯人が人狼じゃったと言うことと、背後に潜む呪術師の存在じゃな」
「人狼を倒しにかかれば、間違いなく呪術師は妨害してくるだろう。俺たちはその二つに対処する必要がある」
「人狼は驚異的な回復力を持っておる。回復力を上回る攻撃を繰り出すか、弱点の銀の弾丸、奇蹟を持って対応するしか無いの」
「ただ奇蹟もふつうの攻撃より効くくらいの効果ですわ。人狼を倒せるほど奇蹟を速射するのは難しいですね」
今最も効果的なのは奇蹟だが、連発できねぇから人狼に回復されちまう。
この状況を打破するには“奇蹟の連発”が必須なんだがなぁ
その時、何か閃いたのか。雲仙がばっと顔を上げる。
「のぅ、ダン。お主、銃は何を持ってきておる?」
雲仙が沈黙を破る。なんだ急に。
「銃?今持ってんのはオートマチックが二丁、装填数15+1ってとこだぜ」
「ほぉ、手数としては十分じゃの」
いまいちダンは話が見えてこない。
「雲仙、弾はあるがふつうの弾だぜ?刀傷よりよっぽど早く回復されちまうぞ」
「ふつうの弾ならそうじゃろうよ。だがここにはリーファ嬢がおる」
「そう言うことですか!さすがは雲仙、長く生きているだけはありますわ」
こいつら…完全に俺を置いてけぼりにしてやがる。
「ダン、提案なんじゃが…
お主の弾丸に、リーファ嬢の奇蹟を付与すると言うのはどうじゃ?」
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