重なる世界の物語

動き出した影

武器とともに生きるー第1章 武器の基本 ー

はじめに

この書を手に取ったあなたはきっと、これから冒険者になろうという人だろうか。それとも鍛冶屋になろうという人だろうか。

そんな大きなはじめの一歩をこの本から踏み出してくれることを筆者はとても嬉しく思う。改めてお礼を言おう。

さて、第1章ではこのトラソニルという世界においてどのような武器があるのか、その基礎的な部分について紹介していこうと思う。


武器の種類

はじめにここでいう“武器”とは必ずしも攻撃するためだけのものではなく、盾や鎧といった守るためのものも含んでいると解釈して欲しい。

それではまず、武器の分類について記していこう。これを知らずして武器を語ることはできない。

武器の種類は以下の三つに分類される。
・一般武器
・絡繰からくり
・魔武器

これが最も大きなくくりになる。
それではこれらについて、詳細に記していくこととする。


一般武器

ただ“武器”とだけいう場合は、この分類に属す武器を指すことがほとんどである。様々な戦い方に応じて形をもつ、最もシンプルな武器といえよう。

種類にもよるが他の分類に属す武器に比べて比較的安価に手に入り、かつ扱いややすい。冒険者を始めたての頃は誰もが最初に手にするのはこう言った武器になる。

絡繰

“からくり”、その名の通り、機械的ギミックの施された特殊な武器である。ギミックは多種多様で、別種の武器に変形するもの、あるいは二つの武器が合体するもの、飛び道具が仕込まれたものなど、見た目からは想像もできないような機能を持つ武器である。
臨機応変に戦えるというメリットはあるが、ギミックが複雑になればなるほど武器の中に含む機構が複雑に絡むため、武器の耐久性が下がるというデメリットも併せ持つ。かなりトリッキーな武器と言えるだろう。

魔武器

魔術の込められた武器であったり、呪われた武器、神性存在より与えられた神器など、属する種類が多いのが特徴である。
武器の中では最も力を持つ部類になる。それなりの技巧を持つ鍛治職人であれば、魔物の核とも言える魔石をもってして製作することは可能である。
魔石によって作られた魔武器は、魔石をもっていた魔物の性質を受け継ぐケースが非常に多く、いかに引き出すことができるかは職人の腕によるところである。
強力な武器だがその入手は困難を極める。魔石はドロップする確率が非常に低く入手は難しいし、呪われた武器や神器といった伝説級の武器に至っては、お目にかかれるかどうかといったところだ。
そもそも伝説級の武器は使い手でが武器を選ぶのでなく武器が使い手を選ぶため、仮に手に入れても扱えるかというのは別の話である。

伝説級武器の使い手が組織しようものなら、国をひっくり返せてしまうことだろう。それほどに強力な武器なのだ。



武器とともに生きる
ー第1章　武器の基本ー より一部抜粋