7 / 47
ギルド"猟犬の牙"
はじめての入団試験
しおりを挟む
「入団試験?必要ないだろマスター。コウラベアを木の棒で倒すような奴なんだぜ?信じてないのか?」
やや不服そうな顔のダンに対し、変わらず穏やかな顔でギルドマスター、シリエが答える。
「そういう問題ではないわ。ギルドマスターの私がこの目でその瞬間を見てないんだもの。ギルド加入の許可をしようがないじゃない」
ぶーたれているダンを他所に、テキパキと話を進めるシリエ。
「試験は模擬戦闘で十分ね。依頼をこなしてもらったりすることもあるけど、ダンもああいっていることだし、何より継承する魂の宿主ですものね」
「でしたら、私がお相手しましょう」
アリスが手を挙げ前に出る。
「ダンさんもキースさんもギルドの庭で模擬戦をするには向いていませんし、何より今いるメンバーで近接戦闘を得意とするのは私だけですからね」
そういえば、とクラインは周りに問いかける。
「ダンはガンナーだと聞いているのですが、キースとアリスはなんの職なんですか?」
「あぁ、そういえばまだ話していなかったね。僕はキャスター、魔術師だよ」
「私は剣士です。とりわけ近接戦闘の得意な双剣使いです」
ふんふんと頷くクライン。
「僕は…職としてはどれに当たるでしょう」
…。
「…そうねぇ」
「基本的に何でも使えんだろ?」
「…オールラウンダー…ですかね…?」
「何か贔屓にしている武器はあるのかい?」
「いえ、ありません。このブロードソードもたまたま故郷にあったもので、愛用の武器といったものはありませんでした」
「他の継承する魂は魔術師や拳闘士って具合に職がはっきりしているからね。なかなか難しいなぁ」
みんなが頭を抱える中、ダンはニッと笑った。
「クライン、お前いずれはこの世全ての武器の達人になるんだよな?」
「え?えぇ、いずれ、ですけど。そもそも僕の代で達成できるか…」
「構わねえさ。いずれそうなれる職ってことだろ?全ての武器の達人、もはや神サマみてぇなもんだよな。だったらよ、"武神"なんてどうよ?」
武神!?神様だなんて恐れ多い!
そう思うクラインとは反対に、周りは納得してしまっている。
「いいじゃない、武神だなんてかっこいいわ」
「あながち間違いでもないよね」
「猟犬の牙の武神…いい響きです!」
あぁ、どうやら僕は"武神"になってしまったらしい。
・・・・・・・・
・・・・・
・・・
・
「それじゃ、ルールを説明するわね」
ギルドの裏口から庭に出た僕は、手に木刀を握りしめている。
相対するのはアリス。双剣使いだけど今回は土俵を同じにしてくれるらしい。
「時間無制限の一本勝負としましょう。一本の基準はそうね…真剣だったら絶命している一撃を入れたらってことにしましょう」
「木刀でも十分痛いから、2人とも気をつけてね!」
物騒なことをよくまぁにこやかに話せるものだ。
クラインが前を向くと、アリスは真剣な面持ちで木刀を構えた。
僕も切り替えないと。
正面の少女に向けて木刀を構える。
「準備はいいみたいね」
シリエはお互いを交互に見るとすっと手を挙げた。
「お互い恨みっこなしよ」
緊張感が辺りに漂う。
スッとシリエは手を振り下ろした。
「始め!!」
やや不服そうな顔のダンに対し、変わらず穏やかな顔でギルドマスター、シリエが答える。
「そういう問題ではないわ。ギルドマスターの私がこの目でその瞬間を見てないんだもの。ギルド加入の許可をしようがないじゃない」
ぶーたれているダンを他所に、テキパキと話を進めるシリエ。
「試験は模擬戦闘で十分ね。依頼をこなしてもらったりすることもあるけど、ダンもああいっていることだし、何より継承する魂の宿主ですものね」
「でしたら、私がお相手しましょう」
アリスが手を挙げ前に出る。
「ダンさんもキースさんもギルドの庭で模擬戦をするには向いていませんし、何より今いるメンバーで近接戦闘を得意とするのは私だけですからね」
そういえば、とクラインは周りに問いかける。
「ダンはガンナーだと聞いているのですが、キースとアリスはなんの職なんですか?」
「あぁ、そういえばまだ話していなかったね。僕はキャスター、魔術師だよ」
「私は剣士です。とりわけ近接戦闘の得意な双剣使いです」
ふんふんと頷くクライン。
「僕は…職としてはどれに当たるでしょう」
…。
「…そうねぇ」
「基本的に何でも使えんだろ?」
「…オールラウンダー…ですかね…?」
「何か贔屓にしている武器はあるのかい?」
「いえ、ありません。このブロードソードもたまたま故郷にあったもので、愛用の武器といったものはありませんでした」
「他の継承する魂は魔術師や拳闘士って具合に職がはっきりしているからね。なかなか難しいなぁ」
みんなが頭を抱える中、ダンはニッと笑った。
「クライン、お前いずれはこの世全ての武器の達人になるんだよな?」
「え?えぇ、いずれ、ですけど。そもそも僕の代で達成できるか…」
「構わねえさ。いずれそうなれる職ってことだろ?全ての武器の達人、もはや神サマみてぇなもんだよな。だったらよ、"武神"なんてどうよ?」
武神!?神様だなんて恐れ多い!
そう思うクラインとは反対に、周りは納得してしまっている。
「いいじゃない、武神だなんてかっこいいわ」
「あながち間違いでもないよね」
「猟犬の牙の武神…いい響きです!」
あぁ、どうやら僕は"武神"になってしまったらしい。
・・・・・・・・
・・・・・
・・・
・
「それじゃ、ルールを説明するわね」
ギルドの裏口から庭に出た僕は、手に木刀を握りしめている。
相対するのはアリス。双剣使いだけど今回は土俵を同じにしてくれるらしい。
「時間無制限の一本勝負としましょう。一本の基準はそうね…真剣だったら絶命している一撃を入れたらってことにしましょう」
「木刀でも十分痛いから、2人とも気をつけてね!」
物騒なことをよくまぁにこやかに話せるものだ。
クラインが前を向くと、アリスは真剣な面持ちで木刀を構えた。
僕も切り替えないと。
正面の少女に向けて木刀を構える。
「準備はいいみたいね」
シリエはお互いを交互に見るとすっと手を挙げた。
「お互い恨みっこなしよ」
緊張感が辺りに漂う。
スッとシリエは手を振り下ろした。
「始め!!」
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

スローライフとは何なのか? のんびり建国記
久遠 れんり
ファンタジー
突然の異世界転移。
ちょっとした事故により、もう世界の命運は、一緒に来た勇者くんに任せることにして、いきなり告白された彼女と、日本へ帰る事を少し思いながら、どこでもキャンプのできる異世界で、のんびり暮らそうと密かに心に決める。
だけどまあ、そんな事は夢の夢。
現実は、そんな考えを許してくれなかった。
三日と置かず、騒動は降ってくる。
基本は、いちゃこらファンタジーの予定。
そんな感じで、進みます。
魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜
笑福音葉 🌱
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。
4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。
そんな彼はある日、追放される。
「よっし。やっと追放だ。」
自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。
- この話はフィクションです。
- カクヨム様でも連載しています。
ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ
雑木林
ファンタジー
現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。
第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。
この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。
そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。
畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。
斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる