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第29話:期待と不安の共同制作
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文庫愛好会と文芸部は、3学期の共同制作発表に向けて本格的に動き始めた。結衣たちは文芸部との協力を楽しみにしつつも、緊張と期待を胸に抱きながら、新しい作品を作り上げるために取り組んでいた。
毎日のように会議室や部室での打ち合わせが行われ、文庫愛好会と文芸部のメンバーはお互いのアイデアを出し合い、熱心に議論を重ねていた。役割分担を決める中で、各自がどのような役割を担うのかが明確になり、それぞれの強みを活かす方向性が見えてきた。
文芸部の小林が会議のテーブルで意見をまとめ始めた。「さて、役割分担を決めようか。小説を書くことには慣れているから、文芸部が役割を決めるのが自然だと思います。文庫愛好会の皆さんには、キャラクターの設定や物語の舞台背景、シーンや会話の描写をお願いしたい」
文庫愛好会のメンバーたちは一瞬驚いた様子を見せたが、河西が応じた。「…わかりました。しっかりやってみます」と落ち着いて頷いた。結衣も少し不安そうだったが、仲間たちとならやり遂げられると信じ、心を引き締めた。
小林が続けた。「そして、物語のリサーチも大事な役割です。文庫愛好会の皆さんがしっかりと調査してくださることを期待しています」
「…リサーチもか」と、平山が小声でつぶやき、少し戸惑いを見せたが、すぐに表情を引き締めた。「でも、大丈夫だよね。私たちならきっと面白い設定が見つけられる」と自分たちを励ますように、メンバーたちは互いに目を合わせて小さく頷いた。
次に文芸部の遠藤が役割を説明し始めた。「文芸部は全体の構成やストーリーの流れを考える役割を担います。物語の大枠を作るのは私たちの担当です」
これを聞き、結衣は内心ほっとする反面、「大枠を任されるのはやっぱり文芸部なんだ…」と少し複雑な思いも抱いていた。自分たちが作ったキャラクターや設定がどんな風に活かされるのか、少し不安もあったが、それでも協力しながら形にしていく楽しみも大きかった。
さらに小林が続けた。「また、文章の校正や表現を磨くのも僕たちがやります。文法チェックや文章が読みやすくなるようにすることも重要な役割です」
「すごい…やっぱり本格的だな」と結衣がつぶやくと、河西が「こうしてサポートしてもらえるなんて、私たちには心強いね」と微笑みを浮かべた。それぞれが得意分野で協力し合えるという点に、皆の気持ちが少しずつ前向きになっていくのを感じた。
文芸部の遠藤が頷きながら言った。「全体の進行状況を管理して、スケジュールを守る役割も文芸部が担当します。みんなが協力しやすいように調整していきます」
進行管理まで文芸部が受け持つという話に、文庫愛好会のメンバーたちは安心感を覚えつつも、どこか頼りきりになってしまうのではという小さな不安も感じていた。しかし、河西は「協力し合うためには役割分担が大切だし、私たちが決められたことをしっかりやれば、きっといい作品になる」と再びみんなを鼓舞した。
最後に小林がまとめた。「物語の方向性やトーンを一貫して保つために、全体の監督をする役割も僕たちで担います。全体のバランスを見ながら、最高の作品を目指しましょう」
こうして役割分担が決まり、結衣たちは新たな挑戦に向けて改めて意欲を高めた。それぞれの得意分野を活かし、協力し合うことで、素晴らしい作品を作り上げるという共通の目標が胸に刻まれたのだった。
創作活動が進むにつれて、文庫愛好会のメンバーたちは増え続けるタスクに圧倒されるようになっていった。文芸部からの指示により、急な方向転換や追加の作業が増え、文庫愛好会のメンバーたちは忙しさに次第に疲弊していった。
ある日の会議で、遠藤が込み入った専門用語を交えながら指示を出した。「じゃあ次は、プロットのエッジングとか、キャラのアーキタイプをもっと深めないとね」
文庫愛好会のメンバーたちは戸惑い、互いに視線を交わした。「…エッジングとアーキタイプって、どういうこと?」と平山が小声で呟くと、遠藤はすかさずそれを聞きつけ、わずかに冷たい笑みを浮かべて、「え、これくらい分かるよね?もしかして知らないとか?」と軽く肩をすくめた。「こういうの基礎だからさ、覚えておいてくれると助かるんだけど」と付け加えると、文庫愛好会のメンバーたちの心にじわりと刺さる空気が漂った。
さらに会議が進むにつれ、遠藤から次々と専門用語が飛び出した。「あと、各章のクロスオーバーのポイントもチェックしといてほしいの。ここがズレると流れが崩れるから、よろしく」と冷ややかに告げられるたび、メンバーたちは必死にメモを取っていたが、理解が追いつかず、ただノートが埋まっていくばかりだった。
増え続けるタスクに彼女たちの顔には次第に疲労の色が浮かび始め、会議が進むほどに空気も重くなっていった。そんな様子を見た河西はふと席を立ち、仲間たちに向き直ると優しく微笑み、「大丈夫、みんな。私たちは一緒に乗り越えていけるからね」と静かに声をかけた。
河西の温かな言葉にメンバーたちはそれぞれ頷き返し、結衣もその言葉に勇気づけられて曇っていた気持ちが少し和らぐのを感じた。河西の励ましがいつも不安を抱える彼女たちの支えであり、思わず結衣の心にも温かい決意が灯った。「よし、私もできるところまで頑張ろう」と心の中でそっと自分に言い聞かせた。
こうして、結衣も含めた文庫愛好会のメンバーたちは、互いに励まし合いながらひたむきに取り組み続けた。辛い時も仲間と視線を交わしては小さな達成感を積み重ね、文庫愛好会は手を取り合って前進を続けていった。
一方で、文芸部はプロジェクトを自分たちのペースで進め、少しずつ優位に立っているように見えた。結衣は、文芸部との協力には全力で取り組んでいたものの、文芸部の態度や進め方にどこか違和感を抱き始めていた。特に、遠藤の態度や次々と出される指示に、何か引っかかるものを感じていた。
指示が出されるたびに、遠藤は少し冷たい笑みを浮かべ、「もちろん、これくらいは分かるよね?」と皮肉めいた口調で言葉を添えることが増えていた。指示自体も、急な変更や理解しにくい専門用語ばかりで、時には追加のタスクが容赦なく増えていった。それが積み重なるうちに、文庫愛好会のメンバーたちが焦っていることを、遠藤はどこか楽しんでいるようにも見えた。
「遠藤さん、本当に私たちの力になってくれているのかな…」結衣はそんな疑問が胸の中で広がり、内心の不安が日ごとに増していった。それから、遠藤の行動や態度を、密かに注意深く観察するようになっていった。
プロジェクトが佳境に差し掛かる中、遅くまで部室に残っていると、廊下から小さな話し声が聞こえてきた。そっと近づくと、そこには遠藤と小林が立っていた。
「文庫愛好会のメンバー、全然気づいてないみたいね。予定通りに終わらないように仕向けて、最終段階で私たちがリードを取ればいいのよ。そうすれば文芸部が格上だって証明できるわ」と冷笑を浮かべる遠藤の声が響くと、小林が険しい表情で言い返した。
「遠藤、それは違うだろう。共同制作で取り組むって決めたのに、わざと進行を遅らせて優位に立つなんて、そんなやり方はおかしいよ」
「本当にそれでいいの?」遠藤は鼻で笑い、抑えた声で続けた。「文芸部の評価が上がればそれでいいのよ。私たちが上に立つ、ただそれだけで十分なの」
小林はため息をつき、「そんなやり方で上に立っても意味がないよ…」と呟いた瞬間、結衣は小さく息を呑んだ。
会話がすべてを理解した時、結衣の心は混乱していた。「どうすればいいんだろう…?文芸部がそんな気持ちで協力していたなんて…」小林が反対していたものの、遠藤の計画がこのまま進んでしまうかもしれないことに、結衣はどう対処するべきか迷っていた。
もし仲間に伝えたら、皆もショックを受けてしまうだろう。だが、一人で抱え込んで良いのかもわからない。結衣はその場を離れながら、遠藤の計画を黙って見過ごすべきではないと感じつつも、どうすべきかが定まらず、揺れる心に言い聞かせた。
「今はまだ…考えよう。どうすれば、みんなの努力が無駄にならずに済むのかを…」
結衣は複雑な思いを抱えたまま部室を後にした。遠藤の計画を知ってしまった以上、このまま黙っているわけにはいかない。けれど、どうすれば仲間を傷つけずに、この状況を乗り越えられるのだろうか。
夜道を歩きながら、結衣の心は迷いの中で揺れ続けていた。自分一人の力では限界があるかもしれない。でも、ここで諦めてしまえば、文庫愛好会の仲間たちと築いてきた時間も、彼女たちが懸命に注いできた努力も無駄になってしまう。
結衣は立ち止まり、そっと空を見上げた。小さな星が夜空に輝き、結衣を見守っているかのように瞬いている。「仲間を信じて、できることをやるしかないよね…」結衣は静かに自分に言い聞かせると、心の中に芽生えた決意が少しずつ固まっていくのを感じた。
遠藤の策略に屈するわけにはいかない。今はまだ方法が見つからなくとも、仲間と一緒にこの状況を乗り越える道を探す。自分にできる最善の選択を、これから見つけていくつもりだった。
冷たい夜風が頬をかすめた時、結衣の表情には少しだけ光が差し込んでいた。
毎日のように会議室や部室での打ち合わせが行われ、文庫愛好会と文芸部のメンバーはお互いのアイデアを出し合い、熱心に議論を重ねていた。役割分担を決める中で、各自がどのような役割を担うのかが明確になり、それぞれの強みを活かす方向性が見えてきた。
文芸部の小林が会議のテーブルで意見をまとめ始めた。「さて、役割分担を決めようか。小説を書くことには慣れているから、文芸部が役割を決めるのが自然だと思います。文庫愛好会の皆さんには、キャラクターの設定や物語の舞台背景、シーンや会話の描写をお願いしたい」
文庫愛好会のメンバーたちは一瞬驚いた様子を見せたが、河西が応じた。「…わかりました。しっかりやってみます」と落ち着いて頷いた。結衣も少し不安そうだったが、仲間たちとならやり遂げられると信じ、心を引き締めた。
小林が続けた。「そして、物語のリサーチも大事な役割です。文庫愛好会の皆さんがしっかりと調査してくださることを期待しています」
「…リサーチもか」と、平山が小声でつぶやき、少し戸惑いを見せたが、すぐに表情を引き締めた。「でも、大丈夫だよね。私たちならきっと面白い設定が見つけられる」と自分たちを励ますように、メンバーたちは互いに目を合わせて小さく頷いた。
次に文芸部の遠藤が役割を説明し始めた。「文芸部は全体の構成やストーリーの流れを考える役割を担います。物語の大枠を作るのは私たちの担当です」
これを聞き、結衣は内心ほっとする反面、「大枠を任されるのはやっぱり文芸部なんだ…」と少し複雑な思いも抱いていた。自分たちが作ったキャラクターや設定がどんな風に活かされるのか、少し不安もあったが、それでも協力しながら形にしていく楽しみも大きかった。
さらに小林が続けた。「また、文章の校正や表現を磨くのも僕たちがやります。文法チェックや文章が読みやすくなるようにすることも重要な役割です」
「すごい…やっぱり本格的だな」と結衣がつぶやくと、河西が「こうしてサポートしてもらえるなんて、私たちには心強いね」と微笑みを浮かべた。それぞれが得意分野で協力し合えるという点に、皆の気持ちが少しずつ前向きになっていくのを感じた。
文芸部の遠藤が頷きながら言った。「全体の進行状況を管理して、スケジュールを守る役割も文芸部が担当します。みんなが協力しやすいように調整していきます」
進行管理まで文芸部が受け持つという話に、文庫愛好会のメンバーたちは安心感を覚えつつも、どこか頼りきりになってしまうのではという小さな不安も感じていた。しかし、河西は「協力し合うためには役割分担が大切だし、私たちが決められたことをしっかりやれば、きっといい作品になる」と再びみんなを鼓舞した。
最後に小林がまとめた。「物語の方向性やトーンを一貫して保つために、全体の監督をする役割も僕たちで担います。全体のバランスを見ながら、最高の作品を目指しましょう」
こうして役割分担が決まり、結衣たちは新たな挑戦に向けて改めて意欲を高めた。それぞれの得意分野を活かし、協力し合うことで、素晴らしい作品を作り上げるという共通の目標が胸に刻まれたのだった。
創作活動が進むにつれて、文庫愛好会のメンバーたちは増え続けるタスクに圧倒されるようになっていった。文芸部からの指示により、急な方向転換や追加の作業が増え、文庫愛好会のメンバーたちは忙しさに次第に疲弊していった。
ある日の会議で、遠藤が込み入った専門用語を交えながら指示を出した。「じゃあ次は、プロットのエッジングとか、キャラのアーキタイプをもっと深めないとね」
文庫愛好会のメンバーたちは戸惑い、互いに視線を交わした。「…エッジングとアーキタイプって、どういうこと?」と平山が小声で呟くと、遠藤はすかさずそれを聞きつけ、わずかに冷たい笑みを浮かべて、「え、これくらい分かるよね?もしかして知らないとか?」と軽く肩をすくめた。「こういうの基礎だからさ、覚えておいてくれると助かるんだけど」と付け加えると、文庫愛好会のメンバーたちの心にじわりと刺さる空気が漂った。
さらに会議が進むにつれ、遠藤から次々と専門用語が飛び出した。「あと、各章のクロスオーバーのポイントもチェックしといてほしいの。ここがズレると流れが崩れるから、よろしく」と冷ややかに告げられるたび、メンバーたちは必死にメモを取っていたが、理解が追いつかず、ただノートが埋まっていくばかりだった。
増え続けるタスクに彼女たちの顔には次第に疲労の色が浮かび始め、会議が進むほどに空気も重くなっていった。そんな様子を見た河西はふと席を立ち、仲間たちに向き直ると優しく微笑み、「大丈夫、みんな。私たちは一緒に乗り越えていけるからね」と静かに声をかけた。
河西の温かな言葉にメンバーたちはそれぞれ頷き返し、結衣もその言葉に勇気づけられて曇っていた気持ちが少し和らぐのを感じた。河西の励ましがいつも不安を抱える彼女たちの支えであり、思わず結衣の心にも温かい決意が灯った。「よし、私もできるところまで頑張ろう」と心の中でそっと自分に言い聞かせた。
こうして、結衣も含めた文庫愛好会のメンバーたちは、互いに励まし合いながらひたむきに取り組み続けた。辛い時も仲間と視線を交わしては小さな達成感を積み重ね、文庫愛好会は手を取り合って前進を続けていった。
一方で、文芸部はプロジェクトを自分たちのペースで進め、少しずつ優位に立っているように見えた。結衣は、文芸部との協力には全力で取り組んでいたものの、文芸部の態度や進め方にどこか違和感を抱き始めていた。特に、遠藤の態度や次々と出される指示に、何か引っかかるものを感じていた。
指示が出されるたびに、遠藤は少し冷たい笑みを浮かべ、「もちろん、これくらいは分かるよね?」と皮肉めいた口調で言葉を添えることが増えていた。指示自体も、急な変更や理解しにくい専門用語ばかりで、時には追加のタスクが容赦なく増えていった。それが積み重なるうちに、文庫愛好会のメンバーたちが焦っていることを、遠藤はどこか楽しんでいるようにも見えた。
「遠藤さん、本当に私たちの力になってくれているのかな…」結衣はそんな疑問が胸の中で広がり、内心の不安が日ごとに増していった。それから、遠藤の行動や態度を、密かに注意深く観察するようになっていった。
プロジェクトが佳境に差し掛かる中、遅くまで部室に残っていると、廊下から小さな話し声が聞こえてきた。そっと近づくと、そこには遠藤と小林が立っていた。
「文庫愛好会のメンバー、全然気づいてないみたいね。予定通りに終わらないように仕向けて、最終段階で私たちがリードを取ればいいのよ。そうすれば文芸部が格上だって証明できるわ」と冷笑を浮かべる遠藤の声が響くと、小林が険しい表情で言い返した。
「遠藤、それは違うだろう。共同制作で取り組むって決めたのに、わざと進行を遅らせて優位に立つなんて、そんなやり方はおかしいよ」
「本当にそれでいいの?」遠藤は鼻で笑い、抑えた声で続けた。「文芸部の評価が上がればそれでいいのよ。私たちが上に立つ、ただそれだけで十分なの」
小林はため息をつき、「そんなやり方で上に立っても意味がないよ…」と呟いた瞬間、結衣は小さく息を呑んだ。
会話がすべてを理解した時、結衣の心は混乱していた。「どうすればいいんだろう…?文芸部がそんな気持ちで協力していたなんて…」小林が反対していたものの、遠藤の計画がこのまま進んでしまうかもしれないことに、結衣はどう対処するべきか迷っていた。
もし仲間に伝えたら、皆もショックを受けてしまうだろう。だが、一人で抱え込んで良いのかもわからない。結衣はその場を離れながら、遠藤の計画を黙って見過ごすべきではないと感じつつも、どうすべきかが定まらず、揺れる心に言い聞かせた。
「今はまだ…考えよう。どうすれば、みんなの努力が無駄にならずに済むのかを…」
結衣は複雑な思いを抱えたまま部室を後にした。遠藤の計画を知ってしまった以上、このまま黙っているわけにはいかない。けれど、どうすれば仲間を傷つけずに、この状況を乗り越えられるのだろうか。
夜道を歩きながら、結衣の心は迷いの中で揺れ続けていた。自分一人の力では限界があるかもしれない。でも、ここで諦めてしまえば、文庫愛好会の仲間たちと築いてきた時間も、彼女たちが懸命に注いできた努力も無駄になってしまう。
結衣は立ち止まり、そっと空を見上げた。小さな星が夜空に輝き、結衣を見守っているかのように瞬いている。「仲間を信じて、できることをやるしかないよね…」結衣は静かに自分に言い聞かせると、心の中に芽生えた決意が少しずつ固まっていくのを感じた。
遠藤の策略に屈するわけにはいかない。今はまだ方法が見つからなくとも、仲間と一緒にこの状況を乗り越える道を探す。自分にできる最善の選択を、これから見つけていくつもりだった。
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