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第26話:未来へ紡ぐページ
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文化祭の熱気も収まり、少しずつ日常が戻り始めた放課後の学校。あの達成感を改めて分かち合おうと、文庫愛好会のメンバーは文化祭の成功を祝うため、ささやかな食事会を開くことにした。放課後、部室に集まったメンバーたちは、それぞれ荷物をまとめながら準備を整える。
「じゃあ、みんな揃ったし行こうか!」と石山が声をかけると、全員が嬉しそうに立ち上がり、ワイワイとおしゃべりをしながら校舎を後にした。選んだ場所は、学校から歩いて数分のところにあるお馴染みのファミレス。放課後になると学生たちで賑わうそのファミレスは、明るく親しみやすい雰囲気で、文庫愛好会のみんなにとってもお気に入りの場所だった。
夕焼けに染まる道を並んで歩くメンバーたち。道中、文化祭の思い出話に花を咲かせたり、学校での出来事を話したりと、終始にぎやかに笑い合いながらファミレスへと向かっていった。
「今日くらいは、みんなでちょっと贅沢しちゃおう!」と河西が声を弾ませると、「じゃあデザートも頼んじゃおうかな!」と北原がにっこり笑い、平山も「せっかくの打ち上げだもんね、パフェ頼んじゃおう!」とウキウキした様子で応じ、全員がますます気持ちを弾ませながら歩いた。
やがてファミレスに到着し、みんなで入口から賑やかに入店すると、それぞれ好きな席に着き、テーブルを囲んでメニューを手に取った。いつもは静かな部室でじっくり読書や創作を楽しんでいる彼女たちも、今日はリラックスして、普段の学校生活とは少しだけ違う「特別な時間」を過ごそうとしていた。
「じゃあ今日はたくさん頼もう!みんな好きなもの選んで!」と石山が嬉しそうに声をかけると、河西が「じゃあ、私はポテトも追加しちゃおうかな!」と嬉しそうに言い、みんなが笑顔でそれぞれのメニューを決めていった。
そんな中、文化祭当日に大活躍してくれた「特別ゲスト」の花音も、みんなと一緒にファミレスにやってきていた。改めて集まった全員を見渡すと、結衣たちは「花音も一緒に来てくれて嬉しいよ!」と声を揃えて微笑んだ。
「みんな、本当にお疲れさま!」と、石山が少し誇らしげに口を開いた。「おかげで文化祭は大成功だったよね。まさか、あんなにたくさんの人が部誌を手に取ってくれるなんて思わなかった」
結衣も深く頷きながら、声を弾ませて言った。「本当に良かったです!花音が手伝ってくれたおかげで、部誌を全部配り切れましたし。花音、ありがとう!」
花音は少し照れくさそうに笑い、「いやいや、結衣がすごく頑張ってたから、私もつい手伝いたくなっちゃっただけだよ」と謙遜しながら返した。その言葉に他のメンバーたちも「ほんとにありがとう!」と次々に声をあげ、改めて彼女に感謝の気持ちを向ける。
「それにしても、小説を書くのって思ってた以上に大変だったよね!」と、北原がテーブルを指で叩きながら笑い出すと、メンバー全員の口元に苦笑が浮かんだ。
「ほんと!締め切り前なんて、ギリギリすぎて自分が何を書いてるのかもわからなくなりましたよ!」と河西が大きく頷きながら言うと、さらに笑いながら「私なんて、ラストだけで何度書き直したか覚えてないです!書いては消し、また書いて…もう何度も!」と、手をばたつかせて表情豊かに話す。その姿に、テーブルの全員が思わず大笑いした。
平山も笑いながら同意し、「キャラの気持ちとか、どうやって表現しようか悩みましたけど、出来上がったときは本当に嬉しくて!」と、当時を思い出すように手を胸に当てた。
結衣もみんなの話に頷きつつ、「私もです!でも、花音のアドバイスがなかったら絶対に書き上げられなかったかも…本当に感謝してる!」と、改めて深く感謝を伝えた。
花音はさらに照れながら、「いやいや、本当にすごかったのはみんなだから!結衣があんなに頑張ってたから、あの小説が完成したんだよ!」と優しく結衣を讃え、メンバーたちは「ほんとにその通り!」と拍手と共に声を上げた。
石山がふと結衣と花音を見ながら、優しく微笑んで言った。「本当に友達って素敵だよね。花音ちゃんのアドバイスがあったから、結衣のアイデアが生まれて…こうして一つの作品ができるって、なんだか感動するね」
その言葉に北原も頷きながら、「だよね。お互いに支え合って何かを形にできるって、すごくいいことだと思う」と、しみじみとした口調で言った。
石山の言葉に、結衣と花音は照れくさそうに顔を見合わせ、笑い合う。二人の友情の温かさが伝わり、テーブルの全員も思わず笑顔になった。その瞬間、みんなの心が通じ合い、誇らしげに頷き合った。
石山や北原の言葉を受けて、結衣が少し照れたように微笑みながら言った。「本当に、皆さんのおかげでここまでできました。次も…また一緒に何かに挑戦できたら嬉しいです!」
その言葉に、「よーし!じゃあ、次もまたやろう!もっと大変になるかもだけど!」と河西が楽しそうに声を上げ、「それでもまたみんなで頑張りたい!」と全員が笑顔で同意し、さらに拍手と歓声が沸き上がった。ファミレスの一角は、彼女たちの弾むような笑い声と温かい絆に包まれ、明るく賑やかな空気が満ちていた。
そんな盛り上がりを見ながら、ふと石山が少し寂しそうに微笑んで、皆に向かって口を開いた。「ねえ、実は…私と北原は今回の文化祭で引退しようと思っているんだ。3年生だから、そろそろ受験もあるし、後輩たちにこの部を託す時期だと思って…」
その言葉に、みんなが驚いて一斉に静かになった。楽しそうに笑っていた北原も、照れくさそうに笑いながら言った。「次の製作、すごく楽しそうだよね。みんながまた新しい部誌を作ってくれるなら、私も一緒にやりたかったなって、本当に思うんだけど…」
「そうだよね、次も一緒にやりたいよね」と石山も同意しながら、少し切なげに微笑んだ。「でもね、私たちはここで一旦引退。これからは、皆に文庫愛好会を任せるよ」
結衣たちは、先輩たちの決意を真剣に受け止めながらも、先輩と共に過ごせなくなる寂しさが胸に広がり、しばらく静かにうつむいていた。それから結衣が顔を上げて、少し震える声で言った。「石山さん、北原さん、今まで本当にありがとうございました。私たちでしっかりと受け継いでいきます!」
河西はそっと目元を拭い、そして決意を込めて顔を上げると、少し明るく笑いながら言った。「でも、これからも先輩たちに顔向けできるような部活にしていきます!」と元気な声を上げ、場を少し和ませた。その声に励まされるように、他のメンバーも「うん、私たちならできる!」と頷き、微笑みが広がっていった。
北原は皆を見渡しながら、優しい眼差しで静かに言葉を紡いだ。「みんななら本当に大丈夫だよ。今まで一緒に過ごしてきた時間が、私たちにとって何よりの宝物だから」
その言葉がじんわりと心に染み渡り、全員の胸がじわっと温かくなった。北原の言葉には、ただの引退ではない深い愛情が詰まっていることを、全員が感じていた。
そして石山がふっと笑い、「さ、泣いてばかりじゃダメだよ。次に向けて、たくさん素敵な作品を作っていってね!」と、優しく励ましの声をかけた。
その言葉に、結衣たちは気持ちを新たにし、涙を拭いながらも全員が笑顔を交わした。「はい!私たち、頑張ります!」と明るく声をそろえた。ファミレスの一角には、静かに、そして優しく心に響く余韻がいつまでも漂っていた。
静かな空気がテーブルを包む中、ふと、花音がぱっと顔を上げて、場を明るくしようとするように声を弾ませた。
「そうだ!部誌が学校中で話題になってるって聞いたよ!」と、笑顔で言った。
「『すごく面白かった!』って、あちこちでみんな褒めてたよ!」と嬉しそうに報告すると、メンバーたちは目を輝かせて顔を見合わせ、「本当!?」と驚きながらも嬉しそうに笑顔を浮かべた。「やったぁ!」と、みんなの口から喜びの声が漏れ、自然とテーブルに明るい空気が戻ってきた。
すると石山も笑いを含ませながら、「それに、花音ちゃんの男装もね。みんな『かっこいい!』って騒いでたし、インパクトばっちりだったみたい」と、さらに場を盛り上げるように付け加えた。
花音は少し赤くなって、「え、そんなこと言われてたの?ちょっと恥ずかしいな…」と照れ笑いを浮かべたが、彼女のそんな姿を見て、結衣たちも思わず優しい笑みを浮かべた。花音の笑顔と先輩たちの暖かな眼差しが合わさり、自然と明るい笑い声がファミレスのテーブルに広がった。
ふと結衣が目を輝かせて、「また…何か書きたいなぁ」と呟くように言った。
「私も!」と北原がすかさず勢いよく応じ、少し照れたように笑いながら「でも、次は皆に任せることになるけどね」と後輩たちを見つめた。
「私も!」と河西が応じ、さらに平山も「もっと書いてみたい!」と笑顔を見せる。後輩たちの意欲的な声が次々と上がる様子に、石山も優しく微笑んで頷き、感慨深そうに彼女たちの顔を見渡していた。
「じゃあ、次は皆でじっくり時間をかけて、3学期に新しい部誌を出すっていうのはどうかな?」と石山が提案し、「私たちは引退するけど、それまでにできる限りサポートするし、さらに面白いものができたらいいなって思うんだけど」と続けると、後輩たちは顔を見合わせ、満面の笑みで頷いた。
「賛成です!先輩たちの想いも引き継いで、次も絶対に素敵なものにします!」と結衣が力強く言い、仲間たちもその言葉に続いて意気込んだ。
その後も、会話は途切れることなく続き、これまでの部誌制作の思い出や新しいアイデアに笑顔が咲き乱れた。結衣は、楽しそうに話し込む先輩たちと仲間の様子を見つめながら、自分の胸の中に何か温かいものが広がっていくのを感じていた。
石山と北原が、自分たちを少し誇らしげに、そして優しく見守ってくれているのがわかる。その眼差しを受けたとき、結衣の心には「これからも、皆と一緒に」という強い思いが芽生えていた。先輩たちが大切にしてきたこの文庫愛好会を、これからは自分たちが受け継いでいくのだと決意を新たにした。
そしてその夜、夢や友情について語り合い、みんなで笑い合いながら過ごした時間は、結衣の心に何よりも温かい思い出として深く刻まれた。大好きな先輩たちの姿とともに、その思い出はいつまでも色あせることなく、ずっと結衣の中で輝き続けるだろうと、そう信じていた。
「じゃあ、みんな揃ったし行こうか!」と石山が声をかけると、全員が嬉しそうに立ち上がり、ワイワイとおしゃべりをしながら校舎を後にした。選んだ場所は、学校から歩いて数分のところにあるお馴染みのファミレス。放課後になると学生たちで賑わうそのファミレスは、明るく親しみやすい雰囲気で、文庫愛好会のみんなにとってもお気に入りの場所だった。
夕焼けに染まる道を並んで歩くメンバーたち。道中、文化祭の思い出話に花を咲かせたり、学校での出来事を話したりと、終始にぎやかに笑い合いながらファミレスへと向かっていった。
「今日くらいは、みんなでちょっと贅沢しちゃおう!」と河西が声を弾ませると、「じゃあデザートも頼んじゃおうかな!」と北原がにっこり笑い、平山も「せっかくの打ち上げだもんね、パフェ頼んじゃおう!」とウキウキした様子で応じ、全員がますます気持ちを弾ませながら歩いた。
やがてファミレスに到着し、みんなで入口から賑やかに入店すると、それぞれ好きな席に着き、テーブルを囲んでメニューを手に取った。いつもは静かな部室でじっくり読書や創作を楽しんでいる彼女たちも、今日はリラックスして、普段の学校生活とは少しだけ違う「特別な時間」を過ごそうとしていた。
「じゃあ今日はたくさん頼もう!みんな好きなもの選んで!」と石山が嬉しそうに声をかけると、河西が「じゃあ、私はポテトも追加しちゃおうかな!」と嬉しそうに言い、みんなが笑顔でそれぞれのメニューを決めていった。
そんな中、文化祭当日に大活躍してくれた「特別ゲスト」の花音も、みんなと一緒にファミレスにやってきていた。改めて集まった全員を見渡すと、結衣たちは「花音も一緒に来てくれて嬉しいよ!」と声を揃えて微笑んだ。
「みんな、本当にお疲れさま!」と、石山が少し誇らしげに口を開いた。「おかげで文化祭は大成功だったよね。まさか、あんなにたくさんの人が部誌を手に取ってくれるなんて思わなかった」
結衣も深く頷きながら、声を弾ませて言った。「本当に良かったです!花音が手伝ってくれたおかげで、部誌を全部配り切れましたし。花音、ありがとう!」
花音は少し照れくさそうに笑い、「いやいや、結衣がすごく頑張ってたから、私もつい手伝いたくなっちゃっただけだよ」と謙遜しながら返した。その言葉に他のメンバーたちも「ほんとにありがとう!」と次々に声をあげ、改めて彼女に感謝の気持ちを向ける。
「それにしても、小説を書くのって思ってた以上に大変だったよね!」と、北原がテーブルを指で叩きながら笑い出すと、メンバー全員の口元に苦笑が浮かんだ。
「ほんと!締め切り前なんて、ギリギリすぎて自分が何を書いてるのかもわからなくなりましたよ!」と河西が大きく頷きながら言うと、さらに笑いながら「私なんて、ラストだけで何度書き直したか覚えてないです!書いては消し、また書いて…もう何度も!」と、手をばたつかせて表情豊かに話す。その姿に、テーブルの全員が思わず大笑いした。
平山も笑いながら同意し、「キャラの気持ちとか、どうやって表現しようか悩みましたけど、出来上がったときは本当に嬉しくて!」と、当時を思い出すように手を胸に当てた。
結衣もみんなの話に頷きつつ、「私もです!でも、花音のアドバイスがなかったら絶対に書き上げられなかったかも…本当に感謝してる!」と、改めて深く感謝を伝えた。
花音はさらに照れながら、「いやいや、本当にすごかったのはみんなだから!結衣があんなに頑張ってたから、あの小説が完成したんだよ!」と優しく結衣を讃え、メンバーたちは「ほんとにその通り!」と拍手と共に声を上げた。
石山がふと結衣と花音を見ながら、優しく微笑んで言った。「本当に友達って素敵だよね。花音ちゃんのアドバイスがあったから、結衣のアイデアが生まれて…こうして一つの作品ができるって、なんだか感動するね」
その言葉に北原も頷きながら、「だよね。お互いに支え合って何かを形にできるって、すごくいいことだと思う」と、しみじみとした口調で言った。
石山の言葉に、結衣と花音は照れくさそうに顔を見合わせ、笑い合う。二人の友情の温かさが伝わり、テーブルの全員も思わず笑顔になった。その瞬間、みんなの心が通じ合い、誇らしげに頷き合った。
石山や北原の言葉を受けて、結衣が少し照れたように微笑みながら言った。「本当に、皆さんのおかげでここまでできました。次も…また一緒に何かに挑戦できたら嬉しいです!」
その言葉に、「よーし!じゃあ、次もまたやろう!もっと大変になるかもだけど!」と河西が楽しそうに声を上げ、「それでもまたみんなで頑張りたい!」と全員が笑顔で同意し、さらに拍手と歓声が沸き上がった。ファミレスの一角は、彼女たちの弾むような笑い声と温かい絆に包まれ、明るく賑やかな空気が満ちていた。
そんな盛り上がりを見ながら、ふと石山が少し寂しそうに微笑んで、皆に向かって口を開いた。「ねえ、実は…私と北原は今回の文化祭で引退しようと思っているんだ。3年生だから、そろそろ受験もあるし、後輩たちにこの部を託す時期だと思って…」
その言葉に、みんなが驚いて一斉に静かになった。楽しそうに笑っていた北原も、照れくさそうに笑いながら言った。「次の製作、すごく楽しそうだよね。みんながまた新しい部誌を作ってくれるなら、私も一緒にやりたかったなって、本当に思うんだけど…」
「そうだよね、次も一緒にやりたいよね」と石山も同意しながら、少し切なげに微笑んだ。「でもね、私たちはここで一旦引退。これからは、皆に文庫愛好会を任せるよ」
結衣たちは、先輩たちの決意を真剣に受け止めながらも、先輩と共に過ごせなくなる寂しさが胸に広がり、しばらく静かにうつむいていた。それから結衣が顔を上げて、少し震える声で言った。「石山さん、北原さん、今まで本当にありがとうございました。私たちでしっかりと受け継いでいきます!」
河西はそっと目元を拭い、そして決意を込めて顔を上げると、少し明るく笑いながら言った。「でも、これからも先輩たちに顔向けできるような部活にしていきます!」と元気な声を上げ、場を少し和ませた。その声に励まされるように、他のメンバーも「うん、私たちならできる!」と頷き、微笑みが広がっていった。
北原は皆を見渡しながら、優しい眼差しで静かに言葉を紡いだ。「みんななら本当に大丈夫だよ。今まで一緒に過ごしてきた時間が、私たちにとって何よりの宝物だから」
その言葉がじんわりと心に染み渡り、全員の胸がじわっと温かくなった。北原の言葉には、ただの引退ではない深い愛情が詰まっていることを、全員が感じていた。
そして石山がふっと笑い、「さ、泣いてばかりじゃダメだよ。次に向けて、たくさん素敵な作品を作っていってね!」と、優しく励ましの声をかけた。
その言葉に、結衣たちは気持ちを新たにし、涙を拭いながらも全員が笑顔を交わした。「はい!私たち、頑張ります!」と明るく声をそろえた。ファミレスの一角には、静かに、そして優しく心に響く余韻がいつまでも漂っていた。
静かな空気がテーブルを包む中、ふと、花音がぱっと顔を上げて、場を明るくしようとするように声を弾ませた。
「そうだ!部誌が学校中で話題になってるって聞いたよ!」と、笑顔で言った。
「『すごく面白かった!』って、あちこちでみんな褒めてたよ!」と嬉しそうに報告すると、メンバーたちは目を輝かせて顔を見合わせ、「本当!?」と驚きながらも嬉しそうに笑顔を浮かべた。「やったぁ!」と、みんなの口から喜びの声が漏れ、自然とテーブルに明るい空気が戻ってきた。
すると石山も笑いを含ませながら、「それに、花音ちゃんの男装もね。みんな『かっこいい!』って騒いでたし、インパクトばっちりだったみたい」と、さらに場を盛り上げるように付け加えた。
花音は少し赤くなって、「え、そんなこと言われてたの?ちょっと恥ずかしいな…」と照れ笑いを浮かべたが、彼女のそんな姿を見て、結衣たちも思わず優しい笑みを浮かべた。花音の笑顔と先輩たちの暖かな眼差しが合わさり、自然と明るい笑い声がファミレスのテーブルに広がった。
ふと結衣が目を輝かせて、「また…何か書きたいなぁ」と呟くように言った。
「私も!」と北原がすかさず勢いよく応じ、少し照れたように笑いながら「でも、次は皆に任せることになるけどね」と後輩たちを見つめた。
「私も!」と河西が応じ、さらに平山も「もっと書いてみたい!」と笑顔を見せる。後輩たちの意欲的な声が次々と上がる様子に、石山も優しく微笑んで頷き、感慨深そうに彼女たちの顔を見渡していた。
「じゃあ、次は皆でじっくり時間をかけて、3学期に新しい部誌を出すっていうのはどうかな?」と石山が提案し、「私たちは引退するけど、それまでにできる限りサポートするし、さらに面白いものができたらいいなって思うんだけど」と続けると、後輩たちは顔を見合わせ、満面の笑みで頷いた。
「賛成です!先輩たちの想いも引き継いで、次も絶対に素敵なものにします!」と結衣が力強く言い、仲間たちもその言葉に続いて意気込んだ。
その後も、会話は途切れることなく続き、これまでの部誌制作の思い出や新しいアイデアに笑顔が咲き乱れた。結衣は、楽しそうに話し込む先輩たちと仲間の様子を見つめながら、自分の胸の中に何か温かいものが広がっていくのを感じていた。
石山と北原が、自分たちを少し誇らしげに、そして優しく見守ってくれているのがわかる。その眼差しを受けたとき、結衣の心には「これからも、皆と一緒に」という強い思いが芽生えていた。先輩たちが大切にしてきたこの文庫愛好会を、これからは自分たちが受け継いでいくのだと決意を新たにした。
そしてその夜、夢や友情について語り合い、みんなで笑い合いながら過ごした時間は、結衣の心に何よりも温かい思い出として深く刻まれた。大好きな先輩たちの姿とともに、その思い出はいつまでも色あせることなく、ずっと結衣の中で輝き続けるだろうと、そう信じていた。
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