忘れられた手紙

第5話：聞くことで繋がる心

　文庫愛好会の一員である結衣は、最近仲良くなった横山花音に自分の好きな本の話題ばかりを語っていた。新しい発見や感動を共有したくて、ついつい話が止まらなくなってしまう。しかし、花音が少し困っている様子には気づかず、結衣は一方的に自分の話を続けていた。

　毎日のように本の話をする結衣に対して、花音の表情は次第に曇りがちになっていた。ある日、花音はついに堪えきれなくなり、短い言葉を発した。「もういい」と。それだけを言い残し、花音は立ち去ってしまった。

　結衣には花音が怒る理由がわからず、戸惑いと共に心が沈んでいった。「どうして花音がこんなに怒っているんだろう…」結衣は自分の行動を振り返りながら、手紙を取り出して読み返した。

　手紙には、他人とのコミュニケーションについても触れられていた。

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「ある日、私は友人とカフェに行った。いつも自分の話ばかりしてしまう私に、友人が突然こう言ったんだ。『あなたの話を聞くのは楽しいけど、私も話したいことがあるんだ』と。その時、私は初めて友人の気持ちに気づいたんだ。」

「その後、私は友人に謝り、もっと相手の話を聞くことを心掛けるようになった。相手の話を聞くことで、お互いの理解が深まり、友情も強くなったんだ。」

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　相手の話を聞くことが大切。自分の思いを伝えるだけでなく、相手の気持ちに寄り添うことが大事と書かれていた。



　その言葉を読んだ結衣は、はっと気づいた。「私は花音の話を全然聞いていなかったんだ…」結衣はすぐに電話を取り、花音に電話をかけた。

「もしもし、花音？ごめんなさい…」結衣は緊張しながらも、心からの謝罪を口にした。「今まで私の話ばかりして、花音の話をちゃんと聞けていなかったことに気づいたの。本当にごめんね。」

　電話の向こうで花音の声が返ってきた。「結衣…気づいてくれてありがとう。ちょっとだけ寂しかったんだ。でも、これからはお互いに話を聞き合おうね。」

　結衣はほっとし、心が温かくなるのを感じた。「うん、これからはもっと花音の話も聞くね。」結衣はそう約束した。



　結衣は、友人との関係は一方的な話し手になることではなく、相手の話に耳を傾けることの大切さを学んだ。この経験を通じて、結衣と花音の友情はより深まり、彼女たちはお互いを理解し合うことで真の絆を築くことができた。

　これからも結衣は、他者とのコミュニケーションを大切にし、心からの対話を続けていくことを誓った。