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間章 初代勇者

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「魔王様よりもお強いとは一体?」

「ねえ神父様魔王って誰?」

聴き慣れない言葉に対しての純粋な疑問。

「魔王様とは世界樹教では邪悪な存在として伝わっていますが精霊教では負の感情を集め浄化する存在と言われています。」

「ふーん。じゃあ勇者は負の感情に飲まれてしまったときの洗剤みたいなもんなの。」

「あははは!まあその通りだよ。魔王が暴走することなんて滅多にないけどあるにはあるからね。まあ今回は世界樹のやつが無理矢理暴走させようとしているから呼んだんだけど。君みたいなのが居るのは解らなかったなぁ!世界ってホントに面白い!創造主の予想を遥かに超えて進化するし世界の枠組みをすぐに超えようとするんだから面白過ぎるよ!」

「うーん?えっと生け簀に入れてたらレンガで作ったのにそれを砕いて脱出するシャコみたいな奴ってこと?」

シャコのパンチ力は凄まじいのだ。
アレくらいの肉体を作り上げるにはどのくらいの鍛錬が必要なのか自分でも検討が付かないくらいに凄まじいパンチ力だった。
なんとか目で追えるけど俺には到底繰り出せそうにない。

そうこんな感じのをもっと早くしたように。

「シュッ。」

「お、早いね。それにもう身体のこと使いこなしてるよ。君も別の世界から来たの?」

「そんなわけじゃないよ。適性のある職業の語りかける声のままに身を任せているだけだよ。」

精霊はうんうんと頷いた。

「そうだね。君は君じゃないね。君が君になったときにならもっと面白いことが起きそうだ。世界樹を倒すのを楽しみにしているよ。」

「だからそんな面倒なことしないよ。俺がするのは身体をいい方向に成長させることだけだって。」

「ごめんごめん間違っちゃったよ。君がどのような生を成すのか、

海に投げた石ころのように飲まれて行ってしまうのか

それとも過去の海に石ころを投げ入れるのか

楽しみに待っているよ。じゃあねバイバイ!(@^^)/~~~」

くるりと花畑の方に戻ろうとした精霊は「あ」と一言何か思い出したのかのように振り向くと

「おじいちゃん、そこのきみと勇者ちゃんには離れて暮らした方が良いしそんな身体に成っちゃってるから武者修行にでも出かけたって言って別れて生活したほうがいいよ。世界樹が倒されるまでね。」

神父は返事はせずに頭を下げるのみだった。
そして精霊が過ぎ去ったのちに言葉を発した。

「まだ6にも満たない君にお願いをしても良いかな。」

「いいよ。もともとそのつもりだったし。やっぱ人生ぐーたら漠然と生きていた方が俺には幸せだと思うしね。あ、あと敬語とか使いたくないから勇者が魔王倒して世界樹ぶった切っても俺は逃げるから。」

「なぜ敬語を使うことに繋がるのですか?」

「王族貴族なんかに勇者が捕まってそうな未来しか見えないから。」

相も変わらず報われないなと二人の事情を知る神父は思った。
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