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間章 初代勇者
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「ふい~今日も肉体をいじめきったぞ!」
誰もがこの言葉を聞けば身体を鍛えているんだろうなと思い浮かべるだろう。
「コラ!○○君!また私のおままごと逃げ出して!私とどっちが大切なの?」
6歳が言っていなければの話だが。
肉体美というには程遠いのだがそれでも6歳児を超える身体能力を手にしていた。
「天上天下唯我独尊《俺》!」
「酷い!」
自分の身体を鍛えることにしか一切興味が無い…………わけではない。
「嘘だよ。」
「(ぷく―)」
頬一杯に空気を詰め込む少女。
からかわれたことに苛立ったのだろうが大人から見てみればまだまだ微笑ましい。
「フグみてえな顔。そんなんじゃ男に吊り上げられるときに大物と勘違いされてポイと捨てられちまうぞ。」
大人の言っていたことをとにかく使いたくなるお年頃。
意味も解らず使っているから関係ない。
「太ってないもん!」
少女は純粋にただの太った人と言う意味でとっているが少年の話した意味とは違っていた。
フグのような人とはこの地方では太った人の呼称だった。
フグを釣る際に水を多く含み大物のようなかかりをするのに毒のある魚と言うことからついたことわざだ。
いい異性を釣ったと思ったらフグだったとはまさにこのこと。
「そういう意味じゃねえんだけど。まあマッサージしてやるから気を直せよ。」
「お父さんの真似してる!お父さんも私が怒ると違うことでご機嫌取ろうとするもん!」
「ったくそういうところばっか覚えるんだから村のみんなにも嫌われるんだぞ。」
「いいもん○○君に嫌われなければそれでいいもん!」
「本当に大丈夫かよ。」
少年は何も言わずに少女の身体をマッサージしていく。
「(にへ~)気持ちいい。」
「それは何よりです。お姫様。」
「くるしゅうない!」
「じゃあ村に戻って手伝いをしに行きますか。」
「やだよーもっとマッサージしてよ。」
「これ以上やってたら遅れちまうしお前の身体はもうもみほぐされてるから意味がないぞ。」
「遅れるって何の?」
少年の最初の部分しか拾わなかったらしい。
少女は早く答えろ言わんばかりにずいずいと顔を近づけてくる。
これは日常茶飯事の出来事なのだが少年はある意味、鬱陶しいとも思っている。
これも今日が最後だろうなと思いつつ少女を引っ張りながら歩みを進めていく。
「ねえ、教えてよ。」
「今日は適性の儀だろ。」
「あ!」
少年は直感していた。
もう少女に会うことは無いだろうと。
既に知っている事実に対してなのかそれとも自分がどんな人間成るか理解しているからなのか全くもって理解不能であったが歴戦の戦士並みに彼の肉体への予想図は当たる。
「生きろよ。」
「何か言った?」
「何も言っていないさ。いい職業だといいな。」
「うん!」
誰もがこの言葉を聞けば身体を鍛えているんだろうなと思い浮かべるだろう。
「コラ!○○君!また私のおままごと逃げ出して!私とどっちが大切なの?」
6歳が言っていなければの話だが。
肉体美というには程遠いのだがそれでも6歳児を超える身体能力を手にしていた。
「天上天下唯我独尊《俺》!」
「酷い!」
自分の身体を鍛えることにしか一切興味が無い…………わけではない。
「嘘だよ。」
「(ぷく―)」
頬一杯に空気を詰め込む少女。
からかわれたことに苛立ったのだろうが大人から見てみればまだまだ微笑ましい。
「フグみてえな顔。そんなんじゃ男に吊り上げられるときに大物と勘違いされてポイと捨てられちまうぞ。」
大人の言っていたことをとにかく使いたくなるお年頃。
意味も解らず使っているから関係ない。
「太ってないもん!」
少女は純粋にただの太った人と言う意味でとっているが少年の話した意味とは違っていた。
フグのような人とはこの地方では太った人の呼称だった。
フグを釣る際に水を多く含み大物のようなかかりをするのに毒のある魚と言うことからついたことわざだ。
いい異性を釣ったと思ったらフグだったとはまさにこのこと。
「そういう意味じゃねえんだけど。まあマッサージしてやるから気を直せよ。」
「お父さんの真似してる!お父さんも私が怒ると違うことでご機嫌取ろうとするもん!」
「ったくそういうところばっか覚えるんだから村のみんなにも嫌われるんだぞ。」
「いいもん○○君に嫌われなければそれでいいもん!」
「本当に大丈夫かよ。」
少年は何も言わずに少女の身体をマッサージしていく。
「(にへ~)気持ちいい。」
「それは何よりです。お姫様。」
「くるしゅうない!」
「じゃあ村に戻って手伝いをしに行きますか。」
「やだよーもっとマッサージしてよ。」
「これ以上やってたら遅れちまうしお前の身体はもうもみほぐされてるから意味がないぞ。」
「遅れるって何の?」
少年の最初の部分しか拾わなかったらしい。
少女は早く答えろ言わんばかりにずいずいと顔を近づけてくる。
これは日常茶飯事の出来事なのだが少年はある意味、鬱陶しいとも思っている。
これも今日が最後だろうなと思いつつ少女を引っ張りながら歩みを進めていく。
「ねえ、教えてよ。」
「今日は適性の儀だろ。」
「あ!」
少年は直感していた。
もう少女に会うことは無いだろうと。
既に知っている事実に対してなのかそれとも自分がどんな人間成るか理解しているからなのか全くもって理解不能であったが歴戦の戦士並みに彼の肉体への予想図は当たる。
「生きろよ。」
「何か言った?」
「何も言っていないさ。いい職業だといいな。」
「うん!」
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