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破章
62
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「これで通りやすくなった。」
戦場にいる兵士は余程の馬鹿か使命があるものたちのみ。
何も格下と思っている訳ではない。
戦場に置いて数は実力が拮抗した状態で発揮する脅威であり油断でもある。
ユートは不毛の土地の開拓でいくつもの自然の掟を見てきた。
騎士道なんてクソ喰らえと思うほどの化かし合いの騙し合い。
相手を思いやる時間があるのなら自分が生きることだけを考えろと言われるような環境下。
彼ら開拓民は生き切った。
生きれる基盤を作り上げた。
その過程で巨大な核兵器にも匹敵する人類の脅威を手にしたのだ。
「よし、今行ってやるよ。」
その力で世界を救う?
そんな些細なことは思わない。
世界を支配するなんてことも些細なことだ。
手に余るモノは全て些細なこと。
自分に関係ないからだ。
例えその力を持って全世界を支配したところでその全てを見聞きできる訳でもない。
むしろ自分の見えて届く範囲で完結させるべきだと俺は思う。
なんせ手に届くモノでさえ手からこぼれ落ちるモノも多くあるのに目に見えず手を伸ばそうとも届かないものに道具を使ってまで手を伸ばしていては手が重みに耐えきれなくなってしまう。
「王様ってのは大変だな。」
農民の自分ならいざ知らず。
身近な存在なら村長くらいのものだろう。
王の苦労を理解できるのは。
上に立つことをある種強要された存在は重荷を当然のように受け止める。
だから敬われ敬語という言葉ができた。
村長は自分はそんな大層なモノではないからと敬語をきらい、むしろ敬語は差別の象徴だと行ってきた。
「ワシらは全て狩人に始まり農民へと進化した。農民になったが故に縄張りというものを強く意識するようになった。
縄張りを意識するようになったから村が必要となった。
そこで村を一番知る人物を村長と定めた。
村が大きくなり町となり都市となり国は出来上がっていった。
さすれば今までのように国を一番知っていた人物が王になった。それだけの話じゃ。共和国などは王にあたる人物を毎年変えておる。ようは誰でも良いんじゃよ。
その土地を誰でも知ってさえ居ればのう。
まるでマリアンヌちゃんの遊びに誰よりも付き合わされて誰よりも詳しくなってしまったユートのように勝手になってしまうんじゃよ。」
国を知ろうとしなくても知ってしまうが故に長なのだと言っていた。
正に村長らしい考え方だ。
俺もまたマリアンヌのことを誰よりも知っている。
だからこそ家族の長になれるのかも知れない。
憔悴し切った幼馴染の下へ歩み寄り兵士に斬りかかろうとしたタイミングで俺はその手を押さえた。
「ちゃんと手紙を読み終えてきたよ。ったく開拓で忙しかったってのに無駄な時間かけさせやがって。」
幼馴染はまだ理解し切ってないが目に光が宿る。
「俺はさ、お前が王都に行くとき悩んだぜ。でもさ、ここは故郷だろ。勇者の世界はそんなにも大きなものしか見てこれなかったのか?」
宿った光が大きくなり眩しいものに変わっていく。
「農民ってのはさ未来を想像もするけど今を生きていくので精一杯なんだ。勇者はいつも明日しか見れないのか?俺の知ってる幼馴染は未来も見ていたけど今を思いっきり楽しんでいるように見えたのは気のせいだったか。」
「そ、それは……」
眩しすぎる光に目を閉じたくなっても見ていたいと思った。
だから眩しすぎる光を和らげるために涙が出た。
「ちょっくら喧嘩しに来たぜ。国王陛下。」
俺が言った言葉は魔法の言葉となって大いに幼馴染を泣かせた。
戦場にいる兵士は余程の馬鹿か使命があるものたちのみ。
何も格下と思っている訳ではない。
戦場に置いて数は実力が拮抗した状態で発揮する脅威であり油断でもある。
ユートは不毛の土地の開拓でいくつもの自然の掟を見てきた。
騎士道なんてクソ喰らえと思うほどの化かし合いの騙し合い。
相手を思いやる時間があるのなら自分が生きることだけを考えろと言われるような環境下。
彼ら開拓民は生き切った。
生きれる基盤を作り上げた。
その過程で巨大な核兵器にも匹敵する人類の脅威を手にしたのだ。
「よし、今行ってやるよ。」
その力で世界を救う?
そんな些細なことは思わない。
世界を支配するなんてことも些細なことだ。
手に余るモノは全て些細なこと。
自分に関係ないからだ。
例えその力を持って全世界を支配したところでその全てを見聞きできる訳でもない。
むしろ自分の見えて届く範囲で完結させるべきだと俺は思う。
なんせ手に届くモノでさえ手からこぼれ落ちるモノも多くあるのに目に見えず手を伸ばそうとも届かないものに道具を使ってまで手を伸ばしていては手が重みに耐えきれなくなってしまう。
「王様ってのは大変だな。」
農民の自分ならいざ知らず。
身近な存在なら村長くらいのものだろう。
王の苦労を理解できるのは。
上に立つことをある種強要された存在は重荷を当然のように受け止める。
だから敬われ敬語という言葉ができた。
村長は自分はそんな大層なモノではないからと敬語をきらい、むしろ敬語は差別の象徴だと行ってきた。
「ワシらは全て狩人に始まり農民へと進化した。農民になったが故に縄張りというものを強く意識するようになった。
縄張りを意識するようになったから村が必要となった。
そこで村を一番知る人物を村長と定めた。
村が大きくなり町となり都市となり国は出来上がっていった。
さすれば今までのように国を一番知っていた人物が王になった。それだけの話じゃ。共和国などは王にあたる人物を毎年変えておる。ようは誰でも良いんじゃよ。
その土地を誰でも知ってさえ居ればのう。
まるでマリアンヌちゃんの遊びに誰よりも付き合わされて誰よりも詳しくなってしまったユートのように勝手になってしまうんじゃよ。」
国を知ろうとしなくても知ってしまうが故に長なのだと言っていた。
正に村長らしい考え方だ。
俺もまたマリアンヌのことを誰よりも知っている。
だからこそ家族の長になれるのかも知れない。
憔悴し切った幼馴染の下へ歩み寄り兵士に斬りかかろうとしたタイミングで俺はその手を押さえた。
「ちゃんと手紙を読み終えてきたよ。ったく開拓で忙しかったってのに無駄な時間かけさせやがって。」
幼馴染はまだ理解し切ってないが目に光が宿る。
「俺はさ、お前が王都に行くとき悩んだぜ。でもさ、ここは故郷だろ。勇者の世界はそんなにも大きなものしか見てこれなかったのか?」
宿った光が大きくなり眩しいものに変わっていく。
「農民ってのはさ未来を想像もするけど今を生きていくので精一杯なんだ。勇者はいつも明日しか見れないのか?俺の知ってる幼馴染は未来も見ていたけど今を思いっきり楽しんでいるように見えたのは気のせいだったか。」
「そ、それは……」
眩しすぎる光に目を閉じたくなっても見ていたいと思った。
だから眩しすぎる光を和らげるために涙が出た。
「ちょっくら喧嘩しに来たぜ。国王陛下。」
俺が言った言葉は魔法の言葉となって大いに幼馴染を泣かせた。
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