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間章 勇者
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「く。」
特に答えることもせずにアーサーと呼ばれた人物は無言で謁見の間を出て行った。
「すまないな。アーサーは私の息子なのだが最近私の仕事や普段の態度が気に食わないのか喧嘩してしまっていてな。不快な思いをさせたかもしれないが許してくれ。」
「あの子もあの子で色々考えているとはいえ少しばかり他国の思想に寄っています。おそらく他国からの留学生の影響でしょうが他の貴族の子息たちにも影響がでかねません。早急に対策会議を開いて行きますわ。」
「対策会議ってアストリアは政治には関与しないんじゃなかったのか?」
「婦人会です!ルチアも来てください!!」
「わかったわ。すぐに向かうから謁見終わらせなさい。」
婦人様方に圧倒された王はなくなくこう答えたという。
「もう好きにしてくれ。」
弱っ。
と謁見の間いる人物たちは思ったそうだ。
だが同情的な感情を向けるものもいた。
陛下直属の騎士や家臣たちだ。
この騎士や家臣たちもそうだがこの国の男性の家庭内地位はとても低い。
歩くATMでは無いが、女性は基本的に貴族であっても育児は自分で行うのが普通であった。
「陛下、私たちも妻に召集されると思いますので覚悟はできています。」
「うむ。ワシらは国のトップではあるが家庭のトップには成れそうにないな。」
「今や開拓村の村長となった彼が羨ましい気もします。」
家庭のお小言が無くて羨ましいと思う反面、大変な土地に心休まる家族がいないのも耐えられそうにないと思う心情だった。
「あそこは確かに不毛の土地でこそありますが研究好きの彼のことです。絶好の実験場だとでも思っているのでしょう。それに彼はずっと独身でしたからね。」
「惚れていた人間は数知れずと居たというのに不思議な男だったよ。全く我が父もあの程度の罪で優秀な人材を開拓村に送るのだから困ったものだ。」
村長が開拓村に送られた罪状はスラ坊で実験をしていたところ侍女をスライムまみれにしてしまったことだった。
「あの侍女は陛下のお気に入りでしたし、それに開拓村に送った後は上皇后にお叱りになられておりましたしね。上皇后様はすぐにでも連れ戻そうとしましたがあの方は村長の職業を持っている者が村長をせんでどうすると言って戻りませんでしたしね。」
あの男は前国王、もとい上皇から聞く話だと根っからの研究気質というか職業気質というか、学園にいた頃は一度人語を理解できないはずのスライムに学習を施し職員室に侵入させてテストの解答を覚えさせてカンニングしていたのだ。
しかもきちんと国王に賄賂として回答を見せつつ一部の解答を流し人心を掌握していくずる賢さは辺境の村で税をなるべく取らせないようにする村長そのものだった。
さらには研究も怠ることはなく文字通りの首席として恥じない論文の数々を提出していった。
特に答えることもせずにアーサーと呼ばれた人物は無言で謁見の間を出て行った。
「すまないな。アーサーは私の息子なのだが最近私の仕事や普段の態度が気に食わないのか喧嘩してしまっていてな。不快な思いをさせたかもしれないが許してくれ。」
「あの子もあの子で色々考えているとはいえ少しばかり他国の思想に寄っています。おそらく他国からの留学生の影響でしょうが他の貴族の子息たちにも影響がでかねません。早急に対策会議を開いて行きますわ。」
「対策会議ってアストリアは政治には関与しないんじゃなかったのか?」
「婦人会です!ルチアも来てください!!」
「わかったわ。すぐに向かうから謁見終わらせなさい。」
婦人様方に圧倒された王はなくなくこう答えたという。
「もう好きにしてくれ。」
弱っ。
と謁見の間いる人物たちは思ったそうだ。
だが同情的な感情を向けるものもいた。
陛下直属の騎士や家臣たちだ。
この騎士や家臣たちもそうだがこの国の男性の家庭内地位はとても低い。
歩くATMでは無いが、女性は基本的に貴族であっても育児は自分で行うのが普通であった。
「陛下、私たちも妻に召集されると思いますので覚悟はできています。」
「うむ。ワシらは国のトップではあるが家庭のトップには成れそうにないな。」
「今や開拓村の村長となった彼が羨ましい気もします。」
家庭のお小言が無くて羨ましいと思う反面、大変な土地に心休まる家族がいないのも耐えられそうにないと思う心情だった。
「あそこは確かに不毛の土地でこそありますが研究好きの彼のことです。絶好の実験場だとでも思っているのでしょう。それに彼はずっと独身でしたからね。」
「惚れていた人間は数知れずと居たというのに不思議な男だったよ。全く我が父もあの程度の罪で優秀な人材を開拓村に送るのだから困ったものだ。」
村長が開拓村に送られた罪状はスラ坊で実験をしていたところ侍女をスライムまみれにしてしまったことだった。
「あの侍女は陛下のお気に入りでしたし、それに開拓村に送った後は上皇后にお叱りになられておりましたしね。上皇后様はすぐにでも連れ戻そうとしましたがあの方は村長の職業を持っている者が村長をせんでどうすると言って戻りませんでしたしね。」
あの男は前国王、もとい上皇から聞く話だと根っからの研究気質というか職業気質というか、学園にいた頃は一度人語を理解できないはずのスライムに学習を施し職員室に侵入させてテストの解答を覚えさせてカンニングしていたのだ。
しかもきちんと国王に賄賂として回答を見せつつ一部の解答を流し人心を掌握していくずる賢さは辺境の村で税をなるべく取らせないようにする村長そのものだった。
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