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なんてことも無い平凡な人生。
高校を出てすぐに地元中小企業に就職して現在1人暮らしの彼女いない歴イコール年齢を着々と経歴として積み重ねていき既に42歳の厄年。
両親は既に実家を売り払って老人ホームでフィーバーしているので、俺には帰るべき実家のない孤独死まっしぐらの独り身だ。
身長は低いわけでも高いわけでもなく平均値、顔は少々髭が濃いくらいのモノで悪いわけでもない。だけど彼女は出来ない。
彼女を作ろうとする努力をしてこなかったこともあるが中学の時に好きな人を勝手に決めつけられるいじめがトラウマになって積極的に女性と関わろうとはしなかった。
まあ、この年齢で彼女がどうこう言うのは間違っていると思うし、もう恋愛のように他人に振り回せられるのはうんざりだと思っている。
仕事は今はそこそこの役職についているせいで忙しいというのもあるが別に孤独死でもいいと思っているし多少面倒な手続きがあるくらいだからと言い訳しているわけではないよ?
何故そんなことを考えていたかというと………

「課長。お待たせいたしました。」

「役職で言うなっていつも言っているだろ。」

そんな俺の注意も無視して満面の笑みを浮かべて俺に向かって歩いてくる10人女性が居れば10人振り向きそうな好青年。そしてそれに釣り合う絶世の美女さん。
俺の部下の岡田と会社の紅1点にして某大学のミスコングランプリ受賞者で会社のPRを行ってもらっている実(みのる)さん。

「んで相談ってなんだ?俺みたいな中年に相談することなんざでかい買い物とか契約くらいのモノだろうけどよ。」

実さんに目礼をすると早速本題に入る。
今まで岡田が相談することなんて車を買おうか悩んでいるとかそんなことぐらいしか無かったからとりあえずその場の空気とは場違いなことを言ってみる。

「改めて挨拶します。実 芽依です。いつも会社に行った際はお見かけしますが、こうして面と向かって話すのは仕事以外ではあまりありませんですね。なんだか緊張します。」

いや就職してからこの方まともにプライベートで女子と話したことが無い俺の方が緊張するっての!だってこの会社唯一の童帝って言われてるんだぜ!察してよ。などと内心でボヤいてしまう俺。ちなみに今の噂は本当、多分女性社員も知っている恥ずかしい話。
そもそもこの会社のリア充率を舐めるなよ。カレカノいない歴歴代トップと上司にも部下にも言わしめているこの俺に持ってくる相談事ではない。絶対に当てつけだろう。

「どうも、橋本 青磁(はしもとせいじ)です。緊張なんてしなくても大丈夫ですよ。
 実さんは社内でも有名だし知らない部署はいないくらいだから、背負い解されなくても知っていますよ。
 岡田は俺の高校の出身でしてね。文化祭の催しで意気投合してそれ以来のゲーム仲間なんですよ。」

緊張しているのは俺の方だがこんな美人の前でガチガチにはなりたくないぜ。苦手だけどチョーニガテだけど、ツンデレなんかじゃないんだからね!

「有名って何ですか?何か変な噂でも流れているんですか!?」

「いやいや、実さんほどの美人ならいろんな噂が流れますって、あ、ここではセクハラ、モラハラ、パワハラって呼ばれるから言わないよ。」

年相応の思い通りの反応をするものだからついついからかいたくなってしまう。軽いジョークのつもりだが実さんは不機嫌な顔をするのではなくうるうると恥じらっているから可愛いく見えるわ。
俺の冗談は答えを言わないから本気にする奴も多いから、絶対取引先とかではやめとけとしょっちゅう言われるんだが、つい言ってしまう。
ぶっちゃけそのジョークを言ったところで仕事を失敗した試しは無いが女性関係での失敗はこれから始まっていたとは思う。
今回も失敗のようだ。やっぱり性格が悪いのか。
岡田が実さんにスマホを見せながら取り直している。
なにを見せているのか非常に気になるところではあるがなぜか実さんから気味の悪い声が聴こえる気がする。
リア充爆発しろと思ったら心の中の俺が爆発していた。

…なぜ?
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