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ツタンクミン

ツタンクミンの花言葉は「憂鬱と魔物を祓う」3

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「そういえや10年前に居たクソガキは元気にしてかっな。」

行商人と共に街道を訪れていた子どもを思い出す。

「騎士団長になるとか息巻いていたけどこんなおっさんに向かってくるなんてなあ。」

木の棒を持ってこちらに良く攻撃を仕掛けてきたものだ。
まあ髭などを一切剃っていないためモジャモジャの怪物に見えたのかもしれないが……。

「まあ行商人のおっさん曰く俺の成りは蛮族そのものだって言ってたしな……しゃ―ねえか。」

カメラマン時代も大自然にガイドなしで行く場合はこんな感じになっていることが多かったしその時も髭をモジャモジャにしていたせいかこの姿に慣れきってしまっていた。

「そろそろ時間だな。」

10年かけて作り上げた石小屋と畑を後にして街道に足を向ける。

「最近は若いクマっぽい奴が居なくなってきたな。」

小動物の生息域を荒らすクマに似た生物は基本的には群れで行動しているのだが偶に街道近くの森のはずれにまで行くやつらが居る。
そういったやつらは群れのやつらと違ってその近辺の生物を食い尽くす威勢で食べ始めるもだからこのままでは生態系が乱れると思い積極的に狩りに行くようにしていた。

だがここ最近になってからかそういったはぐれモノが居なくなったように感じていた。

「まあ多分匂いとかを覚えたんだろうな。」

良く野生動物は排泄物や木に触れた時の後から縄張りを認識するというが俺の匂いを覚えたのだろうか?

「手にスパイスの匂いがびっしりい付ているのは知っていたことだしな。」

スパイスの香りというものは野生動物にとっては劇薬に成ったりするものも多いため草食動物に限らず警戒心を高める動物も多い。
それでもここ数十年と来ていたのはクマのような生物は純粋な肉食動物もしくは薬物耐性のある生物だと考えるのが妥当だと思っていた。

「薬物耐性があった場合は要注意だな。あの畑にはたばこのような煙を纏わせているとはいえ近隣の動物も薬物耐性を持っている可能性が高いしそれを身を守るために好んで食べる生物もいるかもしれない。」

本来タバコや麻といった植物は防虫作用の目的で使われてきた。
特に麻は繊維にもなるし実は調味料になり薬にもなる万能な作物だった。

「まあ万能ってのは使い方次第では兵器成りやすいってことだな。」

核兵器だってそうだ。
あれは地球温暖化の原因とされる温室効果ガスこそ出さないが放射能という恐ろしい物質を出す。
人間はそのリスクを背負いながら文明というものを発展させていった。

リスクは付き物とはいえ発展させてしまったが故に彼らは先進国と呼ばれ先進国の真似をしようとする発展途上国に規制をかける。
自分たちの失敗をしてほしくないと言えば聞こえはいいが発展に時間をかけろとの言い方をしているようにも思える。
しかし発展途上国も発展途上国でいつまでたっても発展途上国で居るつもりの国も多い。

「先人の知恵っていうけど親からの子どもへの当てつけにしか見えないんだよなあ。まあもう異世界に来ているから関係ないと思うけれどな。」

そろそろ街道が見えてきた。

「…………ん……?」

人の声が聞こえた。

このような街道間近のところで寝るのは珍しい。
しかも今は昼を過ぎたばかりで旅人はまだまだ歩いていく時間のはずだ。
この近辺は水場も無く休むには不向きな地点らしいので件の行商人かそれの関係者以外は通り過ぎるのが通説なのだが……

「きゃあああああああああああ!!!!!!!」

なんか面倒ごとの声が聴こえた。
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