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ツタンクミン
ツタンクミンの花言葉は「憂鬱と魔物を祓う」2
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「神様と話したときは面白い考え方をしていたって言われたっけ?」
俺にとって神とはシステムのようなものでなければ存在できないと感じている。
「ペアノの公理(数学でやる1+1の証明とかする時に必要な自然数の考え方)を真っ向から証明できていないって言ったら人間らしいって言われたな……。」
ありとあらゆる論文もあくまでも人間が探した範疇での証明でしかないからという理由でそんなことをぼやいていた。
「ペアノの証明に穴がある理由としてはそもそも1の存在を証明できていないからとか神様と一緒に愚痴談義していたしあの柱(人)上司の悪口のとか俺とほぼ一緒だったし会社で同輩になれたら仲良くなれたのかな……それに妻とも離婚せずに済んだのかな…………。」
いつも通り海外から家に帰ると書置きと共に離婚届が置かれていた。
「そういえば妻はなんて書置きをして行ってしまったんだっけ?」
何故かそれが思い出せなかった。
別れ際のショックで忘れてしまったのだろうか……
「まあ人間の生物寿命は生きれたし満足かな。」
人間の遺伝子的な意味での寿命は約39歳と短い。
さまざまな要因が積み重なり今の100歳寿命のようになっていると考えられるがその実態はわかっていない。
「でも子どもは欲しかったな……いやもっと妻を愛したかったが正しいか…」
結婚して自分の時間は減ったし妻にも逃げられてしまったことから幸せな生活とはお世辞にも言えなかったとは思うけれどもそれ以上に妻のことが愛おしく思っていたことを覚えていた。
告白は妻からだった。
当時写真部に所属していた僕に被写体をものすごい眼光で見つめる僕が好きという告白を受けた。
「だから仕事にフリーになってからは仕事に打ち込んでいた方が良いとは思ったけど妻は真近でみたかったのかな?まあでもこの世界に来てしまったし地球ではどうせ死んでいるか存在そのものが抹消、もしくは世界そのものがなかったことになっと考えるのが妥当かな」
なにぶん異世界に来たせいか童心に帰ったような雰囲気になってしまう。
今住んでいる山の中でさえ地球とは異なる未知の進化を遂げた植生、動物に心躍らせられている。
奇しくもそれが妻と別れてしまった傷を癒しているように感じる。
大人に成ればなるほどどんどん人は新たな感動を忘れていく。
だから新たな刺激を求めて若さに興味を持ったりする。
逆に刺激を求めず平穏のみを求めていくのもアリだろうが。
「それじゃあ面白みが無さすぎるしね。」
好奇心は子どもの本文であるが特権ではない。
「好奇心無くして知恵は在らず。知恵求めるは人間の本文に成りけり。……ふむ少々西洋の詩に寄せ過ぎたか……。」
我ながら変人である。
高校時代からこんなに変人だったのだから妻は魅力に感じたのかもしれないが長くは続かなかった。
しかしよくもまあ一人でここまで喋れるものだなと思いつつ人里が恋しくなっているかもしれないと思い始めたころふとあることを思い出した。
「あ、今日は行商の人が近くを通る日じゃないか。チャツネ(南インドの複数のスパイスと豆を用いたカレー調味料)を用意して狩りに出かけないとな。」
ここ十年で生活基盤を整えるために農業とは別に狩りに頻繁に出ていたのだがその際行く気も無かった街道の方に来てしまい。
その際昼食がてら肉を焼き偶々作っていたチャツネをつけて食べていたら件の行商の人に会い、この世界の言葉と文字を教えてくれる代わりに御馳走することで取引をした。
「とりあえずこのクミンみたいな味がする奴とシナモンっぽいけど香りは全く違う奴と唐辛子っぽい奴で作るか。後は定番スパイスで充分だろ。」
調合の分量?
「勘と気合で何とかなるしな。」
スパイスを石挽きでゴリゴリと潰していく。
挽き立てのスパイスはとても香りも味も濃く普通のカレーと同じ分量を入れたのでは日本人である俺にはとてもではないが食べられないのでかなり少なめに入れていく。
俺にとって神とはシステムのようなものでなければ存在できないと感じている。
「ペアノの公理(数学でやる1+1の証明とかする時に必要な自然数の考え方)を真っ向から証明できていないって言ったら人間らしいって言われたな……。」
ありとあらゆる論文もあくまでも人間が探した範疇での証明でしかないからという理由でそんなことをぼやいていた。
「ペアノの証明に穴がある理由としてはそもそも1の存在を証明できていないからとか神様と一緒に愚痴談義していたしあの柱(人)上司の悪口のとか俺とほぼ一緒だったし会社で同輩になれたら仲良くなれたのかな……それに妻とも離婚せずに済んだのかな…………。」
いつも通り海外から家に帰ると書置きと共に離婚届が置かれていた。
「そういえば妻はなんて書置きをして行ってしまったんだっけ?」
何故かそれが思い出せなかった。
別れ際のショックで忘れてしまったのだろうか……
「まあ人間の生物寿命は生きれたし満足かな。」
人間の遺伝子的な意味での寿命は約39歳と短い。
さまざまな要因が積み重なり今の100歳寿命のようになっていると考えられるがその実態はわかっていない。
「でも子どもは欲しかったな……いやもっと妻を愛したかったが正しいか…」
結婚して自分の時間は減ったし妻にも逃げられてしまったことから幸せな生活とはお世辞にも言えなかったとは思うけれどもそれ以上に妻のことが愛おしく思っていたことを覚えていた。
告白は妻からだった。
当時写真部に所属していた僕に被写体をものすごい眼光で見つめる僕が好きという告白を受けた。
「だから仕事にフリーになってからは仕事に打ち込んでいた方が良いとは思ったけど妻は真近でみたかったのかな?まあでもこの世界に来てしまったし地球ではどうせ死んでいるか存在そのものが抹消、もしくは世界そのものがなかったことになっと考えるのが妥当かな」
なにぶん異世界に来たせいか童心に帰ったような雰囲気になってしまう。
今住んでいる山の中でさえ地球とは異なる未知の進化を遂げた植生、動物に心躍らせられている。
奇しくもそれが妻と別れてしまった傷を癒しているように感じる。
大人に成ればなるほどどんどん人は新たな感動を忘れていく。
だから新たな刺激を求めて若さに興味を持ったりする。
逆に刺激を求めず平穏のみを求めていくのもアリだろうが。
「それじゃあ面白みが無さすぎるしね。」
好奇心は子どもの本文であるが特権ではない。
「好奇心無くして知恵は在らず。知恵求めるは人間の本文に成りけり。……ふむ少々西洋の詩に寄せ過ぎたか……。」
我ながら変人である。
高校時代からこんなに変人だったのだから妻は魅力に感じたのかもしれないが長くは続かなかった。
しかしよくもまあ一人でここまで喋れるものだなと思いつつ人里が恋しくなっているかもしれないと思い始めたころふとあることを思い出した。
「あ、今日は行商の人が近くを通る日じゃないか。チャツネ(南インドの複数のスパイスと豆を用いたカレー調味料)を用意して狩りに出かけないとな。」
ここ十年で生活基盤を整えるために農業とは別に狩りに頻繁に出ていたのだがその際行く気も無かった街道の方に来てしまい。
その際昼食がてら肉を焼き偶々作っていたチャツネをつけて食べていたら件の行商の人に会い、この世界の言葉と文字を教えてくれる代わりに御馳走することで取引をした。
「とりあえずこのクミンみたいな味がする奴とシナモンっぽいけど香りは全く違う奴と唐辛子っぽい奴で作るか。後は定番スパイスで充分だろ。」
調合の分量?
「勘と気合で何とかなるしな。」
スパイスを石挽きでゴリゴリと潰していく。
挽き立てのスパイスはとても香りも味も濃く普通のカレーと同じ分量を入れたのでは日本人である俺にはとてもではないが食べられないのでかなり少なめに入れていく。
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