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異世界作物

「毒を持つ作物を献上せよとのことですので、無いものもあるのでは。」

知恵の門の脇にちょこんと添えられているタネとかかれた複数の袋。
全てを植えればこの荒野を覆いつくすであろう作物のタネだった。

「学者たちの中に、このタネがどんなものが育つか知っているモノはいないか。」

「すみませんが私は植物の種は専門外です。」

「私もです。
 本来、知恵の門は人間の頓智を知るモノ。
 このような、作物を育てるなど聞いたことがありません。」

「ふむ、どうしたものか……。」

「あの……。」

「どうした。」

手を挙げたのは若い騎士だった。

「自分、田舎の男爵でどれも畑で育てたことがあるので知っているのですが、どれも毒は無いはずです。」
「毒は無い?」
「えっと、毒が無いというか。
 全部可食できて、すぐ育つ作物です。」

ますます意味が解らなくなってきた。

「毒ではない作物しかないだと……。」

これではどうすればいいのかわからない。

「良薬、毒に転じ、毒、良薬に転じる。」

「なるほど確かに勇者様のお言葉にそのようなお言葉がありますね。」

「全ては毒、全ては薬。全てが正解でしょう。」

「ならこの作物で一番早く育つのはなんだ。」

若い騎士にとっと終わらそうとなにが早く育つのかを聞いてきた。

「どれもこれも20日以上はかかるはずですよ。
 でも一番早いのはこれですかね。」

ジャガイモのタネっぽいものを取り出し一度植えた。

「もっと土を耕した方が良いんですが、食べれればいいでしょう。
 ダンジョンでは作物を捧げよとしか言ってませんし。」

「ふむそうだな。」

と植えていた場所の地面が抉れ、大地を侵食した。

「まさか。」

「なんだ、こんなにも早く育つ植物があると言うのか?」

「ダンジョンの最奥に存在する、かつて伝説の農家が手に入れ、数々の飢饉から救った謝我芋(ジャガイモ)。
 まさか、まさか。」

今度はトマトのタネらしきものを植える。

「都魔徒(トマト)。
 やはり、このダンジョンで植えることのできる作物は英雄たちが作付けした作物たちです。」

そもそも、異世界に居るから異世界に存在している作物の方が良いのは事実、知恵の門のコスパの良さと生命力の高い作物を探していたらヒットしたのが以下の野菜たちだけだったに過ぎない。

肥沃な土地を必要とせず、砂漠化した土地でも育つ野菜だけが揃う結果にはなった。

「とりあえず、これを献上すれば正解だな。」

知恵の門は開いた。

「surasurasurasurasurasura.」
「スライムだ全員かかれ。」

大量のスライムが顔を出し騎士たちはそれの対処に奔走した。
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