喫茶店「人生の墓場の楽園」~転生して17年、村の憩いの場を作っていたら生前推してたVtuberがこの村に来た件

スライム道

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「では依頼させていただきますね。」

「何を依頼するの?」

「少々遠方の食材を頼みたく思いましてね。
 せっかく火加減の調整がしやすいし、お手本のような食材を取りに行ってほしくてね。」

 依頼書にスラスラ記入していく。

「これ?
 あんまり美味しくないのだけど。」

 死霊の宴のギルドマスターが思うにそこまで美味ではない食材だったはず。
 
「アレは下処理が大事なんですよ。
 はりはりネズミさんと同じですよ。」

「あ、もうはりはりネズミさんは食べれない?」

「ええ、あともう一月後です。」

「それは残念ね。
 でも、この程度の依頼なら、私たちが行くまでも無いんじゃない?
 新人でも取ってこれるし、うちは少数精鋭だから人も少ないわ。
 だからいつとってくるかわからないわよ。」

「ええ、とってきてくれればいいなとしか思っておりません。
 コンロに関してもいつ制作が終わるかわかりませんし。」

 コンロに該当するものは特注になり、製作期間の事を考えれば、次に町に来るときには達成されている時系列で間違いない。

「また、高い買い物ですね。
 それほど儲かっているから買えるんでしょうけど。」

「そんな、儲かっては居ませんよ。
 もともと趣味で始めたものですし、儲けはありません。
 資金は他の素材を売ったりして得たお金ですのでお気になさらず。」

「そっかー、ビジネスライクな人なんだね。」

 冷たくしているが、これはツンデレという奴だ。
 僕の嗅覚がそう言っている。
 だから、ここはビジネスライクということにして、彼女は緊張していない、そういう人なんだと信じ込ませる。

 僕はずるをする。
 この人は、遠ざけないといけないくらい危険な香りがするから。

 この女あわよくば、妾か愛人にでも据え置いてもらおうという魂胆だ。
 よくある平民と王子様の禁断の愛を育む物語を寝る前に読みふけっている人に違いない。

 エレンツォを見ている目を見れば解る。
 優しくしてくれた男子にキュンキュンしちゃう陰キャの女子の目。
 僕も同類だったから絶対邪魔されたくない!

「えっとアンズさん?
 ちょっと圧が強くない。」

「マスター、め。
 お、んな、のた、たか、い。」

 そこまで言われてなんとなくわかったのか、とりあえず黙るということだけはしているエレンツォ。
 
「あら、いつ私がビジネスライクな人間だと決めつけたのかしら、私は彼の店の常連客よ。
 彼が目当てで通っていたの。
 ここ最近は偶々、お店に顔を出せないくらい忙しかっただけですが。
 ところであなたは一体どういう立場の人間で?」

「僕は、エレンツォの妻で一つ屋根の下で過ごしている人ですよ。」
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2023.05.24 ユーザー名の登録がありません

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