喫茶店「人生の墓場の楽園」~転生して17年、村の憩いの場を作っていたら生前推してたVtuberがこの村に来た件

スライム道

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「お客さんとの話し合いは終わったの?」

「だいたいわね。
 ちょっとゲームでもしない?」

「ゲーム?
 どうしたの?
 突然?」

「久しぶりにやりたいと思ってね。
 壱リスナーとして、参加してみたいと思ったんだよね。」

「わかった。
 じゃあついでにライブもしよっか。
 僕の歌声で元気になろう!」

 異世界だからTVゲームはできないけど麻雀はできる。
 麻雀ゲームなどのボードゲームをしながら遊んだ。
 最初の頃の彼しか居なかったソロライブを楽しんだ。

 少し違うのは、ここが2.5次元、ファンと目と鼻の先にある距離感。

「じゃあ爆発滑りーのダッシュ行くよー。」

「おー。」

 コメント欄が寂しいだろうと、連打してくれて盛り上げてくれた文字はない。
 精一杯の声援だけが響く。

 明日も頑張りたい。
 そう思えるソロライブ、ワンツーマンライブ。

 やっぱり彼が好きだ。
 幼稚園の先生が初恋になる男子のような、淡麗な初恋かと思えば、長年連れ添って見てきてくれた不良生徒を更生させた生徒指導の先生みたいな深みのある愛。

 ファン、リスナーに育てられた。
 自分の良いところを褒めて、方向性を示しながら必死に応援するって面と向かってできないよね。

「さあみなさん!本日はこれでお開きとなってしまいますが、ここで重大な発表があります!」

「え、なになに?
 アーモンドさんが宝くじでも当たってVtuber辞めちゃうの?」

「具体的だけどありえなーい!
 僕は永久不滅!
 ホアター!」

「ホアタタタ!」

「パチン!
 重大発表は!
 なんと、僕、来空魔(コアクマ)アーモンドのリアルコスプレを披露します!」

「おおーー!!」

「最後に飛んでもないものぶっ込んできたー。」

「ではお披露目するからちょっと待っててねー。」

 カーテンを閉め、僕は魔術を使う。
 彼が生前の姿を見れたのなら、僕も魅せられるはずだ。
 虚は実になり、実は虚になり得る。

 僕が僕であるための魔術を使おう。
 波紋のような魔術をお見せしよう。

「リスナーさんたちの次のセリフは、すげえーだ!」

「スゲエー!」

 僕の本気のメイク、コスで彼を本物の来空魔アーモンドを来空魔アーモンドをお見せしよう。
 私って言っていたとき、底から這い上がりたいと思ったときと同じ、変わった僕を魅せつけてやるんだ。

「みんなの望んだ現実がここにあるんだー!
 だからリスナーさんに会えるの待ってる!
 僕に会えるLUCK(幸運を!)
 僕に会いに来るPLUCK(勇気を!)
 待ってる!
 そして、一番最初にあって一番最初に僕と会ったリスナーさん!
 改めて結婚してください!」
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