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「にゃー。」
「あらあら、猫ちゃんの方がお眠になってきましたね。
 ところでこの子の名前は決めていますか?」
「ネコ。」
「…直球ですね。」
「タマ、アジ、クロ、サンマ、マグロ、カツオ、スズキ、キンメ、タイ、ヒラメ、イソメ、アユ、ブチ、ネコネコ、にゃんにゃん、ジャックデンプシー、アリモハメド、俺が思いつくとしたらこんなもんだ。」
「まともな名前が思いつきませんね。
 それと後半のボクサーですがこの猫は女の子ですよ。」
「そうか。黒猫で見えないもんだと思ってた。」

あまりにも酷いネーミングセンスにタマやクロの名前がマシに思えてくる。

「何か印象に残る名前の方が良いですね。」
「確かテイムしたモンスターって特定できるように登録するから名前もありふれたものじゃなくてすぐに検索できるものにしないといけないんだよね。」
「テイマー自体、稀少職ですから研究機関お呼ばれすることもありますし猫叉の事例は今回初だったと思います。
 普通のネコと混同しないためにも名付けは早急に行わなければ。」

思いつくものね。
魚の名前とかも結構定番だしな。
確か猫叉って20年くらい生きたネコがなるらしいから。

「二十歳、成人、成人式。
 うんオミキにしようか。」
「センスが無い。」
「センスが無さすぎですわ。」
「それなら私はセバスチャンと付けますわ。」

そんなにも俺にはネーミングセンスのかけらもないのだろうか。

「にゃー。」

猫叉も慰めるようにポンと方に肉球を載せるが虚しい。

「……。」
「にゃ?」

ぷにぷに

「にゃにゃ!?」

肉球をぷにぷにと触ってみる。
猫叉は一切の予備動作なくやられたことに対してビックリしたのかしっぽをぴんとさせた。

「羨ましい。」
「羨ましいわね。」
「アレが飼い主の特権ですね。」

今度はぴんとした二本のしっぽをなぞるように撫でていく。

「(ぞわぞわ)」

毛を逆立たせて震える。
そろそろ嫌われそうなので首筋をもふってやる。

「にゃにゃーん。」

機嫌を取り戻したのか暖かな笑みを浮かべている。
女性人たちはそれを食い入るように見ている。

「名前なぁ。
 なあお前は何がいいんだ?」
「にゃーん。」
「わからねえな、お前の言ってること。」

親が子供に名前を付けるときは相当苦労したんだろう。
葵という女の子みたいな名前は嫌だったけど欲張りでシンプルな名前にしたかったんだろうな。

「欲張りな名前か。
 やっぱオミキが良いな。
 ネコ、それでいいか?」

すりすりと身体を寄り添ってきたので肯定なのだろう。

「お前の名前は今日からオミキ。
 神の飲む酒だ。」
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