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本編
第2恋「ずっとまってた!」その1
しおりを挟む「実に困ったべさ……」
そう、困っている。
東京生活1日目がいい感じに終わったと思ったが、まだ重大な問題が残っている。
ぐぅ~。
(腹減ったべさ~……)
そう、空腹だ。
お昼のおにぎりから何も食べていないのだ。
引越ししてきたばかりなので、冷蔵庫には何も入っていない。
ぐぅー。
(どうすっぺか~……)
時刻は19時47分。
(とりあえずなにかないか外探してみっぺ……)
タンスに閉まったばっかの上着を取り出し、長財布を手に取った。
この財布は高校進学祝いに母さんが買ってくれたやつだ。シンプルなチェックが何かとカッコイイ。
ガチャ。とドアを開けた。
(さむ……くはねぇべ。トウキョーの春ってこんなにあったけぇんだな。)
ドアに鍵をかけ、ちゃんと閉じているか二、三回確認した。なんせ初めての一人暮らしのマイハウスだから、ドロボーが入らないか心配だ。
まぁ、盗られるものなんてないけど。
どこに何があるかもわかんない東京の街。
(しっかし、いろんっな家がおおいべさな~……)
僕の村なんて近くに家なんて、おじちゃんの家と白菜育ててる町田さんの家、あと……
ユキの家だ。
「ユキ……」
ユキとは、僕の大好きだった幼なじみ、白井 雪のこと。
ユキとは小さい頃からずっと一緒で、小さい頃はよく二人で遊んだ。
僕はユキが大好きだった。今でも大好きだ。
ただ……ユキは小学校を卒業すると同時に、東京に引越していってしまった。
別れ際にしたあの言葉をまだ覚えている。
ーーーー『うち、けんちゃんのこと、まっとるべ!』
あの日、絶対東京に迎えに行くと約束した。
(おら、ぜってぇユキのこと迎えにいぐ!)
少しだけ出てきた涙を拭った。
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