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1章
不死になってもいいですか?
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「おーい、起きるんじゃ~ディルムとやら」
「痛っ!?」
何かにぶたれた痛みで、唐突に目が覚める。
気が付くと俺はどこかも分からない場所に仰向けに倒れていたようだ。
そして、小柄な少女が俺を見下ろしていた。
髪はミスリルの様に銀色に輝きを放ち、幼いながらも非常に整った顔立ち、
ルビーの様な情熱的な色の瞳、白いローブに体を包み、まるで天使のようであった。
だが髪はだらしなくぼさぼさに伸び切り、仕方なく両サイドを糸か何かでまとめた感じで、
その体は上から下まで凹凸がなく、山というよりは壁という感じで――
「おい今ワシの事馬鹿にしたか? いやしたよな?」
何かに感づいたのか、額にしわを寄せながら顔を近づけてくる少女。
「な、なんのことですか? 俺は何も貴女の身体の貧弱性なんて一片の欠片も――」
腹の上に乗っかられ、襟を捕まれながら
今度は往復ビンタが俺を襲う。
「ちょっと痛い痛いッ!? やめてください天使様!」
「いきなり失礼なやつじゃの~おぬしは! まあよいわ」
そう言うと、少女は俺の上から退いてくれた。
俺もそれに合わせて、体を起こし立ち上がる。
「ていうか天使ってなんじゃ? ワシは女神じゃぞ? め・が・み! 女神って分かるか? 偉いんじゃぞ~」
小柄な少女は、存在だけでも自分を大きく見せたいのか、
腰に手をつけ、自分は偉いのであると言わんばかりにアピールをしてくる。
「め、女神?」
「そうじゃ、ワシはなこの世界をたーまに管轄しとる、偉い女神なのじゃ」
「そしてワシの名前こそ! 女神アルマ・ドール・ディザスターじゃ!」
えっへんと言わんばかりに自慢げに自分の名前を名乗る女神。
このどうみても少女にしか見えないその女神さまは、
アルマ・ドール・ディザスターと言うらしい。
「えーと、アルマさん、
ここ明らかに現世って感じじゃないんですけど――もしかして俺は死んだんですか?」
周りを見渡すと、先ほどまでいた森林とは明らかに違い、
何もない白い空間が永遠と続いていた。
どうみても俺がいた世界とは思えなかった。
「ああおぬし死んだぞ」
「――マジか」
「マジじゃな」
女神は冷静な物言いで状況を語る。
どうやら俺は本当に死んだようだ。
「……ちなみにどんな死に方だったんですか?」
死んだのなら仕方ない、
だがどう死んだのかぐらい確かめたい。
俺は自分の最後の死に様がどうだったのか女神に尋ねた。
「おぬしの死に方? ぷっ! くく……くひ……ふふっくっ! ふひゃひゃひゃひゃ!」
「あひゃははは! くくっ! ぷぅーくくくあーはっはは!」
女の子がしちゃいけないような馬鹿面で爆笑する女神。
女神はこの何もない空間で、なぜか腹を抱えて笑い転げている、
何か可笑しい事でも聞いたのだろうか?
「はぁーはぁーくくっ! は、腹が痛い」
「いや笑いすぎでしょ……」
なんだろう偉い人っぽいけど、無性に腹が立ってきた。
だが俺も大人だ、こんな子供っぽい奴に怒るわけにはいかない。
「何か可笑しい事でも?」
俺は恐る恐る死因を聞いてみる。
「可笑しい事? これが笑わずにいられるか!」
「お主の死因はのう、転落死じゃぞ!
足を滑らせて、崖から落ちて死んだ! くくっぷひゃひゃ!」
「えっ? 足を滑らせて?」
「めっちゃださかったぞ! これから俺は英雄になるとか息巻いてから転落死じゃからのう」
「うわあああああああああああああ」
やめて!周りに誰もいないから、つい英雄になりたいって叫びたかっただけなの!
ついさっきまでの黒歴史を暴露され、あまりの恥ずかしさに、
俺は顔を隠しその場に蹲ることによって、現実逃避を行う事しかできなかった。
「いや~お主超面白かったわ! マジ最高じゃぞ」
ドラゴンに殺されたとかならまだ自分の死に方に誇りを持てた。
ああ、俺はあんな化け物に殺されたんだ。ならしょうがないよなと納得もいく。
だけど滑らせて転落死とかださすぎる……死にたい、いや死んでるけど……。
「もうこのまま天国にでも送ってください、いやホントお願いします」
「まあそんな悲観するな青年、そんなアンラッキーボーイのおぬしに朗報じゃ」
女神はそう言うと、項垂れる俺の肩を叩いた。
「朗報って?」
「ワシに見つけられて超ラッキーじゃからなおぬしは、特別に蘇らせてやるわ!」
「ええ!? ホントですか?」
衝撃の発言に喜び舞い上がる。
まさか、こんなふざけた女神に蘇らせてもらう思わなかった。
「ああ、ワシ女神じゃからな! 嘘はつかんぞ!
それにな、特別にすんごい力もおまけでおぬしに授けるぞ?」
「と、特別な力!?」
蘇らせくれるだけでなく、力まで授けてくれるとかこの女神は神なのか?
ツキがないと思っていた俺にも、どうやらツキが回ってきたらしい。
「ライブラリと唱えてみるといい、それがおぬしの世界での"すていたす"とやらの確認じゃろ?」
喜んでる俺を確認すると、
うんうんと頷きながら能力についての確認を求められる。
"ライブラリ"それはこの世界での初級魔法の一つ、
基礎的な魔法で魔力さえあれば誰でも使え、
自分の強さを数字として可視化できる便利な呪文だ。
「わかりました――ライブラリ!」
そんな呪文を唱えると、目の前に数字が可視化され表示される。
===============================
ディルム 18歳 男 レベル:15
種族:ヒューマン
適正:戦士
生命力:∞/280
精神力:59/60
筋力:122
器用:50
敏捷:54
知力:35
魔力:23
運 :15
才能:不死者の加護(仮)
技能:剣技lv2、騎士の教えlv3
===============================
「おおっ! なんか不死者の加護ってある!」
「それがお主に与える"加護"というやつじゃ、これでおぬしは死なぬぞ!
うっかり崖に落ちるような奴にはぴったりじゃな」
笑いながら皮肉を飛ばす女神様。
黒歴史を蒸し返すのはやめてと言いたいところだが、
生き返らせてもらう上に恩恵も授けてくれるとなると、文句も言えない。
そして怒りの感情というよりは喜びの感情が現在進行形で俺の心の中で上回っていた。
「うおおおおお! いいんですかこんな加護もらっても?」
「いいぞ! じゃがな、まだ仮契約じゃから正式に力を授かったわけじゃないのじゃ」
「ど、どうしたら力をもらえるんですか?」
「ワシと契約するのじゃ!」
「契約って……わざわざ手順を踏まないといけないものなんですか?」
「最近はどこも厳しくてのう……正式に手続きをとらないと色んなところから怒られるのじゃ」
ため息を吐きながら、なんだか現実的な事を言う女神様。
どうやら女神も女神で色々と苦労しているようだ。
だがそんな事は俺にはどうでもよかった。
「しますします! 契約します! 是非ともよろしくお願いいたします女神様!」
こんなおいしい話断るはずがないと即答する。
「じゃあ力を受け取るということでいいな?」
「はい! ぜひお願いします!」
「じゃあこの契約書にサインを頼むぞ!」
女神は紙とペンを空間から作り出し、こちらに渡してきた。
俺はそれを受け取ると、早速自分の名前を記入した。
「これでいいですか?」
「うむ、これでおぬしは無事に不死者となったぞ!」
女神はうれしそうに紙を受け取ると、紙は燃え何処へと消えていった。
これで契約完了ということだろう。
「これで正式に加護が与えられたはずじゃ! 確認してみるといいぞ!」
そう言われ、俺はライブラリで自分の数値を確認する。
===============================
ディルム 18歳 男 レベル:15
種族:ヒューマン
適正:戦士
生命力:∞/280
精神力:59/60
筋力:122
器用:50
敏捷:54
知力:35
魔力:23
運 :-9999
才能:不死者の加護、不幸の呪い
技能:剣技lv2、騎士の教えlv3
===============================
「ん?」
ステータスを確認すると、運の値が異常な事にすぐ気がつく。
さらに才能の欄に見慣れない文字が見える。
「えっ――なんか、運の値がとんでもなくすごいことになってるんですが……
ていうか不幸の呪いって何!?」
もう一度確認してみたが、やはりステータスの数値がおかしい、明らかに異常だった。
「ちっ!」
なんだか舌打ちをしたような、いや確実にしたのを視認した。
「えっ? 今舌打ちしたよね女神様、おいこっち向け女神様」
「な、なんのことじゃ~? ワシにはステータス見えんから知らんぞー」
女神さまに詰め寄るが、左90度の方向を向いて、
まともに顔を合わせてくれる気がしなかった。
「加護を与える代わりにお主の運もらっといたぞ! てへっ!」
気まずさに耐えられなくなったのか、ピースを決めながらウインクする女神。
「てへっ! じゃないよね!? どんだけ人の運吸い取ったの!?」
なんだろう、無償に殴りたくなってきたこの女神を……。
呆然としていた俺に対して彼女は呪いの説明をし始める。
「"不幸の呪い"は契約を了承したサインみたいなもんじゃな!」
「えーつまり、この呪いがある限り、俺は一生呪いってことか……?」
「そうじゃな! ガハハ!」
笑いながら答える女神。
「完全に詐欺じゃねえか! ふざけんな!」
俺はかなり近い距離まで顔を近づけ、女神を問い詰める。
「きょ、強力な力にはそれ相応の代償が必要なのじゃ……、等価交換というやつじゃよ!」
女神は俺とは明後日の方向に顔を向き、冷や汗を掻きながら言い訳を始める。
「ていうか普通この事は先に言うべきだよね? 明らかに違法でしょこれ!」
「だって先に言ったら絶対契約してくれないし……、お主聞かなかったし……」
「契約とれなかったら……、母上に怒られるし……」
もじもじしながら涙目になる女神。
ていうか女神に母親なんているのかよ!
とついノリツッコミをしてしまう。
「いや母上とか知らないんだが……」
黙ってればいいものを、
契約の後とはいえ説明してくれたのは、
この子なりの良心の呵責というやつなのか?
だからと言って、黙っておいたのはひどいんだけど……
「一応聞くが-9999ってなんなの? とてつもなく運がわるいってことなのか?」
運のステータスについては、よく分からない事が多い、
この世界において運のステータスはあまり重要視されないからだ。
運が高いから絶対いいことが起きるわけでもない、
運というステータスは他のステータスと比べて体感しづらいからだ。
だから正直マイナスで何か起こるのか未知数であった。
「街中でいきなり暴徒にナイフで刺されたり、突然落雷に撃たれるレベルじゃよ。
まぁおぬし不死なんだし余裕じゃろ?」
「いやいや! 歩いてたら刺されるとか、
そんな不幸起きたら堪らないんですけど!? ていうか絶対痛いよね!?」
サラッと何を言ってるんだこの幼女は……、
というか痛いで済むのか?
むしろ死なないことがかえってデメリットに思えてきた。
永久に続く痛みって怖いし……なんだか不安になってきた……。
「すいませんやっぱりこの契約無しで! もう普通に蘇らせてくれるだけでお願いします!」
「……嫌じゃ」
女神さまは小声で何かを呟く
「え?」
「嫌じゃ嫌じゃ嫌じゃあ! くりーにんぐおふは認めんのじゃ!」
まるで子供の様に地面に転がり駄々を捏ねる女神。
それはもう女神としての威厳を確実に損なうレベルで
「いやもうホントに蘇らせてもらうだけでいいんで……」
俺のその一言で彼女の体がピクりと止まる。
「ぅぅ……」
我儘が通用しなかったのか、女神様はかなり不満そうな表情で立ち上がった。
「考え直してもらえました? あっ! いっその事転生とかでもいいんで!」
「むぎゃーっ! お主みたいなわがままな奴初めてじゃあー!」
俺の妥協案が気に入らなかったのか、ヒステリックに彼女は切れ始めた。
わがままなことに対しては、お前が言うなと言いたいところなのだが……
「あー! もう我慢できん! さっさとどっかいけこのアホーっ!」
女神は半歩距離を取り、手をこちらに指すと、
何やら不思議な力が働き、急に俺のいた足場が消えかける。
「うお!? 落ちてたまるかっ!」
あと少し反応が遅れてたら、あの穴に落とされていたかもしれない。
俺は寸でのところで、女神のふとももに飛びつく。
「ふっざけるなよ! こんなん契約破棄だろ! 人を騙しやがって!
ていうかくりーにんぐおふってなんだ!」
「は、離すのじゃ! 契約は絶対なのじゃ!」
女神は足をじたばたさせて、必死に振りほどこうとする。
「何が女神だ! やってること悪魔じゃねえか! ふざけるな!」
「うるさいのじゃ! ていうか気持ち悪いのじゃ! や、やめろっ! 不幸が移る!」
生理的に無理ですと言わんばかりの表情をする女神
人を腫れ物扱いして、なんて失礼なやつだ。
元はと言えば、こいつのせいなのに……。
「くっ……最終手段じゃ! これでも食らうのじゃ!」
女神の右手から何か禍々しい力が溢れる。
「やめなさい! アルマ!」
どこからともなく聞こえたその声に、
女神のこぶしは寸でのところで止まる。
その声のする方向を振り向くと、
見知らぬ女性がそこにはいた。
金色の長い髪に赤いルビーの様な瞳、母性溢れる顔立ち、
このチビ女神とは対照的に長身でスタイルがよく、
なんといっても……その胸部は豊満であった。
女神はかなり焦った様子で、大人びた女性を凝視していた。
「母上!? どうして!? 今日は他世界の視察にいってたはずじゃ!?」
「珍しく視察が早く終わったから帰ってみれば――なんですかこの有様は!」
「うぅ……母上、違うのじゃ! こ、これはこいつが駄々こねて!」」
「せっかく生き返らそうとしたのに、こいつが一々文句を言うのじゃあ!」
アルマは俺を指指しながら、必死に言い訳をする。
「はぁ? おい! 騙そうとしたのはお前じゃ――」
「言い訳は無用です! 先ほどまでの行い全て見ていました!」
しかし無常にも俺の問いかけは女神の母親らしき人物にかき消される。
「あのーお母さま?」
「ちょっと黙ってもらえますか? 今この子を叱っているので!」
「はいすみません……」
どうやら女神の母親は相当お冠らしい、なぜか俺にも怒りの矛先がぶつけられる。
ひどい理不尽だ。ていうか俺は被害者なんだから口を挟んでもよくない!?
俺が落ち込んでいる間にも母親らしき人物の説教は続いていた。
「女神とあろうものが、人を騙すなど言語道断です!」
「騙してないのじゃ! こいつが聞かなかったから、別にいいと思ったのじゃぁ」
「別に? あなたは別にいいという理由で人を騙すのですか?」
「ぬあっ!? ち、違うのじゃ母上、そうじゃ! 言うの忘れたんじゃ!」
「アルマ……貴方、そもそも契約に無意味な代償を要求して、自分の私腹を肥やしてますよね?」
ゴミを見つめるような目で、お母さんは娘を見下ろしていた。
「ななななな、何のことですじゃ母上?? ワシにはさっぱりなのじゃ」
女神の顔から梅雨だくの様に汗が流れる。
って無意味な代償ってなんだ……おい女神。
「ユミエルが教えてくれました」
「なーにッ!? なんか今日はおらんと思ったらあいつ裏切りおったなー!? 天使のやつせっかく甘味で餌付けしといたに! あっ」
やってしまったという表情をするアルマ。
それはもう汗だけで水たまりができていた。
アホなのか?この世界の女神はアホなのか?
いやそもそもバレていたと思うのだが、
もう女神の旗色は悪いを通り越して白旗状態だった。
「もはや反省の余地はないようですねアルマ、貴方には今まで甘かったのかもしれません……」
「よってあなたには罰を与えます!」
なんか俺無視されてるけど……
ていうかすごいことになってきてない!?
「そ、そんな! 母上後生なのじゃ! ていうかいつもの母上となんか違うのじゃ!」
涙目になりながら、母親に訴えかけるアルマ。
なんか様子が違うみたいだけど……もしかして俺のせいか?
「いいえ、違いません、あなたには今までやさしくしすぎました。
これからは厳しい教育も必要のようですね」
そう母親が告げると、謎の光源が周りに出現し、
光の輪が俺ごとアルマの体を拘束する。
「は?」
ちょっとまって!関係ない人物も巻き込んでるよ!お母さん!
「うぅぅ……い、いやじゃあ! 罰はいやなのじゃ! 母上許してほしいのじゃあ!」
もはや女神の威厳など、そこには存在しない。
あるのは一人の少女が泣きじゃぐってる姿だった。
なんだか複雑な家庭事情に、非常に介入しにくいのだが、
ていうかこのままでは俺も巻き込まれてまずいのですが!
「あ、あのー俺のけいや――」
「しばらく地上で反省しなさい! そして魔王の一人でも倒してきなさい!」
女神のお母さまがそう叫ぶと、俺たちのいた足場から黒い穴が出現する。
「俺の意思はーーーーー!?」
「不幸なのじゃあああああああああああああ」
二人は黒い穴の中に消えていったのであった……。
「痛っ!?」
何かにぶたれた痛みで、唐突に目が覚める。
気が付くと俺はどこかも分からない場所に仰向けに倒れていたようだ。
そして、小柄な少女が俺を見下ろしていた。
髪はミスリルの様に銀色に輝きを放ち、幼いながらも非常に整った顔立ち、
ルビーの様な情熱的な色の瞳、白いローブに体を包み、まるで天使のようであった。
だが髪はだらしなくぼさぼさに伸び切り、仕方なく両サイドを糸か何かでまとめた感じで、
その体は上から下まで凹凸がなく、山というよりは壁という感じで――
「おい今ワシの事馬鹿にしたか? いやしたよな?」
何かに感づいたのか、額にしわを寄せながら顔を近づけてくる少女。
「な、なんのことですか? 俺は何も貴女の身体の貧弱性なんて一片の欠片も――」
腹の上に乗っかられ、襟を捕まれながら
今度は往復ビンタが俺を襲う。
「ちょっと痛い痛いッ!? やめてください天使様!」
「いきなり失礼なやつじゃの~おぬしは! まあよいわ」
そう言うと、少女は俺の上から退いてくれた。
俺もそれに合わせて、体を起こし立ち上がる。
「ていうか天使ってなんじゃ? ワシは女神じゃぞ? め・が・み! 女神って分かるか? 偉いんじゃぞ~」
小柄な少女は、存在だけでも自分を大きく見せたいのか、
腰に手をつけ、自分は偉いのであると言わんばかりにアピールをしてくる。
「め、女神?」
「そうじゃ、ワシはなこの世界をたーまに管轄しとる、偉い女神なのじゃ」
「そしてワシの名前こそ! 女神アルマ・ドール・ディザスターじゃ!」
えっへんと言わんばかりに自慢げに自分の名前を名乗る女神。
このどうみても少女にしか見えないその女神さまは、
アルマ・ドール・ディザスターと言うらしい。
「えーと、アルマさん、
ここ明らかに現世って感じじゃないんですけど――もしかして俺は死んだんですか?」
周りを見渡すと、先ほどまでいた森林とは明らかに違い、
何もない白い空間が永遠と続いていた。
どうみても俺がいた世界とは思えなかった。
「ああおぬし死んだぞ」
「――マジか」
「マジじゃな」
女神は冷静な物言いで状況を語る。
どうやら俺は本当に死んだようだ。
「……ちなみにどんな死に方だったんですか?」
死んだのなら仕方ない、
だがどう死んだのかぐらい確かめたい。
俺は自分の最後の死に様がどうだったのか女神に尋ねた。
「おぬしの死に方? ぷっ! くく……くひ……ふふっくっ! ふひゃひゃひゃひゃ!」
「あひゃははは! くくっ! ぷぅーくくくあーはっはは!」
女の子がしちゃいけないような馬鹿面で爆笑する女神。
女神はこの何もない空間で、なぜか腹を抱えて笑い転げている、
何か可笑しい事でも聞いたのだろうか?
「はぁーはぁーくくっ! は、腹が痛い」
「いや笑いすぎでしょ……」
なんだろう偉い人っぽいけど、無性に腹が立ってきた。
だが俺も大人だ、こんな子供っぽい奴に怒るわけにはいかない。
「何か可笑しい事でも?」
俺は恐る恐る死因を聞いてみる。
「可笑しい事? これが笑わずにいられるか!」
「お主の死因はのう、転落死じゃぞ!
足を滑らせて、崖から落ちて死んだ! くくっぷひゃひゃ!」
「えっ? 足を滑らせて?」
「めっちゃださかったぞ! これから俺は英雄になるとか息巻いてから転落死じゃからのう」
「うわあああああああああああああ」
やめて!周りに誰もいないから、つい英雄になりたいって叫びたかっただけなの!
ついさっきまでの黒歴史を暴露され、あまりの恥ずかしさに、
俺は顔を隠しその場に蹲ることによって、現実逃避を行う事しかできなかった。
「いや~お主超面白かったわ! マジ最高じゃぞ」
ドラゴンに殺されたとかならまだ自分の死に方に誇りを持てた。
ああ、俺はあんな化け物に殺されたんだ。ならしょうがないよなと納得もいく。
だけど滑らせて転落死とかださすぎる……死にたい、いや死んでるけど……。
「もうこのまま天国にでも送ってください、いやホントお願いします」
「まあそんな悲観するな青年、そんなアンラッキーボーイのおぬしに朗報じゃ」
女神はそう言うと、項垂れる俺の肩を叩いた。
「朗報って?」
「ワシに見つけられて超ラッキーじゃからなおぬしは、特別に蘇らせてやるわ!」
「ええ!? ホントですか?」
衝撃の発言に喜び舞い上がる。
まさか、こんなふざけた女神に蘇らせてもらう思わなかった。
「ああ、ワシ女神じゃからな! 嘘はつかんぞ!
それにな、特別にすんごい力もおまけでおぬしに授けるぞ?」
「と、特別な力!?」
蘇らせくれるだけでなく、力まで授けてくれるとかこの女神は神なのか?
ツキがないと思っていた俺にも、どうやらツキが回ってきたらしい。
「ライブラリと唱えてみるといい、それがおぬしの世界での"すていたす"とやらの確認じゃろ?」
喜んでる俺を確認すると、
うんうんと頷きながら能力についての確認を求められる。
"ライブラリ"それはこの世界での初級魔法の一つ、
基礎的な魔法で魔力さえあれば誰でも使え、
自分の強さを数字として可視化できる便利な呪文だ。
「わかりました――ライブラリ!」
そんな呪文を唱えると、目の前に数字が可視化され表示される。
===============================
ディルム 18歳 男 レベル:15
種族:ヒューマン
適正:戦士
生命力:∞/280
精神力:59/60
筋力:122
器用:50
敏捷:54
知力:35
魔力:23
運 :15
才能:不死者の加護(仮)
技能:剣技lv2、騎士の教えlv3
===============================
「おおっ! なんか不死者の加護ってある!」
「それがお主に与える"加護"というやつじゃ、これでおぬしは死なぬぞ!
うっかり崖に落ちるような奴にはぴったりじゃな」
笑いながら皮肉を飛ばす女神様。
黒歴史を蒸し返すのはやめてと言いたいところだが、
生き返らせてもらう上に恩恵も授けてくれるとなると、文句も言えない。
そして怒りの感情というよりは喜びの感情が現在進行形で俺の心の中で上回っていた。
「うおおおおお! いいんですかこんな加護もらっても?」
「いいぞ! じゃがな、まだ仮契約じゃから正式に力を授かったわけじゃないのじゃ」
「ど、どうしたら力をもらえるんですか?」
「ワシと契約するのじゃ!」
「契約って……わざわざ手順を踏まないといけないものなんですか?」
「最近はどこも厳しくてのう……正式に手続きをとらないと色んなところから怒られるのじゃ」
ため息を吐きながら、なんだか現実的な事を言う女神様。
どうやら女神も女神で色々と苦労しているようだ。
だがそんな事は俺にはどうでもよかった。
「しますします! 契約します! 是非ともよろしくお願いいたします女神様!」
こんなおいしい話断るはずがないと即答する。
「じゃあ力を受け取るということでいいな?」
「はい! ぜひお願いします!」
「じゃあこの契約書にサインを頼むぞ!」
女神は紙とペンを空間から作り出し、こちらに渡してきた。
俺はそれを受け取ると、早速自分の名前を記入した。
「これでいいですか?」
「うむ、これでおぬしは無事に不死者となったぞ!」
女神はうれしそうに紙を受け取ると、紙は燃え何処へと消えていった。
これで契約完了ということだろう。
「これで正式に加護が与えられたはずじゃ! 確認してみるといいぞ!」
そう言われ、俺はライブラリで自分の数値を確認する。
===============================
ディルム 18歳 男 レベル:15
種族:ヒューマン
適正:戦士
生命力:∞/280
精神力:59/60
筋力:122
器用:50
敏捷:54
知力:35
魔力:23
運 :-9999
才能:不死者の加護、不幸の呪い
技能:剣技lv2、騎士の教えlv3
===============================
「ん?」
ステータスを確認すると、運の値が異常な事にすぐ気がつく。
さらに才能の欄に見慣れない文字が見える。
「えっ――なんか、運の値がとんでもなくすごいことになってるんですが……
ていうか不幸の呪いって何!?」
もう一度確認してみたが、やはりステータスの数値がおかしい、明らかに異常だった。
「ちっ!」
なんだか舌打ちをしたような、いや確実にしたのを視認した。
「えっ? 今舌打ちしたよね女神様、おいこっち向け女神様」
「な、なんのことじゃ~? ワシにはステータス見えんから知らんぞー」
女神さまに詰め寄るが、左90度の方向を向いて、
まともに顔を合わせてくれる気がしなかった。
「加護を与える代わりにお主の運もらっといたぞ! てへっ!」
気まずさに耐えられなくなったのか、ピースを決めながらウインクする女神。
「てへっ! じゃないよね!? どんだけ人の運吸い取ったの!?」
なんだろう、無償に殴りたくなってきたこの女神を……。
呆然としていた俺に対して彼女は呪いの説明をし始める。
「"不幸の呪い"は契約を了承したサインみたいなもんじゃな!」
「えーつまり、この呪いがある限り、俺は一生呪いってことか……?」
「そうじゃな! ガハハ!」
笑いながら答える女神。
「完全に詐欺じゃねえか! ふざけんな!」
俺はかなり近い距離まで顔を近づけ、女神を問い詰める。
「きょ、強力な力にはそれ相応の代償が必要なのじゃ……、等価交換というやつじゃよ!」
女神は俺とは明後日の方向に顔を向き、冷や汗を掻きながら言い訳を始める。
「ていうか普通この事は先に言うべきだよね? 明らかに違法でしょこれ!」
「だって先に言ったら絶対契約してくれないし……、お主聞かなかったし……」
「契約とれなかったら……、母上に怒られるし……」
もじもじしながら涙目になる女神。
ていうか女神に母親なんているのかよ!
とついノリツッコミをしてしまう。
「いや母上とか知らないんだが……」
黙ってればいいものを、
契約の後とはいえ説明してくれたのは、
この子なりの良心の呵責というやつなのか?
だからと言って、黙っておいたのはひどいんだけど……
「一応聞くが-9999ってなんなの? とてつもなく運がわるいってことなのか?」
運のステータスについては、よく分からない事が多い、
この世界において運のステータスはあまり重要視されないからだ。
運が高いから絶対いいことが起きるわけでもない、
運というステータスは他のステータスと比べて体感しづらいからだ。
だから正直マイナスで何か起こるのか未知数であった。
「街中でいきなり暴徒にナイフで刺されたり、突然落雷に撃たれるレベルじゃよ。
まぁおぬし不死なんだし余裕じゃろ?」
「いやいや! 歩いてたら刺されるとか、
そんな不幸起きたら堪らないんですけど!? ていうか絶対痛いよね!?」
サラッと何を言ってるんだこの幼女は……、
というか痛いで済むのか?
むしろ死なないことがかえってデメリットに思えてきた。
永久に続く痛みって怖いし……なんだか不安になってきた……。
「すいませんやっぱりこの契約無しで! もう普通に蘇らせてくれるだけでお願いします!」
「……嫌じゃ」
女神さまは小声で何かを呟く
「え?」
「嫌じゃ嫌じゃ嫌じゃあ! くりーにんぐおふは認めんのじゃ!」
まるで子供の様に地面に転がり駄々を捏ねる女神。
それはもう女神としての威厳を確実に損なうレベルで
「いやもうホントに蘇らせてもらうだけでいいんで……」
俺のその一言で彼女の体がピクりと止まる。
「ぅぅ……」
我儘が通用しなかったのか、女神様はかなり不満そうな表情で立ち上がった。
「考え直してもらえました? あっ! いっその事転生とかでもいいんで!」
「むぎゃーっ! お主みたいなわがままな奴初めてじゃあー!」
俺の妥協案が気に入らなかったのか、ヒステリックに彼女は切れ始めた。
わがままなことに対しては、お前が言うなと言いたいところなのだが……
「あー! もう我慢できん! さっさとどっかいけこのアホーっ!」
女神は半歩距離を取り、手をこちらに指すと、
何やら不思議な力が働き、急に俺のいた足場が消えかける。
「うお!? 落ちてたまるかっ!」
あと少し反応が遅れてたら、あの穴に落とされていたかもしれない。
俺は寸でのところで、女神のふとももに飛びつく。
「ふっざけるなよ! こんなん契約破棄だろ! 人を騙しやがって!
ていうかくりーにんぐおふってなんだ!」
「は、離すのじゃ! 契約は絶対なのじゃ!」
女神は足をじたばたさせて、必死に振りほどこうとする。
「何が女神だ! やってること悪魔じゃねえか! ふざけるな!」
「うるさいのじゃ! ていうか気持ち悪いのじゃ! や、やめろっ! 不幸が移る!」
生理的に無理ですと言わんばかりの表情をする女神
人を腫れ物扱いして、なんて失礼なやつだ。
元はと言えば、こいつのせいなのに……。
「くっ……最終手段じゃ! これでも食らうのじゃ!」
女神の右手から何か禍々しい力が溢れる。
「やめなさい! アルマ!」
どこからともなく聞こえたその声に、
女神のこぶしは寸でのところで止まる。
その声のする方向を振り向くと、
見知らぬ女性がそこにはいた。
金色の長い髪に赤いルビーの様な瞳、母性溢れる顔立ち、
このチビ女神とは対照的に長身でスタイルがよく、
なんといっても……その胸部は豊満であった。
女神はかなり焦った様子で、大人びた女性を凝視していた。
「母上!? どうして!? 今日は他世界の視察にいってたはずじゃ!?」
「珍しく視察が早く終わったから帰ってみれば――なんですかこの有様は!」
「うぅ……母上、違うのじゃ! こ、これはこいつが駄々こねて!」」
「せっかく生き返らそうとしたのに、こいつが一々文句を言うのじゃあ!」
アルマは俺を指指しながら、必死に言い訳をする。
「はぁ? おい! 騙そうとしたのはお前じゃ――」
「言い訳は無用です! 先ほどまでの行い全て見ていました!」
しかし無常にも俺の問いかけは女神の母親らしき人物にかき消される。
「あのーお母さま?」
「ちょっと黙ってもらえますか? 今この子を叱っているので!」
「はいすみません……」
どうやら女神の母親は相当お冠らしい、なぜか俺にも怒りの矛先がぶつけられる。
ひどい理不尽だ。ていうか俺は被害者なんだから口を挟んでもよくない!?
俺が落ち込んでいる間にも母親らしき人物の説教は続いていた。
「女神とあろうものが、人を騙すなど言語道断です!」
「騙してないのじゃ! こいつが聞かなかったから、別にいいと思ったのじゃぁ」
「別に? あなたは別にいいという理由で人を騙すのですか?」
「ぬあっ!? ち、違うのじゃ母上、そうじゃ! 言うの忘れたんじゃ!」
「アルマ……貴方、そもそも契約に無意味な代償を要求して、自分の私腹を肥やしてますよね?」
ゴミを見つめるような目で、お母さんは娘を見下ろしていた。
「ななななな、何のことですじゃ母上?? ワシにはさっぱりなのじゃ」
女神の顔から梅雨だくの様に汗が流れる。
って無意味な代償ってなんだ……おい女神。
「ユミエルが教えてくれました」
「なーにッ!? なんか今日はおらんと思ったらあいつ裏切りおったなー!? 天使のやつせっかく甘味で餌付けしといたに! あっ」
やってしまったという表情をするアルマ。
それはもう汗だけで水たまりができていた。
アホなのか?この世界の女神はアホなのか?
いやそもそもバレていたと思うのだが、
もう女神の旗色は悪いを通り越して白旗状態だった。
「もはや反省の余地はないようですねアルマ、貴方には今まで甘かったのかもしれません……」
「よってあなたには罰を与えます!」
なんか俺無視されてるけど……
ていうかすごいことになってきてない!?
「そ、そんな! 母上後生なのじゃ! ていうかいつもの母上となんか違うのじゃ!」
涙目になりながら、母親に訴えかけるアルマ。
なんか様子が違うみたいだけど……もしかして俺のせいか?
「いいえ、違いません、あなたには今までやさしくしすぎました。
これからは厳しい教育も必要のようですね」
そう母親が告げると、謎の光源が周りに出現し、
光の輪が俺ごとアルマの体を拘束する。
「は?」
ちょっとまって!関係ない人物も巻き込んでるよ!お母さん!
「うぅぅ……い、いやじゃあ! 罰はいやなのじゃ! 母上許してほしいのじゃあ!」
もはや女神の威厳など、そこには存在しない。
あるのは一人の少女が泣きじゃぐってる姿だった。
なんだか複雑な家庭事情に、非常に介入しにくいのだが、
ていうかこのままでは俺も巻き込まれてまずいのですが!
「あ、あのー俺のけいや――」
「しばらく地上で反省しなさい! そして魔王の一人でも倒してきなさい!」
女神のお母さまがそう叫ぶと、俺たちのいた足場から黒い穴が出現する。
「俺の意思はーーーーー!?」
「不幸なのじゃあああああああああああああ」
二人は黒い穴の中に消えていったのであった……。
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