満員電車

安積

文字の大きさ
上 下
14 / 14

再開、それから

しおりを挟む


 ようやく仕事を終え、今日は残業も無理やり回避して、足早に駅へと向かう。一刻も早く自宅に帰り、身を清めたい。
 駅に着いて、改札を潜ろうとした瞬間、ピタリと足が止まる。
 ――いる。今朝、私を犯したおじさんが、改札の向こう側に立っていた。
 回れ右をして一駅歩こうか、はたまたタクシーで帰ろうか、そんな考えが瞬時に脳内を駆け巡った。が、それも叶わず、後ろから来た人波に押されるように改札を潜ってしまった。
 いや、おじさんがいるからといって、なんだと言うのだ。無視をすればいい。幸い、電車はすぐに到着するはずだ。
 無意識に胸ポケットを押し込み、ぷにぷにした感触を確かめる。

(帰りにどこかで捨ててくればよかった……)

 とにかく視線を合わせないようにして、足早にホームへと向かう。

「まだ持っててくれたんだ」
「えっ!?」

 背後から声をかけられ、手首を掴まれた。
 ビクンと身体を震わせて振り返ると、いつの間に移動したのか、今朝のおじさんが立っていた。

「行こうか」

 ニチャァと笑うおじさんに手を引かれる。抵抗したくても足が震えて上手く歩けない。そのまま流されるように再びトイレへ連れ込まれてしまった。



 翌朝、駅のホームへ続く階段を登ると、おじさんが立っていた。
 私はニッコリと笑って――駆け寄った。

しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

処理中です...