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フィリアの話
014.魔物の傷跡
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「とりあえず、フィリアのその魔物の傷跡を取り除こうか」
ジルが、そう言うとフィリアとリミィが、驚きの声をあげた。
「「えっ?」」
「えっ?って、何?」
「「そんな事できるの?」」
フィリアは、ともかくリミィまで、驚いた事にジルは、驚いた。
「えっ?何言ってんの?出来ない訳ないでしょ?」とジルは自分の腕輪とリミィの腕輪を指さした。
ジンとリンの宿る”月の石”が嵌めこまれたお護りである。
「あっ!そっか」リミィが、ぽんと手を叩いた。
「何が、あ、そっか…なの?私の傷痕は聖水でも消すことは、出来なかったのよ。どうしたって無理よ」
「聖水って教会にあるあれか、あんなんじゃ無理だよ。まぁ、せいぜい消毒液代わり程度だって」
「まぁ、なんて罰当たりな事を!」
「うん、でも、お父様もそう言ってたわ。昔、私の許嫁は、魔物に呑まれた事があって全身どす黒い痕になったって言ってたわ!その時に聖水は、ほとんど何の役にもたたなかったって」
「えっ!リミィの許嫁さんがっ?しかも全身っ?」フィリアは驚愕した。
なんて惨い!
自分等はまだ、ましだったのだと…。
多少、不自然でも片方の髪を垂らしていれば頬から耳にかかる傷跡は隠れるのだから…と切なくなった。
「あ、でも今は痕なんて何も残ってないのよ?」
「えっ!そ、そんな事がありえるの?伝説の”月の石”でも存在しない限りそんなの無理よ!」
「「そうそうっ!それな(ね)!」」
「何言ってるの?伝説の”月の石”なんてあくまでも伝説でしょう?迷信よ。そんな都合のよい石がある筈ないわ!魔物すら浄化してしまう奇跡の石だと聞いた事はあるけれど…」
このフィリアの月の石への存在事態が迷信扱いに驚いた。
隣国でありながら、何で?
ラフィリルなら子供でも月の石の存在は認識しているというのに。
「いやいやいや、魔物はそもそも黒魔石っていう黒い穢れの影響で生まれるんだから、相対する浄化の石があるのは当たり前でしょ?」
「まあ、ありがとう。そうね、そんな石があったら素敵ね」と、フィリアは、困ったように笑った。
((あ、これ、本気にしてないな(ね)))と、ジルとリミィは、思った。
なんだか、小さい子が絵本の中の存在をまだ信じてるのね?可愛いわ、せっかくだから夢を壊さないように否定するのはやめておきましょう…みたいな!?
「ふぅっ、仕方ないなあ。フィリア、今からの事は絶対内緒だからね?」
ジルは、フィリアに、聞こえないように自分の腕輪に小さく話しかける。
『僕らの魔法は、今は、制限されてるんだよね?でもジンとリンの精霊の力なら簡単だよね?浄化できるよね?』
そう囁くとジルの月の石に宿るジンは、フィリアに聞こえないようにジルの頭の中に直接返事を返した。
『当たり前です。頼まれずとも"主の子"らの友人を穢れのあるままになど、しておける筈ないでしょう。私(月の石)を穢れの部分に近づけてください』
『ありがとう』ジルは、にっこり微笑むと自分の腕輪をフィリアの髪の毛で隠された頬に近づけた。
ジルが何をしようとしているか直ぐに気づいたリミィは、自分のポケットにいれていたコンパクトタイプの小さな鏡を取り出した。
誕生日のプレゼントにと許嫁のティムンがくれた物である。
ジルの腕輪にはまっている月の石が、ぽうっと白い光を放ちフィリアの頬が少し熱を持つ。
「えっ?な、何っ?」フィリアは、びっくりして声をあげ顔をそらそうとしたが、それを二人が止める。
「「動かないで!!」」
「え、えええ?」
いきなり頬が熱くなり恐くなったフィリアは、目を閉じた。
三秒ほどたって頬の熱が収まると、フィリアは恐る恐る目を開けた。
するとリミィが、鏡を自分にむけてきてフィリアは一瞬、顔を背けた。
顔に傷をおってからフィリアは鏡が大嫌いだったからだ。
しかし、そこに映っていたのは…。
ジルが、そう言うとフィリアとリミィが、驚きの声をあげた。
「「えっ?」」
「えっ?って、何?」
「「そんな事できるの?」」
フィリアは、ともかくリミィまで、驚いた事にジルは、驚いた。
「えっ?何言ってんの?出来ない訳ないでしょ?」とジルは自分の腕輪とリミィの腕輪を指さした。
ジンとリンの宿る”月の石”が嵌めこまれたお護りである。
「あっ!そっか」リミィが、ぽんと手を叩いた。
「何が、あ、そっか…なの?私の傷痕は聖水でも消すことは、出来なかったのよ。どうしたって無理よ」
「聖水って教会にあるあれか、あんなんじゃ無理だよ。まぁ、せいぜい消毒液代わり程度だって」
「まぁ、なんて罰当たりな事を!」
「うん、でも、お父様もそう言ってたわ。昔、私の許嫁は、魔物に呑まれた事があって全身どす黒い痕になったって言ってたわ!その時に聖水は、ほとんど何の役にもたたなかったって」
「えっ!リミィの許嫁さんがっ?しかも全身っ?」フィリアは驚愕した。
なんて惨い!
自分等はまだ、ましだったのだと…。
多少、不自然でも片方の髪を垂らしていれば頬から耳にかかる傷跡は隠れるのだから…と切なくなった。
「あ、でも今は痕なんて何も残ってないのよ?」
「えっ!そ、そんな事がありえるの?伝説の”月の石”でも存在しない限りそんなの無理よ!」
「「そうそうっ!それな(ね)!」」
「何言ってるの?伝説の”月の石”なんてあくまでも伝説でしょう?迷信よ。そんな都合のよい石がある筈ないわ!魔物すら浄化してしまう奇跡の石だと聞いた事はあるけれど…」
このフィリアの月の石への存在事態が迷信扱いに驚いた。
隣国でありながら、何で?
ラフィリルなら子供でも月の石の存在は認識しているというのに。
「いやいやいや、魔物はそもそも黒魔石っていう黒い穢れの影響で生まれるんだから、相対する浄化の石があるのは当たり前でしょ?」
「まあ、ありがとう。そうね、そんな石があったら素敵ね」と、フィリアは、困ったように笑った。
((あ、これ、本気にしてないな(ね)))と、ジルとリミィは、思った。
なんだか、小さい子が絵本の中の存在をまだ信じてるのね?可愛いわ、せっかくだから夢を壊さないように否定するのはやめておきましょう…みたいな!?
「ふぅっ、仕方ないなあ。フィリア、今からの事は絶対内緒だからね?」
ジルは、フィリアに、聞こえないように自分の腕輪に小さく話しかける。
『僕らの魔法は、今は、制限されてるんだよね?でもジンとリンの精霊の力なら簡単だよね?浄化できるよね?』
そう囁くとジルの月の石に宿るジンは、フィリアに聞こえないようにジルの頭の中に直接返事を返した。
『当たり前です。頼まれずとも"主の子"らの友人を穢れのあるままになど、しておける筈ないでしょう。私(月の石)を穢れの部分に近づけてください』
『ありがとう』ジルは、にっこり微笑むと自分の腕輪をフィリアの髪の毛で隠された頬に近づけた。
ジルが何をしようとしているか直ぐに気づいたリミィは、自分のポケットにいれていたコンパクトタイプの小さな鏡を取り出した。
誕生日のプレゼントにと許嫁のティムンがくれた物である。
ジルの腕輪にはまっている月の石が、ぽうっと白い光を放ちフィリアの頬が少し熱を持つ。
「えっ?な、何っ?」フィリアは、びっくりして声をあげ顔をそらそうとしたが、それを二人が止める。
「「動かないで!!」」
「え、えええ?」
いきなり頬が熱くなり恐くなったフィリアは、目を閉じた。
三秒ほどたって頬の熱が収まると、フィリアは恐る恐る目を開けた。
するとリミィが、鏡を自分にむけてきてフィリアは一瞬、顔を背けた。
顔に傷をおってからフィリアは鏡が大嫌いだったからだ。
しかし、そこに映っていたのは…。
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