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初恋の終わり
11.国王からの頼み事---02
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「イリューリア、来月、各国の要人が集まる園遊会が開かれるのを知っているだろう?」
「はい、国王陛下、父から聞いております。氷の国エリオルンテ王国、山と湖の国タイターナ公国、海洋国ジャニカ皇国、そしてこの世界の始まりの国とも言われる伝説の国ラフィリル王国からも賓客が来られると…」
「そう!そうなのだ!なんと光栄な事に、あの伝説の国とも魔法の国とも言われるあのラフィリル王国からも王族の方々が我が国へお越しくださるのだ!実に光栄な事だ!」
「は、はい!かの国は歴史も長く他国にまで精霊の加護を受けし国と様々な書物に記述があり、魔法と精霊が現存する国と…私もそんな夢のような国に憧れてこの国にあるラフィリル王国の書物はほとんど読んでしまいました」
「おお、それではイリューリアは、かの国への造詣が深いのだな?」
「いえ、陛下、そんな造詣が深いなどと、ただ今はもう亡くなられたお祖母様が、ラフィリルのご出身だった事もあり、祖母の頃から仕えてくれているメイドからもよく、ラフィリルのお話を聞いておりましたので…自然と憧れは強くなり、かの国に関する書物を読み漁っただけの事なので」
「まあ、そうだわっ!そうよ!イリューリアの生母エマリア様は、ラフィリルの王族の血をひく者だと、聞いたことがあるわ!それも納得出きる神秘的な魅力をお持ちの優しく美しい素晴らしい方でしたもの!」と、王妃がイリューリアの母を思い出し、イリューリアに益々、優しい笑顔をむける。
イリューリアの生母エマリアは、まだイリューリアが小さな頃に病気で亡くなったのだ。
現在の母マルガリータは、父の後添いである。
「うむうむ!そこでイリューリアに頼みがあるのだ。ぜひ、園遊会でラフィリル王国からの賓客への案内役をしてもらいたいと思っているのだが、どうだろうか?」
「まぁ!それは本当でございますか?で、でも私のような社交の場にすら慣れていない者が、そのような大役務まるか不安です」
「おお、それなら心配いらぬ。イリューリアには主にお子様方の遊び相手を務めてほしいのだよ。ラフィリルからの賓客ラフィリアード公爵様はこの度、ご家族でいらして下さるとのお返事を頂いているのだが、現在3歳の双子の男女のお子様方がいらっしゃるのだが、話し相手をつけてほしいと頼まれているのだよ。子供とはいえあのラフィリルの公爵家の令息と令嬢だから、こちらも案内役は相応の身分は必要だし、わたしとしては、少しでもラフィリルという国の素晴らしさを理解している者に案内役をしてもらいたいと思っているのだよ」
デルアータ国王キリクア・デア・アルティアータは、他国にも賢き王と知られる王である。
それは娘の様に愛しく思っているイリューリアに少しでも外に目を向けるきっかけになればと思っての声掛けでもあった。
常々、自分の息子である王子との仲たがいのせいで引きこもってしまった従兄の娘を国王キリクアは、心配していたのである。
無論、案内役といえば、それなりのマナーや教養は、必要である。
お子様相手がメインとはいえ、親である公爵や公爵夫人ともそれなりの会話はしなくてはならない。
引きこもっていたとはいえ、イリューリアに、それなりの教育と身分、嗜みを備えているからこそ成り立つ話である。
その点ではエルキュラート家の家庭教師達は王家から紹介された者達であり、その教育基準は学園に通った以上の成果であると報告されていての事である。
(案内役などというから身構えてしまったけれど、要するに子供達の遊び相手という事?。それなら私でも大丈夫かもしれない…それに何といっても憧れの伝説の国、お祖母様の祖国からのお客様!お目にかかってみたい…)
そう思ったイリューリアは、その話を受ける事にした。
「陛下、そういう事でしたら私、自信はございませんが、誠心誠意がんばりたいと思います」
イリューリアははっきりと自分の意思でそう答えた。
それは、十二歳のあの時から閉じこもっていた気持ちが初めて外に向いた瞬間だった。
「はい、国王陛下、父から聞いております。氷の国エリオルンテ王国、山と湖の国タイターナ公国、海洋国ジャニカ皇国、そしてこの世界の始まりの国とも言われる伝説の国ラフィリル王国からも賓客が来られると…」
「そう!そうなのだ!なんと光栄な事に、あの伝説の国とも魔法の国とも言われるあのラフィリル王国からも王族の方々が我が国へお越しくださるのだ!実に光栄な事だ!」
「は、はい!かの国は歴史も長く他国にまで精霊の加護を受けし国と様々な書物に記述があり、魔法と精霊が現存する国と…私もそんな夢のような国に憧れてこの国にあるラフィリル王国の書物はほとんど読んでしまいました」
「おお、それではイリューリアは、かの国への造詣が深いのだな?」
「いえ、陛下、そんな造詣が深いなどと、ただ今はもう亡くなられたお祖母様が、ラフィリルのご出身だった事もあり、祖母の頃から仕えてくれているメイドからもよく、ラフィリルのお話を聞いておりましたので…自然と憧れは強くなり、かの国に関する書物を読み漁っただけの事なので」
「まあ、そうだわっ!そうよ!イリューリアの生母エマリア様は、ラフィリルの王族の血をひく者だと、聞いたことがあるわ!それも納得出きる神秘的な魅力をお持ちの優しく美しい素晴らしい方でしたもの!」と、王妃がイリューリアの母を思い出し、イリューリアに益々、優しい笑顔をむける。
イリューリアの生母エマリアは、まだイリューリアが小さな頃に病気で亡くなったのだ。
現在の母マルガリータは、父の後添いである。
「うむうむ!そこでイリューリアに頼みがあるのだ。ぜひ、園遊会でラフィリル王国からの賓客への案内役をしてもらいたいと思っているのだが、どうだろうか?」
「まぁ!それは本当でございますか?で、でも私のような社交の場にすら慣れていない者が、そのような大役務まるか不安です」
「おお、それなら心配いらぬ。イリューリアには主にお子様方の遊び相手を務めてほしいのだよ。ラフィリルからの賓客ラフィリアード公爵様はこの度、ご家族でいらして下さるとのお返事を頂いているのだが、現在3歳の双子の男女のお子様方がいらっしゃるのだが、話し相手をつけてほしいと頼まれているのだよ。子供とはいえあのラフィリルの公爵家の令息と令嬢だから、こちらも案内役は相応の身分は必要だし、わたしとしては、少しでもラフィリルという国の素晴らしさを理解している者に案内役をしてもらいたいと思っているのだよ」
デルアータ国王キリクア・デア・アルティアータは、他国にも賢き王と知られる王である。
それは娘の様に愛しく思っているイリューリアに少しでも外に目を向けるきっかけになればと思っての声掛けでもあった。
常々、自分の息子である王子との仲たがいのせいで引きこもってしまった従兄の娘を国王キリクアは、心配していたのである。
無論、案内役といえば、それなりのマナーや教養は、必要である。
お子様相手がメインとはいえ、親である公爵や公爵夫人ともそれなりの会話はしなくてはならない。
引きこもっていたとはいえ、イリューリアに、それなりの教育と身分、嗜みを備えているからこそ成り立つ話である。
その点ではエルキュラート家の家庭教師達は王家から紹介された者達であり、その教育基準は学園に通った以上の成果であると報告されていての事である。
(案内役などというから身構えてしまったけれど、要するに子供達の遊び相手という事?。それなら私でも大丈夫かもしれない…それに何といっても憧れの伝説の国、お祖母様の祖国からのお客様!お目にかかってみたい…)
そう思ったイリューリアは、その話を受ける事にした。
「陛下、そういう事でしたら私、自信はございませんが、誠心誠意がんばりたいと思います」
イリューリアははっきりと自分の意思でそう答えた。
それは、十二歳のあの時から閉じこもっていた気持ちが初めて外に向いた瞬間だった。
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