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ルミアーナの逆襲?
183.ざけんなよ!ルミアーナの逆襲-6
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ロレッタは、ルミアーナの騎士顔負けの動きに驚愕し我を忘れて、叫んでいた。
「くそっ!一体、何なのよ!あの女はっ!忌々しいっ!」
周りに誰もいないと思って独り言のように呪いの言葉を吐くその姿は、今現在も月の石の精霊リュートによって音声付きでライブ中継されている。
観客席はざわざわと騒ぎだす。
いかにも悪い女の毒々しい雰囲気満載のアップ画像が鮮明な呪いの言葉つきで流れ観客席はびっくりである!
「「「え?なっ…何?今の…」」」」
「あれって、ロレッタ?」
口々に彼女を知る者がその名を唱えだす。
「今、映ってたのって確かロレッタ…ロレッタ・ルーティーじゃあなくて?」
「え?やだ、ほんとだ。あのこ、何やってんの?」と、旦那と来てはいるが今回、乗馬大会には不参加のアンナとキャシーの二人が仰天して画像に食い入る。
そう、ロレッタをダルタスにけしかけたおバカな?…いや、おバカだった二人である。
ちなみに、この二人は今回この同窓会に来てからダルタス夫妻が参加と聞いて焦っていた。
ダルタスが来ると知っていたら仮病をつかってでも欠席したものを…と思っていたのである。
何故なら、彼女らはロレッタよりは若干なりとも恥を知っていたからである。
ダルタスが実は公爵家跡取りだと分かったときも悔しいという思いよりも、目に見えたものだけでその人のすべてを推し量っていた自分たちの浅はかさを恥じていた。
自分たちがダルタスにロレッタをけしかけた事も、今にして思えば消し去りたい黒歴史でしかない。
それなのに、ダルタスが公爵跡取りと分かった時にダルタスは自分を好きな筈だと意気揚々と語りだしたロレッタにアンナとキャシーは驚愕した。
『何言ってんだ?こいつは?頭、沸いてんの?私らダルタスに顔向けできないでしょ?嫌われこそすれ好かれる事などありえないでしょうが?』と、思ったものである。
最初こそ「どうしよう!私達、ダルタスにひどい事を…」とロレッタも言っていたのに、いつの間にか、あのこの頭の中では妄想?が繰り広げられていたのだ。
まるで身分違いのロマンスの末に想い叶えて公爵夫人におさまる!と、いうような壮大なサクセスストーリーを延々、聞かされたのである。
あの日から、アンナとキャシーは、ロレッタと徐々に距離を取るようになった…。
『こいつ、ヤバすぎる!』
それは、アンナとキャシーのロレッタ・ルーティーに対する共通の評価だった。
そして二人は卒業後、自分たちの配属された先が明らかに”騎士の力量なし”と思われていたであろう部署であることを真摯に受け止めてとっとと親の進める縁談をうけて嫁いだのである。
幸い親の選んだ結婚相手は、多少歳は離れてはいるもののとてもまじめで善良な釣り合いの取れた貴族でそこそこ幸せなのである。
もともと騎士を目指していたこともあり多少、お転婆で気の強いところもある二人を広い心で許容してくれる気のいい旦那様方である。
そして結婚後も二人は交流を持っていて月に一度は顔を合わせる友達関係を続けている。
「ま…まさか、あのこ…ロッティ…ご結婚までされたダルタス将軍に、まだ横恋慕しようとか思ってたんじゃないでしょうね?」とアンナがキャシーに小声で話す。
「え…まさか?…そんな身の程知らずな…。身分が釣り合わない上に、あんな辺境の…しかも、要の守り部分からも離れた場所にある…しいて言えば正規騎士たちの邪魔にならないように配置された場所に回された時点で騎士としてすら評価されて無いって事でしょ?どうやってこの国の英雄と結ばれるとか思うのよ?そんなのいくら何でも…」
「甘いわねキャシー、あれが、あのこの怖いところよ…」
「あ、ありえない…だとしたら、なんて…なんて…」
「「ロレッタ・ルーティー…恐ろしいこ…!」」
「じ…冗談じゃない。あんな恐ろしい子と一時でも友達していたなんて…”黒歴史”どころか”深淵の闇歴史”だわ…」と力なく言葉をもらす。
「大変だわ、ダルタス将軍の奥様!狙われてるのよ!」
「まさか、そんな…一体、何をするつもりで…」
「どこまでするつもりか分からないけど、さっきの覆面の男が投げた石のついた綱!あれで落馬させようとしたのは間違いないわよ…ど、どうしよう…あれ、あの覆面男…絶対、ロレッタの手の者よね?」
落馬なんて、下手をして首の骨でも折ろうものなら死んでしまう。
おろおろしながらも二人は覚悟を決めてダルタスの所まで手に手を取りあってやってきた。
「あ、あの…ダルタス将軍?」
まずアンナが震える声で恐る恐る声をかける。
「ん…?」とダルタスが振り返る。
「え~と、君は確か同じクラスだった…」と、ダルタスは遠い日の記憶をたどる。
「アンナですわ。ダルタス将軍…」と頭を下げる。
「キャシーです。ダルタス将軍」と、キャシーも頭を下げる。
そして二人は過去の自分たちの不遜な態度やロレッタをけしかけた事を正直に涙を浮かべながら謝り、今のロレッタが奥様に害をなそうとしていると訴えた。
その顔は真剣で心からルミアーナを案じていると伺えたので、ダルタスは普段ルミアーナ以外にはむけないであろう優しい笑顔を二人に見せた。
「そうか、話はわかった。よく知らせてくれたな。勇気がいったろう?」
その優しく懐の深い言葉に二人は、ぽろぽろと大粒の涙をこぼした。
「あ、あの、私達、昔は貴方の事を馬鹿にした態度をとったり…色々と…」
「ああ、本当に私達、物知らずだったと今は自分達を恥じているのです」
「「ほっ本当に、ごめんなさぃぃぃぃ」」と同時に謝った。
二人は過去の愚かで子供だった自分達を本当に本当に後悔していたのである。
「すっ!すぐに奥様を助けにいかなければっっ!」とドレス姿にも関わらず腕をまくり上げ走りだそうとする彼女らをダルタスはちょっと驚いて止める。
これには傍観していたリュートやリゼラも吹き出しそうになった。
「い、いやいやいや!本当にルミアーナは大丈夫だから…心配も大してしてないし、まぁ、せっかく、ここからでも見れるのだから君たちも楽しんだらいい」と走りだしそうな二人を引き留めた。
「「たっ!楽しむだなんて!奥様が心配ではないのですか?私達は真剣に!」」と二人が同時に叫ぶのでダルタスは笑ってしまった。
「はははっ、君たちは俺が思っていたより随分と可愛らしい女性達だったんだな…いや、失礼。くくっ…こほん…妻はああ見えて城の騎士団長も負かしてしまうほどの強者だ。この私ですら投げ飛ばした事まである位だからむしろ心配なのは仕掛けたロレッタやその手の者だから安心するがいい」と心底おかしそうに笑いを堪えながら言った。
「「え?ええええっ?」」」と二人は目をむいた。
「それより君たちも結婚したんだろう?おめでとう」と祝いの言葉をいうダルタス。
二人は恐縮しながらも長年の後悔を払拭できた事を喜んだ。
「ダルタス将軍は、ああおっしゃっていたけれど心配だわ」と、アンナとキャシーが頷きあっていた。
そして、不安そうに、その場に腰かけると話を聞いていたリゼラが声をかけてきた。
「大丈夫ですよ。ルミアーナ様は多分ここにいる騎士たちの誰よりも…ああ、ダルタス将軍は別ですけれど、それ以外の誰にもひけは取りませんから…そのロレッタとその部下ごときでは一斉にかかったところで、怪我をするのはロレッタ達の方ですから…」と言いながら取ってきた飲み物を二人に手渡した。
「まぁ…あ、ありがとう。貴女はお城の騎士団の”紅い髪のリゼラ”さんよね?貴方のお噂はきいているわ。王妃様の信頼もあつい女騎士」とキャシーが恐縮しながらも飲み物を受け取り頭を下げた。
「お会いできて嬉しいわ。私達、騎士学科を卒業した者の間でも憧れの存在よ?」とアンナが言うとリゼラはにっこりとほほ笑む。
「まぁ、ありがとうございます。先輩方にそのように言って頂けて嬉しいですわ。ちなみにお二方が心配されているルミアーナ様に最初に剣技や乗馬をお教えしたのは私です。ルミアーナ様は武人のアークフィル公爵様のお血筋のせいか、あらゆる武術の天才なのですわ!ですから心配はご無用ですわ」
「な…なるほど…そ、そうですね…お父様は、武人で名を馳せたアークフィル公爵様…そ、そうか…それで…」
「それにしても…信じられない…あんなにか弱そうに見えるのに…」と、それでも心配そうな二人にリリアが話しかける。
「お二人の心配なお気持ちわかりますわ!あんなに華奢で儚げな、美しい方ですものね。でも夫であるダルタス将軍が太鼓判を押されているんですもの…私達はここで見守りましょう」と二人を励ました。
どこまでも優しいリリアは、今後もルミアーナの良い友達になれそうである。
「くそっ!一体、何なのよ!あの女はっ!忌々しいっ!」
周りに誰もいないと思って独り言のように呪いの言葉を吐くその姿は、今現在も月の石の精霊リュートによって音声付きでライブ中継されている。
観客席はざわざわと騒ぎだす。
いかにも悪い女の毒々しい雰囲気満載のアップ画像が鮮明な呪いの言葉つきで流れ観客席はびっくりである!
「「「え?なっ…何?今の…」」」」
「あれって、ロレッタ?」
口々に彼女を知る者がその名を唱えだす。
「今、映ってたのって確かロレッタ…ロレッタ・ルーティーじゃあなくて?」
「え?やだ、ほんとだ。あのこ、何やってんの?」と、旦那と来てはいるが今回、乗馬大会には不参加のアンナとキャシーの二人が仰天して画像に食い入る。
そう、ロレッタをダルタスにけしかけたおバカな?…いや、おバカだった二人である。
ちなみに、この二人は今回この同窓会に来てからダルタス夫妻が参加と聞いて焦っていた。
ダルタスが来ると知っていたら仮病をつかってでも欠席したものを…と思っていたのである。
何故なら、彼女らはロレッタよりは若干なりとも恥を知っていたからである。
ダルタスが実は公爵家跡取りだと分かったときも悔しいという思いよりも、目に見えたものだけでその人のすべてを推し量っていた自分たちの浅はかさを恥じていた。
自分たちがダルタスにロレッタをけしかけた事も、今にして思えば消し去りたい黒歴史でしかない。
それなのに、ダルタスが公爵跡取りと分かった時にダルタスは自分を好きな筈だと意気揚々と語りだしたロレッタにアンナとキャシーは驚愕した。
『何言ってんだ?こいつは?頭、沸いてんの?私らダルタスに顔向けできないでしょ?嫌われこそすれ好かれる事などありえないでしょうが?』と、思ったものである。
最初こそ「どうしよう!私達、ダルタスにひどい事を…」とロレッタも言っていたのに、いつの間にか、あのこの頭の中では妄想?が繰り広げられていたのだ。
まるで身分違いのロマンスの末に想い叶えて公爵夫人におさまる!と、いうような壮大なサクセスストーリーを延々、聞かされたのである。
あの日から、アンナとキャシーは、ロレッタと徐々に距離を取るようになった…。
『こいつ、ヤバすぎる!』
それは、アンナとキャシーのロレッタ・ルーティーに対する共通の評価だった。
そして二人は卒業後、自分たちの配属された先が明らかに”騎士の力量なし”と思われていたであろう部署であることを真摯に受け止めてとっとと親の進める縁談をうけて嫁いだのである。
幸い親の選んだ結婚相手は、多少歳は離れてはいるもののとてもまじめで善良な釣り合いの取れた貴族でそこそこ幸せなのである。
もともと騎士を目指していたこともあり多少、お転婆で気の強いところもある二人を広い心で許容してくれる気のいい旦那様方である。
そして結婚後も二人は交流を持っていて月に一度は顔を合わせる友達関係を続けている。
「ま…まさか、あのこ…ロッティ…ご結婚までされたダルタス将軍に、まだ横恋慕しようとか思ってたんじゃないでしょうね?」とアンナがキャシーに小声で話す。
「え…まさか?…そんな身の程知らずな…。身分が釣り合わない上に、あんな辺境の…しかも、要の守り部分からも離れた場所にある…しいて言えば正規騎士たちの邪魔にならないように配置された場所に回された時点で騎士としてすら評価されて無いって事でしょ?どうやってこの国の英雄と結ばれるとか思うのよ?そんなのいくら何でも…」
「甘いわねキャシー、あれが、あのこの怖いところよ…」
「あ、ありえない…だとしたら、なんて…なんて…」
「「ロレッタ・ルーティー…恐ろしいこ…!」」
「じ…冗談じゃない。あんな恐ろしい子と一時でも友達していたなんて…”黒歴史”どころか”深淵の闇歴史”だわ…」と力なく言葉をもらす。
「大変だわ、ダルタス将軍の奥様!狙われてるのよ!」
「まさか、そんな…一体、何をするつもりで…」
「どこまでするつもりか分からないけど、さっきの覆面の男が投げた石のついた綱!あれで落馬させようとしたのは間違いないわよ…ど、どうしよう…あれ、あの覆面男…絶対、ロレッタの手の者よね?」
落馬なんて、下手をして首の骨でも折ろうものなら死んでしまう。
おろおろしながらも二人は覚悟を決めてダルタスの所まで手に手を取りあってやってきた。
「あ、あの…ダルタス将軍?」
まずアンナが震える声で恐る恐る声をかける。
「ん…?」とダルタスが振り返る。
「え~と、君は確か同じクラスだった…」と、ダルタスは遠い日の記憶をたどる。
「アンナですわ。ダルタス将軍…」と頭を下げる。
「キャシーです。ダルタス将軍」と、キャシーも頭を下げる。
そして二人は過去の自分たちの不遜な態度やロレッタをけしかけた事を正直に涙を浮かべながら謝り、今のロレッタが奥様に害をなそうとしていると訴えた。
その顔は真剣で心からルミアーナを案じていると伺えたので、ダルタスは普段ルミアーナ以外にはむけないであろう優しい笑顔を二人に見せた。
「そうか、話はわかった。よく知らせてくれたな。勇気がいったろう?」
その優しく懐の深い言葉に二人は、ぽろぽろと大粒の涙をこぼした。
「あ、あの、私達、昔は貴方の事を馬鹿にした態度をとったり…色々と…」
「ああ、本当に私達、物知らずだったと今は自分達を恥じているのです」
「「ほっ本当に、ごめんなさぃぃぃぃ」」と同時に謝った。
二人は過去の愚かで子供だった自分達を本当に本当に後悔していたのである。
「すっ!すぐに奥様を助けにいかなければっっ!」とドレス姿にも関わらず腕をまくり上げ走りだそうとする彼女らをダルタスはちょっと驚いて止める。
これには傍観していたリュートやリゼラも吹き出しそうになった。
「い、いやいやいや!本当にルミアーナは大丈夫だから…心配も大してしてないし、まぁ、せっかく、ここからでも見れるのだから君たちも楽しんだらいい」と走りだしそうな二人を引き留めた。
「「たっ!楽しむだなんて!奥様が心配ではないのですか?私達は真剣に!」」と二人が同時に叫ぶのでダルタスは笑ってしまった。
「はははっ、君たちは俺が思っていたより随分と可愛らしい女性達だったんだな…いや、失礼。くくっ…こほん…妻はああ見えて城の騎士団長も負かしてしまうほどの強者だ。この私ですら投げ飛ばした事まである位だからむしろ心配なのは仕掛けたロレッタやその手の者だから安心するがいい」と心底おかしそうに笑いを堪えながら言った。
「「え?ええええっ?」」」と二人は目をむいた。
「それより君たちも結婚したんだろう?おめでとう」と祝いの言葉をいうダルタス。
二人は恐縮しながらも長年の後悔を払拭できた事を喜んだ。
「ダルタス将軍は、ああおっしゃっていたけれど心配だわ」と、アンナとキャシーが頷きあっていた。
そして、不安そうに、その場に腰かけると話を聞いていたリゼラが声をかけてきた。
「大丈夫ですよ。ルミアーナ様は多分ここにいる騎士たちの誰よりも…ああ、ダルタス将軍は別ですけれど、それ以外の誰にもひけは取りませんから…そのロレッタとその部下ごときでは一斉にかかったところで、怪我をするのはロレッタ達の方ですから…」と言いながら取ってきた飲み物を二人に手渡した。
「まぁ…あ、ありがとう。貴女はお城の騎士団の”紅い髪のリゼラ”さんよね?貴方のお噂はきいているわ。王妃様の信頼もあつい女騎士」とキャシーが恐縮しながらも飲み物を受け取り頭を下げた。
「お会いできて嬉しいわ。私達、騎士学科を卒業した者の間でも憧れの存在よ?」とアンナが言うとリゼラはにっこりとほほ笑む。
「まぁ、ありがとうございます。先輩方にそのように言って頂けて嬉しいですわ。ちなみにお二方が心配されているルミアーナ様に最初に剣技や乗馬をお教えしたのは私です。ルミアーナ様は武人のアークフィル公爵様のお血筋のせいか、あらゆる武術の天才なのですわ!ですから心配はご無用ですわ」
「な…なるほど…そ、そうですね…お父様は、武人で名を馳せたアークフィル公爵様…そ、そうか…それで…」
「それにしても…信じられない…あんなにか弱そうに見えるのに…」と、それでも心配そうな二人にリリアが話しかける。
「お二人の心配なお気持ちわかりますわ!あんなに華奢で儚げな、美しい方ですものね。でも夫であるダルタス将軍が太鼓判を押されているんですもの…私達はここで見守りましょう」と二人を励ました。
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