182 / 227
ルミアーナの逆襲?
182.ざけんなよ!ルミアーナの逆襲-5
しおりを挟む
そうして乗馬大会は始まった!
幹事のトーマが恒例の挨拶を終え、出場者がスタート位置に並ぶ。
体にぴったりとした乗馬服に身を包んだルミアーナはリゼラの愛馬ブラッドにまたがり背筋をしゃんと伸ばし配置につく。
その左斜め後ろにはツェンがスタンバイしている。
『ほう…ルミアーナ様、本当に乗馬は得意なのかもしれない…』と、ツェンがその姿勢の良さに感心する。
そう言えば、結婚式のあとのパレードの時、子供に向かっていく馬を鎮めていたな…と思い出す。
あれは、中々見事だった。
たまたまだと思っていたのだが…。
よく考えればあの状況でたまたまなんてある筈も無い。
今も、気性が激しいとされる黒馬も上手に抑えている?
馬は周りの熱気にも動じず、ピクリともしない…。
ふと、しかしまさか、このままスタートの合図がかかっても止まったままということは無いだろうな?と思う。
まぁ、それならそれでそのまま棄権してくれれば安心なのだが…と思うツェンだった。
そして右斜め後ろにはロレッタがいる。
意地の悪い笑みを浮かべながら、まるで猫がネズミをみつけたかのような眼差しで…。
そして合図の号令がかかった!
「各選手!出発!」
すると、一斉に騎士たちが声をあらげ馬を走らせた!
そして、その中一番に抜き出たのはルミアーナである!
「「「「「えええええええーっ!?」」」」」と観客も周りの騎士もロレッタもツェンも驚く!
ツェンに至っては、ルミアーナに合わせてわざと遅く馬を走らせるつもりだったのだから…。
「あれ?しまった?」とルミアーナは舌をぺろっと出す。
『ルミアーナ様っ!何、本気で走っちゃってんですか?適当に手を抜いて走らないと誰も追いつけませんよ?あの馬鹿女が仕掛けてこられないですよ?』とリゼラが、応援席から月の石の通信機能を使ってルミアーナの頭の中に話しかける。
毎度おなじみ”月の石の便利な通信機能”は、遠くにいても声も出さずに喋れて、とてつもなく便利である。
『あははっ、ごめんごめん!適当に手を抜くって難しいのね~?しかしこれだけいて、誰もついてこられないのは問題ありじゃない?ダルタス様だったらとっくに私を追い越しているわよ?』とルミアーナが答える。
『ダルタス将軍は特別です!だからこその王都の守りの将軍。この国の要であり英雄なのですから!』
『そっか!さすがダルタス様よね!うふふ。まぁ、じゃあ森に入ったらスピードを落とすわね?』
『そうして下さいませ。連絡はこまめにお願いいたしますわね?』
『はぁい、それならリュートが、まかせろって言っていたから大丈夫!大丈夫!」と呑気に答えるルミアーナに呆れ気味のため息を一つつくリゼラである。
あとはもう、ここからだと様子は見えない。
でもまぁ、リュート様が付いているから大丈夫だろうとリゼラは考える。
するとルミアーナについている筈のリュートがダルタスと一緒に歓談している。
「のぁっ!リュッ!リュート様っ!?何、呑気にこっち来てんですか!ル、ル、ル、ルミアーナ様ほっといて何、しゃべくっちゃってるんですかぁ~?」と慌てるリゼラにリュートは涼しい顔で答える。
「何を慌てている?主なら大丈夫だ。それよりダルタス、ここからでは森の中に入った主らは見えまい?」
「そうだな~。でもまぁ、どうせルミアーナの一人勝ちだろう?」とダルタスが事もなげに言う。
「ふつうに行けば…ね?ここからでも主の様子を見れるいい方法があるんだけど、どうだ?見たいか?」とリュートが楽しそうにダルタスに問いかける。
「何?本当か?そりゃあ、ぜひ見たいな。それはここの観客席の皆が見れるのか?」と問うダルタスにリュートは得意げに答える。
「当たり前だ。私を誰だと思っている」
そう言ってリュートはさっと手を空中にかざし、以前ネルデア邸でみせた画像よりも何倍もの映像画面を応援席から見える空に映し出した。
「「「「「おおおおおっ!」」」」」と観客席からどよめきが漏れる。
「なんだなんだ?すごいな?今年の趣向か?」
「魔術師かなんかを雇ったのかな?今年の幹事はたしかトーマだったよな?やるなぁー!」
「おお~、先頭は?えっ!まさかの、あのお姫様か?」
「「「「「すっっげぇ~!」」」」」」
「あ!去年の優勝者ツェンが追いつきそうか?」
「「「頑張れーっ」」」
等々、観客たちは空に映像が広がったことをイベントの一環かと思って大喜びである。
一方、ツェンやロレッタ。その他の騎士たちは自分たちが映像に映っているとは夢にも思わない。
ちなみに、ルミアーナにはリュートはちゃんと伝えていた。
「主よ、主の活躍とロレッタの正体を皆に見せてやろう。大上映会を開く故、主はとびきり恰好良く決めるがいい」ととびきり面白いことを思いついたように言い放ちダルタスのもとへ飛んできたのである。
あらっ!大変!私カメラ映り大丈夫かしら?などと、一瞬思うルミアーナだったがノリノリである。
(カメラで撮る訳じゃないけど、まぁ似たようなものだろう)
そしてルミアーナが、わざとスピードをゆるめると、すぐにツェンが、追いついてきた。
その後に数人の騎士たちも遅ればせながら追いついてきた。
ルミアーナは自分のすぐ後ろをみて見覚えのある顔に気づいた。
あら?彼はたしかクンテと一緒に来ていたツェン様?
あらあら、ダルタス様ほどじゃないけど彼もなかなかのモノだわね?とルミアーナは思った。
そして数人の騎士に追い越されるのをやり過ごした頃、ゆるゆると馬を進めているとようやくロレッタも追いついてきた。
『う~ん、遅いわっ!』と内心思うが仕方ない。
そしてツェンは、明らかに急にスピードを落としたルミアーナを不信に思いながらもルミアーナの後をつかず離れずゆっくりと追いかけた。
一方、ロレッタは、ルミアーナが意外にも乗馬が上手なことに驚きひどく焦った。
そしてようやく前方にルミアーナの姿を捕え独り言のようにつぶやく。
「くっ、ただのお姫様だと思っていたのにっ」と悔しがるが、次の瞬間ニヤリといやらしい笑いを浮かべた。
ルミアーナの進行方向に顔を覆面で隠した自分の部下の一人が見えたからである。
その男は、木の陰に身を潜めてルミアーナが来るのを待ち伏せていたのだ。
そいつは、部下の中でも一番、タチの悪い奴だった。
元をただせば、末席とはいえ貴族の出であるにも関わらず酒と女で失敗し、流れ流れて小さい頃可愛がっていた親戚のロレッタにすがって辺境のどうでも良いような吹き溜まり部署の小娘の部下にまでなり下がった見下げ果てた輩なのである。
親戚でさえなければ、とうにロレッタにも手を出していたかもしれないという筋金入りだ!
普段は、鬱陶しいだけのタチの悪い親戚だが、自分が子供の頃は普通によい叔父だったし、なついてもいた。
とにかく一応は自分の言う事には従う。
奴にかかれば、ご令嬢など、とたんに”傷物”にされるであろうとロレッタは確信している。
事、こういう事に関しては”良い仕事”をしてくれるに違いないとロレッタは悪魔のような黒い笑みを浮かべる。
そして覆面の男は懐から両端に石を結わえた60センチほどの綱をルミアーナの乗る馬の脚にむけて投げつけてきた。
たちまちリゼラの愛馬ブラッドの足は綱に絡め取られた。
「うひひ、綺麗なお姫さんだなぁ」と下品な笑いをもらす。
そして、覆面の男はルミアーナに近寄ろうとしたが、咄嗟に後ろにツェンがいる事に気づき「ちっ」と舌打ちして木の陰に隠して繋いでおいた馬に飛び乗り素早くにげる。
ルミアーナは「ブラッド!」と叫びながらも身をひるがえし、大きく反転しながら馬から飛び降りる。
そしてその様子は、もちろんライブ中継のごとくリュートの力によって観客席の皆が見ている。
「「「「「おお~っ!」」」」」
と、皆がざわめき、ダルタスもこの不審者の出現に顔色を変えた。
「賊かっ?」
わざわざ手強いであろう騎士たちの乗馬大会に?と…いぶかしむ。
ダルタスは、直ぐ様、ルミアーナの所へ向かおうと立ち上がったが、リュートが、それを止めた!
「主なら大丈夫だから、ここから観てるがいい。面白いものが見れる筈だから」
リュートの楽しそうな態度に何か考えがあると察したダルタスは、リュートを振り返りその目を真っ直ぐに見据える。
「ふむ、確かにルミアーナなら大丈夫だろうが…リュート、お前、何か考えがあるのだな?」
「ほんとうに主が危険になったら我がダルタスを一瞬で主の元へ転移させてやる。安心してここから主の活躍を観て楽しむがよい。」と、良い笑顔で答え、ダルタスを座らせた。
「全く、おまえらは相変わらずびっくり箱にも程があるな?まあ退屈はせんがな」と苦笑いし、空中に広がる大画面に目をやるのだった。
一方、ツェンは慌ててルミアーナを救おうとしたが、ルミアーナ自身が空中で素晴らしく美しい曲線を描きつつ馬から飛び降り綺麗に降り立ったのを確認して唖然としている。
ルミアーナは地面を勢いよく蹴り、直ぐ様リゼラの愛馬ブラッドの傍へ走り寄り必死になって石のついた綱をはずす。
「よしよし、可哀想に!何てことを!」
リゼラの愛馬ブラッドは、直ぐにも立ち上がろうとするが足を痛めたのか前足をカクカクとさせて立てないでいる。
「ブラッド、無理しちゃダメよ!貴方の敵は私が討ってあげるからリゼラ達が迎えに来てくれるまでここに居なさい!」と馬に声をかけて立ち上がる。
そして、まだ目の前の事が信じられず呆けているツェンを振り返りルミアーナは叫んだ!
「ツェン様、あの者達を追って下さいませ!」と叫びツェンの馬の後ろに飛び乗る。
はっと我に返ったツェンはルミアーナに言われるがまま反射的に馬を走らせた。
幹事のトーマが恒例の挨拶を終え、出場者がスタート位置に並ぶ。
体にぴったりとした乗馬服に身を包んだルミアーナはリゼラの愛馬ブラッドにまたがり背筋をしゃんと伸ばし配置につく。
その左斜め後ろにはツェンがスタンバイしている。
『ほう…ルミアーナ様、本当に乗馬は得意なのかもしれない…』と、ツェンがその姿勢の良さに感心する。
そう言えば、結婚式のあとのパレードの時、子供に向かっていく馬を鎮めていたな…と思い出す。
あれは、中々見事だった。
たまたまだと思っていたのだが…。
よく考えればあの状況でたまたまなんてある筈も無い。
今も、気性が激しいとされる黒馬も上手に抑えている?
馬は周りの熱気にも動じず、ピクリともしない…。
ふと、しかしまさか、このままスタートの合図がかかっても止まったままということは無いだろうな?と思う。
まぁ、それならそれでそのまま棄権してくれれば安心なのだが…と思うツェンだった。
そして右斜め後ろにはロレッタがいる。
意地の悪い笑みを浮かべながら、まるで猫がネズミをみつけたかのような眼差しで…。
そして合図の号令がかかった!
「各選手!出発!」
すると、一斉に騎士たちが声をあらげ馬を走らせた!
そして、その中一番に抜き出たのはルミアーナである!
「「「「「えええええええーっ!?」」」」」と観客も周りの騎士もロレッタもツェンも驚く!
ツェンに至っては、ルミアーナに合わせてわざと遅く馬を走らせるつもりだったのだから…。
「あれ?しまった?」とルミアーナは舌をぺろっと出す。
『ルミアーナ様っ!何、本気で走っちゃってんですか?適当に手を抜いて走らないと誰も追いつけませんよ?あの馬鹿女が仕掛けてこられないですよ?』とリゼラが、応援席から月の石の通信機能を使ってルミアーナの頭の中に話しかける。
毎度おなじみ”月の石の便利な通信機能”は、遠くにいても声も出さずに喋れて、とてつもなく便利である。
『あははっ、ごめんごめん!適当に手を抜くって難しいのね~?しかしこれだけいて、誰もついてこられないのは問題ありじゃない?ダルタス様だったらとっくに私を追い越しているわよ?』とルミアーナが答える。
『ダルタス将軍は特別です!だからこその王都の守りの将軍。この国の要であり英雄なのですから!』
『そっか!さすがダルタス様よね!うふふ。まぁ、じゃあ森に入ったらスピードを落とすわね?』
『そうして下さいませ。連絡はこまめにお願いいたしますわね?』
『はぁい、それならリュートが、まかせろって言っていたから大丈夫!大丈夫!」と呑気に答えるルミアーナに呆れ気味のため息を一つつくリゼラである。
あとはもう、ここからだと様子は見えない。
でもまぁ、リュート様が付いているから大丈夫だろうとリゼラは考える。
するとルミアーナについている筈のリュートがダルタスと一緒に歓談している。
「のぁっ!リュッ!リュート様っ!?何、呑気にこっち来てんですか!ル、ル、ル、ルミアーナ様ほっといて何、しゃべくっちゃってるんですかぁ~?」と慌てるリゼラにリュートは涼しい顔で答える。
「何を慌てている?主なら大丈夫だ。それよりダルタス、ここからでは森の中に入った主らは見えまい?」
「そうだな~。でもまぁ、どうせルミアーナの一人勝ちだろう?」とダルタスが事もなげに言う。
「ふつうに行けば…ね?ここからでも主の様子を見れるいい方法があるんだけど、どうだ?見たいか?」とリュートが楽しそうにダルタスに問いかける。
「何?本当か?そりゃあ、ぜひ見たいな。それはここの観客席の皆が見れるのか?」と問うダルタスにリュートは得意げに答える。
「当たり前だ。私を誰だと思っている」
そう言ってリュートはさっと手を空中にかざし、以前ネルデア邸でみせた画像よりも何倍もの映像画面を応援席から見える空に映し出した。
「「「「「おおおおおっ!」」」」」と観客席からどよめきが漏れる。
「なんだなんだ?すごいな?今年の趣向か?」
「魔術師かなんかを雇ったのかな?今年の幹事はたしかトーマだったよな?やるなぁー!」
「おお~、先頭は?えっ!まさかの、あのお姫様か?」
「「「「「すっっげぇ~!」」」」」」
「あ!去年の優勝者ツェンが追いつきそうか?」
「「「頑張れーっ」」」
等々、観客たちは空に映像が広がったことをイベントの一環かと思って大喜びである。
一方、ツェンやロレッタ。その他の騎士たちは自分たちが映像に映っているとは夢にも思わない。
ちなみに、ルミアーナにはリュートはちゃんと伝えていた。
「主よ、主の活躍とロレッタの正体を皆に見せてやろう。大上映会を開く故、主はとびきり恰好良く決めるがいい」ととびきり面白いことを思いついたように言い放ちダルタスのもとへ飛んできたのである。
あらっ!大変!私カメラ映り大丈夫かしら?などと、一瞬思うルミアーナだったがノリノリである。
(カメラで撮る訳じゃないけど、まぁ似たようなものだろう)
そしてルミアーナが、わざとスピードをゆるめると、すぐにツェンが、追いついてきた。
その後に数人の騎士たちも遅ればせながら追いついてきた。
ルミアーナは自分のすぐ後ろをみて見覚えのある顔に気づいた。
あら?彼はたしかクンテと一緒に来ていたツェン様?
あらあら、ダルタス様ほどじゃないけど彼もなかなかのモノだわね?とルミアーナは思った。
そして数人の騎士に追い越されるのをやり過ごした頃、ゆるゆると馬を進めているとようやくロレッタも追いついてきた。
『う~ん、遅いわっ!』と内心思うが仕方ない。
そしてツェンは、明らかに急にスピードを落としたルミアーナを不信に思いながらもルミアーナの後をつかず離れずゆっくりと追いかけた。
一方、ロレッタは、ルミアーナが意外にも乗馬が上手なことに驚きひどく焦った。
そしてようやく前方にルミアーナの姿を捕え独り言のようにつぶやく。
「くっ、ただのお姫様だと思っていたのにっ」と悔しがるが、次の瞬間ニヤリといやらしい笑いを浮かべた。
ルミアーナの進行方向に顔を覆面で隠した自分の部下の一人が見えたからである。
その男は、木の陰に身を潜めてルミアーナが来るのを待ち伏せていたのだ。
そいつは、部下の中でも一番、タチの悪い奴だった。
元をただせば、末席とはいえ貴族の出であるにも関わらず酒と女で失敗し、流れ流れて小さい頃可愛がっていた親戚のロレッタにすがって辺境のどうでも良いような吹き溜まり部署の小娘の部下にまでなり下がった見下げ果てた輩なのである。
親戚でさえなければ、とうにロレッタにも手を出していたかもしれないという筋金入りだ!
普段は、鬱陶しいだけのタチの悪い親戚だが、自分が子供の頃は普通によい叔父だったし、なついてもいた。
とにかく一応は自分の言う事には従う。
奴にかかれば、ご令嬢など、とたんに”傷物”にされるであろうとロレッタは確信している。
事、こういう事に関しては”良い仕事”をしてくれるに違いないとロレッタは悪魔のような黒い笑みを浮かべる。
そして覆面の男は懐から両端に石を結わえた60センチほどの綱をルミアーナの乗る馬の脚にむけて投げつけてきた。
たちまちリゼラの愛馬ブラッドの足は綱に絡め取られた。
「うひひ、綺麗なお姫さんだなぁ」と下品な笑いをもらす。
そして、覆面の男はルミアーナに近寄ろうとしたが、咄嗟に後ろにツェンがいる事に気づき「ちっ」と舌打ちして木の陰に隠して繋いでおいた馬に飛び乗り素早くにげる。
ルミアーナは「ブラッド!」と叫びながらも身をひるがえし、大きく反転しながら馬から飛び降りる。
そしてその様子は、もちろんライブ中継のごとくリュートの力によって観客席の皆が見ている。
「「「「「おお~っ!」」」」」
と、皆がざわめき、ダルタスもこの不審者の出現に顔色を変えた。
「賊かっ?」
わざわざ手強いであろう騎士たちの乗馬大会に?と…いぶかしむ。
ダルタスは、直ぐ様、ルミアーナの所へ向かおうと立ち上がったが、リュートが、それを止めた!
「主なら大丈夫だから、ここから観てるがいい。面白いものが見れる筈だから」
リュートの楽しそうな態度に何か考えがあると察したダルタスは、リュートを振り返りその目を真っ直ぐに見据える。
「ふむ、確かにルミアーナなら大丈夫だろうが…リュート、お前、何か考えがあるのだな?」
「ほんとうに主が危険になったら我がダルタスを一瞬で主の元へ転移させてやる。安心してここから主の活躍を観て楽しむがよい。」と、良い笑顔で答え、ダルタスを座らせた。
「全く、おまえらは相変わらずびっくり箱にも程があるな?まあ退屈はせんがな」と苦笑いし、空中に広がる大画面に目をやるのだった。
一方、ツェンは慌ててルミアーナを救おうとしたが、ルミアーナ自身が空中で素晴らしく美しい曲線を描きつつ馬から飛び降り綺麗に降り立ったのを確認して唖然としている。
ルミアーナは地面を勢いよく蹴り、直ぐ様リゼラの愛馬ブラッドの傍へ走り寄り必死になって石のついた綱をはずす。
「よしよし、可哀想に!何てことを!」
リゼラの愛馬ブラッドは、直ぐにも立ち上がろうとするが足を痛めたのか前足をカクカクとさせて立てないでいる。
「ブラッド、無理しちゃダメよ!貴方の敵は私が討ってあげるからリゼラ達が迎えに来てくれるまでここに居なさい!」と馬に声をかけて立ち上がる。
そして、まだ目の前の事が信じられず呆けているツェンを振り返りルミアーナは叫んだ!
「ツェン様、あの者達を追って下さいませ!」と叫びツェンの馬の後ろに飛び乗る。
はっと我に返ったツェンはルミアーナに言われるがまま反射的に馬を走らせた。
24
お気に入りに追加
2,776
あなたにおすすめの小説
「無加護」で孤児な私は追い出されたのでのんびりスローライフ生活!…のはずが精霊王に甘く溺愛されてます!?
白井
恋愛
誰もが精霊の加護を受ける国で、リリアは何の精霊の加護も持たない『無加護』として生まれる。
「魂の罪人め、呪われた悪魔め!」
精霊に嫌われ、人に石を投げられ泥まみれ孤児院ではこき使われてきた。
それでも生きるしかないリリアは決心する。
誰にも迷惑をかけないように、森でスローライフをしよう!
それなのに―……
「麗しき私の乙女よ」
すっごい美形…。えっ精霊王!?
どうして無加護の私が精霊王に溺愛されてるの!?
森で出会った精霊王に愛され、リリアの運命は変わっていく。

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。

異世界に転生したら?(改)
まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。
そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。
物語はまさに、その時に起きる!
横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。
そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。
◇
5年前の作品の改稿板になります。
少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。
生暖かい目で見て下されば幸いです。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!
さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ
祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き!
も……もう嫌だぁ!
半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける!
時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ!
大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。
色んなキャラ出しまくりぃ!
カクヨムでも掲載チュッ
⚠︎この物語は全てフィクションです。
⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる