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ルミアーナの逆襲?
169.クンテの処分(ルミアーナ回想)
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ダルタス様の旧友だったクンテ・ダートの処分が決まったらしい。
ダルタス様から聞いた内容はなかなか厳しい内容だった。
クンテ・ダートは死刑。
ダート伯爵家はお取りつぶし。
領地も取り上げるというものだったが、私ルミアーナ以外で異を唱えるものは誰一人いなかった。
私の痣は消えたが私の両親や国王夫妻、ひいては大神殿長の怒りはそんなものでは収まらなかった。
大神殿長に至っては何といっても”月の石の主”の顔に傷などつけてただで済ませる訳にはいくものかと怒っているらしい。
私にしてみれば結局、傷も痣も残らず取り払われているし、あの件でさらにダルタス様ともいい感じだし、そんなお家断絶!みたいな大事にはしてほしくない…。
…っていうか、あの大したこと無い割にナルシストなクンテが顔に痣を付けられたのだから…うん、あれは、そうとう辛そうだったしね…。
でも、あんまりにもだから言わないけど断然ダルタス様の方が恰好いいと思う。
ああでも、この国ではカッコいい男より綺麗な男が好まれるんだっけ…。
綺麗だけ言ったらリュートの方がダントツ綺麗だしねぇ。
ああ、リュートは精霊だから別格か…。
だとしても、それで言ったらアクルス王太子やルーク王子の方がもっと綺麗である。
「そこまで自分の顔に依存していいレベルではないような気がする…」と呟くと独り言を聞いていたフォーリーがくすくすと笑いながらお茶を注いでくれた。
お茶請けのお菓子はナッツとクルミのいっぱい入った焼き菓子である。
「姫様、そりゃあ、王子様方や精霊様と比べたら、いくら何でも気の毒ですわ。見た目だけなら、クンテ・ダートはそうとう女子受けするお顔でしたわよ?」
「あれ?フォーリー、クンテ・ダートの事見たことあるの?」
「披露宴の時に、ものの見事に姫様に手の甲への口づけを断られているクンテ様をお見かけいたしましたわ」とにまにましている。
「そうそう、ツェン様はどうされたのかしら?あの方はいいとばっちりよね?ものすごくお気の毒」
「そうですわよね?それで姫様は、今日も旦那様の所へ行かれるんですよね?」
「ええ、正規軍の訓練場に顔をだしたら、騎士団の方にも顔を出そうとおもってるの。騎士団の皆も噂で私が怪我をしたと聞いて心配してくれてるみたいだし…ついでに国王様にもお目通りをお願いしてクンテ様の処罰の減刑もお願いいしてみるわ」
「そうですわねぇ。姫様のお顔にシミのひとつでも残ってたら許せない所でしたけれど…姫様がそうおっしゃるのでしたら私は何も…」
「ありがとう!今朝、焼いたマフィンを差し入れにするから、またバスケットいっぱいに入れてくれる?
うん。一人じゃ持ちきれないし、リュートにも、持ってもらいましょう」
「お呼びか?主よ」
「わっ」
「きゃっ、ビックリした!」
いきなり月の石から姿を表したリュートに、私もフォーリーも驚いた。
「これは失礼、驚かせてしまいましたか?何分、人の姿でいることが思いの外、気に入り呼び出されるのを今か今かと待ちかねておりました故…」と、リュートは、微笑んだ。
フォーリーは、真っ赤になって固まった。
「あら、リュートは、好きなときに出てきていいのに!」と私がいうと、リュートは、超絶破壊的な良い笑顔になった。
うしろでフォーリーが悶絶して倒れそうになっている。
うん、やはりリュートの美貌はかなりすごいようである。
「ありがたい!主よ。では、そうさせてもらう」
「ひっ…姫様、やはりリュート様と比べたらあのクンテごときはカスみたいなものですわ!月の石とへしゃげた軽石くらいの差ですわ!」と、すごい例えようである。
そうして、ダルタス様のいる正規軍の訓練場に立ち寄り、その後、騎士団に顔を出した。
案の定、私が顔にひどい怪我をしたと尾ひれはひれついて大げさな噂にものすごく心配してくれていたみたいで、私の無事な姿を見るや否や泣き出す騎士までいてびっくりした。
ちなみに一番、号泣したのは強面のウルバ騎士団長だった。
そして国王様と王妃様へとクンテ・ダートの処罰の減刑を願い出ると、お二人はひどく驚いていた。
「いくら、其方の頼みでも月の石の主に例え一時たりとも怪我を負わせた事、王家に害を為す以上の不敬だ。これを許すのは国と世界の威信にかかわる!」
国王様があまりにも頑固一徹、聞き入れて下さらないので、私は奥の手を使う事にした。
「国王様、王妃様、こればっかりは言いたくはなかったのですが、王太子さまだって例え一時といえども私を汚そうと仕掛けた事がございましたわ!でも、今は反省なさって今は良きお友達になれたと喜んでおりましたのに」と静かに言った。
その言葉に思わず「「うっ」」とひるむお二方に言葉を選びつつも懇願した。
「私はこの通り、染み一つ残らずもとの顔に戻れましたし、私のせいで命が奪われるなど耐えられません」
「ぐ…ぐぬぅ」
国王様は眉間に皺をよせ苦い顔をしたが、渋々、死刑とお家お取りつぶしはやめて頂ける事になった。
息子である王太子は、一定期間の幽閉だけにとどまらせておいて侯爵令息のクンテには死刑だなどと重すぎる罰である。
ただし、本人の身分はく奪と国外追放は譲れないという事だった。
下手に国内に残して、逆恨みで私や私の家族に何かあってはいけないからと言われ、まだ子供のティムンやか弱いお母様の事を思うと私も渋々納得したのである。
まぁ、もともとはダルタス様を狙っての犯行だという事を考えれば身分はく奪と国外追放位はしょうがないだろう。
もしもダルタス様に何かあったら自分とて許せなかったろうから。
でも、ダルタス様はそんなものを避けられないほど間抜けではない。
酔っぱらって、判断を誤った自分がしゃしゃり出なければ自分が黒魔石の粉を浴びる事もなければ、もちろんダルタス様があれを喰らう事もなかったろう。
そう考えると、自分が一番悪かったような気もしてくる。
取りあえず反省してお酒はもう飲まないようにしようと思った。
ちなみに自分やダルタスだけなら、リュートの守りもあるし、逆恨みされた所でどうって事はないのに…とも思う。
そうは、思うものの家族を狙われたらたまらない…。
クンテも改心すればいいけれど、こればっかりは保証のあることではないので祈るしかない。
とにもかくにも命とお家だけは助かったのだから、がんばって改心してほしい。
そう心から思ったのだった。
ダルタス様から聞いた内容はなかなか厳しい内容だった。
クンテ・ダートは死刑。
ダート伯爵家はお取りつぶし。
領地も取り上げるというものだったが、私ルミアーナ以外で異を唱えるものは誰一人いなかった。
私の痣は消えたが私の両親や国王夫妻、ひいては大神殿長の怒りはそんなものでは収まらなかった。
大神殿長に至っては何といっても”月の石の主”の顔に傷などつけてただで済ませる訳にはいくものかと怒っているらしい。
私にしてみれば結局、傷も痣も残らず取り払われているし、あの件でさらにダルタス様ともいい感じだし、そんなお家断絶!みたいな大事にはしてほしくない…。
…っていうか、あの大したこと無い割にナルシストなクンテが顔に痣を付けられたのだから…うん、あれは、そうとう辛そうだったしね…。
でも、あんまりにもだから言わないけど断然ダルタス様の方が恰好いいと思う。
ああでも、この国ではカッコいい男より綺麗な男が好まれるんだっけ…。
綺麗だけ言ったらリュートの方がダントツ綺麗だしねぇ。
ああ、リュートは精霊だから別格か…。
だとしても、それで言ったらアクルス王太子やルーク王子の方がもっと綺麗である。
「そこまで自分の顔に依存していいレベルではないような気がする…」と呟くと独り言を聞いていたフォーリーがくすくすと笑いながらお茶を注いでくれた。
お茶請けのお菓子はナッツとクルミのいっぱい入った焼き菓子である。
「姫様、そりゃあ、王子様方や精霊様と比べたら、いくら何でも気の毒ですわ。見た目だけなら、クンテ・ダートはそうとう女子受けするお顔でしたわよ?」
「あれ?フォーリー、クンテ・ダートの事見たことあるの?」
「披露宴の時に、ものの見事に姫様に手の甲への口づけを断られているクンテ様をお見かけいたしましたわ」とにまにましている。
「そうそう、ツェン様はどうされたのかしら?あの方はいいとばっちりよね?ものすごくお気の毒」
「そうですわよね?それで姫様は、今日も旦那様の所へ行かれるんですよね?」
「ええ、正規軍の訓練場に顔をだしたら、騎士団の方にも顔を出そうとおもってるの。騎士団の皆も噂で私が怪我をしたと聞いて心配してくれてるみたいだし…ついでに国王様にもお目通りをお願いしてクンテ様の処罰の減刑もお願いいしてみるわ」
「そうですわねぇ。姫様のお顔にシミのひとつでも残ってたら許せない所でしたけれど…姫様がそうおっしゃるのでしたら私は何も…」
「ありがとう!今朝、焼いたマフィンを差し入れにするから、またバスケットいっぱいに入れてくれる?
うん。一人じゃ持ちきれないし、リュートにも、持ってもらいましょう」
「お呼びか?主よ」
「わっ」
「きゃっ、ビックリした!」
いきなり月の石から姿を表したリュートに、私もフォーリーも驚いた。
「これは失礼、驚かせてしまいましたか?何分、人の姿でいることが思いの外、気に入り呼び出されるのを今か今かと待ちかねておりました故…」と、リュートは、微笑んだ。
フォーリーは、真っ赤になって固まった。
「あら、リュートは、好きなときに出てきていいのに!」と私がいうと、リュートは、超絶破壊的な良い笑顔になった。
うしろでフォーリーが悶絶して倒れそうになっている。
うん、やはりリュートの美貌はかなりすごいようである。
「ありがたい!主よ。では、そうさせてもらう」
「ひっ…姫様、やはりリュート様と比べたらあのクンテごときはカスみたいなものですわ!月の石とへしゃげた軽石くらいの差ですわ!」と、すごい例えようである。
そうして、ダルタス様のいる正規軍の訓練場に立ち寄り、その後、騎士団に顔を出した。
案の定、私が顔にひどい怪我をしたと尾ひれはひれついて大げさな噂にものすごく心配してくれていたみたいで、私の無事な姿を見るや否や泣き出す騎士までいてびっくりした。
ちなみに一番、号泣したのは強面のウルバ騎士団長だった。
そして国王様と王妃様へとクンテ・ダートの処罰の減刑を願い出ると、お二人はひどく驚いていた。
「いくら、其方の頼みでも月の石の主に例え一時たりとも怪我を負わせた事、王家に害を為す以上の不敬だ。これを許すのは国と世界の威信にかかわる!」
国王様があまりにも頑固一徹、聞き入れて下さらないので、私は奥の手を使う事にした。
「国王様、王妃様、こればっかりは言いたくはなかったのですが、王太子さまだって例え一時といえども私を汚そうと仕掛けた事がございましたわ!でも、今は反省なさって今は良きお友達になれたと喜んでおりましたのに」と静かに言った。
その言葉に思わず「「うっ」」とひるむお二方に言葉を選びつつも懇願した。
「私はこの通り、染み一つ残らずもとの顔に戻れましたし、私のせいで命が奪われるなど耐えられません」
「ぐ…ぐぬぅ」
国王様は眉間に皺をよせ苦い顔をしたが、渋々、死刑とお家お取りつぶしはやめて頂ける事になった。
息子である王太子は、一定期間の幽閉だけにとどまらせておいて侯爵令息のクンテには死刑だなどと重すぎる罰である。
ただし、本人の身分はく奪と国外追放は譲れないという事だった。
下手に国内に残して、逆恨みで私や私の家族に何かあってはいけないからと言われ、まだ子供のティムンやか弱いお母様の事を思うと私も渋々納得したのである。
まぁ、もともとはダルタス様を狙っての犯行だという事を考えれば身分はく奪と国外追放位はしょうがないだろう。
もしもダルタス様に何かあったら自分とて許せなかったろうから。
でも、ダルタス様はそんなものを避けられないほど間抜けではない。
酔っぱらって、判断を誤った自分がしゃしゃり出なければ自分が黒魔石の粉を浴びる事もなければ、もちろんダルタス様があれを喰らう事もなかったろう。
そう考えると、自分が一番悪かったような気もしてくる。
取りあえず反省してお酒はもう飲まないようにしようと思った。
ちなみに自分やダルタスだけなら、リュートの守りもあるし、逆恨みされた所でどうって事はないのに…とも思う。
そうは、思うものの家族を狙われたらたまらない…。
クンテも改心すればいいけれど、こればっかりは保証のあることではないので祈るしかない。
とにもかくにも命とお家だけは助かったのだから、がんばって改心してほしい。
そう心から思ったのだった。
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