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ところ変われば公爵夫人?
134.いよいよ国を挙げての結婚式-序章
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ダルタス、ルミアーナ、ティムンの三人はそれぞれ身支度を整えて王城へと出向いた。
ダルタスは王にひざまづき礼をとった。
「国王陛下、長く国元をあけてしまい申し訳ございませんでした」
「うむ、それについては、私もすまなかった。其方達の純粋な想いを無視しておった。いや、実はあの後、妃や二将軍達にこっぴどく責められてな…さすがの私も自分が間違っていたと反省した。…いやもう、すごい勢いだった」と、国王は心なしか遠い目をした。
泣きそうな顔である。
(知ってマス。月の石の精霊が高画質影像で見せてくれマシタ。)と、ダルタスとルミアーナは心の中で思った。
「それでじゃ、詫びという訳でもないのだが二人の結婚式は国を挙げて致そう!王妃やダルタス将軍のご生母ネルデア殿も張り切っておられてな!そうそう、しかも、そなたの祖母のドリーゼ殿まで手に手を取り合って準備を仕切っているぞ」
「え?今、なんと?」
「祖母まで手に手を取り合って?…と?おっしゃいましたか?」
「そうなのよ。あの母が!なんとネルデアに!貴方の母に謝ったのよ!」と、王妃が口を挟んだ。
「なっ!まさか」とダルタスは、固まった。
あの頑固な祖母が???
雪がふるんじゃないのか?と思った。
「私もねぇ、まさかと思ったわよ!あのクソバ…母が、過去の過ちを洗いざらい白状した挙げ句にネルデアに、謝るなんてねぇ」と、つい王妃が口を滑らせた。
「過去の過ち?白状?嫁いびりの事ですか?それにしては大袈裟な言い回しですね?」
「あ!あぁ、ごめんなさい。そうよね、私ったら、おほほほほっ」と、あからさまにごまかした感のある王妃の言葉にダルタスは引っかかりを覚えた。
そう、ルミアーナも王妃も知っている。
ドリーゼがネルデアを追い出したいが為に犯したドリーゼの罪。
それは、ダルタスを怪我をネルデアのせいにするというたちの悪いものだった。
憎しみに心をとらわれていたドリーゼはこの世界に在ると言う邪気の格好の餌食だったろう。
それはどんどんとエスカレートして行き、ある日ダルタスの乗る馬に毒を与えさせるという犯罪めいたものに変わっていき、ダルタスは落馬し、顔には醜い傷跡が残った。
ネルデアはそんなエスカレートしていくドリーゼの行為をやめさせる為に身を引き家を出た訳なのだが…。
ダルタスはそれを知らない。
その時まだダルタスは幼く、祖母と母の仲が悪くて母は耐え切れずに出ていったのだろうとだけ思っていたのだった。
自分の怪我も自分が落馬しただけの事だと思っているのである。
王妃もそのことに関しては母のネルデアが言うかドリーゼが自発的にダルタスに告白すべきで、自分が横から告げ口するべきではないと思い口をつぐんだ。
とにかく、ドリーゼは悔い改め、ネルデアは過去を寛容な心で許した。
今はそれだけでも素晴らしい進歩である。
あとはドリーゼやネルデア、そしてダルタス達家族で語り合い乗り越えていくものだろう。
「そ、それより、その子なの?養子に迎えたいといっていた子供は?」そして王妃は、すかさず話題を切り替えた。
「はい、王妃様、先ほど実家に立ち寄りまして相談しましたところ、アークフィル公爵家の跡取りとして迎えたいということになりました」とルミアーナが答える。
「おお、それは良かった。アークフィル公爵家の跡継ぎ問題も一気に解決だな?」と国王も楽しそうにいう。
「では、王様も賛成してくださいますね?」とルミアーナが尋ねると国王も王妃も大きく頷いた。
「もちろんだ。そなたやアークフィル公爵が望むのであれば問題ない。ティムンと申したか?余からも祝福を与えよう」と王はティムンにきれいな琥珀のブローチを授けた。
勲章のようなデザインのそれは、式典や、冠婚葬祭全てに付けられるような品の良いもので、しかも国王直々からの賜り物である。
飾りの金具には、この国の王族に親ちかしい大貴族だけが持ち得る称号が掘られており、着けているだけで身分の証しともなる。
「あ、ありがとうございます」ティムンは真っ赤になり感激のあまり涙目になりながらもそれを受け取った。
そして国王夫妻との謁見の後、皆、アークフィル夫妻や、ネルデア、ドリーゼやリゼラ、何故かアルフ将軍やカーク将軍までもが集まりほとんど用意の整った結婚式の最終打ち合わせと衣装合わせを行った。
国を守る三将軍が呑気に王都に長居していられるのも、この国が今、平和な証あかしだろう…。
つい先日ルミアーナが降らせた浄化の光で、国全域が平和になったせいもあるのか、ないのか…。
あれからこっち、ご近所の夫婦喧嘩すらとんと見かけない。
それどころか犬と猫、猿と犬まで仲良くしている風景が垣間見られるほどの平和っぷりである。
困った事と言えば、急に過去の過ちから懺悔するものや、罪の意識に目覚めて自首してくるもの達が協会と騎士警護団へどっと押し寄せてさばくのが大変だった事くらいであろうか…。
諸外国との関係も現状は極めて良好で怪しい動きもない。
そんな、中でダルタス将軍とルミアーナ姫の結婚式の準備は着々と進み、神殿で占った吉日に挙式とパレードが行われる事となった。
挙式まではルミアーナは一旦、実家、戻り、ティムンも一緒にアークフィル公爵家で暮らしている。
挙式後は週に5日アークフィル家ですごし残り2日はラフィリアード家で過ごす予定になっている。
慌ただしく数日がたち、そして、いよいよ明日が挙式とパレードである。
王候貴族をはじめ、二人を知る皆が呼ばれ身分に関係なく列席する予定である。
ダルタスがまだ一兵士時代であったころの育ての親とも言えるアルフ将軍や、カーク将軍はもちろん、リゼラやフォーリーも、家令のブラントに至るまで参加予定だ。
そしてこの結婚式を聞きつけた騎士団や兵士の皆も式を執り行う神殿の外で、二人の姿をみようと計画している。
警備にあたったものも気合いが入る。
街道には、噂の”鬼将軍と眠り姫”を一目なりとも見たいという民衆が三日前から場所取りをしている。
民衆たちは噂はすれども本物の眠り姫の姿など見たことはないのだ。
当たり前である。
以前の目覚める前のルミアーナはいわゆる引きこもりだったのだから。
そして、あわよくばダルタスと月の石の主であるルミアーナを取り込もうとしていたジャニカ皇国からも祝辞が届いた。
それと共に、王家から申し入れしてあったティムンとアークフィル公爵家との養子縁組の公式の書類も整い届けられた。
何から何までトントン拍子で、若干拍子抜けではあるが問題ごとは起きないに越したことはない。
いよいよ明日は、正式に国にも認められた結婚式である。
ダルタスは王にひざまづき礼をとった。
「国王陛下、長く国元をあけてしまい申し訳ございませんでした」
「うむ、それについては、私もすまなかった。其方達の純粋な想いを無視しておった。いや、実はあの後、妃や二将軍達にこっぴどく責められてな…さすがの私も自分が間違っていたと反省した。…いやもう、すごい勢いだった」と、国王は心なしか遠い目をした。
泣きそうな顔である。
(知ってマス。月の石の精霊が高画質影像で見せてくれマシタ。)と、ダルタスとルミアーナは心の中で思った。
「それでじゃ、詫びという訳でもないのだが二人の結婚式は国を挙げて致そう!王妃やダルタス将軍のご生母ネルデア殿も張り切っておられてな!そうそう、しかも、そなたの祖母のドリーゼ殿まで手に手を取り合って準備を仕切っているぞ」
「え?今、なんと?」
「祖母まで手に手を取り合って?…と?おっしゃいましたか?」
「そうなのよ。あの母が!なんとネルデアに!貴方の母に謝ったのよ!」と、王妃が口を挟んだ。
「なっ!まさか」とダルタスは、固まった。
あの頑固な祖母が???
雪がふるんじゃないのか?と思った。
「私もねぇ、まさかと思ったわよ!あのクソバ…母が、過去の過ちを洗いざらい白状した挙げ句にネルデアに、謝るなんてねぇ」と、つい王妃が口を滑らせた。
「過去の過ち?白状?嫁いびりの事ですか?それにしては大袈裟な言い回しですね?」
「あ!あぁ、ごめんなさい。そうよね、私ったら、おほほほほっ」と、あからさまにごまかした感のある王妃の言葉にダルタスは引っかかりを覚えた。
そう、ルミアーナも王妃も知っている。
ドリーゼがネルデアを追い出したいが為に犯したドリーゼの罪。
それは、ダルタスを怪我をネルデアのせいにするというたちの悪いものだった。
憎しみに心をとらわれていたドリーゼはこの世界に在ると言う邪気の格好の餌食だったろう。
それはどんどんとエスカレートして行き、ある日ダルタスの乗る馬に毒を与えさせるという犯罪めいたものに変わっていき、ダルタスは落馬し、顔には醜い傷跡が残った。
ネルデアはそんなエスカレートしていくドリーゼの行為をやめさせる為に身を引き家を出た訳なのだが…。
ダルタスはそれを知らない。
その時まだダルタスは幼く、祖母と母の仲が悪くて母は耐え切れずに出ていったのだろうとだけ思っていたのだった。
自分の怪我も自分が落馬しただけの事だと思っているのである。
王妃もそのことに関しては母のネルデアが言うかドリーゼが自発的にダルタスに告白すべきで、自分が横から告げ口するべきではないと思い口をつぐんだ。
とにかく、ドリーゼは悔い改め、ネルデアは過去を寛容な心で許した。
今はそれだけでも素晴らしい進歩である。
あとはドリーゼやネルデア、そしてダルタス達家族で語り合い乗り越えていくものだろう。
「そ、それより、その子なの?養子に迎えたいといっていた子供は?」そして王妃は、すかさず話題を切り替えた。
「はい、王妃様、先ほど実家に立ち寄りまして相談しましたところ、アークフィル公爵家の跡取りとして迎えたいということになりました」とルミアーナが答える。
「おお、それは良かった。アークフィル公爵家の跡継ぎ問題も一気に解決だな?」と国王も楽しそうにいう。
「では、王様も賛成してくださいますね?」とルミアーナが尋ねると国王も王妃も大きく頷いた。
「もちろんだ。そなたやアークフィル公爵が望むのであれば問題ない。ティムンと申したか?余からも祝福を与えよう」と王はティムンにきれいな琥珀のブローチを授けた。
勲章のようなデザインのそれは、式典や、冠婚葬祭全てに付けられるような品の良いもので、しかも国王直々からの賜り物である。
飾りの金具には、この国の王族に親ちかしい大貴族だけが持ち得る称号が掘られており、着けているだけで身分の証しともなる。
「あ、ありがとうございます」ティムンは真っ赤になり感激のあまり涙目になりながらもそれを受け取った。
そして国王夫妻との謁見の後、皆、アークフィル夫妻や、ネルデア、ドリーゼやリゼラ、何故かアルフ将軍やカーク将軍までもが集まりほとんど用意の整った結婚式の最終打ち合わせと衣装合わせを行った。
国を守る三将軍が呑気に王都に長居していられるのも、この国が今、平和な証あかしだろう…。
つい先日ルミアーナが降らせた浄化の光で、国全域が平和になったせいもあるのか、ないのか…。
あれからこっち、ご近所の夫婦喧嘩すらとんと見かけない。
それどころか犬と猫、猿と犬まで仲良くしている風景が垣間見られるほどの平和っぷりである。
困った事と言えば、急に過去の過ちから懺悔するものや、罪の意識に目覚めて自首してくるもの達が協会と騎士警護団へどっと押し寄せてさばくのが大変だった事くらいであろうか…。
諸外国との関係も現状は極めて良好で怪しい動きもない。
そんな、中でダルタス将軍とルミアーナ姫の結婚式の準備は着々と進み、神殿で占った吉日に挙式とパレードが行われる事となった。
挙式まではルミアーナは一旦、実家、戻り、ティムンも一緒にアークフィル公爵家で暮らしている。
挙式後は週に5日アークフィル家ですごし残り2日はラフィリアード家で過ごす予定になっている。
慌ただしく数日がたち、そして、いよいよ明日が挙式とパレードである。
王候貴族をはじめ、二人を知る皆が呼ばれ身分に関係なく列席する予定である。
ダルタスがまだ一兵士時代であったころの育ての親とも言えるアルフ将軍や、カーク将軍はもちろん、リゼラやフォーリーも、家令のブラントに至るまで参加予定だ。
そしてこの結婚式を聞きつけた騎士団や兵士の皆も式を執り行う神殿の外で、二人の姿をみようと計画している。
警備にあたったものも気合いが入る。
街道には、噂の”鬼将軍と眠り姫”を一目なりとも見たいという民衆が三日前から場所取りをしている。
民衆たちは噂はすれども本物の眠り姫の姿など見たことはないのだ。
当たり前である。
以前の目覚める前のルミアーナはいわゆる引きこもりだったのだから。
そして、あわよくばダルタスと月の石の主であるルミアーナを取り込もうとしていたジャニカ皇国からも祝辞が届いた。
それと共に、王家から申し入れしてあったティムンとアークフィル公爵家との養子縁組の公式の書類も整い届けられた。
何から何までトントン拍子で、若干拍子抜けではあるが問題ごとは起きないに越したことはない。
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