130 / 227
ところ変われば女子高生!
130.成就した恋と強制終了の恋
しおりを挟む
「「「「え!」」」」
仁が、須崎が、拓也が、大悟が一斉に声をあげる。
「美羽、思いだしたのかっ!」仁が美羽を振り向かせる。
美羽はくしゃっと顔をゆがませ涙目で仁に言う。
「思いだしたわ!私、思いだしたの!私は、美羽は仁お兄ちゃんの許嫁でいいのよね?」
「ああ、ああ、美羽は家族皆が認める許嫁!俺の婚約者だぞ」と仁が美羽を引き寄せた。
「お兄ちゃん!私、お兄ちゃんの事が!」そう言いかけた美羽の口に仁は人差し指を当てる。
「しっ、美羽、ここは外野が多い。こんな勘違いな奴らにまで美羽の大切な気持ちを聞かせてやる義理はない!さぁ、帰ろう」
「っ!はい」
耳まで真っ赤になって涙目の美羽が答える。
美羽は目覚めてから今までで一番幸せそうな表情で仁に抱きついた。
そしてそんな超絶可愛い表情の美羽を、仁は拓也や大悟から隠すように車に乗せ、その場を去った。
取り残された哀れな、思いこみ熱血女教師須崎とフラれ男の大悟…告白する前に失恋の拓也の哀れな三人が取り残されたのだった。
「「「………」」」
「え…と、許嫁…って何…?」と須崎が呟く。
「婚約者の事ですよ」といつの間にか亮子が三人の側に来ていた。
「「「わっ」」」須崎と大悟と拓也が驚く。
「全くもう!須崎先生っ!仁兄ぃは、美羽に無理強いするような人じゃないと言ったじゃないですか!美羽は記憶の所々を無くしていたから仁兄ぃが好きなのに実の兄妹だからと悩んでいたんですよ。自分が養女だっていう事を忘れて居たが為にね!仁兄ぃも記憶を無くしている美羽が血のつながった家族だと思っていたのに本当の事を言うと傷つくかもしれないことを心配して純粋に兄として接していたんですよ!それを勝手に邪推してっっ!」と、須崎に説教をした。
「そ、そうだったの」と須崎は項垂れた。
須崎は本気で仁を更正させるためにも自分が愛を注いでやらねばと思っていたのだからとんだ道化である。
道化と言えば、大悟もである。
「亮子!じゃあお前、それ知ってて何で俺に告白なんてさせたんだよ!俺を裏で笑ってたのか?」
「はぁ?あんたが、望んだからでしょうが!どうせ振られるなら当たって砕けた方が後悔も未練もないでしょうが!」
「ぐっ…ま…まぁ、それは…」と納得の言葉に黙るしかない大悟である。
「そうだな…大悟、俺も大悟が羨ましいよ。自分の気持ちに気づいた途端に失恋なんて…俺なんか暫くひきずりそうだぜ…」
「って!なんだ、お前もかっ!」
「そうよ、大悟はいいほうよ!私だって…私だって…うっうっううう」と亮子が泣き出した。
「「お前もかいっ!」」と大悟と拓也がつっこむ。
半泣きの三人である。
「はあーっ、何だかなぁ!参ったわ!とんだ茶番劇になっちゃったわ!ははっ、まぁ、何だかよく分かんないけど、虐待とか無くて良かった良かった!ははは…ご、ごめんねぇ~」と言いながら、須崎先生は、うつろな目をして、その場からそそくさと立ち去っていった。
先生の気持ちだけは、よく分からない三人だった。
(((基本的には優しい、いい人なんだけど、勘違いで突っ走る傾向があるみたいである。そこそこ美人なのに何て残念な…)))
そんな感想を三人が三人とも思ったのであった。
まあ、結果的には、良かったのだろう。
自分達の大好きな美羽が幸せになったのだ。
結局、須崎の暴走で訳の分からない恋の強制終了を味わわされた三人だった。
これもまた”青春”というやつなのだろうか。
そして亮子は思った。
(良かったね。美羽…仁兄ぃ…おめでとう…そしてさようなら、私の長かった初恋…)と。
「さぁ~、今日はお邪魔虫だし、久しぶりにバスで帰るかぁ~!ま、おいてかれちゃったしねっ」と舌をだし、哀れな男どもにウィンクして、亮子は一人でさっさと帰るのだった。
仁が、須崎が、拓也が、大悟が一斉に声をあげる。
「美羽、思いだしたのかっ!」仁が美羽を振り向かせる。
美羽はくしゃっと顔をゆがませ涙目で仁に言う。
「思いだしたわ!私、思いだしたの!私は、美羽は仁お兄ちゃんの許嫁でいいのよね?」
「ああ、ああ、美羽は家族皆が認める許嫁!俺の婚約者だぞ」と仁が美羽を引き寄せた。
「お兄ちゃん!私、お兄ちゃんの事が!」そう言いかけた美羽の口に仁は人差し指を当てる。
「しっ、美羽、ここは外野が多い。こんな勘違いな奴らにまで美羽の大切な気持ちを聞かせてやる義理はない!さぁ、帰ろう」
「っ!はい」
耳まで真っ赤になって涙目の美羽が答える。
美羽は目覚めてから今までで一番幸せそうな表情で仁に抱きついた。
そしてそんな超絶可愛い表情の美羽を、仁は拓也や大悟から隠すように車に乗せ、その場を去った。
取り残された哀れな、思いこみ熱血女教師須崎とフラれ男の大悟…告白する前に失恋の拓也の哀れな三人が取り残されたのだった。
「「「………」」」
「え…と、許嫁…って何…?」と須崎が呟く。
「婚約者の事ですよ」といつの間にか亮子が三人の側に来ていた。
「「「わっ」」」須崎と大悟と拓也が驚く。
「全くもう!須崎先生っ!仁兄ぃは、美羽に無理強いするような人じゃないと言ったじゃないですか!美羽は記憶の所々を無くしていたから仁兄ぃが好きなのに実の兄妹だからと悩んでいたんですよ。自分が養女だっていう事を忘れて居たが為にね!仁兄ぃも記憶を無くしている美羽が血のつながった家族だと思っていたのに本当の事を言うと傷つくかもしれないことを心配して純粋に兄として接していたんですよ!それを勝手に邪推してっっ!」と、須崎に説教をした。
「そ、そうだったの」と須崎は項垂れた。
須崎は本気で仁を更正させるためにも自分が愛を注いでやらねばと思っていたのだからとんだ道化である。
道化と言えば、大悟もである。
「亮子!じゃあお前、それ知ってて何で俺に告白なんてさせたんだよ!俺を裏で笑ってたのか?」
「はぁ?あんたが、望んだからでしょうが!どうせ振られるなら当たって砕けた方が後悔も未練もないでしょうが!」
「ぐっ…ま…まぁ、それは…」と納得の言葉に黙るしかない大悟である。
「そうだな…大悟、俺も大悟が羨ましいよ。自分の気持ちに気づいた途端に失恋なんて…俺なんか暫くひきずりそうだぜ…」
「って!なんだ、お前もかっ!」
「そうよ、大悟はいいほうよ!私だって…私だって…うっうっううう」と亮子が泣き出した。
「「お前もかいっ!」」と大悟と拓也がつっこむ。
半泣きの三人である。
「はあーっ、何だかなぁ!参ったわ!とんだ茶番劇になっちゃったわ!ははっ、まぁ、何だかよく分かんないけど、虐待とか無くて良かった良かった!ははは…ご、ごめんねぇ~」と言いながら、須崎先生は、うつろな目をして、その場からそそくさと立ち去っていった。
先生の気持ちだけは、よく分からない三人だった。
(((基本的には優しい、いい人なんだけど、勘違いで突っ走る傾向があるみたいである。そこそこ美人なのに何て残念な…)))
そんな感想を三人が三人とも思ったのであった。
まあ、結果的には、良かったのだろう。
自分達の大好きな美羽が幸せになったのだ。
結局、須崎の暴走で訳の分からない恋の強制終了を味わわされた三人だった。
これもまた”青春”というやつなのだろうか。
そして亮子は思った。
(良かったね。美羽…仁兄ぃ…おめでとう…そしてさようなら、私の長かった初恋…)と。
「さぁ~、今日はお邪魔虫だし、久しぶりにバスで帰るかぁ~!ま、おいてかれちゃったしねっ」と舌をだし、哀れな男どもにウィンクして、亮子は一人でさっさと帰るのだった。
24
お気に入りに追加
2,776
あなたにおすすめの小説
「無加護」で孤児な私は追い出されたのでのんびりスローライフ生活!…のはずが精霊王に甘く溺愛されてます!?
白井
恋愛
誰もが精霊の加護を受ける国で、リリアは何の精霊の加護も持たない『無加護』として生まれる。
「魂の罪人め、呪われた悪魔め!」
精霊に嫌われ、人に石を投げられ泥まみれ孤児院ではこき使われてきた。
それでも生きるしかないリリアは決心する。
誰にも迷惑をかけないように、森でスローライフをしよう!
それなのに―……
「麗しき私の乙女よ」
すっごい美形…。えっ精霊王!?
どうして無加護の私が精霊王に溺愛されてるの!?
森で出会った精霊王に愛され、リリアの運命は変わっていく。

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。

異世界に転生したら?(改)
まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。
そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。
物語はまさに、その時に起きる!
横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。
そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。
◇
5年前の作品の改稿板になります。
少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。
生暖かい目で見て下されば幸いです。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。

持参金が用意できない貧乏士族令嬢は、幼馴染に婚約解消を申し込み、家族のために冒険者になる。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
セントフェアファクス皇国徒士家、レイ家の長女ラナはどうしても持参金を用意できなかった。だから幼馴染のニコラに自分から婚約破棄を申し出た。しかし自分はともかく妹たちは幸せにしたたい。だから得意の槍術を生かして冒険者として生きていく決断をした。
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる