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ところ変われば女子高生!
118.家族会議
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その夜、美羽が夕食と入浴を済ませて部屋に籠るとそっとリビングに美羽以外の家族は集まった。
「それで?一体、何事なんだ?美羽に何かあったのか?最近ふさぎこんでいるとは思ってたが記憶もまだ曖昧みたいだし俺も気になってはいたんだが…」と父がいう。
静は頷いた。
「美羽は、自分が引き取られた子供だという事も記憶にないみたいなのよ…」
「まぁ、でも、それは別に何の問題ではないではない?血なんか繋がってなくても私達は本当の家族よ。それにもともと親戚なんだからそれを言ったら全くの他人と言う訳でもないんだし…」と、母が言う。
「そうね…でも問題がありありなのよ。美羽は多分、記憶をなくしているせいもあってか、兄貴のことを異性と意識しはじめてる」と兄の仁に振り返る。
父母は「「えっ!?」」と声を上げる。
「や、やっぱり…そう…なのか?いや…でも」と仁が答える。
「そのせいで、美羽は自分がおかしいと思い悩んでいるように思うのよ…」
「まぁ、それじゃ…美羽は”禁断の恋”でもしていると思いこんで悩んでるのかしら?」
「うん、お母さん、私はそうじゃないかと思ってるの…あの子のあの様子…」
「だったら、美羽に仁とは親戚だけど血は繋がってないと伝えたらいいんじゃないか?」と父が答えた。
「お父さん…そんな単純な問題ではないの!分からない?」
「そうよ、あなた、美羽は今、本当の家族だと思っているのよ。私達が、本当の家族でないと告げられて今の美羽が傷つかないと思えるの?」と母が言う。
「だって記憶のあるときの美羽は、それも受け入れた上で家族なんだと納得して来たじゃないか?血の濃さなんて関係ないと!」
「それは、家族として過ごした記憶があってこそではないの!今の記憶の心もとない美羽の状態でじつは実の家族ではなかったなんて知れたらきっとひどく心細い想いをして傷つくわ!」
「し…しかし、せっかく仁を意識したんなら仁が美羽を嫁に迎えれば本当の家族になれるんじゃないか?儂は反対などせんぞ?むしろ願ったり叶ったりだ!」
「お父さんっ!だから!そんな単純な問題じゃないって言ってるでしょう?記憶があったころの頑丈な美羽じゃないのよ?」
「む…ぅ…た、確かに…美羽は記憶を失ってからというもの人が変わったように気弱になったし、か弱そうだしな」
「そうよ!前の美羽も今の美羽も私達の大切な美羽に変わりはないけれど、あの子は昔のあの子とは違うの!傷つきやすい儚げな少女なのよ!おとうさん!」と静が父にかみつく。
「まさに、そうね。お母さんも静の言う通りだと思うわ」
「ううう!お、俺は一体、どおすりゃいいんだよ?」と仁が唸る。
「それを話したくての家族会議でしょうが…」静は、半ギレである。
「美羽にとっては仁が兄であっても辛いけど私達と本当の家族でなかったと知るのが辛いのとどちらが、より辛いのかしらね?」
「そんなの…どっちも辛いに決まってるじゃない…」
「ああ」
仁も父も頷く。
「思いだしてくれるのを待つしかないのかしらね?でも、思いだしたら仁への恋心もなくなるのかしら?」
「そ…それは、わかんないわよ。兄貴は美羽の事どう思ってるの?…って聞くまでもないか?美羽が子供の時から本気で婚約者だって豪語してたくらいだもんね?でも実際の所どうなの?」
「ああ、昔は、あの可哀想な子を自分が守ってやらなきゃと義務感めいたものを感じていたけど、今は美羽さえ、それを望んでくれるなら俺が美羽を幸せにしてやりたいと心から思っている…いや、むしろ、他の誰にもやりたくない!これが俺の気持ちだ…。これが…答えになるか?」
「良く言った!仁!それでこそ神崎道場の跡取りだ!」父が思わずエールをおくる。
「うん、いい答え。兄貴のそういうブレないとこは私も好感持ってる!世間体がどうとか言いだしてたら、ぶん殴ってたところよ!美羽がまだ小さい頃から許嫁って言うのを難色も無く受け入れていた頃は、もしかしてロリコンなのかと心配もしたけど…今の美羽を真剣に幸せにしたい!守りたい!って言う気持ちは応援するわ」
父と娘の言葉に母も何度も何度も頷いた。
とにかく美羽がなるべく傷つかぬように慎重に…仁が恋をするのに禁忌の相手ではないという事を言うべきか言わざるべきか…しばらく様子をみるしかないと家族の意見は一致した。
直接の血なんぞ繋がっていなくとも美羽は神崎家の大切な大切な娘なのだから。
「それで?一体、何事なんだ?美羽に何かあったのか?最近ふさぎこんでいるとは思ってたが記憶もまだ曖昧みたいだし俺も気になってはいたんだが…」と父がいう。
静は頷いた。
「美羽は、自分が引き取られた子供だという事も記憶にないみたいなのよ…」
「まぁ、でも、それは別に何の問題ではないではない?血なんか繋がってなくても私達は本当の家族よ。それにもともと親戚なんだからそれを言ったら全くの他人と言う訳でもないんだし…」と、母が言う。
「そうね…でも問題がありありなのよ。美羽は多分、記憶をなくしているせいもあってか、兄貴のことを異性と意識しはじめてる」と兄の仁に振り返る。
父母は「「えっ!?」」と声を上げる。
「や、やっぱり…そう…なのか?いや…でも」と仁が答える。
「そのせいで、美羽は自分がおかしいと思い悩んでいるように思うのよ…」
「まぁ、それじゃ…美羽は”禁断の恋”でもしていると思いこんで悩んでるのかしら?」
「うん、お母さん、私はそうじゃないかと思ってるの…あの子のあの様子…」
「だったら、美羽に仁とは親戚だけど血は繋がってないと伝えたらいいんじゃないか?」と父が答えた。
「お父さん…そんな単純な問題ではないの!分からない?」
「そうよ、あなた、美羽は今、本当の家族だと思っているのよ。私達が、本当の家族でないと告げられて今の美羽が傷つかないと思えるの?」と母が言う。
「だって記憶のあるときの美羽は、それも受け入れた上で家族なんだと納得して来たじゃないか?血の濃さなんて関係ないと!」
「それは、家族として過ごした記憶があってこそではないの!今の記憶の心もとない美羽の状態でじつは実の家族ではなかったなんて知れたらきっとひどく心細い想いをして傷つくわ!」
「し…しかし、せっかく仁を意識したんなら仁が美羽を嫁に迎えれば本当の家族になれるんじゃないか?儂は反対などせんぞ?むしろ願ったり叶ったりだ!」
「お父さんっ!だから!そんな単純な問題じゃないって言ってるでしょう?記憶があったころの頑丈な美羽じゃないのよ?」
「む…ぅ…た、確かに…美羽は記憶を失ってからというもの人が変わったように気弱になったし、か弱そうだしな」
「そうよ!前の美羽も今の美羽も私達の大切な美羽に変わりはないけれど、あの子は昔のあの子とは違うの!傷つきやすい儚げな少女なのよ!おとうさん!」と静が父にかみつく。
「まさに、そうね。お母さんも静の言う通りだと思うわ」
「ううう!お、俺は一体、どおすりゃいいんだよ?」と仁が唸る。
「それを話したくての家族会議でしょうが…」静は、半ギレである。
「美羽にとっては仁が兄であっても辛いけど私達と本当の家族でなかったと知るのが辛いのとどちらが、より辛いのかしらね?」
「そんなの…どっちも辛いに決まってるじゃない…」
「ああ」
仁も父も頷く。
「思いだしてくれるのを待つしかないのかしらね?でも、思いだしたら仁への恋心もなくなるのかしら?」
「そ…それは、わかんないわよ。兄貴は美羽の事どう思ってるの?…って聞くまでもないか?美羽が子供の時から本気で婚約者だって豪語してたくらいだもんね?でも実際の所どうなの?」
「ああ、昔は、あの可哀想な子を自分が守ってやらなきゃと義務感めいたものを感じていたけど、今は美羽さえ、それを望んでくれるなら俺が美羽を幸せにしてやりたいと心から思っている…いや、むしろ、他の誰にもやりたくない!これが俺の気持ちだ…。これが…答えになるか?」
「良く言った!仁!それでこそ神崎道場の跡取りだ!」父が思わずエールをおくる。
「うん、いい答え。兄貴のそういうブレないとこは私も好感持ってる!世間体がどうとか言いだしてたら、ぶん殴ってたところよ!美羽がまだ小さい頃から許嫁って言うのを難色も無く受け入れていた頃は、もしかしてロリコンなのかと心配もしたけど…今の美羽を真剣に幸せにしたい!守りたい!って言う気持ちは応援するわ」
父と娘の言葉に母も何度も何度も頷いた。
とにかく美羽がなるべく傷つかぬように慎重に…仁が恋をするのに禁忌の相手ではないという事を言うべきか言わざるべきか…しばらく様子をみるしかないと家族の意見は一致した。
直接の血なんぞ繋がっていなくとも美羽は神崎家の大切な大切な娘なのだから。
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